これまでにない進化を遂げたTuringアーキテクチャを搭載したRTX2080の3つの凄さ

GeForce GTX1080

RTX2080はこれまでにない進化を遂げたGPUであり、それはTuringアーキテクチャによって実現されました。

最新のTuringアーキテクチャで実現されたことは、ゲーム開発者にとっての長年の夢の実現と最新の技術トレンドの融合でした。

RTX2080がこれまでのGPUとは違った新しい概念の元に成り立ち、RTX2080の持つ圧倒的な「凄さ」を3つの側面を持つことを紹介します。






刷新されたアーキテクチャ

これまでのGeForceは、Kepler、Maxwell、Pascalと機能を強化する形でアップデートされてきました。

しかしRTX2080はアップデートに止まらない新しいアーキテクチャを纏って登場しました。

凄さの源Turingアーキテクチャ

NvidiaはこれまでKeplerから始まった一連のアーキテクチャをMaxwell、Pascalとアップデートしてきましたが、最新のRTX2080からこれまでの流れを刷新したTuringアーキテクチャを採用しています。

これまでのGeForceシリーズが「GTX」や「GT」といった名称が付けられたのに対して、「RTX」が冠せられたことからも想像できるように、前3世代のアーキテクチャとは違う新しいコンセプトのもとに最新のテクノロジーを詰め込んだアーキテクチャです。

そもそも、Kepler、Maxwell、Pascalと進化してきたアーキテクチャはVoltaという後継アーキテクチャがありました。

しかしQuadroやTitanといったワークステーションやHPC用のGPUとしてのみ製品化されていました。

今回VoltaをベースにさらにアップデートされたTuringがGeForceシリーズに採用されました。






GPUの概念を変える3つの凄さ

Turingの名前はイギリスの数学者でありコンピュータ科学者であるアラン・チューリングから名付けられました。

彼はエニグマ暗号機の解読で有名ですが、数学者、コンピュータ科学者として現代のコンピュータ科学に多くの貢献をし「人工知能の父」と呼ばれることもあります。

まさに新しいGPUの概念を実現、搭載したTuringは人工知能の父であるチューリングの名前を冠せられるのに相応しいといえます。

凄さ1:Nvidia RTX技術の採用

RTX2080に冠せられた「RTX」はNvidiaが開発したリアルタイムレンダリングを行うレイトレーシング技術であり、RTX2080はこれまでゲームの世界では不可能だったリアルタイムレンダリングを実現できる初めてのGPUとなります。

この技術はMicrosoftのDirectX Raytracing(DXR)APIを利用したアプリケーションでフルサポートされます。

つまりMicrosoft Windowsで動く全てのゲームでこの技術を享受できることになります。

これまでの映画などの3D動画では1コマ1コマをプリレンダリングしそれをひとつの動画としてまとめていました。

これは実物と見間違えるほどのクオリティを得ることが出来ますが、計算負荷が高すぎるためプレイヤーの動きやストーリー展開に応じてその都度レンダリングが必要とされるゲームでは行われていませんでした。

しかしRTX2080はゲームで利用できるほどの高性能化によりプレイ状況に応じたリアルタイムでのレンダリングが可能になっています。

これによりゲーム中のプレイヤーや背景が動いている状況でもレイトレースによるレンダリングが行われ、これまでよりリアルで美しいグラフィックが実現されます。

つまり映画の中、あるは目の前に実際の風景が存在しているかのようなグラフィックでゲームを体験できるということです。

凄さ2:機械学習・AI(人工知能)への対応

昨今では機械学習やAI(人工知能)技術が注目を浴びています。

Googleが開発した囲碁ソフトウェアの「AlphaGO」やスーパーコンピュータの世界的なランキングである「TOP500」などでもGPUを積極的に利用したマシンが上位にランクインするなど、HPC分野や研究分野でのGPUの活用は急速に進んでいます。

これは一般ユーザの間でも同様で、GPUが得意とするベクトル処理や並列処理などを利用した計算を活用したアプリケーションも多く、Adobe社に代表されるような画像処理、動画処理の分野はもちろんのこと、ブロックチェーン技術を利用したデータ処理、例えば仮想通貨の採掘などの利用に積極的に活用されています。

RTX2080ではこのような機械学習やAIで利用されている計算技術に対応したTensorコアを搭載しており、AI技術を駆使したコンピュータグラフィックスのゲームでの活用を可能にしました。

これまで機械学習・AIでのGPUの利用はCUDAやOpenCL、OpenGLなどによる応用が盛んでNvidiaのGPUではQuadroやTeslaといったワークステーション向けやHPC向けGPUが主でした。

今回RTX2080でTensorコアが搭載されたことで、もっと機械学習やAI技術が身近になるでしょう。

特にGeForceシリーズのようにゲームの世界で応用された場合、今までにないようなゲームシステムの開発などが期待され、前出のリアルタイムレンダリングによりただ単に綺麗なグラフィックになるだけではなく、ゲームという枠組みがこれまでよりもっと魅力的なものになるでしょう。

