南米ボリビアからのおすすめブランデー!シンガニって知っていますか?

ブランデー

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国は違えど、世界中で愛されているブランデー。

それぞれ様々な呼び方で呼ばれていますが、ここでご紹介したいのは「シンガニ」。

南米ボリビアのブランデーです。

私達には聞きなれない名前ですが、ボリビア本国ではとってもポピュラーな飲み物なんです。

お祝い事や、お祭りには決して欠かすことのできないお酒だとか。

どんなお酒なのでしょうか?



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ボリビアってどんな国?

シンガ二以前にボリビアを知らないけど。

そう思われる方、多いのではないでしょうか。

ボリビアは南米にある共和制国家です。

正式名称は「ボリビア他民族国」。

パラグアイ、ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルーに囲まれた内陸国です。

首都はスクレですが、事実上の首都はラパスと言われています。

このラパス、世界で一番高いところにある首都だそうです。

文化的には、植民地支配を受けたスペインの影響が色濃く残ります。

スペインによる植民地時代以前はインカ帝国の一部でした。

また、プレ・インカ期の「ティワナク遺跡」は世界遺産にも登録されています。

そして近ごろでは日本からの旅行者も増えている模様です。

それはなんといってもあの「ウユニ塩湖」があるから。

衣料品のCMで、とても話題になりましたよね。

空と湖面が鏡のように溶け合って、見たこともない不思議な絶景に誰もが驚いたことと思います。

「天空の鏡」とも言われる「ウユニ塩湖」は、ボリビア中央部のアルティプラーノというところにあるのです。

一度は目にしてみたい光景ですよね。



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ボリビアのお酒とか、食べ物とかってどうなの?

ボリビアの人口のおよそ半分は「アルティプラーノ」という地域に集中しています。

ここは海抜4000m級の高度の高い場所に広がる大平原です。

そのためボリビアの食事はだいたいアンデス高地の料理が主体と考えることが出来ますね。

寒冷地に強いジャガイモやトウモロコシは専ら主食とされています。

肉類も高地に生息するものが主体。

チキンやマトン、ビーフなどの煮込み料理が多くみられます。

干し肉を造る文化もあるので、それを利用したメニューもたくさんあります。

伝統的にはリャマが使用されるようです。

地形・歴史的な理由から、ペルーと似通った要素が多数見られます。

ただ、ボリビアには海がないので食事に出てくるのは主に淡水魚。

ここはペルーとは全く異なるといえます。

飲み物も種類豊富ですが、独特で私達には聞きなれないものばかりです。

珍しいところでは、マテデコカ。

こちらはボリビア中で飲まれているお茶ですが、コカの葉のお茶です。

高山病の頭痛などに効果的です。

他には「モコチンチ」も有名です。

これは桃の皮をむいて煮だし、砂糖やスパイスで味をつけたもの。

国民的飲料とも言えます。

ではお酒はどうでしょうか。

まず有名なのは「チチャ」。

これはトウモロコシやキヌアなどから造ったお酒で、祝事や祭事には欠かすことはできません。

ビールやワインも好まれていて、地域ごとの味が楽しめます。

ボリビアの人々はお酒が大好き。

あまりに大好きなので、ものすごく酔っぱらう人が多いとか。

そのため、選挙日の3日前からは飲酒禁止という法律があるそうです。

日本ではなかなか考えられないですけど、どれほど酔っぱらうのでしょうか…。

それではシンガニは…

ボリビア版ブランデー、シンガニは国中から好まれているブランデーです。

映画監督スティーブン・ソダーバーグもシンガニファンの一人だとか。

ソダーバーグの名前が付いたシンガニもあります。

そんなシンガニのあれこれを見てみましょう。

シンガニってどんなブランデー?

シンガ二はマスカット・オブ・アレキサンドリアの搾りかすを使って蒸留された、搾りカスブランデーです。

ボリビアの高地の谷でのみ生産されているため、ボリビアにとっては重要な文化的財産と考えられており、国民のお酒とも言えます。

そんな大切なブランデーだからこそ、ボリビア政府は原産地呼称制度を設け、シンガニを保護しているのです。

シンガニと呼ばれるための条件とは…

原産地呼称制度によって保護されているため、シンガニと名乗るためには幾つかの条件をクリアしていなければなりません。

フランスでもコニャックやアルマニャック、カルヴァドスなんかがそうですよね。

原産地呼称制度があると、飲み物自体がブランド品になって、より価値を感じる気がします。

1後述の生産ゾーンでとれたマスカット・オブ・アレキサンドリアのみを原材料とする。

2生産地は以下の4地域。

1タリハ県中央渓谷
2チュキサカ県南北シティ郡およびトナミ郡の渓谷地域
3ラパス県サアパキ・ルリバイ・ロアイサ郡・ムリリョ郡
4ポトシ県南北チンチャ郡・ゴルネリオ・サアベドラ郡・リナレス郡内のトゥルチパ・コタガイタ・ピチョカ・トゥムスラ・ポコポコ・ティルキブコおよびオロンコタ

