ジャパニーズウイスキーの代表格・ニッカウイスキーの魅力

ウイスキー

朝ドラの「マッサン」以降、人気を集め続けるニッカウイスキーはお好きでしょうか?

ニッカは日本のウイスキーのシェアをサントリーと分けあう競合メーカーです。

ニッカは、余市と宮城峡、ふたつの大規模蒸留所で、多様な原酒を作り続けています。

マッサンのモデル、竹鶴政孝のウイスキー作りへの情熱を実現した、ニッカのウイスキーをぜひ楽しんでみてください。



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ニッカウイスキーの歴史

ニッカウイスキーは、正確な社名はニッカウイスキーと書きます。

古い表記にこだわるだけあって老舗です。

サントリーウイスキーの製造開始に責任者として関わった竹鶴政孝が創業者です。

サントリーでは叶えられなかった北海道に蒸留所を作りウイスキー製造を始めたのです。

「ニッカ」という社名は、創業時の「大日本果汁」を略したものです。

最初からウイスキーを作るつもりで設立した会社ですが、ウイスキーは出荷まで時間が掛かるため、当初はりんごジュースを作っていました。

ニッカは、大型の蒸留所を北海道・余市と宮城県の宮城峡に持っています。

サントリーもそうですが、自社だけですべての原酒を作るという、世界的には非常に珍しい運営をしています。



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ニッカウイスキーの蒸留所

ウイスキーは、大麦から作り、単式蒸留をするモルトウイスキーと、トウモロコシ等から作り、連続蒸留をするグレーンウイスキーとに分かれます。

ブレンデッドウイスキーのためにはこの双方が必要なわけですが、ニッカはブレンドのための原酒すべてを自社で作っていて、よそから買ってくることはありません。

このように大規模である点が、竹鶴政孝が学んだスコットランドのウイスキー作りとの大きな違いです。

ニッカの蒸留所を見ていきましょう。

余市蒸留所

北海道の日本海側、小樽市の西15kmの地に、ニッカの原点である余市蒸留所があります。

竹鶴政孝は、サントリー時代もスコットランドに似た冷涼な北海道に蒸留所を持ちたかったのですが、果たせず、ニッカを創業して実現したのです。

余市蒸留所では、石炭直火蒸溜と、ストレート型・下向きのスチルポットを使うことにより、力強いモルトウイスキーを作っています。

スチルポットは蒸留窯のことで、さまざまなタイプが存在しますが、余市のものは原材料の多様な成分を色濃く残すスタイルです。

そして、日本のウイスキーとしては比較的珍しく、ピート(泥炭)を大麦の乾燥の際に焚き、強いピート香を付けています。

全体的に、ピート香も薄くマイルドなウイスキーを目指すニッカですが、その原酒のひとつは非常に骨太なボディを持っているのです。

また余市では、余市岳に積もる雪由来の豊富な雪解け水を利用しています。

宮城峡蒸留所

仙台市中心部から20km西に、宮城峡蒸留所があります。

余市の30年後に稼働開始した宮城峡蒸留所では、余市の荒々しさと異なる、柔らかく華やかなウイスキー原酒を作っています。

蔵王連峰由来の、非常に硬度の低い水も柔らかさにつながります。

ウイスキーは、多様な原酒をブレンドすることで生まれるものなので、気候や醸造、蒸留の環境などが多様であればそれだけ有利なのです。

スコットランドにも、ハイランド、ローランド様々な蒸留所がありますが、余市がハイランドであるなら、竹鶴政孝はローランドのウイスキーを作りたかったようです。

スチルポットも余市と異なり、バルジ型・上向きのものです。

上向きだと、原材料の成分は蒸留中繰り返し釜に戻りますので、スムーズな味わいになるのです。

そして宮城峡ではグレーンウイスキーも作っています。

連続蒸留器で作るグレーンウイスキーは、無個性なものになりがちですが、宮城峡ではカフェ式連続蒸留器という、古いタイプのものを使うことで、味わいの濃いグレーンウイスキーを生み出しています。

