スコッチ?バーボン?ウイスキーの世界を知る秘訣は「産地」と「用語」を理解すること!

ウイスキー

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印象的なCMで大ヒットした「角ハイボール」や「トリスハイボール」などの影響もあり、最近ウイスキーがグッと身近で女性や若者にも人気のお酒となってきました。

でも本格的なバーに行くとどんなお酒をどのようにオーダーして良いか分からない…なんてことはありませんか?

シングルモルト?

スコッチ?

実は詳しく分からない…そんな方も多いのではないでしょうか。

これらの用語や産地を詳しく知ればウイスキーの世界はどんどん広がります。

きちんとウイスキーの基本を理解して、スマートに自分好みのウイスキーをオーダーできる大人の男性、女性を目指しましょう!



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世界の5大ウイスキーとは

世界各地で造られているウイスキーですが、代表的な産地が5つありそこで造られているものを「5大ウイスキー」と呼びます。

それぞれの気候や環境、原料、製法などによりウイスキーの特徴も様々なので、どこの産地のウイスキーが好きか飲み比べてみるのも自分の好みを知る上で重要な要素です。

ではそれぞれの産地の特徴をご紹介しましょう。

ジャパニーズウイスキー

ジャパニーズウイスキーは20世紀になってから誕生し、5大ウイスキーの中では最も歴史の浅いウイスキーです。

朝ドラ「マッサン」で有名になりましたが、サントリーの創業者である鳥井信治郎がスコットランドでウイスキー造りを学んだ竹鶴政孝と手を組んでウイスキー事業を始めたのがジャパニーズウイスキーの始まりです。

スコッチをお手本にして造られ、最初に発売された「白札」はスモーキーなフレーバーが日本人に受け入れられず売れませんでしたが、その後試行錯誤して造られた「角瓶」が大ヒットし、ジャパニーズウイスキーが軌道に乗りました。

近年では高い技術力が世界でも認められ、国際コンペティションでも「響」「山崎」「竹鶴」など様々なウイスキーが受賞し、注目されています。

製品の分類としては、モルトウイスキー、グレーンウイスキー、両者を混合したブレンデッドウイスキーが造られていて、繊細な感覚で造られた優美な味わいが特徴とされています。

スコッチウイスキー

スコットランドはイギリスを構成する4地域のひとつで、面積で言うと北海道より少し小さいくらいですが、この地でなんとウイスキーの全消費量の6割近くを占めるスコッチウイスキーが造られているのです。

それはスコットランドが、原料となる大麦を豊富に生産していること、ウイスキーの熟成に向く冷涼な気候であること、ウイスキーのフレーバーを決定づける「ピート」が多く堆積している湿地帯があることなど、ウイスキー造りに理想的な環境であることが理由であると言えます。

スコットランドでは生産地区を「スペイサイド」「ハイランド」「キャンベルタウン」「アイラ」「アイランズ」「ローランド」の6つに区分しており、それぞれの気候や自然環境などにより特徴的なウイスキーが造られています。

アイリッシュウイスキー

アイルランドはアイルランド共和国とイギリス領の北アイルランドからなる島で、アイリッシュウイスキーはその両方で造られるウイスキーのことを指します。

伝統的なアイリッシュウイスキーは、独特のオイリーフレーバーとなめらかな味わいが特徴です。

かつては世界一の生産量を誇っていたものの、1920年代以降は衰退していたアイリッシュウイスキーですが、近年はまた復活の兆しが見えてきています。

アメリカンウイスキー

アメリカ全土で造られているウイスキーを総称して「アメリカンウイスキー」と呼びます。

最も有名なのは「バーボン」ですが、ジャックダニエルが世界一の売上を誇っている「テネシーウイスキー」も有名です。

アメリカンウイスキーは、アメリカ独立戦争後に財政を立て直そうとした政府がウイスキーに課税した際にウイスキーを生産していた移民たちが暴動を起こし(ウイスキー戦争)、課税を逃れるために政府の管轄外だったケンタッキーやテネシーに移り、この地で豊富にとれたトウモロコシを原料にウイスキー造りを始めたのが始まりです。

バーボンは原料がトウモロコシ中心で、「ライムストーンウォーター」と呼ばれるややアルカリ性の硬水を使用し、新しい蒸留方法と内側を焦がした樽で熟成させることが特徴で、力強い味わいが人気です。

カナディアンウイスキー

カナディアンウイスキーの始まりは、アメリカが独立宣言をした際に独立に反対したイギリス系住民がカナダの五大湖周辺に移住し、穀物栽培をはじめたことがきっかけです。

アメリカの蒸留所が「禁酒法」により次々と閉鎖されていた時期にカナダはウイスキーの輸出を禁止しなかったため、アル・カポネなどのギャングが大量にカナディアンウイスキーをアメリカに密輸しました。

このことがきっかけでカナダは「アメリカのウイスキー庫」として成長し、カナディアンウイスキーが頭角を現していくことになりました。

カナディアンウイスキーは、ライ麦などを原料とするスパイシーでオイリーな「フレーバリングウイスキー」とアルコール度数が低い目で優しく癖のない味わいの「ベースウイスキー」に分類されます。

ほとんどの製品が両者を混合して造られていて、「カナディアンブレンデッドウイスキー」と呼ばれています。

5ウイスキーのなかでも、最も軽くて柔らかい風味が特徴と言われています。



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ウイスキーの種類を学ぼう

スコッチ、バーボンなど産地による名称の違いは上記の通りご理解いただけたと思いますが、みなさんがよく混乱するのは「シングルモルト」「ブレンデッド」「シングルカスク」「グレーン」などのウイスキー用語ではないでしょうか。

