AMD新時代、ついに出た! 待望のsocketAM4マザーボード特集
長らくAMDのプラットフォームは、FM2、FM2+、AM3+などの規格が乱立していました。
ある意味、これはAMDが迷走していた証拠でしょう。
そのような混乱に終止符を打つべく登場したのが、AMDの新CPU「Ryzen」です。
そのコストパフォーマンスの良さから、市場では好意的に受け入れられました。
今後「Ryzen」でPCを組んでみようかなと考えている人も、多いのではないでしょうか。
今回は、そのような人のために、おすすめのsocketAM4マザーボードを紹介したいと思います。
天才ジム・ケラーの帰還
今回AMDから発売されたCPU「Ryzen」は、性能と価格のバランスからある種の衝撃をもって迎えられました。
そのスペックを目にして、まだAMDにRyzenのようなCPUをつくれる能力があったのか、と驚いた人もいたでしょう。
近年のAMDは、それほどIntelの後塵を拝していたのです。
ただし、ジム・ケラーの存在を抜きにしては、これだけのパフォーマンスアップを成し遂げることはできなかったでしょう。
ジム・ケラーは、かつてAMDにおいてAthronやSempronの開発を主導した天才エンジニアです。
その後、アップルでiPhoneのプロセッサー開発に携わった後、再びAMDに戻り、ZenCPUの開発に参加しました。
その才能ゆえ現在はテスラモーターズ社に引き抜かれ、自動運転部門の副社長に就任しています。
今後のAMDのロードマップ
まず、Ryzen 5の発売が4月10日前後に予定されています。
メインストリームである普及価格帯のRyzen 3の登場は、2017年後半となっています。
A12-9800のようなBristol Ridge世代APUの自作市場における投入は、未定です。
ZenCPUとVega世代のGPUを組み合わせたRaven Ridge世代のAPUは、2018年の登場となっていますが、リテール(自作)市場まで下りてくるかどうかはわかりません。
個人的な考えですが、Raven Ridge世代のAPUを、早々と市場に投入してしまうと肝心のCPUやグラボが売れません。
そう考えると、Bristol Ridge世代以降のAPUは、しばらく自作市場に流れてこないかもしれません。
自作ユーザーとしては、いつ出てくるかわからないAPUを待つよりも、メインストリームのRyzen 3を購入し、自作したほうがいいのかも知れませんね。
AM4マザーボードは、どのタイミングで購入すべきか
まず、AM4マザーボードとグラボを購入し、ZenCPUを乗せ換えていくやり方があります。
今後、Zen2、Zen3の登場が明らかにされている以上、賢い選択と言えるでしょう。
もう一つの選択は、A12-9800のようなBristol Ridge世代APUの自作市場における投入を待って、AM4マザーボードを購入するというやり方です。
Raven RidgeAPUの投入は、2018年だと言われています。
もし、Bristol RidgeAPUが市場に投入されないとなると、Raven Ridgeまで、かなりの間隔が空いてしまいます。
そう考えると、Bristol Ridgeが自作市場に下りてくるのは、2017年のかなり早い段階になると思います。
最後の選択は、Raven Ridgeの登場を待ってAM4マザーボードを購入する方法です。
前述したようにRaven Ridgeは、ZenCPUとVegaGPUの組み合わせで普段使いでは、完全にオーバースペックのAPUです。
CPUの乗せ換えやグラボの購入も必要ないでしょう。
最もコストパフォーマンスの良い選択ですが、一つ時間という問題があります。
登場までにはおよそ1年近くありますし、自作市場に回ってくるかどうかもさだかでありません。
AMDユーザーからすれば、このあたりはもどかしい部分でしょう。
socketAM4マザーボードの概要
現在、自作市場に出回っているAM4マザーボードは、ハイエンドユーザー向けのX370とエントリーユーザー向けのB350のみとなっています。
まだ、品薄で若干割高となっています。
ただし、機能的にも豊富なので今後大幅に価格が下がることは考えにくい状況です。
SocketAM4の規格は、4~5年にわたって継続することがアナウンスされています。
そう考えると、価格には多少目をつぶっても、購入したほうがいいのかもしれません。
おすすめマザーボードベスト3
前述したように、AM4マザーボードの価格は、品薄で高めになっています。
ただ、デザイン的にも機能的にも、以前のマザーボードと比較すると隔世の感があります。
