重量級グラボを使う時の注意点、おすすめのアイテムなど
グラボの性能が上がるのに合わせて最近はかなり大きなサイズのグラボが増えています。
大きなものでは全長が300mmオーバー、重さも1㎏を越えるものも珍しくありません。
そういったグラボは対策をしておかないとグラボ自体が曲がったりします。
今回はそうしたトラブルを未然に防ぐために出来る事や、おすすめのアイテムについてまとめました。
目次
重量級のグラボを使っている時に起きるトラブル
重量級のグラボは重さと長さへの対策をせずに使い続けるとハードウェア的なトラブルが起きることがあります。
特に怖いのは「PCIe端子の破損・脱落」や「グラボやマザボの曲がり・反れ」です。
重いグラボを使っているとPCIe端子の破損や脱落に繋がる他、端子の周辺を覆っている樹脂製のハウジング部分を割ってしまったり、酷い場合ではカバー部分が全て抜けてしまう事も有ります。
反りや曲がりに関しては多少であれば問題なく使う事が出来ますが、あまり酷くなると接触不良をはじめとした動作不良、先に書いた端子の破損に繋がる可能性があるため、こちらも要注意です。
これらのトラブルを防ぐには、次のような事を気にしながらパーツを選ぶのがおすすめです。
●曲がりにくく対策されたグラボ・マザボを選ぶ
●補強された端子を採用しているマザボを選ぶ
●重量による負担を軽減する対策を行う(突っ張り棒など)
以上3点は、簡単に出来て効果も十分あります。
今後PC構成を変更して重いグラボを使う予定のある人は、そういった構成に対応できるパーツを選ぶのがおすすめです。
今使っているグラボが重く、反りや曲がりが出始めている人は対策をしておくだけでもだいぶ変わってくるためおすすめです。
グラボの重さ対策「バックプレート付きのモデルを選ぶ」
最近の大型グラボの多くに搭載されているのが「バックプレート」です。
基盤とは別の金属製のプレートで補強することで長いグラボやマザボが歪んだり、曲がることを防ぎます。
また、強度面以外でもノイズを抑えたり、冷却を補助する効果があるものもあるため、ハイスペックで大型のグラボには必須のパーツとなっています。
また、ゲーミングマザーなどでも、グラボの重さでマザボが引っ張られることによる歪みを防止するために、バックプレートを搭載したモデルが増えています。
基板の変形防止にはとても効果的なバックプレートですが、難点として少し重くなる点があります。
そのため、同時の他の重量対策を講じるのがおすすめです。
重量級のグラボを使うのにおすすめのマザーボード「MSI Z170A MPOWER GAMING TITANIUM」
重いグラボを使うのであれば、マザボはMSIから出ているゲーミングマザー「Z170A MPOWER GAMING TITANIUM」がおすすめです。
堅牢さがウリと言われるMSIのゲーミングマザーというだけあって、重量級のグラボでも安心して取り付けられるだけの対策が講じられているのが特徴です。
1つは、PCIe端子のハウジング表面を金属製のカバーで覆い、更に基板部分とのハンダ付け箇所を増やすことでグラボの重さによる端子の破損を防ぐ「MSI Steel Armor」を搭載している点です。
もう1つは、マザーボードの裏面のほぼ全てを覆うシルバーに塗装されたバックプレートです。
ボード全面を覆う面積を持つため、歪みや反りに対しては非常に強く出来ています。
拡張性もさることながら、外見も一風変わった白・シルバー系塗装がされた基盤を持つため、ボード部分のデザインにもこだわりがある人にもおすすめです。
グラボの重さ対策「突っ張り棒」について
グラボの重さによる負担を軽減する方法として最近は「突っ張り棒」を使う事が増えています。
国内では、MSIや長尾製作所が作っているものを購入する事が出来ますが、既製品ではPCケースのサイズや材質によっては使えない事がある点、構造自体は非常に簡単である事などから自分で作る人も少なくありません。
グラボを支えるための突っ張り棒は、グラボの前側(短い辺のうちモニターへの出力端子が無い方)を支えるような形で配置して使う事が多いです。
仕組みが簡単なため、既製品や自作に関係なく比較的安く導入でき、それでいながら確実な効果が出るのが利点です。
また、今使っているPCの構成を変えるのはキツイ、という人にもおすすめです。
