iOS端末所有者向け・辞書アプリvs電子辞書の検証

カシオ 電子辞書 エクスワード 高校生モデル XD-Y4800BK ブラック コンテンツ170

電子辞書の価格高騰は凄まじく、シェアNo.1を誇るカシオの「エクスワード」シリーズは、エントリー~ミドルクラスのスマートフォンにひっ迫する価格帯となっています。

一方で、収録されている各辞書メーカーの提供アプリを見てみると、ことiOS向けに開発されたものが多く存在します。

電子辞書はオーバースペックだと感じるかたに向けて、検証を進めていきます。

現国/古語

ライターさん・読書好きにとっては、一つはほしい「国語辞典」について検証してみます。

国語辞典(広辞苑など)

「国語辞典」と題されるすべての辞典に関して述べると、ほぼ全ての出版社がiOS向けアプリの開発をしています。

類語/熟語や現代語辞典については、カシオ製品に比べてアプリ版のほうが充実。

語源辞典・書き順辞典などのラインナップは、電子辞書には存在しません。

全体的に価格も抑えめで、広辞苑アプリ(8500円)を除けば、1000~3000円の間で提供されています。

ほぼすべてのアプリが、紙媒体と新版と同じ内容へ無料でアップデートできるのもうれしいところ。

日本語の語彙力を伸ばしたい・日本語記事のライティングや読書用にのみ電子辞書を使いたいというかたには、iOS版のアプリを少しずつ揃えていくのをおすすめできます。

古語辞典(旺文社/大修館)

いずれの出版社の書籍も、学生さん~研究者まで広く愛用されています。

こちらはカシオ製電子辞書/iOSアプリ版ともに提供あり。

ちなみに紙媒体のものだと、各種古書店に並んでいることが多く、古い版でもよければ手に取ってみてもいいでしょう。

問題は古語の文法・研究に関する辞書ですが、その世界の権威であり・今も教科書と合わせて読まれる小西甚一氏の書籍に関して。

ここは盲点となっているようで、電子辞書・アプリともに提供がありません。

Kindleを含めた電子書籍サービスにもないので、紙媒体で購入する必要があります。

ここまでをまとめると、日本の現代語~古語の辞書に限定してお探しのかたは、電子辞書でなく・iOS版アプリで買い揃えるのも良い選択肢でしょう。

英語/外国語

英語辞書とその他外国語辞書ですが、こちらもiOS向けアプリが充実していそうです。

和英/英和/英英辞書

上記にあげた3つの辞書ですが、カシオの電子辞書収録のすべての版が、iOSアプリで提供されています。

問題は価格で、最安値でも2500円/研究者向けの辞書ともなると8000円となります。

中高生向けに辞書の導入を検討されているのであれば、iOS版の初学者向け辞書アプリで十分と考えられますが…

  • これから海外生活をするかた
  • 英検/TOEIC初受験の社会人のかた
  • 大学生

こういった「ご自身の英語力をはかりたい」段階にある人にとっては、電子辞書に軍配が上がります。

英語辞書の収録語/説明は、書籍ごとに個性が豊か。

理解度を自身で把握できていない学習者は、どの辞書がいいのか右往左往することになります。

その点、カシオの語学モデルは非常に優秀。

まとまった予算が見込めて・テキストや辞書をあれこれ買いたくない!

というかたには、電子辞書をおすすめします。

その他外国語辞書

英語以外の語学辞書に関しては、電子辞書にアドバンテージがあると言わざるを得ないでしょう。

アプリで流通しているのは、エキサイト翻訳をベースとしたものがほとんど。

「とりあえず意味を調べたい」だけであればアプリで十分需要を満たせますが、きちんと勉強をしたいかたであれば、紙媒体ないし電子辞書のお買い求めは必須です。

紙媒体辞書に関して特筆すると、大型チェーンの書店でもない限り、取り寄せ対応になることがしばしば。

今や本屋にとって代わろうとするAmazonでの購入も視野に入りますが、いずれにしろ中身を見て検討することは不可能に近いと言えます。

ならばいっそ、学習上級者にも定評のある言語特化モデルの電子辞書を買ってしまうほうが、後々安心できるのではないでしょうか。

学習科目

電子辞書の購買意欲をより高めるのが、歴史や医学・百科事典など、諸々の学習科目です。

iOSアプリでピンポイントに探そうと思っても、一概に「これ」とおすすめできるアプリはなく、紙媒体で定評のある書籍をまとめるのに成功したのは「電子辞書だけ」と言えるでしょう。

しかしここにも問題があり、特に史書・百科事典に関しては、情報更新のタイミングが全く予測できないという点です。

いずれの科目も、近年の教養ブームで研究が進み・新しい書籍がいくつも発表されていますが…電子辞書はあくまでも「中高生向けの学習サポートや雑学」にとどまります。

まったくの初学者・社会人になってから学びなおしたいという人にとっては電子辞書をおすすめできますが、より知識を掘り進めたい人にはちょっと物足りないでしょう。

ここでiOSを含むスマートフォン・タブレットに軍配が上がるのが、電子書籍サービスの存在です。

一番大きい市場であるKindleでは、史書や雑学に関するベストセラーがより安く・出版からのタイムラグもなしに手に入ります。

高校生までの学問が身についているかたにとっては、電子辞書の諸学の項目を見返すことは少なくなるでしょう。

コストパフォーマンスと使い勝手

さて、各科目に分かれてiOSアプリ・電子辞書の2つを比較してきましたが、結局どちらのほうが優れているのでしょうか。

電子辞書の最大のメリットは、「1つの語について横断検索ができること」です。

ひとくちに辞書編纂といっても、作業者によってこだわりがあるため、出版社ごとにゆらぎがあるのは否めません。

言葉をより中立で・偏見なく使いたいという人にとっては、電子辞書の存在が大きくなるのではないでしょうか。

実際のところ、ライティングやTwitterでの発信を職業とするの大半が、電子辞書を所有している…というのが現状のようです。

コストパフォーマンスについても言及すると、近年の教養ブームにより「複数の学習科目を同時並行で進めるようになった」という社会人の皆さんは要注意です。

「アプリでもいいのがあるじゃないか」と気軽にダウンロードを続けていると、いつの間にか課金額が2万円・3万円となっていることもあります。

また、過去には突発的にアプリ版の配信を中止した出版社もあるのだとか。

また、スマートフォン/タブレット向けのいずれのOSも、アップデートにより突発的にアプリが使えなくなる…ということも考えられます。

そういったことを念慮すると、辞書アプリの種類があまり増えないうちに、電子辞書の購入を検討したほうが良いと言えます。

以下は参考までに。

多くの職業作家や、読書術について著書を出している作家によると、「一度は紙媒体の辞書を購入し、かさばり始めてからアプリや辞書の検討をするのがよい」とのこと。

初学者はひとまず辞書アプリで・独学中級者~ライティングなどを生業とする専門家の皆さんは電子辞書というように、いつ・誰に対してことばや知識を発信するか?

ということを考えながら使い分けるのも、一つの名案でしょう。

まとめ

ひとつの語・意義について中立な立場で調べたい・学習科目が多く書籍代がかさんでいる…という方には、電子辞書の購入をおすすめできます。

しかし、まったくの初学者や、反対に「自分に必要なレベルの辞書のアタリがつけられる」人にとっては、スマホ/タブレットのアプリで十分なことも。

現時点でやりたいこと・調べたい内容に合わせて、ご参考にしていただければと思います。