まだまだ現役?AMDのCPU規格「Socket AM3+」と対応マザーボードについて
CPUには「ソケット形状」というものがあります。
現在はIntelの第6世代CPUを使用するための「LGA1151」というソケット形状が主流ですが、これとは別にAMD系のCPUを使用するための「Socket AM3+」というソケットがあります。
今回は、少数派になりつつあるAMDのCPUと、それに対応したマザーボードの利点、対応しているマザーボードについてまとめました。
目次
そもそもSocket AM3+って何?
Socket AM3+は2011年に発表され、現在もAMD系のCPUに使用されているソケット形状の一つです。
Socket AM3の後継規格に相当するソケットで、AMDのCPUソケットに多い特徴である下位互換性を持っているのが特徴の一つです。
そのため、Socket AM3+が採用されたマザーボードではSocket AM3のCPUを搭載、使用する事が出来ます。
Socket AM3はDDR2とDDR3の両方に対応していましたが、この点が変更され、AM3+ではDDR3のみに対応しています。
外見的な特徴は、それ以前のソケットととの判別を付けやすくするために、マザーボード側のソケットのカラーリングが黒に統一されています。
AMD製CPUの特徴
AMD製のCPUの主な特徴は以下のようなものがあります。
●性能の割に安い
●内臓GPUが比較的高性能
●消費電力、発熱量が多い
●消費電力あたりの性能はあまりよくない(=ワットパフォーマンスが悪い)
●マルチタスクに強い(速い訳ではない)
などの点があります。
特に、性能のわりに安いという点は、ローコストかつそこそこの性能を組みたい自作ユーザーにとっては非常にありがたい存在です。
また、CPUに内蔵されたGPUが比較的性能が高いため軽作業向けのPCや後日グラフィックボードを増設予定の場合などにも安定して運用することができるのも特徴の一つです。
安価で高性能な反面、ハイスペックな製品は構造上「消費電力が多く、発熱量が多い」という欠点があります。
この点を解消するためのコストを考えるとCPUの価格差がひっくり返る事も少なくありません。
逆に言ってしまうとミドルクラスの製品であれば、安価かつ高性能という見方も出来ます。
また、ミドルクラス以降の製品はコア数が6~8基と多いためかマルチタスク時にも速度の低下が起こりにくいという意見もあります。
AMDのCPUは性能が低い?
ベンチマークソフトのスコアなどでは大差が付けられている事が非常に多く「安価で低性能、なのに大食い」といったイメージを持たれる事もありますが、流石にそこまで酷いということはありません。
実用面でもIntel製CPUと比べてもそこまで大きな差を感じることはまずないと言っていいです。
また、ベンチマークのスコアに関してはソフトによってはIntelの得意分野でありAMDの苦手分野である点が重要視されている事もあるため、どうしても大差を付けられやすいという原因があります。
ただし、消費電力や排熱量に関してはIntelほどの大人しさはないため、ある程度考慮する必要があるのは事実です。
Intel製とどっちがいいの?
今からSocket AM3+のマザーボードを使用するのは「手持ちパーツを流用しての変更」といった場合や余ったパーツを利用したサブ機の作成などの用途の場合におすすめです。
逆に新規で1からPCを組む予定なら、知人からパーツを譲ってもらったなどの理由がない場合や、格安構成で作る場合以外には選ぶ理由はほぼありません。
新規製作ならパーツの選択肢、故障や初期不良時のトラブル対応、ネット上の情報の量などの点から考えてもIntel製のCPUとそれに対応したマザーボードを使用するのが圧倒的に安定していると言えます。
とはいえ、最後はPCを運用するユーザーの好みによるものなので、何か自分の中で惹かれるものがあった場合には評判に捕らわれずAMDを選ぶというのも自作PCにおける一つの楽しみ方であるともいえます。
おすすめマザーボード「ASRock 970 Extreme3 R2.0」
マザーボード分野で世界シェア第3位に位置しているメーカー「ASRock」のマザーボードのうちSocket AM3+に対応していておすすめなのが「970 Extreme3 R2.0」です。
価格は1万円前後と一般的なマザーボードと同程度、拡張性なども価格相応のマザーボードです。
少し変わった機能として、一定時間ごとにファンを回転させPCケース内部の換気を行う「除湿機能」が搭載されていますが劇的な効果はなく、ほぼ飾りとなっています。