これ以外のボリビアの地域は、都度、将来的に加えられていくとのこと。

今のところは上記の地域内で蒸留・ビン詰めを行わなければ、シンガニと名乗ることはできません。

スペイン人の到来

ボリビアのブドウは遺伝的研究の観点から、スペイン人が植民地時代に持ち込んだものが起源となると言われています。

これらがTorrontésやCriollaといった、現代の品種を生み出しました。

現在もブランデーやワインで多く使用されています。

やがてフランシスコ・ピサロがインカ帝国を訪れると、帝国は戦争状態になりました。

ピサロはスペイン国王からインカ帝国支配の許可を受けていたので、あっというまに植民地化されてしまいます。

そんな中、1545年にはポトシ近郊でセロ・リコ銀山が発見されます。

規模は大変大きく、埋蔵量も豊富でした。

スペインはこの銀山を重要視し、そのそばにあるポトシは帝国都市として瞬く間に発展していきました。

人も増え、豊富な物資が行きかう、当時の世界でも最大級の発展した都市の一つとなったのです。

このような大規模都市の誕生と、それに伴って修道院がつくられたことが、シンガニ発展の要因となりました。

修道院の聖体拝領でワインは必要不可欠なものです。

ワイン製造もポトシで行われるようになりました。

そんな中、人の交流がさかんになったポトシには、多くのスペイン人入植者がやってきました。

中にはワインの製造を行うものもいました。

しかし、都市ポトシは気候的・政治的にワイン造りに適した環境ではありません。

そのため彼らはポトシから出て、南部の渓谷地域シンティスでワイン造りを始めました。

そこでできた製品をポトシで販売するのです。

こうして大都市とワイン生産地は早くから繋がりを持つようになりました。

1585年までにはシンティスはワインとシンガニの重要な生産地となり、非修道院系としては初めての商業的ワイナリーが多く開かれました。

ちなみにシンガニが造られるようになったのは、ボリビアの気候と土地の条件が悪いから。

ワインを造っても保存が難しく、アルコール度数をさらに上げるために蒸留されるようになったそうです。

これがシンガニのもとと言われています。

シンガニの発展

1600年代になると、タリハ地域がシンガニの原材料であるブドウを供給するようになりました。

さらに20世紀になると現材料はほぼすべてタリハからのものとなり、ワインとシンガニのメーカーはここでビジネス行うようになります。

例えば、大手蒸留所の一つであるKuhlmannは、1973年にもともとのシンティス地区からタリハに本拠地を移しました。

今日ボリビアのシンガニメーカーのほとんどはタリハにあります。

こうしたメーカーのほとんどはヨーロッパの技術や設備を手本とし、製造の近代化を行ってきました。

近代化し、発展してきたシンガニですが、最近は少し変わった動きが見られます。

モダナイズされたタリハ地区を離れて、もともとのシンティス地区を見直そうというものです。

シンガニ初期のブランド価値を活性化させようとする小規模生産者がちらほらと現れ始めました。

今後はどういう風になるのかわかりませんが、シンガニの産地でも変化がおこるかもしれませんね。

まさしく国家的お酒!

ボリビアのお隣であるチリとアルゼンチンは、「ピスコ」というオリジナルのブランデーを巡って、議論が絶えません。

お互いが「ピスコ」という名称を使用し、どっちがどっちかわからなくなっているのが現状と言えます。

それに対し、ボリビアの「シンガニ」はボリビアだけのものです。

アルゼンチンとチリのようにどちらのものか競いあう必要はないのです。

このように特に争いの種もなく、400年もの間閉鎖的に過ごしてきたボリビアの「シンガニ」ですが、1988年には「シンガニ」のブランド価値を守るべく、原産地呼称制度を設けました。

