Radeon製グラボRX400系の最上位モデル、RX480の魅力とスペックは?
Radeonのグラボと聞くと自作に慣れ親しんだ人は「2番手メーカーの製品」といったものをイメージする人も多いかと思います。
ですが、今回ご紹介するグラボ「Radeon RX480」はスペックのわりに価格も抑え気味、消費電力なども現実的なレベルに収まっているため、2~3万円台のグラボが欲しい!
という人は候補の一つに考えてみるのもいいかもしれません。
目次
RX480のスペックは?
RX480はRadeonの新しいグラボのシリーズであるRX400系の中では現時点で最上位の製品であり、グラボ全体の性能比較ではnVidiaのGeForce GTX970やRadeon R9 390などに近い、アッパーミドル~ハイエンド最下層クラスに相当するスペックになっています。
決して手放しに高性能と言えるモデルではないものの、実売価格などを考慮するとかなりのコストパフォーマンスになるのが大きな特徴です。
また、肝心のスペックも最新のタイトルでも余程要求スペックが高くない限りはフルHD環境で最高画質に設定しても快適に遊べるため、実プレイの範囲内では殆ど性能不足を感じることはありません。
デメリットとしては、Radeonあるあるともいえる「ドライバの不安定さ」があります。
そのため、場合によってはGPU管理ツールを使ってある程度の調整が必要になるなど、GeForceのグラボと比べると手間がかかる点がネックです。
性能は上位モデルに一歩及ばないが、メリットもある
RX480は残念ながら最上位モデルと比べると性能は少し控えめになっています。
単純なスペックという意味でのメリットはそれほどありません。
比較対象はGTX970やR9 390といった少し前のグラボと比較される事が大半です。
ですが、比較対象に挙げられることが多いそれらのグラボと比べると省電力かつ低価格になっているため、単純に性能だけを見て「RX480は性能が悪い」という評価は少し早計であるとも言えます。
特に同社製品であるR9 390と比べるとその差は大きく、消費電力は100W近く少なく、GTX970と比べてもほぼ同等か少し省電力な程度に収まっています。
価格帯も発表当初こそ性能のわりに高いのでは?
とされましたが、最近はかなり安くなってきていて、安いものでは2万円前半で8GBモデルが購入できるようになっている点も大きなメリットです。
RX480はどんな人におすすめ?
RX480はハイエンド製品に手を出すほどではないが、それなりのスペックが欲しい人、つまりミドルレンジ帯のユーザーにおすすめです。
逆にこれ以外の層のユーザーの場合には、ライトユーザーでは無用の長物になりやすく、ハイエンドユーザーでは性能的にも物足りないと感じるが事が多いです。
また、初めてPCを自作する人よりも、どちらかというと、ある程度長く自作PCを使っている人向けです。
というのも先にも書いた通り、ドライバの安定感が無いため、安定するバージョンを探してドライバを入れ直したり、各種設定をいじったりという事が必要になります。
まとめると「自作には慣れているが、ハイエンド製品は必要ない人」あたりには特におすすめと言えます。
ゲームでの実力はどのくらい?
