妊産婦の腰痛ケア用だけではない、骨盤ベルトの多様な効能
骨盤ベルトと言えば、妊産婦が悩む腰痛をケアする装具として広く使用されるようになり、専門の助産師さんが開発に携わった良い製品が出回るようになっていますし、産院や助産師さんも骨盤ベルトを活用するようになっています。
しかし、骨盤ベルトが矯正しようとする骨盤の歪みやずれは、妊産婦の腰痛だけでなく、もっと幅広い症状の原因にもなっています。
そこで、骨盤ベルトを着用することで改善が期待できる、そうした症状にどんなものがあるか、見ていくことにしましょう。
生理痛の原因が、骨盤のずれということも
骨盤は、その中に膀胱や直腸がおさまっているほか、女性の場合は子宮、卵巣も位置しています。
その骨盤が歪めば、子宮や卵巣にも影響が及びます。
骨盤は、出産というイベントの時に一番著しく開き、その後恥骨結合の離開が半年ほどかけてゆっくり元の位置に閉じようとします。
しかし、出産しない女性でも、実は生理の周期ごとに骨盤は多少なりとも開閉しているのです。
排卵時、骨盤は閉じています。
その後、次の生理に向けて骨盤は段々と開いていきます。
生理期間中、骨盤は開いています。
排卵が迫ると、再び骨盤は次第に閉じていくのです。
この繰り返しです。
しかし、仙骨、尾骨、寛骨から成る骨盤は、デリケートな、不安定な構造で、歪み易く、ずれが起き易いのです。
骨盤が歪んでずれることにより、子宮や卵巣が圧迫されて、生理痛を引き起こすことがあります。
また、骨盤の歪みにより、骨盤内の血管が圧迫されることによっても、生理痛が起きることがあります。
骨盤内の神経も、骨盤のずれにより圧迫されます。
そのせいで、卵巣にホルモンを分泌するように脳から信号が発せられても、伝わらなくなってしまい、ホルモンバランスが崩れて生理痛を引き起こすことがあるのです。
生理痛の緩和には、骨盤ベルトがおすすめ
対策として、骨盤ストレッチが色々と紹介されていますが、骨盤ベルトについては、産後に骨盤ベルトを使用しているけれども生理中も使用し続けていいのか、という疑問がよく聞かれます。
実は、骨盤がゆるんだ状態で歪むことにより生理痛になっているのであれば、骨盤ベルトを使用して骨盤の歪みを矯正することが、むしろおすすめなのです。
骨盤ベルトを使用することにより、骨盤内の血液循環もよくなり、生理痛も緩和されるのです。
冷え性は骨盤のずれのせいだった?
では、これもよく女性の悩みとして挙げられる冷え性と骨盤の歪みとの関係は、どうでしょうか?
実は、特に下半身の腰から足先に及ぶ冷え性は、骨盤の歪みと関係があることが多いのです。
骨盤歪みのせいで骨盤内の血管が圧迫されると、血液循環全体に影響が出て、特に骨盤から心臓とは遠い末端側にある足先への血流が悪くなるのです。
骨盤内の内臓も圧迫されて動きが悪くなることも、冷え性と関係します。
おへその下あたりを指で触ってみると冷たく感じる、という自覚症状もあります。
そうした皮下脂肪は女性の方が多く、筋肉量の多い男性には冷え性の自覚症状は出にくいのですが、実際に身体が冷える現象は男性にも多いのです。
骨盤ベルトで血行を良くすることで、冷え性が改善
骨盤内の血液循環が骨盤のずれにより起きて冷え性になるのであれば、ずれを矯正してやれば血行が良くなり、冷え性を改善できます。
その為の装具として、やはり骨盤ベルトがおすすめなのです。
骨盤内の血液循環が活発になると、筋肉の中の脂肪やタンパク質、そして乳酸が肝臓へと運ばれ、尿として出ていってくれます。
乳酸の排出は、リンパ液の循環が活発になることによっても促進されます。
それにより、筋肉の中の毛細血管の血流も良くなり、末端の冷えが改善されるのです。
骨盤がずれて起きる肩こり
骨盤は、骨盤内に大切な臓器が収まっているだけではなく、背骨の土台を成すという重要な役割を果たしています。
骨盤の中央にある仙骨と背骨の腰椎とが関節を形成して、骨盤と背骨はつながっています。
自然な背骨の姿は、カーブの形をしています。
