腰痛ベルト・コルセットの効果・役割を正しく知ろう

コルセット・ベルト・サポーター, 全件

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腰痛にコルセットがいいと言いますが、実際どんな効果があるの?どんなとき使うの?と思う方もいらっしゃると思います。

コルセットの効果は、使われる状況や症状により様々。
ここではコルセットがどのような場面で使われ、どのようなの効果があるのかを説明していきたいと思います。

症状ごとのコルセットの効果・役割

コルセットは、腹部及び腰部に布製(ステーが入っているもの含む)を巻き付け、腹腔の圧力を高めることにより、腰椎および腰部筋肉への負担を軽減するものです。

コルセットは、腰痛の症状および予防の視点でみると、次の効果が挙げられます。

症状・状況概要コルセットの効果・役割
急性腰痛ぎっくり腰など。重い負荷をかけるなどきっかけがある。応急的な痛み軽減など
神経圧迫を伴う腰痛椎間板ヘルニアなど。姿勢矯正、腰椎椎間孔や脊柱管の拡大による神経圧迫の軽減
慢性腰痛腰が重い、腰を曲げると痛いなど。原因特定できない場合あり。腰痛の軽減。姿勢の強制、筋肉への負担軽減など。
脊椎病変による腰痛側彎症、骨粗鬆症など。側彎進行の遅行化、脆弱化した腰椎の保護
脊椎手術後の保護脊柱管狭窄症の手術後など。腰部の可動域を制限し、手術患部を保護する
腰痛予防(負担軽減)運搬業務、介護業務など腰部への負担が大きな作業に対する腰痛予防腰椎および腰部筋肉への負担軽減
腰痛予防(姿勢矯正)デスクワークなど姿勢悪化に対する腰痛予防腰椎および腰部筋肉への負担軽減

また、コルセットによるその他の効果として以下のようなものが挙げられます。

  1. 細く見える
  2. 腰にくびれができる
  3. 姿勢がよくなる
  4. 保温効果
  5. 血流の抑止と開放により老廃物を洗い流す
  6. 食欲を抑制する

それぞれについて詳細を説明します。



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急性腰痛に対するコルセットの効果

急性腰痛とは、「重いものを持ち上げようとしたときに、ギクッと腰が痛んだ」など、何かきっかけがあり、急激に腰に痛みが出るものです。
急性腰痛になった場合、まずなによりも腰の痛みを取ることが先決です。
医師の診断を仰ぎ、鎮痛剤、ブロック注射などで痛みを軽減することも効果が大きいです。
状況により、寝転がる、椅子に腰かけるなど、痛みが和らぐ体勢をとることも大切です。
しかし、いつまでも同じ体勢でいることは好ましくありません。
同じ状態を維持してしまうと、筋肉が硬くなり、動かすときに激痛が走るようになる場合があります。
このため、ある程度痛みが取れたら、少しづつ腰や体を動かすことが大切です。

コルセットでとにかく痛みをとることが大切

このとき、コルセットをすることで、急性腰痛に対して痛みを軽減する効果が期待できます。
コルセットで腰部の稼働域を制限しつつ、腹腔圧を高めて腰椎の椎間関節や筋肉への負担を軽減する効果があります。
一旦コルセットで痛みを抑えつつ、少しずつ体を動かすことで、自然治癒の促進につなげていきます。

急性腰痛の場合、痛みが継続すると、体を動かすことができないため、筋肉や関節が硬くなりさらに痛みが継続する悪循環に陥りやすくなります。

そのため、コルセットを着けることにより、一時的にも痛みを軽減することは、痛みが継続する悪循環を断ち切る効果があります。

コルセットと合わせて鎮痛剤やブロック注射も効果的

しかし、コルセットにより痛みを軽減する効果に頼り切ってしまってはいけません。
コルセットはあくまでも悪循環を止めるために、痛みが強い急性期に使用するものとし、それ以降はストレッチ、筋トレ等によりコルセットを外していくための活動を行っていくことが大切です。

コルセットは、症状や原因によっては効果が少ない、あるいは効果がない場合もあります。
その場合は、鎮痛剤の使用やブロック注射など、痛みを取る他の方法を検討しましょう。

