完全無音が特徴のファンレスのグラボの実用性はどのくらい?
ファンレス仕様のグラボと言えば、動作音が完全に無音というのが特徴です。
ですが、実際見ていると選択肢が狭く、性能も決して高いとは言えないのが現状です。
更に内蔵GPUの性能も向上している点を考えるとファンレスのグラボに実用性はあるのかな?
と疑問が沸くという人も居るかと思います。
今回はそういった、ファンレスのグラボの意外な利点と使用上のポイント、用途に合わせたファンレス仕様のおすすめグラボについてまとめました。
目次
ファンレスはどんなPCにおすすめ?
基本的にこれにおすすめというような用途はありません。
強いて言うなら、自分の用途や好みの条件に合致したグラボを選んだ後にファンレスの方を選択する時があるかも?
という程度です。
例えば、ファンレスのグラボの多くは、性能を抑える代わりに発熱も抑えられているローエンドモデルのGPUを採用しているため、作業用のPCなどグラフィック性能がそれほど必要ないPCで、かつ内蔵グラフィックが搭載されていないCPUを使用している場合などおすすめです。
また、静穏性を重視したPCを組む場合にファンレスのグラボは重宝するとされる事が多いですが、グラボを全くの無音にしてもCPUクーラーや電源などから音がすることは避けられず、静音化はイタチごっこになるため、グラボだけをファンレスにしたからと言って稼働中の音に明確な差が生まれるという事はまずあり得ません。
内蔵グラフィックがある場合には必要なし?
内蔵グラフィックが無い場合の画面出力として見ると、結構有用な事は先にも書きましたが、では、内蔵グラフィックがある場合は要らないのか?
というとそうでもありません。
というのも、内蔵グラフィックを動作させる場合には描画関係に搭載メモリの一部が割り当てられます。
そのため、メモリの使用量の多い作業をする場合などには、メモリを圧迫してしまう可能性があり、作業に支障が出るとまではいかずとも多少の不便さを感じる可能性があります。
そういったトラブルを解消するためにも、比較的価格の安いグラボを1枚導入してみる過程でファンレスを選ぶ、というのは選択肢としては何らおかしい点はありません。
ファンレスの意外なメリット?
ファンレスのメリットと言えば稼働中も無音で動作するという静穏性が一番に思いつきますが、もう1つメリットがあります。
それは「特定の条件下」における壊れにくさです。
グラボに限らずPCのパーツで壊れやすいパーツというのは、HDDやケースファン、クーラーといった基本的に稼働中に何かしらの動く部品があるパーツです。
当然グラボも例外ではなく、必然的にファンが壊れやすい箇所になるのですが、ファンレスではそのファンがないため、故障の確率は減る傾向があります。
ただし、この壊れにくさはあくまでも排熱の管理などがされている場合に発揮されると思った方が良いです。
例えば、排熱の具合が悪い環境での長時間の連続動作や高負荷の処理を連続して行うといったグラボにとってあまり良くない環境で使用した場合には逆に壊れやすくなる可能性があります。
わざわざ特定の条件下と付け加えているのはそこに理由が有ります。
ファンレスを使う時の注意するポイントは?
ファンレスのグラボを使うのであれば、絶対について回るのが熱の問題です。
グラボに搭載されているGPU自体は熱にかなり強いパーツではありますが、それでもパフォーマンスの低下や熱暴走の可能性などを考えると、グラボ周辺の温度は一定以下に保っておいた方が良いです。
通常のグラボはファンを回すことで空気を循環させることが出来る分、比較的温度が上がり辛いですが、ファンレスの場合にはそうもいきません。
そのため、安定した動作をさせるのであれば、ケースファンを併用してケース内の一定の空気の流れを作るようにしておくのがおすすめです。
静穏性を重視したPCを組む場合にはケースファンを回すと本末転倒になってしまうかもしれませんが、そういった場合には出来る限りサイズが大きい静音タイプのファンを使用して風の流量を確保した上で、稼働音の原因となる回転数を低めに設定するのがおすすめです(回転数については自分で実際に使用しながら調整するのがおすすめ)。
ゲーム用には向かない?