まさにTuringがチューリングのようにゲーミングGPUにおける人工知能の父をなり得るといえます。

凄さ3:先代を軽々と超えるパフォーマンスを実現

Turingアーキテクチャの採用によりこれまでのGeForceでは得られなかったパフォーマンスを実現しています。

特筆すべきはGDDR6メモリを採用し14Gbpsにまで引き上げられたメモリ速度です。

これにより今まで不可能とされていた計算負荷の大きいリアルタイムレンダリングやCUDAコアとTensorコアの連携など、高度な処理を高速で実現しうるだけのパフォーマンスを実現しています。

RTX2080Tiは4,352個のCUDAコア、11GBのメモリを搭載、RTX2080は2,944個のCUDAコア、8GBのメモリを搭載しています。

これまでのフラッグシップだったGTX1080TiやGTX1080で動作しているタイトルと比較しても、RTX2080でさえ30%から45%とのパフォーマンスの向上が報告されています。

NvidiaによるとこれまでのGeForceに比べ最大6倍ものパフォーマンスを実現するとのことです。

新しく搭載された機能だけでなく、本来求められるパフォーマンスの向上も実現しているところがRTX2080の凄いところと言えます。

ゲーミングGPUとしてのRTX2080

これまでのGeForceの概念を覆すRTX2080はゲームを楽しむ以上のことを可能にしてくれるでしょう。

特に、リアルタイムレンダリング、Tensorコアの搭載といった新技術はこれまでのGeForceのユーザーだけでなく、魅力的な側面があります。

やはりゲームユーザーにはおすすめ

これまで述べてきたようにRTX2080はこれまでのPascalアーキテクチャを採用したGTX1000シリーズの後継というだけではく、Turingアーキテクチャを採用した全く新しいGPUと言っても過言ではないでしょう。

モニタが高精細大画面化する中でゲームも同様に高精細大画面化しています。

実際フルHD画面はもちろんのこと4K画面が「普通」になりつつあります。

この高精細大画面のモニタをフルに活かしてFPSやレースゲームのような没入感を大きく求めるゲームをプレイしたい人には文句無くおすすめできます。

本格的なe-Sports時代の幕開けに

さらに世界的に盛り上がりを見せているe-Sportsを体験したい人、競技として参加した人にもおすすめです。

ゲームといえども競技として勝負の掛かったe-Sportsでは画像が不鮮明でレイテンシが大きければ、勝つことどころか十分にプレイすることもおぼつかないでしょう。

RTX2080の鮮明な画像と現代最高峰の低レイテンシ性能はe-Sportsの分野でも力を発揮するでしょう。

GeForceブランドの新しい可能性

GeForceはゲーミングGPUとしてゲームに特化したGPUという位置付けでした。

しかしTuringアーキテクチャで採用された3つの凄さを実現した技術は、ゲームに特化したGPUという「レッテル」はもう必要無いと感じます。

それはやはりTensorコアの採用が大きな可能性を感じさせるからです。

研究分野、ビジネス分野、デザイン分野の入り口に

これまで、研究分野での計算処理や機械学習・AI、ビジネスシーンでのデータ処理や、デザイン分野での画像処理、映像処理、3DデザインなどはQuadroやTeslaといったGPUが推奨されていました。

しかしQuadroやTeslaは非常に高価で本格的な機械学習・AI分野での利用、研究、計算処理などでGeFroceを利用する場合は妥協しなければならないシーンが見られました。

しかし機械学習・AIに特化したTensorコアを搭載したことによりこれまで以上にGeForceの研究分野への活用が期待できます。

加えて多くのCUDAコア、そして高速大容量のGDDR6メモリの搭載により画像や映像などのデザイン分野への適応も強化され、ワークステーションやHPCのようなパフォーマンスを一般的なデスクトップコンピュータとRTX2080の組み合わせで実現できる可能性があります。

さらにはTensorコアが一般ユーザーにも機械学習・AI分野を身近なものにしてくれるでしょう。

これからQuadroやTeslaといったGPUもアップデートされるでしょう。

しかしRTX2080はQuadroやTeslaよりも低コストで、そのような専門的な分野への応用に十分対応できるだけの凄さを秘めているGPUといえます。

まとめ

Turingアーキテクチャを採用したRTX2080は、これまでのゲーミングGPUという枠を超え様々な可能性を秘めたGPUと言えます。

現在はまだ出荷が始まったばかりで供給が追いつかず、そのため市場価格も高価で安定せず入手しづらい状況です。

しかし今後GeForceの購入を検討しているユーザーにとっては、最もメリットがありかつ将来性のある選択肢です。

今後RTX2080がGPUの業界標準になっていくでしょう。

ゲームを目的にするだけでなく、GPUというデバイスの可能性を深く探る意味でもRTX2080の持つ可能性は大きいと言えるでしょう。







GeForce GTX1080