ソファでゆっくりくつろぐことが、腰痛の原因になっています
ゆったりした大きなソファに飲み込まれて、のんびりとくつろぐのはいかにも快適で、ちょっとした贅沢でもあります。
一日の辛い仕事が終わった後、または週末何も考えずにソファの上でゴロゴロするのは至福の時かもしれませんが、しかしそこには大きな落とし穴があります。
今ソファのせいで腰痛に悩む人がだんだんと増えています。
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日本の家庭にソファが入ってきたのは
西欧ではソファは18世紀頃から使われていたようですが、日本の住宅は和室でしたから、畳の上に座るというのが日本人の習慣でした。
畳の上に座ってご飯を食べ、畳の上に座って机に向かっていました。
椅子が日本人の生活に入ってきたのは1950年代の半ばくらいからだったようです。
ダイニングキッチンで椅子に座って食事を取るようになり、子供が椅子に座って勉強机に向かうようになりました。
日本人の生活様式もだんだんと西洋化していったわけです。
そしてソファが普及し始めたのは更に後の、70年代に入ってからでした。
フローリングのリビングルームなどが住宅に取り入れられるようになると、普及も加速化していきました。
また昨今では和室でもソファを置く家庭が多いようです。
和室ではロータイプのソファが好まれるようです。
座布団よりも少し高いところに座る感覚が和室にマッチするのでしょう。
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ソファの変遷
その昔、昔と言っても前世紀の半ば頃ですが、西洋の話になりますが、ソファはまだ実用一点ばりでした。
シンプルで基本的でその時代の質素な感覚を反映していました。
ソファは座るものであって、その上で人が丸まるものではありませんでした。
きちんとした肘掛けがついていて、姿勢よく座るものでした。
その後60年代、70年代、80年代は時代を経るに連れ、色に凝ったり、クッションや他の家具、カーテン、テーブルクロスなどとのコーディネートが流行りました。
問題に繋がる大きな変化
そして90年代に入ると、別の大きな変化が起きます。
シャビーシックの流行がソファをぶかぶか、ぶよぶよにしていきます。
だぶだぶのルーズなカバーなど、カジュアルな見た目が好まれるようになります。
そして人々が求める快適性も大きく変化していきました。
そのためソファはどんどん柔らかく、大型化していきました。
ふわふわした大きなソファの上で、だらしなく寝そべるのが快適だと思われたのです。
問題は体を支えない柔らかなソファ
そして問題はそこにありました。
ソファで快適に座っている、または寝そべっている人達は、腰や背中を痛めつけていることが分かってきました。
今流行の柔らかなソファを使っている人達の5人に1人は腰痛や肩こりなどの症状を訴えています。
硬い椅子や畳の上に座っている時は体がちゃんと支えられるので、腰や背中を痛めることはあまりありません。
快適に座るのはもっとも基本的な人間の行動です。
筋肉や脊椎がちゃんと支えられるように正しく座るためには、きちんとした姿勢や、背中がちゃんと支えられることが必要です。
柔らかいソファが体を痛める理由
柔らかいソファに座ったり寝そべったりするのは気持ちのいいものですが、長期的には体を痛めてしまうことがあります。
そうしたソファは体を支え、よい姿勢を取らせるよりも、だらしない姿勢を取らせるからです。
ソファが柔らかすぎると、背骨や首をちゃんと支えることができず、柔らかいクッションの上で沈み込むような姿勢を取ることになります。
そうした姿勢を長時間続けると、背中に大きな圧力が加わり、脊椎の靱帯が引き延ばされ、椎間板の圧迫が強まります。
それが慢性的な腰痛や筋肉の張りに繋がってしまうのです。
長時間ソファの上で過ごすことが更なる問題を生みます
さらにこの傾向に拍車をかけているのが、現代人の生活習慣です。
その1つがテレビです。
皆さんはお気に入りのテレビシリーズのボックセットを買ってきて、何時間もかけて一気見することがありませんか?