チップセットによる違いも多いので、それぞれの特徴を把握して購入してください。
注意すべきなのは、ATXとMicroATXの規格が混在している点です。
スリムケースを使用している方は、購入する前に気をつけたほうがいいでしょう。
MSI X370 TITANIUM MB3903
最上位を示すTITANIUM(チタニウム)という名を冠したモデルです。
PCには金を惜しまない、といった人向けのATXマザーボードとなっています。
とにかくデザインがスタイリッシュです。
ケースに飾っても、鑑賞に堪えるレベルですね。
製造元のMSIは、台湾に本社を置く世界有数のマザーボード、ビデオカードメーカーです。
さて、構成ですが、ディスプレイ端子はHDMI、DisplayPortを各1基装備しています。
基盤上には、M.2スロット×2、U.2スロット×1、SATA 6Gbps×6を搭載しています。
M.2規格のSSDを使用する場合は、強力な武器になってくれます。
メモリーソケットを4レーン装備し、最大64GBまでメモリを搭載できます。
コンデンサには、高品質・長寿命のアルミ固体コンデンサ「Dark CAP」を使用しています。
バックパネルには、USB 3.1×2、USB 3.0×4、USB 2.0×3をこれでもかと装備しています。
ゲーミング向けのマザーボードということで、迫力のある音質を提供する「Audio Boost4」という回路も備え、サウンドにもこだわっています。
PCで音楽を聴く人にとっては、かなりメリットのある機能です。
「Game Boost」という、簡単にオーバークロック設定ができる機能もあります。
唯一のネックは、4万3千円という価格でしょうか。
コストよりも性能を重視する人向けのマザーボードです。
MSI B350 TOMAHAWK MB3902
まずTOMAHAWK(トマホーク)という名前が、かっこいいですよね。
トマホークとは、ご存知の通り棍棒に斧を取りつけたインディアンの武器です。
デザインも秀逸ですね。
SocketAM4は、今後4~5年かけて使用される規格だけに、エントリーモデルのマザーボードでも価格はかなり高めになっています。
構成ですが、映像出力端子はHDMI、DVI-D、VGAを各1基装備しています。
バックパネルには、USB 3.1×4、USB 2.0×2が装備されており十分な数が確保されています。
基盤上には、M.2スロットを装備し、最大32Gb/sの転送速度で使用可能です。
メモリースロットを4レーン装備し、最大64GBまでメモリを搭載できます。
コンデンサには、長寿命の固体コンデンサを使用しています。
ストレージ関連は、SATA 6Gbpsが4ポートとなっています。
上位モデルと同じように「Game Boost」という簡単にオーバークロックできる機能や、スタジオレベルの音質を提供する「Audio Boost」という回路も搭載しています。
SATA 6Gbpsの数が4ポートと、少ない気もしますが、エントリーモデルとしては、十分すぎる機能を備えたおすすめのマザーボードです。
これなら、15000円前後という価格にも納得です。
BIOSTAR B350ET2
予算に限りがある人向けのマザーボードです。
前述したように、AM4マザーボードは、まだ数が少なく価格も高めです。
BIOSTARは、1986年に創業した台湾の老舗メーカーです。
自作ユーザーにとっては、知る人ぞ知る激安マザーボードメーカーなのです。
OEM市場や海外自作マーケットでは、それなりのシェアを誇っていますが日本ではマイナーな存在です。
構成ですが、ディスプレイ出力端子はDVI-Dひとつしかないというシンプルさです。
メモリースロットは2レーンで、M.2スロットは非搭載と機能も必要最小限に抑えられています。
バックパネル回りは、USB3.0× 4、USB2.0× 2と十分な数が確保されています。
MicroATXなので、省スペースのケースにも対応できるというメリットがあります。
価格は、9000円程度で販売されています。
機能を必要最小限まで絞り1万円未満の価格に抑えた、リーズナブルなAM4マザーボードです。
まとめ
AM4マザーボードは、まだ登場したばかりで品薄ですが、選択肢はそれなりにあります。
購入前に、色々と比較検討するのもパーツ選びの楽しみの一つです。
CPUやグラフィックボードの性能も向上し、PCは頻繁に買い替えるものではなくなりつつあります。
まずは5年間以上使用することを前提に、パーツ選びをしてみてはいかがでしょうか。
この記事が、あなたのマザーボード選びの参考になれば幸いです。