これらは原料や蒸留方法などで分けられるウイスキーの主な種類を指す用語です。

モルトウイスキーとは

モルトウイスキーとは原料がモルト(大麦麦芽)のみで、ポットスチルという単式蒸留器で蒸留して造られるウイスキーのことを言います。

このうち、単一の蒸留所で造られた複数の樽のモルト原酒を混ぜて造られたものを「シングルモルト」、単一の蒸留所のあるひとつの樽のモルト原酒のみで造られたものを「シングルカスク」と呼びます。

分かりやすく言うと「山崎」「余市」「白州」などのように地名(蒸留所名)が付いているウイスキーは、その蒸留所で造られたモルト原酒のみを使用して造られている「シングルモルト」であることがほとんどです。

グレーンウイスキーとは

グレーンウイスキーとは原料がモルト、トウモロコシ、小麦などの穀物で、グレーンウイスキーのほか、バーボンなどに使われている連続式蒸留機で蒸留して造られるウイスキーのことを言います。

単一蒸留所で造られた複数の樽のグレーン原酒を混ぜてつくられたものを「シングルグレーン」と言います。

ブレンデッドウイスキーとは

複数の蒸留所のモルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜ合わせて造られたものを「ブレンデッドウイスキー」と言います。

原料の違うそれぞれの原酒の特徴を上手くブレンドすることで新しい香りや味わいを造り出すことができるのです。

例えばサントリーの「響」は、「山崎」と「白州」2つの蒸留所の原酒をメインに30~40種類の原酒をブレンドしています。

何年物が良いの?最近注目のNASとは?

スコッチやジャパニーズでは年数表示されているウイスキーが主流ですが、どのようにして年数が決められているかご存知ですか?

また最近では「Non Age Statement」通称「NAS」と呼ばれる年数が表示されていないウイスキーも数多く発売され、注目を集めています。

ウイスキーの年数表示は熟成年数のことを指します。

何年熟成した原酒を使っているのかを表していますが、異なる熟成年数の原酒をブレンドした場合は、どんなに古い年代のものを使っても、最も若い原酒の年数が表示される決まりになっています。

熟成年数が進むほど味わいはまろやかに、香り高く芳醇になりますが、値段もその分高価になっていきます。

「Non Age Statement」通称「NAS」はラベルに年数表示がないウイスキーのことを指します。

最近はこのNASが様々なメーカーから発売され注目されていますが、その背景にあるのは原酒不足だと言われています。

ウイスキーは蒸留後何年も樽で熟成させなければいけませんが、1980年代から90年代のウイスキー不況の時に各蒸留所ではあまり原酒を生産することができず、ウイスキー人気が回復してきた2000年代に入って熟成の進んだ原酒が不足するという事態に陥りました。

そこで各メーカーが熟成の際に使用する樽、材料や作り方などの研究を重ね、熟成年数が短くても質の良い原酒を造り出すことに成功しました。

そしてそれらの若くて上質な原酒を自由にブレンドしたウイスキーを、熟成年数という縛りのないNASとして販売することになったのです。

NASは供給が安定していて熟成年数の長いものより値段が手ごろなのが特徴ですが、年数表示されているウイスキーと比べると味わいが劣ると思われがちです。

しかし年数表示という足かせがない分、各メーカーのブレンダーが自由にブレンドしその手腕を十分に発揮して造られたもので、実は各メーカーの特徴が良く分かる質の良いウイスキーが多いのです。

ブレンダーの手腕やメーカーの研究などにより、これからもNASの可能性はまだまだ広がると考えられます。

自分好みのウイスキーを見つけるために

様々なウイスキー用語や産地の特徴が分かると、自分好みのウイスキーを見つけやすくなります。

例えば、「山崎」の芳醇で甘い香りがお気に入りだったとしたら、同じシングルモルトで芳醇な香りが特徴の「マッカラン」などもおすすめですし、「余市」のようなスモーキーな味わいがお気に入りなら、「ボウモア」などのアイラ系のウイスキーも試してみると良いでしょう。

ウイスキーの種類が多いバーなどでは、お気に入りのウイスキーを伝えて似たようなものを探してほしいと言うと、マスターがおすすめのものを選んでくれます。

またいつもと違うウイスキーを試してみたいと思ったときには、「今度はバーボンを飲んでみたい」「少しピーティーなのが飲んでみたい」と言えば、おすすめの銘柄を教えてもらえるでしょう。

ウイスキー用語をきちんと理解して「おすすめのジャパニーズモルトってありますか?」「ブレンデッドでおすすめは?」などとスマートに聞けるようになると良いですね。

またおすすめの飲み方(ストレート、ロック、ソーダ割)なども教えてもらえるので、お気に入りのバーに通っていろいろなウイスキーや飲み方を試して、自分の好みを追求していきましょう。

まとめ

ウイスキーの世界は奥深く、最近では女性限定のウイスキーイベントが行われていたり、ウイスキー専門のバーなどもできていたりと人気は高まる一方です。

男性でも女性でも、ロックグラス片手にバーでゆっくりウイスキーを楽しんでいる方には、落ち着いた素敵な大人の印象を持ちますよね。

そんな大人の男性、女性に近づくために、ウイスキーの用語や歴史を学んで知識を深め、自分好みのウイスキーを探してみてはいかがでしょうか。

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