急性腰痛に対してはあくまでも急性期の痛みをとり、悪循環を断ち切る効果をねらいとしてコルセットを使用するようにしましょう。



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神経圧迫を伴う腰痛に対するコルセットの効果

神経圧迫を伴う腰痛とは、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など、腰部の神経圧迫により、腰痛と同時に主に下肢痛が発生するものです。
症状は、圧迫する神経により様々ですが、多くの場合、下肢に伸びる坐骨神経を圧迫し、太もも、ふくらはぎなどに痛みが出ます。
神経圧迫の原因は様々で、椎間板が飛び出している場合や、腰椎を構成する椎骨の変性により、骨棘が形成され神経を圧迫している場合もあります。

これらの症状や、姿勢や体勢により痛みが軽減する場合があります。

例えば、椎間板ヘルニアでは前屈姿勢を取ると椎間板がさらに神経を圧迫するため痛みが増します。
また、脊柱管狭窄症の場合、前屈姿勢をとると脊柱管が広くなり神経圧迫が軽減する一方、逆に後屈姿勢を取ると脊柱管が細くなり、神経圧迫がきつくなり痛みが強まります。

神経を圧迫しない姿勢をコルセットで維持

このような場合、神経圧迫を軽減する姿勢で維持できるようコルセットをつけることにより、痛みが少ない姿勢を維持する効果が期待できます。
特に、筋肉を無理に使って姿勢を維持しているような場合、かえって筋肉を痛め、さらに腰痛がひどくなるということがありえますが、
コルセットを装着することで、筋肉の代わりに姿勢を維持することができるため、筋肉への負荷も軽減できる効果があります。

神経圧迫を伴う腰痛の場合、長年の姿勢の悪さが影響していることもあります。
例えば椎間板ヘルニアは、常に椎間板に負荷がかかっていることが、椎間板(髄核)の飛び出しに影響している場合があります。
このような場合、コルセットで姿勢を正すことにより椎間板による神経圧迫を軽減する効果があります。

また、神経圧迫による痛み出る場合、筋トレやストレッチにより症状の改善が期待できますが、痛みそのものがひどい場合、筋トレやストレッチを継続することが困難になる場合もあります。
このような場合には、コルセットを装着して痛みを少しでも軽減することにより、筋トレやストレッチを継続することにつなげることが可能で、長期的な腰痛改善活動を継続させる効果もコルセットにはあると言えます。

前述のように脊柱管狭窄症については、前屈姿勢の方が痛みが軽減される特徴があるため、前屈姿勢を保つための専用コルセットもあります。

慢性腰痛に対するコルセットの効果

慢性腰痛は、主に筋肉疲労などが原因で継続して腰が痛む状態です。
筋肉疲労そのものの原因は様々ですが、姿勢の悪さや日常的な筋肉への負荷が影響している場合が多いようです。
またストレスからくる痛みもあると言われています。

筋肉疲労で症状として腰痛が出ているような場合は、すでに筋肉疲労の度合いがひどく、また腰痛の痛みを無意識に避けようとして姿勢がさらに悪くなっている場合も多く見られます。
姿勢が悪くなるとさらに別の筋肉を痛める悪循環に陥る場合も多く、慢性腰痛は、原因と結果が複雑に絡み合ったスパゲティ状態になっている場合もあります。

コルセットで痛みの悪循環を断ち切ろう

このような状況に対しては、まず悪循環を断ち切ることが先決です。
悪循環を断ち切り、さらなる腰痛の悪化を防ぎつつ、筋トレ・ストレッチなどで腰痛の改善を図っていきます。

コルセットは、この慢性腰痛の悪循環を断ち切ることには大きな効果を発揮します。
筋肉疲労が原因の場合、コルセットを着けることにより、筋肉の代わりに体を支え、筋肉を休ませること効果があります。
また、姿勢の悪化が原因の場合、コルセットにより姿勢を矯正する効果が期待できます。

このように、まずは悪循環を断ち切る目的でコルセットを使うことはとても効果的で、即効性が期待できます。

コルセット装着により痛みが軽減している間に、適切に筋トレ・ストレッチを行うことで、慢性腰痛を軽減し、姿勢を良くして筋肉の負荷を下げるという好循環につなげていくことができます。

その意味で、慢性腰痛に対してコルセットを使うことは、好循環を生みだすロケットスタートとしての効果が大きいと言えます。

しかし、コルセットを長期にわたって継続利用することは、筋力低下につながり、再び悪循環になってしまう可能性があります。
あくまで好循環のためのスタートとしてコルセットを使い、好循環が周りだしたらコルセットを使わなくてよいようにしていくことが大切です。

