ミドルレンジと呼ばれるグラフィックボードの実力はどのくらい?
グラフィックボードには性能や価格帯でローエンドやハイエンドといったクラス分けがされていますが、その中にはどちらにも属さない中間層として「ミドルレンジ」と呼ばれるクラスが存在します。
ミドルレンジのグラフィックボードは性能と価格の両立がされていますが、その反面性能を持て余したり、逆に全然性能が足りなかったりというトラブルになりやすいクラスでもあります。
今回は、そうしたミドルレンジのグラフィックボードについてはまとめました。
目次
ミドルレンジは中間層に位置するクラス
グラフィックボードに限らず、PCパーツは最上位をハイエンド、最下位をローエンドとした数段階のクラス分けが存在します。
その中でもミドルレンジと呼ばれるクラスは、ハイエンドとローエンドのどちらにも属さない中間層に位置するクラスです。
レンジ(=範囲)という名称からも分かる通り、ハイエンドやローエンドと比べるとモデルによって性能に上下の開きが大きいのが特徴で、同じミドルレンジに属するモデルのグラフィックボードでも性能はかなり異なる製品というモノもあるのが大きな特徴です。
ちなみによく使われるクラス分けに「ミドルエンド」という表現もあります。
ミドルエンドと呼ばれる場合は、殆どのケースで「ミドルレンジの最上位」に位置する性能を持つモデルに対して使用されます。
ただし、ミドルエンドは「中間層なのにエンド(終わり、終端)」という事で違和感を覚える人も居るようです。
ミドルレンジは特徴が薄い?
コスト度外視で最上級の性能を持つハイエンドモデルや、逆に最低限の機能に絞る代わりに低コストかつ特徴の強い製品が多いローエンドモデルと比べると、ミドルレンジと呼ばれる製品は良くも悪く普通な製品が多いとされる事があります。
実際、グラフィックボードを見てもハイエンドモデルは性能を重視するために、2重反転ファンを2基搭載し、合計で4基のファンで冷却するといったぶっ飛んだ構想のモデルもあったりと、かなり冒険している節があります。
それに対してミドルレンジのグラフィックボードにはそういった特殊性はない傾向が強いです。
しかし、その分旧モデルから受け継いできた確立されたノウハウを用いて作られる製品が多いため、ハードウェアとしては地味でも動作面では安定した製品が多いのも事実です。
しっかりと冷えて、しっかりと動く、それでいながら手に取りやすい価格、ミドルレンジの魅力はそういったバランスの良さと質実剛健な部分にあると言っても良いと思います。
ミドルレンジのグラフィックボードの性能は?
ミドルレンジとして扱われるグラフィックボードの多くは、ローエンドモデルと比べるとかなりスペックが上がっている事が多いです。
個人ユーザーのグラフィックボードの用途として多いゲームプレイの場面においては、主に数年前のタイトルをフルHDかつ最高画質でのプレイしたい人、最新タイトルをフルHDかつ中~低設定で遊びたい人がターゲットになる性能を持っています。
特にオンラインゲームのように、ある程度継続して特定のタイトルを遊ぶ人にとっては「過去のタイトルをしっかり遊べる点」と「最新の気になるタイトルを遊べる点」が両立できるためおすすめのクラスと言えます。
しかし、グラフィックボードに関連した技術の進歩はかなり早く、世代による差が激しい点、特定の要素ではなく複合的な性能から全体の性能が決まる点もあり、クロック周波数などに代表される特定の性能の具体的な数値を差して「このあたりからミドルレンジ」といった明言はされないことが殆どです。
最新のゲームは低画質でも意外と綺麗?
ミドルレンジでは、最新タイトルでは中~低画質でのプレイになると書きましたが、これは必ずしも汚い画質でしか遊べないという意味ではありません。
理由としては、最近の3Dゲームの傾向として低画質設定でもかなり綺麗なグラフィックを体験できるゲームが増えている点があります。
昔のゲームの低画質モードというのは本当に低画質であったのに対して、最近のタイトルの低画質モードはどちらかというと低画質を基準にして更に綺麗な画面でプレイしたい人が選ぶのが並~高画質となっているタイトルも少なくありません。
そのため、低画質だからといって気になるほどの酷い画質のタイトルは減っているため、ミドルレンジでもかなり満足して遊べる事が多いです。
例えば、高画質なグラフィックがウリの1つとなっているMMORPG「黒い砂漠」は最新のタイトルでこそありませんが、通常の画質モードの中で最も低い「VeryLow」でもかなりリアルかつ高画質なグラフィックや気候の表現がされています。
ミドルレンジのグラフィックボード、価格はどのくらい?
