PCを使っていたらグラボから異音がする! という時の原因と対処

グラフィックボード(グラボ)

グラボ自体、元々音がするパーツです。

ですが、時には聞いたことのない異音を発する事があります。

いつもと違う音がすると結構びっくりさせられるもので、それがどういった原因なのか分からないと壊れたのかと勘違いしてしまう事も珍しくはありません。

ですが、大抵は知っていればそれほど驚くことではない場合が大半です。

今回は、そうした「グラボから聞こえる異音」についてまとめました。

参考にしていただけると幸いです。



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ファンの異常回転

グラボから異音が聞こえる場合、まず最初に考えられるのが「ファンの回転数が高い」という事です。

この場合は、モーターが回るような「シャアアアー」という音や、「フォオオオオ」といった風を切るような回転音が聞こえるため非常に分かりやすいです。

ファンの回転数が異常に高くなる原因として考えられるのは、

●GPUの温度が高い
●GPUクーラーの設定がタイトすぎる

などが考えられます。

異音として認識できるレベルでファンが回転している場合、GPUの温度がかなり高くなっている事が考えられます。

もし、異音が聞こえるようになったときに高負荷な処理を走らせているのであれば、一旦止めてみましょう。

止めた後、時間経過で温度が下がるのであれば、グラボのスペックが足りていない可能性が高いです。

処理を止めても温度が下がらない場合は何らかの原因でGPUクーラーの冷却性能が落ちています。

また、GPUクーラーのファンコントロールを設定している場合は見直すのも有効です。

度が過ぎた低温設定にしていると、その温度を維持するために回転数が高いまま張り付いてしまいがちです。

ファンの異常回転を防ぐには

ファンが異常回転するのを防ぐには、ファンコントロール用のソフトなどを使って、処理中の動作状況を確認したのち、それぞれの設定を行うのが理想的です。

グラボ側だけでなく、処理を行うソフト側で負荷を減らせるような設定がある場合にはそれらを使用するのも効果的です。

GPUの温度の目安は高負荷時で75~80度以下、余裕を持って使う場合は55~60度です。

温度を低く設定するとその分高温時には回転数が上がりやすくなるため注意が必要です。

また、ファンの回転数を高くし過ぎると異音の原因になります。

こちらの目安は下限が500~750回転程度、上限は音が聞こえるようになり出す2500~3000回転程度です。

ただし、これらの設定はあくまでも一例であり、実際の個々のPC環境により大きく変わります。

そのため、最終的な設定の変更は実際の動作をよく見て判断するのがおすすめです。



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ファンとは関係のない異音

回転数自体は低いし、GPUの温度も適正範囲内なのに何故かグラボからおかしな音が聞こえる、という場合もあります。

その場合に考えられる原因は、

●ファンの物理的なトラブル
●コイル鳴き(後述)

などが考えられます。

物理的なトラブルは故障以外にもPCケース内で余ったケーブルなどがぶつかってしまっている可能性などもあります。

ただぶつかっているだけならいいですが、どちらかが壊れる原因になったりファンの回転を止めてしまう可能性もあるため、ケースの中は出来る限りスッキリ整理しておくのがおすすめです。

また、長くグラボを使っているとファンの回転部分の隙間から埃が入りこみ、それまでの回転音とは違った音を発するようになるケースもあります。

特徴的な音が出る「コイル鳴き」

ハイスペックなグラボを使っている場合には「コイル鳴き」という「キュルキュルキュル」といった甲高い音や「ジジジジジ」「ジイイイイイ」といった何かが振動するような音が聞こえる現象が起きることがあります。

大抵の場合は、それほど大きな音ではないため気になる事はありませんが、ごく稀にケース外まで聞こえるような音を発する個体もあります。

コイル鳴きが起きる仕組みは、コイルに流れた高周波電流が原因で誘導磁力が発生し、その磁力によってコイルに使われている線が引っ張られたり、逆に反発する事で小さな振動が生まれます。

そして、この振動が音になるのが「コイル鳴き」という現象の仕組みです。

グラボのコイル鳴きを防ぐ方法は無い

コイル鳴きを防ぐ対策としては、GPUにかかる電圧を少し下げる、高負荷なベンチマークなどを走らせないなどがありますが、コイル鳴きそのものを防ぐ根本的な方法というのはありません。

