コルセットの効果
コルセットにはとてもたくさんの効果があります。
それらをしっかり理解した上で、自分が必要としている効果がどれなのか見極めて使いましょう。
コルセットにはたくさんの効果がある
コルセットは、腰に巻くというとても子供できそうな簡単な行為ではありますが、その効果は意外にもたくさんあります。
ざっとあげると以下のようになります。
腰痛が軽減される
細く見える
腰にくびれができる
姿勢がよくなる
腰痛予防
保温効果
血流の抑止と開放
腰痛が軽減される
多くの人がコルセットに期待しているのはこの効果だと思います。
コルセットをつけることによって腰痛が軽減されることについては、コルセットで痛みが軽減される原理でも詳しく説明していますが、主としては腹部の内圧(腹腔圧)を高めること、および腰椎を金属で支えることにより腰への負担を軽減することで、腰痛が軽減されます。
腰痛の原因との直結性にもよりますが、つけるだけで即時腰痛が軽減される場合もよくあります。
腰痛がひどい時や、スポーツ・仕事などで腰に負担がかかって痛みが増している場合などとにかく痛みを軽減したい時の対処療法として有効です。
細く見える
コルセットは基本的には骨盤の上部に少し重ねながら腰・腹部を締め付けます。
腰・腹部は骨がないため、圧迫すればその分内側にへこみます。
(逆に腰・腹部がへこむほどに締め付けなければ腹腔圧は高まらず腰痛軽減効果は出ません。)
その結果、腰にくびれができた状態になり、はたから見るとやせたように見えます。
中世ヨーロッパの上流階級の女性がコルセットをつけていたときにねらっていた効果と同じです。
腰・腹部をしめつけてくびれを強制的に作るのです。
ただ、もともとは腰痛軽減などが主たる目的ですから、細く見えるのは副次的な効果と言えます。
太った人がコルセットをした場合は、締め付けた箇所はへこみますが、へこんだ分が上部に移動する場合もあります。
その場合は、やせたというより、コルセットが食い込んでいる、と見える場合があります。
これもやはり副次的なものですから、主目的が達成できているのであれば、あまり気にする必要はないとも言えます。
腰にくびれができる
これは長期にコルセットをつけ続けた場合になります。
2,3日つけただけでやせる、ということはありません。
長期にコルセットをつけ続けるとやせます。
実際に効果が見えてくるのは、土日を含め1日12時間(朝起きてから風呂に入る前までのイメージ)毎日コルセットをつけて、1ヶ月たったころになります。
お風呂に入るときにコルセットをはずして正面を向いて鏡を見ると、左右の腰のラインがいつもよりくびれていることに気づきます。
ちょうど腰の部分が丸くへこんだ感じになります。
横から見るとお腹がへこんでいます。
そう、やせる、といってもコルセットを巻いていた部分だけが、あたかも押し込まれてへこんだまま戻ってないような形になります。
体全体がやせたのではありません。
コルセットを巻いていた部分だけがへこむのです。
この点はとても重要です。
もしかしたら、腰にくびれができることを喜ばれるかもしれませんが、状況の表面だけを見て判断するのは危険です。
通常やせるというのは、体に入ったものと出て行ったものを比較して、出て行ったものが大きい場合の差分がやせる、ということになります。
また、いわゆる部分やせ、というのは実現するのが困難であり、脂肪吸引など物理的な外部への取り出しくらいしか方法はありません。
しかし、コルセットの場合、腰だけがあたかもやせるのです。
これは、実際に何が起きているかというと、腰の筋肉が衰えたのです。
腰・腹部・背中には、大腰筋肉、腹直筋、腹斜筋、広背筋などたくさんの筋肉が内臓を前・横・後ろを取り囲んでいます。
そして、コルセットをつけることによって、これらの筋肉を使わなくてよい状態を作り、継続しました。
その結果筋肉が衰え、あたかも腰だけがやせたように見えるのです。
ですので、効果として、腰にくびれができる、と書きましたが、仕組みや状況をよく理解した上でこれをよしとするのか判断しましょう。
姿勢がよくなる
コルセットは、軟性コルセットであってもある程度の硬さがあります。
これは、腹腔圧を高めることおよび腰椎を支えるために必要な硬さになります。
この硬さで腰を締め付けることで、上半身が持ち上がり、腰を適切に伸ばした状態を維持することができるようになります。
これにより、姿勢がよくなります。
コルセットをしていないと、腰痛がある方は特に、腰の痛みをかばおうとして、腰が曲がり気味になります。
曲がり方はさまざまで、左右のどちらかに曲がる場合もありますし、前に曲がる方もあります。
