意外と知らないウイスキーの違い、産地や製法、楽しみ方は?

ウイスキー

ウイスキーは、ジン、ウォッカ、テキーラなどと同じ、代表的な蒸留酒の一種です。

蒸留はもともと錬金術の技術で、ウイスキーはビールを蒸留してつくられたものです。

一説には、かつてスコットランドで酒税を逃れるために蒸留酒を樽に詰めて隠しておいたところ、熟成が進んで琥珀色に変化し、豊かな風味の酒になっていたことが始まりともいわれています。



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ウイスキーはどのようにつくられる?

まず、ウイスキーはどのようにしてつくられるのでしょうか。

ウイスキーの原料

ウイスキーの原料となるのは大麦ですが、元来大麦のでんぷんはそのままでアルコール発酵するものではありません。

このため、発芽を促し、酵素によって胚乳中のでんぷんを分解しなければなりません。

酵素は水を加えるとその働きが活発になり、でんぷんは糖に変化します。

発酵

糖がつくられたら、今度はこれを発酵させ、分解します。

この段階で炭酸ガスとともにアルコールが生成されます。

同時にこのときウイスキーの香味も生まれます。

蒸留

発酵の段階では、まだアルコール度数は7%程度です。

これを蒸留して濃縮し、最終的にアルコール度数は60%から70%となります。

蒸留とは、水とアルコールの沸騰開始温度である沸点の違いを利用して、蒸発と冷却を組み合わせることにより、アルコールを濃縮する方法です。

具体的には発酵によってつくられた醸造酒を加熱し、蒸発した気体を冷やして集めますが、これには高度な技術が必要とされます。

この方法で酒がつくられ始めたのは12世紀から13世紀頃で、スペイン冶金技術者であるアルノーがワインを蒸留したのが蒸留酒のはじまりといわれています。

アルノーは医師でもあり、当初はこれを気つけ薬として処方していたようです。

熟成

蒸留ののち、ウイスキーは木製の樽の中に貯蔵し長い熟成がおこなわれます。

3年あるいは5年、10年中にはそれ以上の年数をかけて熟成されるものもあります。

熟成は樽の材質や貯蔵される場所、温度や湿度など、あらゆる条件の微妙な違いによって熟成具合が異なり、最初は無色透明だった液体が徐々に風味の豊かな琥珀色のウイスキーへと変化していきます。

最終的に熟成が進んだウイスキーは加水され、40%から45%程度のアルコール度数に調整して、瓶詰めののち出荷されます。



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ウイスキーの種類って?

一括りにウイスキーといってもさまざまな種類があります。

スコッチ

スコッチウイスキーの特徴はスモーキー・フレーバーと呼ばれる香りにあり、これはスコットランド北部の原野に広がっているピートという泥炭によって麦芽を乾燥させる際、燻されることによって生まれるものです。

スコッチウイスキーの中でも、スコットランド北部のハイランド地方が主な産地の、大麦のみを使用したウイスキーをモルト・ウイスキーと呼び、大麦麦芽にライ麦や小麦などが加えられたものをグレーン・ウイスキーといいます。

これらをブレンドしたウイスキーをブレンデッド・ウイスキーといいますが、イギリスのスコットランドでつくられたウイスキーを総称してスコッチウイスキーといいます。

バーボン

バーボンウイスキーは51%以上80%未満のトウモロコシを原料として使用し、内側を炎で焦がしたオーク樽で2年以上熟成を行うのがその定義となっています。

このため、原料のトウモロコシが80%を超えるものはバーボンではなくコーンウイスキーと呼ばれます。

バーボンという呼び名の由来は、アメリカケンタッキー州バーボン郡で生産が始まったからですが、テネシー州でも生産され、生産方法がケンタッキー州のものとは異なります。

ヨーロッパからの移民が持ち込んだことによって、アメリカで蒸留酒が生産されるようになったのは17世紀頃のことです。

当初は原料にライ麦が使用されていましたが、18世紀末になると売れ残った穀物の再利用方法として、トウモロコシが使用されるようになりました。

蒸留は1回で高いアルコール度数とクリアな味わいが得られ、効率的な連続蒸留器によって行われたのち、内側を焼き焦がした新品のオーク樽で熟成が進められます。

バーボンには独特の色合いやバニラ香がありますが、これは新品のオーク樽を熟成に使用するからだといわれます。

ウイスキーとブランデーどこが違う?

