グラフィックボードのリファレンスモデルとオリジナルモデルの違いは?

グラフィックボード(グラボ)

MSI NVIDIA GeForce GT710搭載 GDDR3 2GB グラフィックスボード VD5931 GT710 2GD3H LP

グラフィックボードを検索すると、同じ製品であってもメーカーやブランドによって様々なデザインの物があります。

それらの商品は大きく分けて「リファレンスモデル」と「オリジナルモデル」という2種類のモデルに分かれます。

今回は、オリジナルモデルとリファレンスモデルの違いやそれぞれの特徴、利点についてご紹介します。



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なぜ、同じ製品に色々な種類がある?

まず、グラフィックボードの核となるGPUチップは基本的に「Nvidia」がGeForceを、「AMD」がRadeonのチップをそれぞれ作っています。

この2社によって製造されたGPU用のチップを各社が使用し、GPUチップ以外の部分のデザイン等を行い販売しています。

例えば、同じ「GeForce GTX1080」のグラフィックボードであっても製造しているメーカーによってASUS製やMSI製など、様々な種類の製品が存在することになりますが、基本的にGPUチップそのものは全て同一のもの、という事になります。

基本こそ変わらないものの「GPUチップ以外の部分」の差によって使い心地や評価が分かれるため自作PCユーザーとしては、グラフィックボードの製造メーカーは軽視できないポイントの一つでもあり、人によっては「自分は〇〇社のグラボしか使わない!」という人も居ます。



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リファレンスモデルとは?

グラフィックボードのメーカー問わず存在するのが「リファレンスモデル」です。

リファレンスモデルはGPUチップを製造したメーカー、つまりGeForceならNvidia、RadeonならAMDがそれぞれ設計した「標準設計モデル」の事です。

基盤やクーラーの設計も含めて全て行われているため、リファレンスモデルの場合は製造メーカーが異なっても外見的にはほぼ同じ外見をしています(メーカー名などが入るといった小さな差はあります)。

新しいグラフィックボードが発売される場合にはまずリファレンスモデルを各メーカーが発売するため、最新のグラフィックボードをいち早く使いたい場合には必然的にこのタイプの製品を手に取ることになります。

リファレンスモデルを選ぶ利点

リファレンスモデルの利点は「価格の安さ」「安定性」「比較的小さい」などの点があります。

PC環境に左右されずに一定の性能を常に発揮できるように設計されているため、当たりはずれが少ない、という利点があります。

全体的にサイズが小さ目で、PCケース外に排気する外排気型のファンを使用している事が多いため、エアフローを組んでいないPCケース(BTOのPCケースで乗せ換える場合など)でも気にせずに使えます。

また、無理な使い方をそもそも出来ないようになっているため、比較的寿命が長い傾向があります。

また、水冷キットを使用する場合などで、本体付属のクーラーを取り外してしまう場合などにもリファレンスモデルが選ばれることがあります。

性能面以外では、全メーカーで共通の設計になっているため、販売メーカーに左右されることが殆ど無く、メーカーを気にせずに安い所で買えるという利点もあります。

また、外排気という特性上、複数のグラフィックボードを同時使用するSLIやCrossFireなどとの相性も比較的良い傾向があります。

オリジナルモデルとは?

リファレンスモデルが発売された後、少し時間をおいてから各メーカーから発売されるのが「オリジナルモデル」です。

主にファン関係の意匠が大きく異なることから「オリジナルファン」「オリファン」などと呼ばれる事も有ります。

オリジナルと呼ばれるだけのことはあり、販売メーカーごとの独自のデザインをしており、メーカーによっては共通のブランドなどを保有している事も有ります。

販売メーカーによっては外見がかなり変化していますが、前述した通り核となるGPUチップ自体はリファレンスモデルと同様の物を使用しているため、基礎となるチップの性能自体は変化していません。