ニッカウイスキーのシングルモルト

蒸留所を代表するウイスキーは、シングルモルトです。

その蒸留所だけの原酒を混ぜて(同じモルトウイスキーですので、ブレンドとは言わず、「ヴァッティング」といいます)出荷するもので、蒸留所の顔といえるウイスキーです。

スコットランドでも、多くの蒸留所が、蒸留所の名前を冠したシングルモルトを販売し、ウイスキー好きの人気を集めています。

日本ですと、サントリーの「山崎」「白州」も代表的なシングルモルトです。

ニッカの場合も、蒸留所の名前を冠し、「余市」「宮城峡」というシングルモルトを販売しています。

余市

シングルモルト余市の特長は、大麦に炊き込んだピート香の強さと、荒々しく香ばしいフレーバーです。

余市蒸留所ではピート香のないウイスキーも作っていますが、やはりシングルモルトの個性を決定するのはヘビーの名ピート香を持つ原酒です。

様々な原酒をヴァッティングさせ、シングルモルトが作り上げられます。

また、貯蔵所が海に近いことで、樽が海風を吸収し、潮の香りがすると言われます。

この個性は、ブレンデッドウイスキーには大きく活かされますが、ウイスキー好きな人ならぜひシングルモルト余市も味わってみましょう。

宮城峡

シングルモルト宮城峡は、ピート香も弱く、フルーティなウイスキーです。

甘さも強く感じることでしょう。

「洗練」という言葉がぴったりのウイスキーです。

もちろん、ウイスキー原酒は多様なだけいいのですが、その中で宮城峡はバランスの取れた味わいをすでに備えています。

ウイスキー初心者にもおすすめです。

他のウイスキーとご自分でブレンドしてみるためのベースにもいいでしょう。

ニッカウイスキーのその他のウイスキー

シングルモルトは蒸留所の顔ですが、ウイスキーのすべてではありません。

ウイスキーの基本は、グレーンウイスキーとブレンドしたブレンデッドウイスキーです。

シングルモルト以外のニッカのウイスキーも見てみましょう。

竹鶴

シングルモルトの定義は、ひとつの蒸留所の原酒だけからできていることです。

ですから、異なる蒸留所のモルト原酒をヴァッティングしても、シングルモルトは名乗れません。

余市と宮城峡、著しく異なる蒸留所のウイスキーをヴァッティングして作られた「竹鶴」は、ですからシングルモルトではありません。

ピュアモルトを名乗っています。

といっても、価値が劣るわけではないのです。

100%モルトウイスキーですので、ブレンデッドウイスキーではありません。

名前はもちろん、竹鶴政孝から取ったものです。

モルトウイスキーなのですが、力強い余市と、バランスの取れた宮城峡から生み出される、飲みやすさが特長です。

それでいながら、モルトウイスキーらしい、コクの深い逸品です。

ブラックニッカディープブレンド

ニッカのブレンデッドウイスキーといえば、大衆的なブラックニッカが挙げられます。

その上級バージョンのディープブレンドはいかがでしょうか。

ピート香のないブラックニッカと違い、ピートの香りを持ったウイスキーです。

日本のウイスキーには珍しく、モルト原酒に新樽を使った木の香りも特徴的です。

度数45度高めですが、ニッカの「飲みやすさ」の追求はなされており、スムーズさも持っています。

まとめ

ニッカウイスキーの魅力を、蒸留所と、その商品にスポットを当てて見てきました。

理想のウイスキーを求め続けた竹鶴政孝の思いは、現代にも脈々と伝えられています。

現在の二か所の蒸留所で、まったく違う個性のウイスキーを作り続けているニッカ、その味のハーモニーを、ぜひシングルモルトやピュアモルトで味わってみてください。

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