Radeonの新しく登場したグラボ「RX500」シリーズのスペックはどのくらい?

グラフィックボード(グラボ)

SAPPHIRE PULSE RADEON RX 570 MINI 4G GDDR5 HDMI/DVI-D/DP グラフィックスボード VD6323 SA-RX570-8GD5MINI001

2017年4月下旬にPolarisアーキテクチャの新世代グラボとして「RX500」シリーズが発表されました。

一見するとただのオーバークロック品と大差ないように見えますが、一部のモデルには変更点があるため、単純にクロック数が増加したばかりではありません。

今回は、新たに発表されたRX500シリーズと前世代に当たるRX400シリーズとの違いや、おすすめのモデルについてまとめました。



おすすめグラフィックボード製品ランキングはこちら





RX500シリーズのラインナップは大きく分けて4種類

今回、新たにRadeonのグラボとして発表されたRX500シリーズは、1世代前にあたるRX400シリーズの3モデルから1種増えて4種類のモデルが発表されました。

最上位はRX400シリーズと同じく80番台のRX580となり、その下に570、560が続く形になっている点については変化していませんが、RX500シリーズでは新たにローエンドモデルとしてRX550が追加されているのが特徴の1つです。

RX580~550の4モデルともにVRAM搭載量に応じて2段階に分かれていて、580と570が4GBと8GB、560と550が2GBと8GBのモデルに分かれている点なども、RX400シリーズから変わっていません。

基本的なターゲット層はRX400シリーズと変わらず、580がミドルエンド~ハイモデル相当でそこから順番に下がっていき、550がローエンド向けになっています。

また、現時点では空席状態になっているハイエンドモデルに関しては、これらとは別に計画されている「Vega」で対応していくことになる点も変わっていません。



おすすめグラフィックボード製品ランキングはこちら





RX400シリーズからの変更点

基本的な部分はRX400シリーズとほぼ同一で、上位モデル(580&570)はクロック数の上昇に合わせた消費電力の上昇にとどまるのみでプロセッサの数などには変化がありません。

それに対して、下位モデルであるRX560は前世代の460と比べて制限されていた機能が解放されたフルスペック版と言えるようなスペックになっています。

RX460ではシェーダープロセッサが896基であったのに対して、560では1024基まで増加したことに加えて、460では無効化されていた2基の演算ユニットが使用可能に変更されたため、演算ユニットが460の14基から16基に増加しているなど、全体的にそれなりに性能が向上しつつも消費電力は75W据え置きになっています。

そのため、上位の製品に関してはRX400シリーズ当時のオリジナルモデルのOCされた製品とそれほど大きな差は無い状態になっています。

パッとしない反面、利点も多い?

RX500シリーズは先に書いた通り、基本的な部分ではRX400シリーズからクロック数を含めて各種スペックを微増させ名称を変更した「リネーム品」や「マイナーバージョンアップ版」に相当します。

性能面・機能面では新鮮味のようなモノは殆ど無いため、世代が上がったという印象も弱く、RX400シリーズ発表当時のような驚きや今後期待されているハイエンドモデル群「Vega」のような期待感などもないなど、全体的にパッとしないシリーズです。

一方で、マイナーバージョンアップ版という特性上、ドライバなどは既に完成された物を使えるため、AMDの新製品にありがちなドライバの未成熟な部分は殆ど見られず、最初から安定して動かせるという利点があります。

また、RX400シリーズを踏襲しているためか、各メーカーが出しているオリジナルモデルに使われているGPUクーラーも最初からRX400時代のノウハウを活かした、出来の良い物が揃っているのが特徴です。

上位モデルはメリットが薄め?

性能に関してはしっかりと上昇しているRX500シリーズですが、残念ながら上位モデルに関しては「わざわざ乗り換えるほどの物ではない」という印象が強くなっています。

特に最上位モデルに当たるRX580に関しては、消費電力が185Wと多いわりに性能は消費電力120W前後のGTX1060の6GBモデルに近いなど、燃費の酷さが悪い意味で目立ってしまっています(ちなみにGTX1080が大体180Wです)。

また、価格がすでにこなれてきているGTX1060と比べて、新しい分高い値段で止まってしまっているのもデメリットです。

RX570に関しては性能はRX480に近づいたのに伴い消費電力もRX480と同程度になっているため、RX480を買おうと思っていたらタイミングを逃してしまったという人にもおすすめできるスペックになっています。

しかし、逆に言ってしまうと今から安くRX480が手に入るのであればそちらで十分という見方も出来ます。

また、RX570では新たにショート基盤モデルが登場したため、RX480クラスのグラボをコンパクトなサイズのPCケースに収める事が可能になるなど、目立たないながらも大きなメリットがある製品が増えているのも事実です。

下位2製品がかなり優秀?