骨盤に歪みがあると、背骨の自然なカーブを支えきれなくなり、背骨の関節を動かす筋肉が硬くなってしまうことがあります。
その影響が及んで、肩胛骨周りの筋肉、頭を支える首の筋肉がこってくるのです。
まずは骨盤ベルトで骨盤を矯正
骨盤がずれると言っても、実際は仙腸関節の僅か数ミリのずれです。
しかし、体重を支える部分として、とても重要な場所なのです。
そのほんの数ミリのずれが、全身のバランスを狂わせることもあるのです。
肩こりの場合、近い場所である頸椎に特化したアプローチをしても、元の原因が骨盤のずれである場合、効果は期待できません。
骨盤ベルトを装着することにより、元の骨盤のずれを矯正することが第一歩です。
そうして初めて、肩こりの本格的な改善も期待できるのです。
耳鳴りと骨盤のずれの意外な関係
耳鳴りの症状があると、まずは耳鼻科に相談するのが普通でしょう。
しかし、耳鼻科的な検査で異常無しと言われ、原因不明のまま治療を受けられない人も少なくないと言います。
耳鳴り自体、ストレスによって引き起こされたり、脳神経の疾患による場合もあり、原因は様々です。
しかし、身体が歪んでいることにより内耳器官が影響を受け、耳鳴りという症状となって現れることも知られるようになってきています。
普通、身体の歪みがあれば、筋骨格に症状が出ることを思い付く筈で、耳鳴りとは結びつきにくく、これまでは耳鳴りの原因として身体の歪みを疑う、ということは余り行われてこなかったのでした。
しかし、原因不明の耳鳴りに悩む人が肩こりや腰痛も抱えているのであれば、身体の歪みを疑ってみることです。
実際、骨盤ベルトを着用して骨盤の歪みを矯正したところ、耳鳴りが解消した、という口コミ情報が寄せられています。
骨盤がずれると、頭痛になる?
頭痛もまた、骨盤の歪みが原因で起きるものがあります。
姿勢が正常でない為に筋肉がこって起きる緊張型頭痛は、骨盤の歪みが原因であり得る頭痛です。
骨盤の中でも仙腸関節の部分がずれたりねじれたりして、それが背骨を通じて肩や首にも負担を掛けていきます。
肩こりや首のこりがあり、頭も特に後頭部から両側面に至る範囲が締め付けられるような痛みに襲われ、また、頭が重い感じが続くのです。
肩、首のこりと共に、眼精疲労も自覚症状として挙げられます。
このように骨盤や背骨が歪んでいて頭痛に悩む人は、めまいを起こすリスクも高いのです。
骨盤、背骨が歪んでいる為、平行失調が起き易い為です。
骨盤ベルトはおすすめ、でも自分に合ったものを!
口コミ情報で、骨盤ベルトを着用したところ頭痛に困っている、という声が寄せられているのを目にします。
産後のゆるんだ骨盤を矯正する為に骨盤ベルトを着用するようにしたところ、ひどい頭痛に悩まされるようになった、という声があります。
骨盤の矯正は必要であることに変わりありませんので、骨盤ベルトの着用は引き続き望ましいのですが、ひどい頭痛がする、というのであれば、その骨盤ベルトが自分に合っていない、ということが考えられます。
サイズが合っているか、締め付け具合は適切か、装着法は間違っていないか、一度よく検討して、必要ならば違うタイプの骨盤ベルトに変えてみる、というのが良いでしょう。
歪みを矯正するのがベルトの役目です。
歪みをそのままにして、ただ締め付けるだけのベルトでは、血行を悪くして、症状はかえって悪化するだけなのです。
「ベルトは締め付けるもの」という誤解は、骨盤ベルトの誤った選び方、付け方につながってしまいます。
まとめ
このように、骨盤ベルトは妊産婦を苦しめる腰痛のケアに効果を発揮する装具というだけではなく、他にも様々な症状に対して効果が期待できる装具です。
骨盤は、身体の中心部にあって、身体の末端も含めた各所とつながっています。
なので、骨盤に歪みがあれば、骨盤から遠く離れた末端にも思わぬ症状が出ることがあるのです。
そうした症状が出た時に、骨盤の歪みを原因として疑ってみてはどうでしょうか?
骨盤の歪みが原因であれば、骨盤ベルトの着用によって症状の改善が期待できるので、おすすめです。