脊椎病変による腰痛に対する

ここでは主として側彎症と骨粗鬆症に対するコルセットの効果について説明します。

側彎症に対するコルセットの効果

側彎症には、大きく以下2つがあります。

  1. 特発性側彎症:小学校の高学年頃から徐々に側彎し始める。発症する多くは女性。
  2. 腰椎変性側彎症:骨棘ができたり、椎間板の変性(狭小化)により腰椎が側彎する。

特発性側彎症は成長とともに側彎が進行し、成長が止まれば側彎の進行も止まります。
一般的に痛みはありませんが、高齢化に際しては、脊柱のバランスの崩れから腰痛につながる場合があります。

コルセットで側彎の進行を遅らせる

特発性側彎症の進行に対し、コルセットを装着することで、側彎の進行を遅らせる効果があります。
一人ひとりの症状、進行速度、脊椎の状況に応じて採寸し体形に合わせたコルセットを作り、装着します。

腰から首までを固定する形状のコルセットを着ける場合もあります。
装着時間はお風呂の時間を除く一日23時間です。

特発性側彎症の場合、成長途中では手術により脊椎側彎を矯正しても、手術後に再度側彎が進行してしまいます。
このため、成長途中は、まずはコルセットの装着による側彎進行の低減を図り、側彎が50度を超えるような場合には手術を検討します。

腰椎変性側彎症は、高齢化に伴い骨棘の発生や椎間板の狭小化することにより、脊椎が横方向に曲がるまたはすべることによって側彎するものです。
やはり側彎の進行を抑制するためにコルセットの装着が効果的です。

骨粗鬆症に対するコルセットの効果

骨粗鬆症は、骨内の梁である骨梁の密度が減り、骨の耐久強度が低下するものです。
実際には、骨の耐久強度が低下することにより、転倒やちょっとした動作で圧迫骨折してしまうことにより痛みが出ます。

高齢者、特に閉経後の女性に症状が出やすくなります。
骨粗鬆症は、骨を作るためのカルシウムの代謝が適切に行われなくなることが原因です。
症状の改善・症状進行の低下のためには、通常よりもより多くのカルシウムを摂取する必要があります。

通常、圧迫骨折をきっかけとして骨粗鬆症であることが発覚します。
本来は骨粗鬆症が進行し始めた時点でカルシウム摂取量や運動を増やすなどの対策が効果的ですが、自覚症状がないため圧迫骨折を起こすまで対応しない場合があります。

骨粗鬆症で圧迫骨折になってしまったときは、すでに骨梁の密度は相当に低下していると考えられます。
この状況に対しては、まずは痛みがなくなるまで安静にしておくことが大切です。

弱った骨をコルセットでサポート

その後はコルセットをした上で、少しずつ運動を開始します。
圧迫骨折直後はコルセットは必須で、圧迫骨折の再発を抑制する効果があります。

骨粗鬆症に対しては、食事・運動・日光浴を適切に行う必要がありますが、そのためには、コルセットを装着し、圧迫骨折を再発させずに改善活動を継続することが大切です。

脊椎手術後の保護におけるコルセットの効果

椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎すべり・分離症などで痛みや症状がひどくなってくると手術を行う場合があります。

椎間板ヘルニアではヘルニアの摘出手術を行いますし、脊柱管狭窄症では、狭窄の原因になっている骨棘を削り取るなどを行います。

腰椎すべり症や分離症では、腰椎を適切な位置に固定するために、ボルトで複数の腰椎を連結する手術を行います。

手術後はコルセット着用が必須

このような手術を行った後の腰椎の保護を目的として、コルセットが利用されます。

腰椎の可動域を制限することにより、手術後の患部が動かないようにする効果があります。

また、腰部を覆うことで、物理的な接触による患部への影響を低減する効果もあります。

手術の内容にもよりますが、腰椎を連結する固定術の場合、コルセットは全体がプラスチック素材など硬い素材でできている硬性コルセットになります。
また、装着期間としても半年程度のコルセットの着用が必要です。

腰痛予防としてのコルセットの効果

腰痛予防としてのコルセット利用としては、主として以下2つが挙げられます。

  1. 運搬業務、介護業務など腰部への負担が大きな作業に対する腰痛予防
  2. デスクワークなど姿勢悪化に対する腰痛予防

腰部への負担が大きな作業に対する腰痛予防としてのコルセットの効果

運搬業務、介護業務などでは、特定業務を行う際、重い荷物を持ち上げたり、介護患者を移動させたりするなど、通常生活では発生しないような強い負荷が腰にかかる作業を行います。
このような作業に対し、あらかじめコルセットを着用しておくことにより、筋肉や腰椎への負担を軽減し、腰痛を予防する効果が期待できます。