またはネットフィリックスでドラマにはまってしまうこともあると思います。
柔らかいソファに寝そべって好きなドラマを全部見るのはすごく楽しいことでしょうが、それが体を痛めつけてしまうのです。
現代人はそうやってソファの上で過ごす時間がどんどん多くなっていき、そのせいで前の世代に比べてセックスが少なくなっているという報告さえあります。
また腰や背中の痛みの他に、消化器の問題を起こすこともあります。
一般的な成人は1日の半分以上を座って過ごしていますが、健康に影響を与えるのは、座っている時間の長さだけではなく、どのように座るかがさらに重要です。
今のロータイプで、背が低くて奥行きが深く、やたら柔らかいソファは沈み込むようにして座ることになります。
また足をソファに上げて膝を曲げた姿勢でいると、背骨がS字型に湾曲します。
体をずっと後ろに投げ出して、足が床に付いていないような状況では、背骨がC字型に湾曲することになります。
このような姿勢で座っていると、背中や首、股関節、膝、肩、体中を痛めてしまう上に、胃酸が逆流して、胃や食道疾患の原因にもなります。
腰痛にならないソファ選び
ソファの上にだらしなく寝転がるのは気持ちがいいかもしれませんが、それは腰や体のその他の部分を傷める原因になります。
ですからソファを選ぶ時は、一見した快適さよりも、体を痛めないことを念頭に選んで下さい。
スタイルやデザインはもちろん重要ですが、腰や背中にやさしいソファかどうかを判断するために、どんな構造のソファを探せばいいでしょうか?
選び方のポイントは、腰や背中を適切に支えてくれるかどうかです。
まずロータイプのソファはやめた方が無難です。
ソファに座る時は膝を90度の角度に曲げ、太腿の大部分が座席で支えられるように座り、足が床に無理なくぴったり付くのが理想です。
ロータイプのソファですとそのような姿勢を取ることは不可能で、結果として腰に大きな負担がかかることになります。
逆に高すぎるソファの場合は、座席の前の方に座って、後ろに反り返ることになり、背骨を痛める可能性があります。
シートは適度な硬さのあるウレタンフォームがよいでしょう。
柔らかすぎて体を支えられないものはダメです。
またエイトウェイタイドスプリングのものを選びましょう。
この方式ですとさらに基盤がしっかりとします。
そしてしっかりしたフレームも重要です。
よく乾燥させた狂いのない硬材を、しっかりとボルト止めしたものがベストです。
安いものだと柔らかい松材をステープル留めしたものがありますが、それはあまりおすすめできません。
背もたれやクッションも重要なファクターです。
あまり後ろにリクライニングする背もたれやクッションは避けましょう。
頭を前に押しつけるようなヘッドレストは避けてください。
背もたれがしっかり体を支えることが大事です。
ソファの上で長く過ごしすぎた時は
そんな時はきっと体の節々が痛くて、肩も凝っていることでしょう。
ストレッチ体操でこわばった体をほぐしましょう。
背中と肩のこわばりをほぐす
床に両手と両膝をつきます。
手と太腿が床と垂直になるようにします。
その状態で左肩を下に下げ、できるだけ右手に近づけるようにします。
そして左手をゆっくり前の方に出します。
そして腰を左側に突き出すようにして、背骨をねじるようにしてください。
これで背中や肩の緊張が解けます。
子供のポーズ
床の上に正座し、ひざを軽く開いて、そのまま前の方に倒れてお腹を膝に付けます。
腕をまっすぐ前方に投げ出して、肩の力を抜いてリラックスして、深呼吸をします。
ヨガの子供のポーズと言われるものですが、腰痛や首の凝りの緩和に役立ちます。
まとめ
畳の上に座ったり、硬い椅子に座っていた頃にはなかった腰痛に悩まされる時代になったということでしょうか。
気持ちよく快適にソファに寝そべるのが健康を害してしまうというのはなんとも皮肉な話です。
そうは言っても健康が第一ですから、これからソファを買おうという人は、腰に悪いものはなるべく避けましょう。
すでに腰に悪いソファを買ってしまった人は、できるだけ腰を悪くしないよう、使い方に気をつけましょう。