まず、大前提としてRX480ではゲーム用APIのDirectXの中でも最新のDirectX 12に最適化されています。
そのため、DirectX 11以前のVerを使用しているゲームではどうしてもベンチマークなどのスコアが下がり気味になってしまいます。
性能がGTX970やR9 390に近いと言われるのは、この「下がり気味のスコア」なため、「Radeonに最適化された」「DirectX 12で動作する」といった好条件が揃っているタイトルに限って言えば、nVidiaのGTX1060と同等か、それ以上までスコアを伸ばすこともあります。
また、今後増える事が予想されるVR系のコンテンツに対してもある程度対応出来るのもい魅力の一つです。
他のパーツの性能にもよるものの、SteamでDL出来るVRに対応できるかチェックすることができる「Steam VR Performance Test」ではVR Readyを記録しており、安定してFPS90以上を維持できるため、VRには興味があるけどそんなに高額なグラボは使えない、という人にもおすすめです。
GeForceからRadeonへ乗り換える予定の人は要注意
ドライバの変更は、どうしてもトラブルになりやすいポイントです。
特にチップメーカーの異なるグラボへ変更したときはトラブルが起きやすいとされています。
ドライバは通常のアンインストールの後、専用のドライバ削除ツールを利用してフォルダやレジストリ上に残った残骸等もしっかりと取り除くようにしましょう。
ドライバを完全に削除する事の必要性については疑問視するユーザーも少なくありませんが、無用なトラブルを回避するという点や、いざトラブルが起きた時の原因を特定しやすくするためにも面倒でも削除はしっかりと行うのが無難です。
また、RadeonのドライバはVerによってかなり安定性が変わる傾向があります。
そのため、場合によっては度々入れ直しが必要になることがありますが、この時もAMDの公式HPからDL出来るAMD Clean Uninstall Utilityを利用して、1回1回しっかり消してしまう方が確実なためおすすめです。
RX480を積んだおすすめのグラボ「PowerColor Red Devil Radeon RX480 8GB」
ケース内の容量に余裕があって静かに使いたい、という人におすすめなのが、PowerColorから出ているオリジナルモデル「Red Devil Radeon RX480 8GB」です。
中々インパクトの強い外見をしていて、8㎝クラスのファンが3基並んでいます。
全長は300mm超と非常に大きく、重さも1㎏近い重量級です。
補助電源は8ピンが1つ必要で、取り付け位置はボードのサイド部分になっています。
システム面では、OCモードとサイレントモードの2種類のVBIOSを持っていて、シャットダウン中にグラボ上に搭載されたトグルスイッチを切り替える事で変更可能になっています。
出荷状態で設定されているOCモードは最大1330MHz、サイレントモードでは1304MHzまでオーバークロックされています(リファレンス品は1266MHz)。
メモリクロックはモードに関係なく一律8000MHzで固定されています。
外見から「ファンをガンガン回して使うタイプのグラボ」に見えがちですが、OCモードでのパフォーマンスが悪いためおすすめしません。
むしろ、このグラボの利点はその高い冷却性能を活かして、サイレントモードで静かにそれなりの性能を引き出すのがおすすめです。
RX480を積んだおすすめのグラボ「SAPPHIRE NITRO+ Radeon RX480 8GB」
リファレンス相当の性能で、安く手に入れたい!という人におすすめなのがSAPPHIREの「NITRO+ Radeon RX480 8GB」です。
性能こそリファレンスをほんの少しオーバークロックしただけですが、価格はショップ価格で2万円前半と、同クラス帯のグラボの中でもかなり安くなっています。
サイズもリファレンスとほぼ同じ240mmで、上のRed Devilと比べるとケースのサイズに左右されにくいメリットがあります。
補助電源は8ピンが1基、取り付けはボードの先端部分なため、実際には240mmよりも余計に長さが必要になります。
また、上に書いたRedDevilと同様に2つのVBIOSをスイッチで切り替えられるようになっています。
1つは通常モードでコアクロックは最大で1306MHz、もう一つはリファレンスモデルと同様まで下げる安全モードのような形になっています。
価格と性能が良いバランスになっているため、今までミドルレンジ帯のグラボを使っていて、そろそろグラボを更新したい、という人にもおすすめです。
Wattmanについて
Radeonが公式にサポートしているGPU管理ツールを使用する事で、ファンの回転速度や回転を始めるGPUの温度、GPUにかける電圧などをコントロールすることが出来ます。
RX480はデフォルトの設定では少し電圧設定が高めになっているため、電圧制御の項目を手動に切り替えて、少し下げるのがおすすめです。
ネックだった消費電力も下がり、パフォーマンスが改善されることがあります。
目安としては、ステータス3~7を60~75V程度低下させるのがおすすめです。
下げ過ぎると今度は動作中に落ちたりするため、あくまでもほんの少し下げる程度に抑えるようにしましょう。
ファンコントロールに関しては、殆ど初期値で問題ありませんが、ターゲット温度が高すぎて中々ファンが回らず怖いという人は、少し下げて55℃あたりをターゲット温度に設定するのがおすすめです。
まとめ
RX480はあくまでもミドルレンジからの更新向けである事、DirectX 12に最適化されている事という点を考慮すれば低価格で性能も高いため、かなりおすすめのグラボです。
また、ネックであるドライバの不安定さも、最新のVerでは言うほど酷くはありません。
そのため「いくら値段のわりに性能が良くてもRadeonは使い辛そう…」と敬遠していた人も、この機会に一度使ってみるのもおすすめです。