海外でのビジネスや出張に使える英語用電子辞書の最新事情

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電子辞書というと、重くて持ち運びのたいへんな紙の辞書や辞典を収録したアイテムであり、国語や英語の辞書機能に加え、百科事典、家庭医学事典や古語、漢語、俳句の季語、さらに最近の製品は百人一首の音読やビジネスマナーまで多彩な機能が備わっています。

そのような中でも、やはり外国語の翻訳、とりわけ英語の機能を求める人が圧倒的に多いと思います。

海外出張やビジネスなどの場面で実際に使用することを考慮して、最近の電子辞書の英語機能について紹介したいと思います。

電子辞書の市場動向

電子辞書は、紙の辞書に替わる持ち運び可能で手軽なアイテムとして普及していますが、出荷台数は2007年(平成9年)がピークであり(2007年は約280万台)、その後の10年で半分以下に落ち込んでいます。

この背景としてはスマホやタブレットの普及、電子辞書の主要ユーザーである高校生や大学生の数の減少などがあげられています。

ただ、市場規模は縮小しているものの、本来の辞書機能だけでなく、学習機能など一定の需要もあります。

主要各社も機能の充実に力をいれているようで、新しいモデルにはちょっと驚くような機能が搭載されていることもあります。

特に電子辞書の英語の機能に着目し、最新事情を紹介したいと思います。

カシオとシャープの二大市場

現在、電子辞書市場はカシオとシャープという二大企業による寡占状態です。

数年前までキャノンやセイコーインスツルなども製品を提供していましたが、最近撤退しています。

市場でのシェアは、カシオが6~7割、シャープが2割強、その他キャノンやセイコーインスツルの既存製品という感じです。

今後は2社による競争になっていくと予想されます。

新モデルは年始に発売

カシオもシャープもシリーズ化したモデルがあり、いずれも毎年1月から2月頃、新しいモデルが販売されます。

カシオを例にとると「EX-word」という人気シリーズがあり、「EX-word XD-●」というように、各製品にアルファベットが付されています。

例えば、2014年は「XD-U」、2015年は「XD-K」、2016年は「XD-Y」、と表記されているので、既存の製品については、何年式のモデルであるか判別することができます。

電子辞書選択の着眼点と英語機能

海外出張や英語でのビジネスに使用する電子辞書を選ぶ際には、実際にどのような場面で使うのかを考慮する必要があるでしょう。

商品ごとに特徴がありますが、選択のポイントについて解説します。

各社のタイプ区分

各社とも目的別にタイプ分けしているので、絞り込みが可能です。

カシオの電子辞書は「生活・ビジネス」「学生」「外国語」「専門」「コンパクト」「スタンダード」の6種類に区分されています。

「外国語」の中で特に英語機能に特化したものであれば間違いないと思いますが、理化学や医学などより高い専門性を求める場合は「専門」、一般レベルのビジネス会話であれば「生活・ビジネス」というのもあります。

シャープの場合は「大学生・ビジネス」「生活・教養」「学生」「コンパクト」の4種類であり、「大学生・ビジネス」がよいでしょう。

屋外での持ち運びを重視するなら「コンパクト」という選択もあるかもしれませんが、両社とも「コンパクト」は重量が軽い分、収録単語数が少ないなど機能は低下します。

共通している収録辞書

英語機能に着目する場合、辞書がどの程度収録されているか重要なポイントです。

収録されている辞書を見てみるとほぼ共通しているのが、ジーニアス(大修館書店)、リーダース(研究社)、新英和・新和英(研究社)。

英英辞典はオックスフォードとロングマンです。

目的別の収録辞書

その他の辞書や辞典などの収録量が、各社の製品のタイプごとに異なっているようで、これは価格に反映されている部分もあります。

英語に特化した製品には200万語専門用語英和和英大辞典(日中韓辭典研究所)の電子版コンテンツを収録していることが多いです。

翻訳などの用途向けにはオックスフォードイディオム辞典、ビジネス用にはビジネスパーソンのための英語イディオム辞典、研究者向けには自然科学系和英大辞典など。

モデルチェンジとあわせて収録辞書もかわっていくので特にチェックすべき部分です。

実際に使用する場面でどのくらいのレベルのものが必要であるかがポイントになりますが、収録内容は充実していて困ることはないので、迷うような場合は、収録量が多い方を選んでおくとよいかもしれません。

