外排気式のグラボの利点と注意点、おすすめのモデルなど
グラボの冷却方法は空冷式がメジャーですが、その中にも外排気式と内排気式があります。
スペックを重視する場合は内排気式のグラボを使う事が多いですが、外排気式のグラボにもメリットがたくさんあります。
今回は外排気式のグラボの利点と注意点をはじめとして、おすすめの外排気式モデルのグラボなどについてまとめました。
目次
そもそも外排気式って何?
外排気式というのはグラボの冷却方法のうち、空気を循環させて冷却する「空冷式」のうち、熱を吸収して温度が上がった空気をケース外に直接排気する方法の事を言います。
また、逆に内部へ排気する方式を内排気式と言います。
内排気式と比べた場合、PC外に空気を排出するという性質からPC内部の温度が上がりづらく、ケース内のエアフローをある程度無視できるなどの利点があります。
一方で、ケース内部で吸気した空気を1方向に排出するという構造のため、大型のファンで一気に排熱するという事が難しく全体的に(内排気式と比べて)GPUの温度が下がりにくい、ファンにシロッコファンと呼ばれる形状のファンを使っているため、メンテが面倒臭いなどのデメリットがあります。
外排気式のメリットは省スペースのケースでも使える点が大きな利点
外排気式の大きなメリットとしてケース内部に排気しないため、ケース内部の容量が少ないITX対応ケースなどでも安定して使えるというメリットがあります。
そのため、コンパクトなケースを使いつつ実用的なゲーミングPCを組んだり、快適に動画を見ることができるPCを組んだりという事が出来ます。
注意点として、ミドルクラス以上の温度が高くなりやすいグラボを使う場合には、ケースのサイドパネルがメッシュ式になっているものや、吸気口を備えたものを使用してグラボが吸い込めるだけの空気を用意できるように工夫するのがおすすめです。
オリジナルモデルの外排気式も?
外排気式は、リファレンスモデルのグラボに多く採用されていますが、最近ではハイエンドクラスのオリジナルモデルなどでも外排気式のグラボが登場しています。
外排気式には「温度を下げる速度が遅い」という弱点があるため、リファレンスモデルよりも発熱量が多くなりがちなオーバークロックされた製品は少なく、されていても極軽度のオーバークロックに収まっている事が多いです。
そのため、外排気式を採用しているオリジナルモデルのグラボは、処理能力は定格の範囲内に収めている代わりに、冷却用のファンに使用するベアリングを高強度・高精度なものを使っていて、耐久性や静音性などを重視した製品が多く登場しています。
外排気式を使うなら壁際への設置はNG?
外排気式のグラボは温度の高い空気を外に排出するため、PCケース内部の温度が上がり難く、PCケース内部のエアフローは内排気式のグラボほど気にしなくていいのが大きなメリットですが、その分本体の設置場所に気を使う必要があります。
実際に使ってみると分かりやすいのですが、外排気式のグラボを搭載した状態で負荷をかけるとかなり温度が高い熱風が外に出ます。
そのため、外排気式のグラボを搭載したPCは壁際に設置してしまうと高温の空気が壁際に溜まりやすくなり、グラボが空気を外に吐き出す事の妨げにも繋がります。
特に、高性能な分GPUが高温になり易いハイエンドモデルのグラボはこの特徴が顕著なため注意が必要です。
また、サイドパネルに吸気口を備えているケースなどを使っている場合には部屋の隅などに設置するとグラボで熱されて排出された空気を再び吸い込むことになってしまうため、側面もある程度距離を置いて設置する必要があります。
部屋全体の空気の循環をさせる対策もおすすめ
外排気式のグラボを使うのであれば、室内の空気を大きく循環させるように工夫のすることで熱が一か所に溜まり難くなります。
特に、小型の送風機「サーキュレーター」は室内でも使いやすいサイズと、手に取りやすい価格で購入できるためおすすめです。
サーキュレーターは構造が似ている扇風機と比べて風が強く、遠くまで届く仕組みになっています。
1方向に集中した強い送風を行うため、扇風機のように人が風に当たって涼を取る目的には向いていませんが、一方で室内全体の温度を均一化することに向いています。
そのため、PC周辺の温度が上がりやすい外排気式のグラボとは相性が良いだけでなく、外排気・内排気問わず夏場の室内でPCを使う場合にも効果的です。
外排気式は定期的なメンテが重要?