オリジナルモデルの特徴

リファレンスモデルとの違いとしては、リファレンスモデルが常に一定の性能を発揮する設計になっているのに対し、こちらは単純に性能重視の設計になっているという特徴があります。

また、大半のオリジナルモデルはオーバークロックされているため、本来の性能よりも少し高い性能まで発揮できるようになっています。

また、オーバークロックによる発熱に対応できるように大型かつ静穏性の高いクーラーを搭載しているものも多く、リファレンス以上に冷えやすく、かつ静かになっています。

ただし、リファレンスモデルのファンと違いPCケースの中に排気する内排気型のファンを採用しているため、ケース内部の温度が上がりやすい傾向があります。

マザーボード上のコンデンサなどにもあまりいい影響がないため、PCケース内の空気を効率的に換気できるようなエアフローを組む必要があります。

また、オーバークロックに対応している製品であっても敢えて通常のクロック数近くまで落とした上で大型かつで静穏性の高いクーラー利用し、安定させつつリファレンスモデルと比べて静かなモデルとして使用する。

という方法を取る人も居ます。

リファレンスとオリジナルどっちがいい?

用途にもよりますが、ゲームなどが目的の場合である程度ハードに使う場合は基本的にオリジナルモデルがおすすめです。

リファレンスモデルの確実性や長めの寿命という点は確かに魅力の一つではありますが、ゲーム目的でPCを使用しているとどうしても想定を超えたレベルの負荷がかかることがあります。

そういった状態では、やはりリファレンスモデルに搭載されたクーラーの冷却効果では対応し切れないため、オリジナルモデルの高い冷却効果は重要なポイントの一つです。

ただし、オリジナルモデルの冷却効果はあくまでもPCケース内のエアフローを確保しているという前提条件が必要な点には注意が必要です。

逆にPCケースに(CPUクーラーなどを除いた)ファンが1基しか配置されていないPCケースを使用している場合などには、外排気クーラーを使用しているリファレンスモデルのほうがおすすめです。

オリジナルモデルでおすすめのメーカー「ASUS」

PCパーツで世界規模のシェアを持つ「ASUS」はオリジナルモデルの購入を考えた場合、おすすめのメーカーの一つです。

他のASUS製パーツと同様に安定感のある製品が多く、グラフィックボードの分野でも飛び抜けた要素こそ無いものの手堅い製品を出しています。

また、保証期間が3年と長いのが特徴で、PCパーツの中でも壊れる可能性の高いグラフィックボードでも安心して使えるというメリットがあります。

難点としては、保証期間の長さなどもあってか価格が全体的に高めという点があります。

オリジナルモデルでおすすめのメーカー「MSI」

台湾のメーカーでグラフィックボードの他マザーボードなども製造しているのが「MSI」です。

全体的に高品質な物を使っているのか高耐久なのが特徴です。

耐久性に関してはグラフィックボードも例外ではなくハズレ個体を引くというような変な使い方さえしなければ長い期間使用可能です。

また、グラフィックボードには、高い冷却効果を持つと好評な「Twin Frozr」というクーラーを採用しているため、ゲーミングPCに多い発熱などにも対応できる点は非常に魅力です。

また、Twin Frozrは高い冷却効果を持ちながら静穏性にも優れています。

難点を挙げるとすれば、保証期間が1年と短いという点と他メーカーの同クラスの製品と比べて価格が少し割高という点が挙げられます。

よほどのハズレ品を引かない限りはかなりおすすめできるメーカーです。

まとめ

全体的に見ると、自作PCユーザーなら目的のチップを搭載した有名メーカーのオリジナルモデルを買うのが無難です。

またオーバークロックに対して魅力を感じない場合には、定格動作のオリジナルモデルを扱っているメーカーがあるため、そちらを利用するのも方法の一つです。

また、詳しいことが分からない、という人やBTOパソコンのグラフィックボードだけ換装するという人にはGeForce製品のリファレンスモデルもおすすめです。

突出した性能こそありませんが安定性も高いためおすすめできます。