英語学習機能

最近の電子辞書は英語の学習機能の充実がめざましいです。

少子化の影響はあるものの高校生や大学生などは一定の割合を占めるユーザーとして認識されているようです。

書籍同様、会話によく使うフレーズを集めたテキストや、NHKの英会話講座、TOEICやTOEFL等の試験対策など、様々なコンテンツが盛り込まれています。

リーディングやリスニングに限らず、発音の採点機能まで付加されていて、音声もかなりクリアになっているようです。

従来、これらの機能は辞書機能に付随するものだったのですが、今後ますます学習機能が機種選定のポイントになっていくと予想されます。

主要シリーズの特徴

市販されている電子辞書のほとんどは、カシオの「EX-word」シリーズかシャープの「Brain」シリーズです。

カシオ「EX-word」シリーズ

カシオの「EX-word」の中で英語を強化したものとしては、「プロフェッショナル」用のXD-20000、「外国語モデル(英語)」のXD-9800。

さらに「理化学」専門用のXD-9850、「生活・ビジネス」向きがXD-8000です。

電子辞書の価格の相場は2~3万円台ですが、最新版のXD-20000は5万円を超え、XD-9800は1万円減、XD-9800はさらに5千円くらい安くなっています。

なお、実売価格にはひらきがあるので注意が必要です。

カシオの「EX-word」の特長としては、キーボードが大きめで隙間も大きいため、キーボードがたたきやすいです。

またシャープにくらべると画面は小さいもののその分軽量化されています。

乾電池が基本で、アルカリ電池を使うと長時間使用に耐えられます。

シャープ「Brain」シリーズ

シャープ「Brain」の中で最も英語のレベルが高いのが4つの区分のうち「大学生・ビジネス」であり、最新版はPW-SB4です。

ビジネス用に使えるのはこれくらいです。

1年前の機種はPW-SB3です。

シャープは液晶には強く、画面が大きく見やすいのが特長です。

また、リチウムイオン充電池が基本で、付属されているアダプターやUSBケーブルにより充電することが可能です(カシオの「EX-word」は給電を受けられますが充電はできません)。

価格もカシオにくらべると若干割安であるので高いレベルを求めない人にはおすすめかもしれません。

2017年版最新モデル

2017年の年頭リリースの最新版機種の中で英語機能を強化しているのは、カシオEX-wordシリーズがXD-G20000、XD-G9800など、シャープ「Brain」シリーズはPW-SB4-Kです。

高校生や大学生など英語を学ぶ人向けのトレーニング機能をさらに充実させています。

リーディング、ライティングに加え、スピーキング用の教材はより自然に近い会話が用いられたり、従来、単語をベースにした発音チェックも文章単位になり、日本人の苦手なスピーキング面も強化されています。

また、左右にタッチパネルを設置するなど操作性も考慮されています。

一方、シャープは、タブレットやスマホの普及に乗じてタッチ式操作を充実させています。

また、スペルチェック機能の強化や、カシオにくらべると小さめであったキーボードにも改善が施され、より使い勝手のよい商品となってきています。

内容もより自然な英語を重視し、ビジネス英会話のコンテンツを増強させレベルアップさせているようです。

まとめ

いまや電子辞書はカシオとシャープの2択となっています。

各社とも強みを活かして毎年モデルチェンジしつつ、弱点を克服していっているので、最新版の製品は両社の総力を結集した自信作であるようです。

収録される英語の辞書や単語の数も増加し、機能が強化されているので、ビジネスや海外出張など業務の現場で英語を使う中でその良さを実感できそうです。

自分にあった電子辞書を見つけて仕事の効率がアップすることを期待したいと思います。