突っ張り棒以外の支え方も
突っ張り棒が難しい人は「上から吊る」のもおすすめです。
グラボで1番垂れ下がりやすいのは、PCI-E端子が出ている方とは反対側の一番端の部分、補助電源の端子が設けられることが多いあたりです。
その部分を吊り下げるような形にすることでも、グラボの曲がりなどを抑えることが出来ます。
利点は、突っ張り棒と比べると安全に使える事、長さの調整が簡単な事です。
グラボを吊り下げるワイヤー部分には釣り糸や小さ目のチェーンなど、ある程度頑丈で重さに強いものを使うのがおすすめです。
グラボとの固定方法はいろいろありますが、糸状の物で吊り下げる場合には、端の部分のバックプレートを固定するネジ穴部分に引っ掛けて、ネジを絞めてしまうと簡単に固定できるためおすすめです。
ただし、強く絞めすぎると糸が切れる原因になるため力加減には注意が必要です。
難点は突っ張り棒と比べると固定が難しい事です。
また、他のケーブルと引っ掛かったりすることで逆に上方向に負荷をかけてしまう危険性がある事などがあるため配線には注意が必要です。
腕に自信がある人は自分で作ってみるのもおすすめ
腕に自信のある人はグラボを支える突っ張り棒を自作してみるのもおすすめです。
L字のステーや固定用のネジなど、ホームセンターで入手可能なものが多いため意外と簡単に作ることができ、サイズや高さも自分の好みに決められるのが特徴です。
部品単位の価格次第では完成品を買うよりも安く作れるのもメリットです。
自作する場合の注意点として考えられるのはケースの底面との固定をしっかり行う点です。
重量級のグラボの場合、複数のファンが搭載される事が殆どです。
そのため、何らかの理由で突っ張り棒が倒れてしまうと、グラボに突っ張り棒が巻き込まれることがあります。
突っ張り棒が壊れるだけならいいですが、ファンが壊れたり、壊れて飛び散った部品が他のパーツを傷つける事も有るため、自作した突っ張り棒を使う時はしっかりと固定する必要があります。
重量級グラボを使う時に併用したいアイテム「MSI Graphics Card Bolster」
重いグラボを使う時に便利なアイテムが「MSI Graphics Card Bolster」です。
大仰な名前が付いていますが、早い話がグラボ用の突っ張り棒です。
この製品の場合はPCケースの上下に突っ張る形で設置して、そこに固定したアームでグラボを支える、という仕組みを取っています。
一つ一つの支えのアームは薄く出来ているため、SLIやCrossFireXといった複数のグラボの重ねて搭載している場合にも使う事が出来ます。
デメリットは価格が少し高い点、使えるPCケースのサイズが限られる点、入手性があまり良くない点です。
特にPCケースのサイズには要注意です。
この突っ張り棒はPCケース内の高さが、390mmから680mmのケースに対応した製品です。
価格は少し高いですが、グラボ自体が重さで曲がる事と、マザボが引っ張られて曲がったり、端子が壊れることを防止出来るという意味ではかなりおすすめの製品です。
重量級グラボを使う時に併用したいアイテム「長尾製作所 VGAサポートステイ」
上に書いたMSI製の突っ張り棒は少し高い、でもグラボは支えたい、という人におすすめなのが「長尾製作所 VGAサポートステイ」です。
こちらは垂直のバーをPCケースの底面部にマグネットで固定するタイプになっているのが特徴です。
そのため背が低いケースや逆に極端に高いケースでも使いやすくなっています。
注意点として、グラボを支えるステーの固定が小さいネジ2本と心もとないため、超重量級のグラボを支えるには少し力不足です。
また、グラボやPC自体から出る振動で少しずつネジが緩んでしまうため、気が付かなうちに支えのステーが下がってしまう事があります。
特別重いグラボを使う人は上の突っ張り棒を使うか、ネジロック材などを使用してガッチリ固めてしまうのがおすすめです。
まとめ
高性能なグラボを選ぼうとすると、どうしても重量級のグラボになりがちです。
そのため、ゲーミングPCや高負荷作業用のPCを組む場合にはグラボの重さによる問題はどうしても付きまといます。
対策方法はいろいろありますが、中でも突っ張り棒は、低コストで確実な効果が出る上、既存の構成を変更せずに使えるため重量級グラボを使っている人は一考の価値アリです。