一つの理由は、密造酒が「シンガニ」などと名乗れないようにするための、法的根拠を確立するため。

もう一つは「シンガニ」という名まえをきちんと統制するためです。

ピスコやテキーラといったものはそれがないために、外国でも勝手につくられて、「ピスコ」や「テキーラ」といったラベルを貼られてしまいます。

ボリビア政府はそれを防ごうとしたのです。

1988年の原産地呼称制度の確立以後、1992年には生産の特定ゾーンを制定。

1999年には標高1600メートル以上のところで造られたシンガニに原産地証明書を発行することを取り決めています。

その他にも品種、製品について様々な取り決めがなされています。

これはボリビア政府がシンガニを単なる飲み物ではなく、文化的にもオリジナルで大切なものだとしているからに他なりません。

実はシンガニの生産地エリアとして指定されているのは山岳地帯のわずか20000エーカーほどに過ぎません。

同様の指定はシャンパンでは約83000エーカー、コニャックは約220000エーカーといいますから、規模はとても小さいですね。

生産地は小さいけれども、ボリビアという国にとってシンガニはとても大切なお酒なのです。

現在も国をあげてシンガニのための教育・研究・プロモーションを行っています。

シンガニ生産地域ってどんなところ?

シンガ二製造のためのゾーンは原産地呼称法で規制されているというのは前述のとおり。

これらの州すべてが材料となるブドウ栽培に適しているわけではありません。

例えば、ラパス地域の土地はとても急峻です。

垂直ともいえる場所もあります。

天候は亜熱帯。

そしてポトシ地方は標高13000フィートと非常に高く、強風吹き荒れ、土地は乾燥しています。

最大の産地であるタリハでさえも8850フィートの高地にあるのです。

そんな土地のため機械の導入は難しく、現在でも手作業が好まれているのが実情です。

しかし、高地ならではのメリットもあります。

赤道に近いため、冬でも凍結の恐れはほとんどなく、周囲の山のおかげで、作物をダメにする雪嵐の影響も受けません。

山岳地帯は乾燥しがちですが、太陽放射は暖かく、強い紫外線が当たります。

昼夜の寒暖差もかなり激しいです。

ブドウ栽培にはこの寒暖差は良いとされ、濃厚なうまみのブドウが出来上がります。

シンガニの製法とは…

シンガ二の原材料となるのはアレキサンドリア種のブドウのみです。

この実を収穫後すぐに圧搾。

これを発酵用の樽に詰めて、まずワインを造ります。

このアルコール発酵のプロセスには大体7日が必要。

発酵の具合と果汁の温度には特に注意しなければなりません。

完成後の風味に大きく影響するからです。

十分に発酵させたら、次は蒸留塔での蒸留です。

加熱を制御し、ゆっくりかつ十分に蒸留を行います。

出来上がりのアルコール度数は70度ほど。

加水して調整します。

シンガ二には一切の添加物・着色料などは使用されていません。

化学純度の基準もより厳格です。

例えば、シンガニの銅含有率は0.6m/l未満でなければなりませんが、他の国では2~10m/lが許容されています。

国のバックアップがあるからこそ、より厳しい目があると言えますね。

おすすめのシンガニ!

シンガ二にはおよそ3つの大手メーカー、いくつかの中規模生産者、より小規模な生産者があります。

Kuhlmannは大手メーカーの一つです。

創業は1930年で、ボリビアでは最古の蒸留所です。

ボリビアのシンガニマーケットの大部分を占める、Kuhlmannのシンガニを見てみたいと思います!

Los Parrales

カラーは無色透明。

アレキサンドリア品種の強い香りとエレガントな味わいが広がります。

2010年に開催された「ブリュッセル国際ワインアンドスピリッツコンペティション」においてグレートゴールドメダルを獲得しました。

その他にも6年の間に国際大会で5つのゴールドメダルを獲得しています。

まさに最高のブランデーの一つ。

おすすめです!

まとめ

鉱山で働く人たちは寒さをしのぐため、シンガニとホットミルクを混ぜて飲んでいたそうです。

そんな時代から、現在はボリビア中で愛されているシンガニ。

ボリビアのブランデーとして是非おすすめです。

残念ながら日本で入手するのは難しそうです。

海外に旅行のご予定のある方は、現地で探してみてはいかがでしょうか。

コニャックやアルマニャックとはまた違った風情を楽しめると思います。

ボリビアの国に思いを馳せて頂いてみるのもいいかもしれませんね。

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