基本的な端子がほぼそろっているため「とりあえず、大抵の目的には対応できる」といったタイプのマザーボードであると言えます。
ライトな用途には少し高いため、必然的にゲーミング目的になってしまいますが、AMDのCPUを使って安価に自作PCを組みつつゲームをそれなりに遊べるPCを組みたいなら第一候補になると言ってもいいかと思います。
おすすめマザーボード「GIGABYTE GA-78LMT-USB3 REV6.0」
安価かつコンパクトなPCを組みたい場合に候補として考えられるのがフォームファクタがMicro-ATXのマザーボード「GIGABYTE GA-78LMT-USB3 REV6.0」です。
実売価格は8,000~9,000円程度とMicro-ATXのマザーボードとして考えると少し高めな価格設定ではありますが、その分安物っぽさはなく、あくまでも「コンパクトなマザーボード」といった印象が強い製品です。
オンボードグラフィックが搭載されているため、予算の都合でグラフィックボードは後から増設する。
といった用途でも使えます。
ちなみに、対応しているCPUの中にはそれなりにスペックの高い物があるため、オンラインゲームのプレイに支障が出ないスペックのPCを組むことも出来ますが、排熱関係の不安が残るためあまりおすすめではありません。
おすすめマザーボード「ASUS 970 PRO GAMING/AURA 2.2」
Socket AM3+対応のマザーボードでゲーミングPCを組みたいという場合におすすめしたいのが「ASUS 970 PRO GAMING/AURA 2.2」です。
Socket AM3+対応のマザーボードとしては珍しくM.2 socket3を搭載しているため、SATA対応のSSDよりもさらに高速なSSDを使用する事が出来ます。
また、M.2 socket3に対応したマザーボード自体はそれなりの種類がありますが、その中から本マザーボードをおすすめする理由は、ソケットの位置がマザーボードの右下に配置されている点にあります。
元々SSDのコントローラは熱に弱いとされているため、グラフィックボードなどから離れた位置に配置されている本マザーボードは比較的M.2のSSDを採用しやすいという利点があります。
また、基板の一部をLEDで様々な色・パターンに点灯出来るのも特徴です。
視覚的なイメージが優先され意味が無いようにも感じられますが、CPUの温度に合わせて発光カラーが変化する、といったパターンも可能になっているため、目で見てすぐに大まかなCPUの温度が分かるというメリットがあります。
それ以外の点では、LANにはCPUへの負荷が少なくゲーム向きとされているものが使用されているなど、全体的にゲーミングPC向けの構成になっています。
おすすめマザーボード「MSI 970A-G43 PLUS」
頑健さがウリのミリタリークラスを擁するメーカー「MSI」製のSocket AM3+対応のマザーボードでおすすめなのが「970A-G43 PLUS」です。
構成そのものはシンプルですが、USB3.1を備えていたりと要所でしっかりと新しいハードにも対応しています。
価格も比較的低価格なため、AMD製CPUを使う理由の一つである「安価に実用的なPCを組む」という点にも合致したマザーボードです。
大きな特徴として、PCI-Express x16の端子を金属プレートで覆った「SteelArmor」があります。
端子本体を覆う事と、基盤に対する溶接ヵ所を増やすことで重量級のグラフィックボードを使用しても端子が壊れ難くなっています。
x16の端子は2基搭載されていますが、SteelArmorが搭載されているのは上段の端子だけになっています。
一見すると安っぽく見えてしまいますが、故障率などを考えるとグラフィックボードは1枚だけ使用するのが安定するため、殆ど気になることはありません。
主な用途としては、ネット閲覧や動画視聴をはじめとして、ミドルエンド~ハイクラスのゲーミングPCなどにもおすすめのマザーボードです。
まとめ
性能的には決して見劣りするものではないSocket AM3+対応のCPUとマザーボードですが、新規で組むとなるとやはり気になるのはAMDの次世代CPUに使用されるであろうSocket AM4対応のマザーボードの存在です。
DDR4メモリへの対応をはじめとした利点も多く、今からメイン機をSocket AM3+絡みのパーツで組むのは少し時期が悪いように感じるため、その点の折り合いをどう付けるかかなと思います。
逆にパーツ更新の頻度が低く、スペックもそれほど要求されない軽作業向けのPCやサブPCには安価で高性能なAMD製品は好相性という印象が強いです。