グラボに限らずPCは定期的に内部に溜まった埃を除去するなどして、日頃から熱暴走を防ぐ必要があります。
外排気式に関しては空気を1本のルートで送り続けるという性質上、途中に埃が溜まるとそこより先に空気が流れなくなり熱暴走の確率がグンと高くなるため、内排気型のグラボに比べて定期的なメンテナンスの重要が増します。
特に吸気用のファンとヒートシンクの隙間の部分には埃が溜まりやすく、長期間メンテを怠ると埃が溜まって板のようになってしまい、空気の流れを完全にシャットアウトしてしまう事も有ります。
掃除はGPUのクーラー部分に取り付けられているカバーを取り外して、細い棒のようなもので隙間の埃を取り除き、エアブロワーのようなもので一気に飛ばしてしまうのがおすすめです。
ただし、製品によってはカバーを取り外すのに六角レンチなどの特殊なドライバーが必要になる事も有るため、無理に取り外そうとしてカバー部分を壊してしまわないように注意が必要です。
また、定期的に掃除をするのが難しい場合には、ケースファンの部分に防塵用のフィルターを貼りつけて、そもそも埃を入りづらくするのもおすすめの対処法です。
外排気式のおすすめグラボ ASUS TURBO-GTX1070-8G
外排気式のグラボでおすすめの製品がASUSの「TURBO」シリーズです。
ここで紹介しているのはGTX1070ですが、同じくGTX1000系のグラボから最上位モデルにあたる「GTX1080Ti」の11GBモデルをはじめ、「GTX1080」の8GB、「GTX1060」の6GBなどがリリースされているため、自分の用途やターゲットに合わせてスペックを選ぶことが出来ます。
このシリーズのグラボはいずれも共通して外排気式のGPUクーラーを搭載していますが、ファンの軸部分に2重のボールベアリングを使用しているため、リファレンスのグラボよりも高耐久かつ静穏性にも優れているのが特徴です。
外排気式のグラボはファンの回転数が上がりやすく動作音が大きい事が多いですが、このシリーズのグラボに関しては、先述した2重のベアリング軸のおかげもあってか非常に静かなため外排気式の弱点である動作音のうるささについてもかなり緩和されているため、かなりおすすめのグラボです。
外排気式のおすすめグラボ ASUS Radeon RX480 8G
Radeonのグラボに関しては、今のところ現行世代のGPUを使用したグラボに外排気式のオリジナルモデルがないため、必然的にリファレンスモデルから選ぶことになります。
そのため、どうしても選択肢が狭くなりやすいのが難点です。
そんな中でのおすすめのモデルはASUSから発売されている、RX480のリファレンスモデルです。
発売当初はRadeonの名物ともいえるような不安定なドライバの問題もあってか、評価が分かれやすかったRX480ですが、最近ではドライバも安定してきているため問題なく動作します。
高精度なベアリング軸を使用しているオリジナルモデル等と比べると若干劣りますが、それでも動作音自体はかなり静かなため、十分コンパクトケースなどに搭載して使う事が出来ます。
定格動作が主体にしているのであれば、わざわざオリジナルモデルを買わずに敢えてリファレンスモデルを選んでみるのもおすすめです。
まとめ
外排気式のグラボは内排気式のグラボと比べると種類が少ないですが、「定格動作が多い」「設置場所に融通が利く」などの条件をクリア出来るのであれば、内排気式よりも万人におすすめできるグラボだと思います。
唯一気になるのが動作音の大きさですが、その点もオリジナルモデルに多い高性能なベアリングをファンに使用したモデルであればかなり緩和されるため、気になる人はそちらを選択してみるのもおすすめです。