RX500シリーズに関しては上位モデルである580や570よりも、560と550のような低価格・低スペックの製品が魅力的な部分が多い、という見方も出来ます。

RX560に関してはクロック数の上昇に加えて、シェーダープロセッサや演算ユニットが増加したことによる性能の上昇が大きな魅力の1つです。

この変更により、GeForceのGTX1050~1050Tiに対抗できる程度まで性能が上がっているため、ミドルロークラス帯の新しい候補として挙げられるレベルになりました。

また、RX550もそこそこに動けるスペックと50Wという非常に少ない消費電力を兼ね備えているため、「ゲームは軽いゲームが殆ど」「ゲーム中の画質が多少落ちても気にしない」という人やそもそもゲームはせずに動画の視聴などをメインに使う人といったローエンドユーザー向けの低消費電力なグラボになっています。

Radeonのグラボの特徴の1つとして、nVidiaのグラボよりも動画に強く発色が良いという点があるため、特に動画の視聴などをメイン用途にしたい人におすすめです。

RX500シリーズでおすすめのグラボ「SAPPHIER PULSE RADEON RX550 2G/4G」

SAPPHIRE PULSE RADEON RX 550 2G GDDR5 HDMI/DVI-D/DP グラフィックスボード VD6325 SA-RX550-2GD5PL001

初めてグラボを使う、旧世代のローエンドモデルから乗り換えるといった人におすすめなのがSAPPHIREから出ているPULSEシリーズのRX550 2G/4Gがおすすめです。

SAPPHIREといえばオーバークロックされた「NITRO+」というシリーズがありますが、本モデルはNITRO+シリーズに使用されているGPUクーラーなどを使いつつも価格を抑えた新しいバリエーション「PULSE」シリーズのモデルです。

このグラボはメモリの搭載量に応じて2GB版と4GB版があるため、自分の用途に合わせて動画や軽いゲームなどがメインで高いスペックが必要なわけではない場合には2GB版、価格を抑えつつゲームも遊びたい場合には4GBを選ぶのがおすすめです。

RX500シリーズでおすすめのグラボ「PowerColor Red Devil Radeon RX570 4GB」

PowerColor ビデオカード AMD RADEON RX570搭載 AXRX 570 4GBD5-3DH/OC

据え置き向けの大きなPCケースを持っている人で、最新のゲームタイトルを含めてそれなりに遊ぶ事の多いミドルユーザー以上の人におすすめなのが、PowerColorから出ているRed Devil Radeon RX570 4GBです。

RX400シリーズでも特に大型だった本シリーズですが、RX500シリーズになっても変わらず大きく全長は31センチあります。

一見するとオーバークロックして出た熱を3連ファンでガンガン回して冷やしていくような外見にも見えるクーラーを搭載していますが、そういった使い方以外にも3連ファンのおかげで比較的低い回転数でも確実に冷えてくれる点を利用して、発熱量の少ない定格付近で動作させる事で、確実に冷やしつつ静穏性も気にした使い方をすることが出来ます。

ただし、現時点で同タイプの8GBモデルが無いため、その点だけは注意が必要です。

かなり大きいグラボなため搭載出来るPCケースは限られますが、その分満足度もかなり大きいグラボだと思います。

RX500シリーズでおすすめのグラボ「SAPPHIER PULSE RADEON RX570 MINI」

SAPPHIRE PULSE RADEON RX 570 MINI 4G GDDR5 HDMI/DVI-D/DP グラフィックスボード VD6323 SA-RX570-8GD5MINI001

コンパクトなケースに収めつつ、性能も確保したいという欲張りな人におすすめのグラボがRadeonのグラボを販売しているメーカーSAPPHIREから出ている「PULSE RADEON RX570 MINI」です。

基本的な性能部分は、リファレンスのRX570の4GBモデルに相当するものになっていますが、このモデル一番の特徴と言えるのは「基板サイズの小ささ」です。

RX400、500シリーズともに上位モデルの多くは25~30センチのかなり長い基盤を使用していたため、サイズの小さなケースには収まり辛いという欠点がありましたが、このモデルではショートサイズの基盤を使用しているため、全長は17センチまで短縮されている他、厚さや幅についても同モデルの他メーカー品よりもコンパクトになっています。

ただし、メモリは4GBしか積んでいないため、高画質のタイトルやMODを大量に適応したタイトルなどを遊ぶ場合には注意が必要です。

まとめ

上位モデルのRX580はマイナーアップデート程度の変化しかないためおすすめし辛いですが、それ以外のモデルに関しては用途に合わせて選び分け出来るモデルになっています。

特にRX550は、旧世代のローエンドモデルのグラボを使っている人の乗り換え先としておすすめのモデルです。

いずれのモデルも、現時点では価格がまだ高いため手に取りにくいですが、今後価格が下がってくることがあればGTX1060~1030あたりとかなりいい勝負になると思います。