海外で高い評価を得た邦画ベスト10ランキング

第10位 「地獄門」

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衣笠貞之助監督作。

カンヌ映画祭で最高賞を獲得したのをはじめ、アメリカのアカデミー賞でも名誉賞(現在の外国語映画賞)と衣裳デザイン賞を受賞しています。

この受賞歴からすると海外では好評サクサクといった印象ですが、日本国内ではまるで評価されず、キネマ旬報のベストテンに入賞すらしていません。

実際見てみると、ドラマとしてはまるで歯ごたえがなく、退屈といっていい凡作です。

外国での受賞が相次いだのは、単なる画面の美しさに幻惑された結果としか思えません。

第9位 「鬼婆」

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新藤兼人監督には他にもっといい作品があるのに、この「鬼婆」が最も海外で有名なのは皮肉な話です。

ウィリアム・フリードキン監督など、この作品の三十五ミリプリントまで持っていたそうで、「エクソシスト」にもその影響が見られます。

日本人の目からするとストーリーがいかにも寓話的抽象的すぎて、ドラマの肉付けが足りないと思ってしまいます。

第8位 「羅生門」

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「地獄門」「鬼婆」ほどでないにしろ、この黒澤作品も公開当時は日本国内の評価はそれほどではなく、海外で絶賛を受けてから初めて褒めだす評論家がいたそうで、日本人が外国の評価に右往左往するのは昔からずっと変わらないようです。

正直言って、ほかの黒澤監督の傑作に比べると面白みは薄いと思うのですが、最早その名声は揺るぎないものになっています。

第7位 「泥の河」

アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた小栗康平監督の秀作です。

ラストで子供が延々と船を追う場面で泣いた人も多いでしょう。

処女作でこれほどの作品を仕上げた小栗監督には感心しますが、その後の作品は芸術的になりすぎ、ちょっと期待と違ってしまった感じです。

第6位 「野火」

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ロカルノ国際映画祭でグランプリを得た市川崑監督の代表作の一本です。

原作では宗教色が色濃く出ていますが、この映画版ではそれらを除き、純粋に視覚的な表現で極限状態に追い詰められた人間像を描いています。

ゴダールもこの映画が好きなのか、「女と男のいる舗道」でポスターが出てきます。

第5位 「砂の女」

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勅使河原宏監督が日本人で初めてアカデミー賞監督賞にノミネートされた作品。

原作も映画化作品も、両方が海外で高評価を受けるという、日本では稀な例になりました。

小説の忠実な映像化として、理想的な名作だと思います。

第4位 「切腹」

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海外での小林正樹監督の評価を決定づけた名作。

いつものようにフラッシュバックを多用した橋本忍の脚本、それに戸田重昌の美術が見事で、小林監督の演出も重厚極まりなく、何度見ても圧倒されます。

竹光での切腹シーンはその残酷さで映画史上に残るでしょう。

第3位 「西鶴一代女」

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溝口健二監督が初めて海外で認められた作品で、そのワンシーン・ワンカットの手法が極めて洗練された形で使われています。

溝口演出の特徴を知りたい人には入門編としてピッタリでしょう。

完成度の点では「近松物語」の方が上だと思いますが、主人公の行動が外国人には滑稽に映るらしく、国際的評価を得づらいというのが残念です。

第2位 「東京物語」

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小津安二郎はその作風が日本的と見なされたせいか国際映画祭への出品がほとんどなく、生前は国際的評価など皆無に近い有様でした。

今では巨匠として世界中から鑽仰の的となっていることを考えると皮肉な話です。

代表作「東京物語」もキネマ旬報ベストテンで今井正の「にごりえ」に次ぐ二位に終わっていて、評価の難しさを考えてしまいます。

第1位 「七人の侍」

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海外でのこの作品の評価は近年ますます高まっているようで、黒澤監督への評価は当分揺るぎないと思われます。

映画の教科書的に使われることも多く、フィルムスクールの生徒は必ず見ざるを得ない作品です。

「東京物語」同様当時のキネマ旬報ベストテンでは二位ですが、自衛隊を正当化するものだという批評は、今では馬鹿馬鹿しいとしか思えません。

まとめ

黒澤明監督の「羅生門」以来、日本映画は国際的に高い評価を得てきました。

海外の批評家が映画史上のベストテンを選ぶ時、溝口小津黒澤の三巨匠の作品はその常連となっています。

宮﨑駿などのアニメも評価が高いのですが、今回はそれらを除き、あくまで実写作品で国際的評価を得た映画を選びました。