いずれにしても、腰が曲がるととても姿勢が悪く見えます。
しかも、無理に姿勢を正そうとすると、かえって腰の痛みがひどくなる場合もあります。
そんなとき、コルセットをすることで、よい姿勢を楽に維持できるようになります。
よい姿勢でいることは、腰への負担を和らげる基本でもありますので、コルセットをつけて自分のよい姿勢を自分自身が把握することも長期にわたる腰痛対策の中では有効です。
コルセットをはずせるようになったときも、よい姿勢を自分の筋肉で維持しなければなりませんので、そのとき、自分のよい姿勢がどんな姿勢か自分自身で認識し、体に刷り込むことは、コルセットをはずした後の腰痛治療にとても役立ちます。
腰痛予防
今腰痛でない方が、腰痛を予防するためにコルセットをつけることは有効です。
重い荷物を持ち上げる、長時間前かがみになるなど、普段の生活での負担以上に腰に負担をかけるイベントがわかっている場合は、あらかじめコルセットをしておくと、腰痛予防になります。
コルセットは筋肉と同じ働きをしてくれます。
重い荷物を持つときも、自分の筋肉だけで持ち上げるより、自分の筋肉+コルセットで持ち上げる方が、自分の筋肉にかける負担を分散できます。
負担が少なくなれば、腰痛につながる可能性を少しでも軽減できます。
長時間前かがみになるような場合も同様です。
自分の筋肉+コルセットで対応すれば、腰への負担が分散し、腰痛予防の効果があります。
このとき、自分の筋肉を使うことが重要です。
普段の姿勢のときにコルセットをつけると自分の筋肉を使わなくても楽に体勢を維持できるため、ついつい楽をしてしまいます。
すると、かえって自分の筋肉が衰えてしまいますので、普通の姿勢のときはコルセットははずしましょう。
あくまで、自分の筋肉だけでは負担が大きすぎるような場合に、その負担を分散する目的でコルセットを使うようにしてください。
また、コルセットを巻くと、腰まわりの稼動域が狭まります。
腰はごくわずかな動作であっても重心のバランスをとるために、常に微調整してくれています。
コルセットを巻くことで、これらの動作がかなり制限されるため、思った以上に色々な動作がしにくくなります。
この点を注意して予防目的でコルセットを使っていただければと思います。
保温効果
これも副次的効果ですが、腰・腹部に生地を巻いていますので、一定の保温効果があります。
コルセットを1日つけていると、腰・腹部がとても汗をかきます。
時にはこれが原因でコルセットをつけていた部分だけ赤くかぶれることもあります。
それほど保温効果があるということです。
腹部を暖めると、内臓全体が温まり、その熱が血液を通って体全体を温めてくれます。
冷え性や冬の寒い時期などは、まさに腹巻と同じ効果をもたらしてくれます。
保温は血流を良くし、筋肉残りを軽減する効果がありますので、腰痛を軽減する効果もあります。
ただし、前述のように、汗をかく、かぶれる、のデメリットも出やすくなりますので、
適度にコルセットをはずして肌を乾かす・肌着をはさむ、等の対策をあわせて実施することが望ましいです。
血流の抑止と開放
コルセットは、かなりきつく締め付けますので、その部分で血液が流れにくくなります。
血液が流れにくくなることは、酸素や栄養分が体の端々まで届かなくなったり、一箇所に血液がたまってうっ血したり、内出血になったり、とデメリットも考えられるので、実際にはコルセットを使うときは、長時間つけっぱなしにしないで、ある程度の頻度で、コルセットをはずして血流を開放してもらいたいと思います。
このとき、コルセットの締め付けでたまった血液を、コルセットをはずすことで、一気に血液が流れ出します。
この現象は、血流を良くし、血管内の塊などを洗い流す効果があります。
コルセットをつけたりはずしたりするだけでも。血流が一旦抑えて、一気に開放される動作となり、血流を浴する効果を生み出します。
くれぐれも血流がうっ血するぐらいコルセットを着けっぱなしにしないようにしましょう。
まとめ
以上、コルセットをつけることによる効果をざっとご説明しました。
思った以上に色々な効果がある反面、それぞれにデメリットもあったかと思います。
よい面だけを見て判断して、使い方を間違えたまま長期間使って、気がつけばデメリットの方が大きかったので、下も個もありません。
自分が期待する効果が何で、それを最大にしつつデメリットを最小限に抑えるにはコルセットをどのように使えばよいか、自分自身の環境や腰痛の状況と照らし合わせて考えてみてください。
きっと最適なコルセットの使い方が見つかると思います。