ウイスキーとブランデーはともに蒸留酒で、蒸留後には樽で熟成されます。

一見よく似たものですが、どんな違いがあるのでしょうか。

原料の違い

ウイスキーとブランデーの大きな違いはその原料です。

ウイスキーは穀類のでんぷんを糖に変化させ発酵したものを蒸留するのに対してブランデーは果実を原料とし、一般的にはブドウを原料とするワインを蒸留したものです。

またブドウだけでなく、リンゴを原料としたアップルブランデーやサクランボを原料としたチェリーブランデーもあります。

このようにウイスキーとブランデーには原料に違いがあります。

味の違い

ウイスキーもブランデーも蒸留酒のためアルコール度数が高く、味の判別は難しい部分もあります。

さらに、ウイスキー自体にもさまざまな種類があることから、大別すると、スコッチウイスキーはモルト由来の旨味とピートのスモキーフレーバーに熟成段階での樽貯蔵のウッディーさがあり、バーボンウイスキーはオーク樽ならではの香りとバニラ香があるといえます。

一方、ブランデーはブドウをはじめとした果実が原料となっているため、芳醇な香りとまろやかな味わいがあり、なおかつフルーティな香りと熟成樽のウッディーさを楽しむことができます。

ウイスキーのおいしい飲み方は?

ウイスキーにはさまざまな飲み方があり、アルコール度数を調整したりして、自分の好みのスタイルで楽しむことができます。

ストレート

ウイスキーが誕生した当時、製氷機などはありませんので、古くからもっとも親しまれてきたウイスキーの飲み方はストレートです。

ウイスキーの芳醇な香りをじっくりと楽しむことができます。

オン・ザ・ロックス

アルコールがきつく感じられるのであればオン・ザ・ロックスがおすすめです。

冷やしたロックグラスに氷を1つから2つ入れ、グラスの半分ほどまでウイスキーを静かに注ぎ、マドラーで軽く混ぜます。

氷は溶けにくい大きめのものがよいですが、氷が徐々に溶けることによって味の変化も楽しむことができます。

水割り

ゆっくりくつろぎたいときや、食事とともに楽しむ飲み方としても最適です。

冷やしたグラスに氷を入れ、適量のウイスキーを注いだ後、マドラーで混ぜ、氷が減ったら足して、水を加えます。

基本的な割合はウイスキー1に対して水2から2.5程度といわれます。

ハイボール

ハイボールはウイスキー本来の味やコクを際立たせ、料理の味も引き立たせます。

冷えたグラスに氷をいっぱい入れウイスキーを適量注ぎます。

ウイスキーを混ぜたらソーダを加え再び軽く混ぜます。

このとき、炭酸ガスが逃げないようにかき混ぜすぎないのがコツです。

香りづけにレモンを用いると爽快感が増し、氷なしにすればウイスキー本来のうまみや甘みがより楽しめます。

そのほかの飲み方

アルコール度数の高いウイスキーにはこれ以外にもさまざまな楽しみ方があります。

オン・ザ・ロックスの1種で、ウイスキーと水を1:1でつくるハーフロック、注いだウイスキーと水を混ぜないことで味の変化を楽しむウイスキーフロート、クラッシュドアイスにウイスキーを注ぐミスト、より香りを楽しみたいのならワイングラスなどにウイスキーと水をそそぐトワイスアップもあります。

このほかお湯割りやカクテルのベースとして使用することもあります。

ぜひ自分の好みの飲み方を見つけてみてはいかがでしょうか。

まとめ

ウイスキーは原料の栽培から収穫にはじまり、発酵から蒸留、さらには熟成と多くの手間と時間をかけて生産されます。

現在のようなウイスキーが味や製法が確立されるまでには、一朝一夕には成しえない、先人のさまざまな試行錯誤があったはずです。

それらのことに思いを馳せながら改めてウイスキーを楽しんでみると、これまでよりもずっと味わい深く感じられるかもしれません。

ウイスキー