あくまでも腰への負担が大きい作業に対してコルセットを着けて腰痛を予防することを目的とするものです。
当該作業が終わったらコルセットは外します。

姿勢悪化に対する腰痛予防としてのコルセットの効果

デスクワークや長距離の運転など、決まった姿勢を長時間維持するような作業の場合、気づかないうちに、姿勢が悪くなり腰痛につながる場合があります。

これを予防するために、コルセットを着用することで、姿勢を矯正し、腰痛を予防する効果が期待できます。

特に座っているときは椅子の形状、座面の高さ・材質などにより、正しい姿勢を取りにくい場合があります。

腰椎の前彎がなくなり、ストレートバックになりやすい場合も多く、その体勢を長時間維持すると、腰椎や筋肉に負担が大きくなり腰痛につながる場合があります。

コルセットの効果としては、椅子の形状や材質に左右されずに、腰椎の前彎を正しく維持できることが大きく、これにより腰痛予防につながると考えられます。

コルセットのその他の効果

コルセットのその他の効果として挙げられる以下の効果について、それぞれ説明していきます。

  1. 細く見える
  2. 腰にくびれができる
  3. 姿勢がよくなる
  4. 保温効果
  5. 血流の抑止と開放により老廃物を洗い流す
  6. 食欲を抑制する

細く見える

コルセットを巻くことによって、体系を細く見せる効果があります。

コルセットが幅があるものであれば、腰から胸骨にかけて全体的に細く見せることができます。

コルセットの幅が細いものの場合は、一部に食い込むだけで、上下に肉が移動するだけ、という場合がありますので、要注意です。

腰にくびれができる

コルセットを巻くと、巻いた箇所が細くなるため、腰にくびれができ、スタイルを良く見せる効果があります。

コルセットを装着し始めて1週間程度であれば、コルセットを巻いている時だけくびれができ、コルセットを外すと元に戻ります。

一方コルセットを装着して1ヶ月から2ヶ月程度経過すると、コルセットをはずしてもくびれが継続するようになります。
これは、実際には腰の筋肉が落ちたことが原因の場合があり、必ずしも望ましい状態とは言えないので注意が必要です。

姿勢がよくなる

コルセットにはステーと呼ばれる硬性の支柱が背中側に複数本入っており、コルセットを着けることで腰椎が適切に前彎するように姿勢を矯正することができます。

基本的には、コルセットを着けている時のみ有効で、コルセットをはずすと姿勢は元に戻ってしまいます。

ただし、筋肉疲労が原因で筋肉が痛み、それをかばうために姿勢が悪くなっている場合は、コルセットを巻くことで筋肉疲労を軽減し、根本的な姿勢の改善につながる場合もあります。

また、コルセットを巻くことで正しい姿勢とはどのような姿勢かを自分自身で認識し、コルセットを外しても、コルセットを着けていた時と同じ姿勢を保つように努めることで、姿勢を正しく矯正することにつなげることも可能です。

保温効果

コルセットを着けると、腹部の保温効果が働きます。

腹部には内臓があり、大量の血液を温めることにつながるため、結果として、コルセットを着けることで腹部だけでなく体全体を温める効果があります。

そのため、逆に夏場などは汗が出やすく、あせもや肌荒れになりやすいので注意が必要です。
メッシュ素材のコルセットもあるので、季節に応じて使い分けるのも効果的です。

冬場や冷え性の人には保温効果は有効でしょう。

血流の抑止と開放により老廃物を洗い流す

コルセットを巻くことで、腹部の血管を収縮させ、血流を一時的に抑制することができます。

しばらくこの状態を維持したのち、コルセットをはずすと、血管が解放され一気に血液が流れだします。

この現象により、血管内にたまった老廃物を一気に流しだす効果が期待できます。

食欲を抑制する

コルセットを巻くと、腹部の圧迫感が高まり、食欲を抑制する効果があります。

これにより、食事量のコントロールにつなげることができます。

ただし、長期間コルセットを巻くと、徐々に慣れてきて食欲抑制効果は薄れていきます。

また、コルセットを巻くことによる圧迫感そのものが、気分を悪くする場合もありますので、自分に合っているか確かめてから実施しましょう。

逆に、食事を多く摂りたい方は、食事中はコルセットを外しましょう。

まとめ

今回はコルセットの効果に絞って説明してきました。

使う場面や使い方により効果は大きく変わります。

使うべき時は正しく使い、いずれはコルセットが必要なくなるように、コルセットの効果をうまく働かせていきましょう。