基本的に、ファンレスのグラボはゲーム用にはあまり向いていないと思った方が良いです。
特に、長時間連続して遊ぶことも珍しくないオンラインゲームとは相性があまり良くありません。
また、先にも書いた通り発熱が少な目な性能の低いGPUを採用している事が多いため、3D系の負荷のかかるタイトルもあまり得意ではない事が多いです。
ですが、全く遊べないという訳ではなく、ゲーム側の描画設定や、画面解像度の調整、ケース内環境の整備などをすればGPUの性能相応に遊べるため、言うほどの心配はありません。
また、根本となる性能自体も控えめとは言いますが、それはあくまでも現行のグラボと比較した場合の話であり、過去のグラボの性能と比べるとかなり進歩しているため、古いタイトルしか遊ばないという場合にはファンレスに使われるような非力なGPUでも十分楽しめる可能性があります。
おすすめのファンレス仕様グラボ「ASUS GT1030-SL-2G-BRK」
ファンレスのグラボを今から導入するのであれば、1番におすすめするのはASUSから出ている「GT1030-SL-2G-BRK」です。
GeForceの30番台はローエンド向けとされることが多いですが、このGT1030も同じ流れを汲みつつも性能はGT730と比較して2倍程度と性能面ではかなり進歩しています。
ゲーム向けなGTXシリーズと比べると非力な部分は否めないですが、それでも数年前のタイトルであれば十分動くため、ライトなゲーマーならそれなりに満足できる性能になっています。
ただし、ファンレスの例にもれず放熱用のヒートシンクは大型です。
ブラケットは1スロットタイプでロープロファイルにも対応していますが、ヒートシンクの高さが若干高めなため、実際に取り付ける際は2スロット分の厚さが必要になります。
また、放熱用の空間などを考えると3スロット以上の空き空間が必要になるため、購入する前にケース内の余白スペースについて確認しておくのがおすすめです。
おすすめのファンレス仕様グラボ「ASUS GT730-SL-2GD3-BRK」
画面が出力できさえすればいい、という人におすすめなのがASUSのグラボ「GT730-SL-2GD3-BRK」です。
こちらは、GT1030と比べて性能が低く、IntelのCPUに搭載されている内蔵グラフィックとほぼ同じレベルの性能になっています。
逆に考えると、内蔵グラフィック相当の性能さえ確保できればいい、という場合には価格が安いこちらを選択するのがおすすめです。
また、出力端子としてDVIやD-Sub等、最近のグラボには搭載されていないものが使用できるため、それらの端子を使って画面を出力したいという人にもおすすめです。
こちらのグラボも、GT1030と同様に本体1スロットに対してヒートシンクは2スロットの厚さがあるため、冷却スペースなどを考えると3スロット程度の空きが必要になります。
おすすめのファンレス仕様グラボ「Palit GeForce GTX1050Ti KalmX」
ファンレスかつある程度の性能を確保したグラボが欲しい場合には、Palitのグラボ「GeForce GTX1050Ti KalmX」がおすすめです。
ファンレスのグラボとしては珍しいGTX1050Tiを搭載しているため性能は高めで、ファンレスの静かさと通常のグラボの性能の高さを兼ね備えているのが特徴です。
3Dゲームを遊ぶためのグラボとして見た場合、「最新作を最高の画質設定で遊ぶ」といった無理をしないなら、十分使う事が出来ます。
また、ファンレスという点だけを無理に活かして完全な無音のグラボとして使う他にも、静音性の高い大きめのケースファンを取り付けたケースと併用して、静穏性とグラフィック処理能力をある程度両立したグラボとして使うのもおすすめです。
難点としては、同チップを搭載したグラボと比べて若干価格が高めになっているのと、ファンレスのグラボとしては性能が高い分だけ発熱するため、他のパーツへの影響が少し気になる点があります。
まとめ
ファンレスのグラボは用途によるものの、実用性はまだまだあります。
特に作業用のPCなど、高い性能が必要ない場合には可動部分が少ない事から来る頑丈さもあり、十分選ぶ価値があります。
セミファンレスのグラボが増えているため、静かさという点ではファンレスのアドバンテージは若干揺らいでいますが、完全な無音という点と可動部分が少ないからこその頑丈さは通常のグラボでは得られないため、実用性は十二分にあると言って良いと思います。