難解だけど魅力的な洋画ベスト10ランキング

第10位 「2001年宇宙の旅」

2001年宇宙の旅 [DVD]

キューブリックのこの傑作が難解になったのは、当初つけられていた説明的なナレーションを全て取り去ってしまったからだと言われています。

そのナレーションのついたバージョンを見てみたい気もしますが、かえって現在のバージョンほどの感銘は得られないかもしれません。

観客自ら映像の意味を探ろうという意欲を起こさせることが、キューブリックの最終的な狙いだったようです。

第9位 「自由の幻想」

自由の幻想(1974) [DVD]

ブニュエルが自らの企画で作った映画は、いずれもシュールリアリストらしい強烈なイメージショットがあり、物語そのものより、それらが観客に与えるショックが重要です。

人を煙に巻くようなエピソードが連続するこの映画も、見る側がその内容にどれだけ驚けるかが、作品の成功を測る尺度と言えるのでしょう。

第8位 「マルホランド・ドライブ」

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この作品はもともとテレビシリーズとして企画されたもので、パイロット版として作られた一話にリンチが後から追加撮影を行って一本の長編映画としたものです。

リンチ自身がストーリーを軽視しているので、謎めいたその雰囲気にどれだけ酔えるかが観客として重要だといえます。

ストーリーの解釈をする評論家もいますが、この作品でその努力は無駄でしょう。

第7位 「気狂いピエロ」

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ゴダールの映画がいずれも難解なのは、撮影前にきちんとした台本がなく、現場で即興的にセリフを考えてゆく事が大きな要因となっています。

代表作と言われるこの「気狂いピエロ」など、ストーリー自体も事前に考えず、全くのぶっつけ本番で撮影したそうで、プロット本位で作品を理解しようとするのは無意味と思えます。

ちょうど詩を読むように、節ごとにイメージが飛躍してゆくのを無心に楽しむのが、好ましい鑑賞の仕方なのでしょう。

第6位 「鏡」

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「僕の村は戦場だった」「アンドレイ・ルブリョフ」「惑星ソラリス」と、作品を発表するごとに描写が難解になっていったタルコフスキーが、ついに物語自体を放棄してしまったと思えたのがこの映画です。

「幼いころの思い出は断片的で順序がない。

だからこそ、この映画はそのように成り立っている」という意味の解説を加えたのは黒澤明です。

確かにそう思ってこの映画を見るのが一番いいのかもしれません。

第5位 「ペルソナ」

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ベルイマン作品の中でも際立って簡素で難解な映画です。

ドラマ作りの天才であり、心理的な葛藤に満ちた脚本をいくらでも書くことの出来るベルイマンとしては、ギリギリまで贅肉を削ぎ落とした骨組みしかない劇を作ってみたかったのでしょう。

最後の映写機のショットなど特に訳が分かりませんが、映画の限界に挑戦してみたという自負心の現れなのかもしれません。

第4位 「バルタザールどこへ行く」

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この作品は、主人公のロバがキリストのメタファーであり、その受難もイエスの受難になぞらえられるのだという事がわからないと理解できません。

キリスト教が生活の隅々にまで行き渡っているヨーロッパの観客にとっては当たり前のことでも、別の宗教観を持つ日本人にとってはさっぱり理解できない。

それの典型とも言える映画です。

第3位 「テオレマ」

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突然、ある一家の前にあらわれた謎の青年。

彼の正体については最後まで明かされませんが、どうやらキリストのイメージを持つらしく、家族全員に様々な変化をもたらすのも、宗教というもののメタファーと解釈すべきです。

もちろん、別の考えを許すような内容にもなっていますが、一番わかり易いのはイエス・キリストだと見なすことでしょう。

第2位 「ホーリー・マウンテン」

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「エル・トポ」でカルト的人気を得たホドロフスキーが前作以上の予算をかけて製作した幻想的な映画で、ドラッグの影響下にあるような酩酊的なイメージが連続します。

ストーリーを追う種類の映画ではないのですが、結局、最後でありふれたオチがついているのが残念です。

第1位 「地獄の逃避行」

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「俺たちに明日はない」と同じように、男女カップルの犯罪者が次々に金を奪っては人を殺してゆくというストーリー。

ここで斬新なのは、語り手となるその犯人の精神状態が異常(らしい)という設定で、本来ならば逮捕後に乱暴な扱いをされるはずの彼らが、警官たちから親しい友人のような優しい扱いを受けます。

これは語り手の勝手な妄想で、「語り手が信頼できない」という文学的な手法を映画に応用したものです。

これが分かっていないと、結末部分が理解できないことになります。

テレンス・マリック監督の映画にはこういう人を食ったような特別な手法を使ったものがあるので、油断できません。

まとめ

芸術ぶりたいために、わざとわけがわからないように作られた映画は論外ですが、きちんとした映画作家が難解な作品を発表した時は、その難しさに必然性があるものです。

そういう魅力のある難解な映画をピックアップしてみました。