現行世代の場合には、大抵はオリジナルモデルで2~4万円前後が多いです。
同じGPUを搭載したモデルであっても、VRAM搭載量によって複数種類のバリエーションが用意されている事があり、当然VRAMの容量が大きい方が割高になります。
現行世代以外の場合には、技術の進歩が原因で古い世代のハイエンドモデルの相対的な性能が下がり、ミドルレンジ相当の扱いを受けるようになった場合にも大きく値下がりしてこの価格帯に近づくことがあります。
そういった場合には元がハイエンドモデルという性質上、ワンランク性能の高い部品などを採用している事も有ってかミドルレンジの中でも高めの価格帯に落ち着くことが多いです。
また、こうした値下がりは現行世代のミドルレンジクラスでも起こるため発売直後をピークに時間の経過に合わせて徐々に価格が安くなる傾向があります。
ミドルレンジのグラフィックボードを使う場合の注意点
ミドルレンジのグラフィックボードを使う場合の注意点として考えられるのは以下のポイントです。
- 補助電源の有無
- グラフィックボードそのもののサイズ
- ケースの排熱能力
1つ目の補助電源の有無は特に注意が必要なポイントです。
ミドルレンジモデルは6ピンか8ピンの補助電源が必要な事が多いため、必要な本数をしっかりと接続して使うようにしましょう。
また、併せて電源容量も400W以上の物を推奨される事が多いです。
次に問題になり易いのが、ボード自体のサイズです。
大きい物では30センチ近いため、事前にケース内の空間と製品のサイズについて調べるのがおすすめです。
そして、意外と忘れがちなのが、排熱能力です。
ローエンドモデルと比べると発熱量がかなり多くなります。
温度が高い状態は他のパーツにも良くないため、しっかりと排熱出来る環境を作るのが重要です。
以上の3点がミドルレンジのグラフィックボードを使う上では注意した方が良いポイントです。
おすすめミドルレンジ「MSI GTX 1060 ARMOR 6G OC」
MSIのゲーミンググラフィックと言えば、赤と黒のツートンカラーが特徴的なGAMING Xのイメージが強い人も居るかと思いますが、今回紹介するARMORシリーズのGTX 1060 ARMOR 6G OCもおすすめです。
GAMING Xシリーズとの大きな違いは、300g近く軽量化されている点です。
重さは700g程度まで抑えられていて、ミドルレンジの製品としてはかなり軽量な部類に入ります。
そのため、重量対策がされていないマザーボードを使用している人などでも安心して導入出来るというメリットがあります。
BIOSが1モードしかない等、GAMING Xよりも劣る点もありますが、GTX 1060自体が高性能である点や、機能が絞られている分だけ価格が抑えられている点も含めると非常におすすめのグラフィックボードです。
おすすめミドルレンジ「SAPPHIRE PULSE Radeon RX580 8G OC」
ゲームだけでなく動画にも強いミドルレンジモデルのグラフィックボードが欲しいという人には、SAPPHIREからRadeonのRX580を使用しているモデルの「PULSE Radeon RX580 8G OC」がおすすめです。
RX480のリネーム&OC品となるRX580は消費電力が大きいのがネックでしたが、SAPPHIREの新しいシリーズである「PULSEシリーズ」では同メーカーのNITRO+シリーズよりもクロック周波数を若干抑える事で、RX480に近いスペックにしているのが特徴です。
ただし、NITRO+のRX480と比べるとサイレントモードへの切り替えが出来なくなっているなどの違いがあるため、完全にRX480と同じというわけではありません。
ネックだったワットパフォーマンスもだいぶ改善されている上に、価格もだいぶ落ち着いてきたため、ゲームもするが動画も鮮やかな色で見たい、という人にはおすすめのグラフィックボードです。
まとめ
ベンチマークのスコアで高い点数が欲しいといった用途でないのであれば、ミドルレンジのグラフィックボードで、十分満足できると思います。
そのため、もしグラフィックボードを何にするか迷ったらまずはミドルレンジから検討してみるのも良いと思います。
今回紹介したグラフィックボードに限らず、ミドルレンジクラスではゲームを集中するなら「GTX1060」を、ゲームもするが動画も綺麗な色で楽しみたいという人は「RX580」か「RX570」がおすすめです。