古いマザーボードなどではコイルがむき出しだったため、コイル表面をホットボンドなどで固める事で振動を防ぐことが出来ましたが、最近のグラボではそういった対処も出来なくなっています。

また、この現象はグラボの個体差による点もあるため、購入前に特定したり、予防することも難しいです。

ですが、購入したショップによっては極端に大きなコイル鳴きに限り初期不良として扱っているところもあるため、あまりコイル鳴きが激しいようなら購入したショップに相談してみるのがおすすめです。

静かに使えるグラボを選ぶときのポイントは?

異音が少なく、静かに使えるグラボを選びたい場合、まず第一候補として上がるのがファンを廃したデザインになっているファンレスの製品です。

無音で動作するため、ファンの回転音やコイル鳴きといった異音のトラブルとは全くの無縁です。

また、ファンレス以外のグラボを選ぶ場合には次のような点に注意すると、より静かなグラボを選べます。

●セミファンレス式のもの
●ファンコントロール可能なもの
●ファンの直径が大きめのもの

以上の3点を気にすると、比較的静かなものを使えます。

静かさを重視するならまず候補に挙がるのがセミファンレス式です。

最近のグラボのうち上位の製品は大抵この仕組みを取り入れています。

そして、ファンコントロールが可能なものを選びます。

使い方にもよりますが、ファンの回転数をしっかりと設定することで温度を維持しつつ、ファンの騒音も減らすことが出来ます。

そして、意外と軽視されがちなのが「ファンのサイズ」です。

出来る限り直径の大きい物のほうがおすすめです。

これは、ファンのサイズが大きくなることで風量が増加、結果として少ない回転数でより大きな風量を得られるためです。

また、一見すると五月蠅そうに見える2~3基を搭載したモデルも設定次第ではかなり静かになるため、静かさを優先するのであれば一考の価値があります。

音の静かなおすすめグラボ「MSI GTX1060 GAMING X 6G」

今のグラボの音が大きいから、新しいグラボに買い替えて音を小さくしたい、という人におすすめなグラボの1つがMSIが販売しているnVidiaのグラボ「GTX1060 GAMING X 6G」です。

GAMING Xという名前の通りゲーミングPC向けのグラボですが、クロック数を落とす代わりに作動音を抑えるサイレントモードが搭載されているため、実際の動作音はかなり小さくすることが出来ます。

元の性能が高い分サイレントモードでも高いスペックを維持出来るのもポイントです。

また、セミファンレスな事に加えてMSI製のユーティリティソフト「アフターバーナー」を使う事でGPUの状態に合わせたファンコントロールの設定も可能になっています。

「使う時はがっつりと、使わない時は静かに」といった使い分けをしたい人向けのグラボです。

音の静かなおすすめグラボ「Palit GeForce GTX750Ti KalmX」

「そんなに激しくゲームをする訳じゃないし、出来る限り静かなものがいい!」という人には、Palitが販売しているファンレス仕様のグラボ「GTX750Ti KalmX」がおすすめです。

特徴として、完全なファンレス仕様のため動作音は全くしません。

また補助電源も必要ないため容量の小さいPCでも使用可能なのもメリットです。

ただし、ネックとして最近のグラボと比べると性能面では大きく劣ります。

ゲームに関してはGPUのスペック的な問題は無いものの、排熱能力の低いファンレスという仕様上軽めのゲームまでにしておいた方が無難です。

あくまで静かさ優先でゲーム用途ではない人なら安い値段もあってかなりおすすめできるグラボです。

まとめ

グラボの異音トラブルを防ぐうえで気を付けたいのは、適当な設定でグラボを使わない、PCケース内にケーブルは放置せずにまとめる、GPUの電圧を盛り過ぎない(コイル鳴きを防ぐ)という点です。

これらさえ気を付けておけば、ユーザー側で出来る異音への対策として十分と言えます。

逆に言ってしまうと、これらの対応で防げない異音に関してはグラボ自体の買い替え・交換等をした方が確実、ともいえます。