アップグレード版Windows10でマザーボードを交換する際の注意点
Windows8以前のOSからアップグレードしたWindows10を使っている場合、マザーボードなどの大きなパーツを変更したときに認証できなくなる事があり、最悪の場合はOSを新規に買い直さなければならなくなります。
今回はそういった面倒なトラブルを未然に防ぐための注意点と、実際にマザーボードを交換する時の準備や手順についてまとめました。
目次
マザーボードを変更するとOSが認証されなくなる?
自作PCを組んだことがあるユーザーには馴染み深い話ですが、マザーボードをはじめとする一部のパーツを変更するとOSの認証が一時的に通らなくなり、一部の機能に制限が付きます。
この状態を解除するためには再び認証を通す必要があり、それにはプロダクトキーと呼ばれるOS購入時などに封入されている25桁のコードが必要になります。
ですが、俗にアップグレード版と呼ばれるWindows8以前のOSから無料でバージョンアップしたWindows10には固有のプロダクトキーが存在せず、マザーボードなどを交換するとプロダクトキーを用いた認証が出来ない、という特徴があります。
また、アップグレードするよりも前に使っていたOSで認証していたプロダクトキーについてもWindows10では認証することが出来なくなります。
そのため、Windows10がインストールされたPCのマザーボードなどを交換するためには、プロダクトキーとは違う方法で認証出来るようにしておくための準備が必要になっています。
再認証が必要になる可能性があるパーツについて
パーツの変更によって再認証が必要になる基準については不明瞭で、どこからどこまでが不要といった事は明確になっていません。
ですが、PCの構成の根幹をなすマザーボードやCPUといった動作に不可欠なものを変更すると再認証になる傾向が強いとされています。
メモリについては不明瞭で、別の物に差し替えたら再認証が必要になったり、増設する程度ではそのまま認証されたりと、状況によって変化することが多いです。
データーを保存するストレージについては、最初に読み込むストレージを変更すると(そもそもOSが変わるから当然ですが)再認証が必要になることがありますが、Dドライブ以降のストレージは変更したり、追加しても認証が必要になる事は殆どないです。
また、グラフィックボードの追加や変更では再認証が必要になるケースは殆どなく、電源やモニタなども再認証が要らない事が多いです。
最も簡単な対策はデジタルライセンスへの移行
この問題を解決する上で最も簡単かつ確実な方法として、認証をデジタルライセンスに移行する方法があります。
アップグレード版のWindows10では、プロダクトキーによるライセンス認証ではなく、Microsoftアカウントとの紐づけがされたデジタルライセンスによる認証が可能になっています。
このアカウントを使用してログインする事で、元々のPCとパーツの構成が変わってしまっていても、適切な手順を踏む事で認証し以前と同じように使う事が可能になります。
ちなみにデジタルライセンスへの移行が必要なのはあくまでもアップグレード版のWindows10のみです。
新規に購入したWindows10に関しては固有のプロダクトキーが付属し、再認証が必要になった場合はそれを入力することで再認証することができるため、デジタルライセンスへの移行は必要ありません。
デジタルライセンスが発行できるのはver1607以降
認証をデジタルライセンスで行えるようにするには、事前にWindows10のバージョンを1607以降にしておく必要があります。
使用しているOSのバージョンは、画面左下にあるWindowsのマークを右クリックし「システム」を選択する事で現在使用しているPCにインストールされているOSのエディションやバージョンを知る事が出来ます。
OSのバージョンが1607を下回っているとデジタルライセンスへの移行をするために必要なメッセージが表示されず、ライセンスの移行が出来ないため、予め更新プログラムの確認等をして更新しておくようにしましょう。
デジタルライセンスへの移行手順
デジタルライセンスへの移行に必要な物は、Microsoftアカウントです。
アカウントが準備出来たら、画面左下にあるWindowsのマークを右クリックし「設定」をクリックし、アカウント、ユーザーの情報と進み、「Microsoftアカウントでのログインに切り替える」を選択します。
選択するとアカウントのメールアドレスとパスワードが要求されるため入力しサインインします。
現在のWindowsのパスワードが要求されるため、設定している場合は入力、それ以外の場合には空白で「次へ」を選択します。
4桁のPINを設定するように言われるため設定しますが、必要ない場合にはスキップする事も可能です。
ここまでで、Microsoftアカウントでのサインインに切り替わりますが、更に本人確認をする必要があります。
Microsoftアカウントに登録したアドレスや電話番号に必要なコードが送られてくるため、それを入力することでMicrosoftアカウントでのサインインへの切り替えが完了します。
ライセンス移行後もローカルでのログインは可能
自分しか使わない完全に個人的なPCの場合などでローカルアカウントにパスワードをかけずに使用していた場合などは、Microsoftのアカウントだとログインするたびにパスワードの入力が必要で面倒くさい、という人も居るかと思います。
デジタルライセンスへ移行した後でも、設定画面の「ユーザーの情報」タブを選び、中ほどにある「ローカルアカウントでのサインインに切り替える」を選択し、指示に従って操作をする事でローカルアカウントでのログインに切り替える事が可能です。
自分しか使わないPCなど、パスワードをかけなくても問題ない場合にはデジタルライセンス移行後に再びローカルアカウントでのログインに戻して使うのもおすすめです。
なお、デジタルライセンスへの移行後にローカルでのログインに戻すと、本人確認が一旦初期化されるため、マザーボードなど再認証が必要になるパーツを変更する直前は念のためMicrosoftアカウントでのログインに切り替え、再度本人確認をしておいた方が無難です。
パーツ変更後のライセンス再認証の手順
マザーボードなどを変更し認証が切れると、設定画面の下に「Windowsがライセンス認証されていません。
今すぐWindowsをライセンス認証してください。」という文字が表示されるようになります。
この文字が表示されたら、設定のホーム画面から「更新とセキュリティ」の中にある「ライセンス認証」のタブをクリックして、一番下に表示されている「トラブルシューティング」をクリックします。
ここで大抵はライセンス認証に失敗しますが、同時にウィンドウの下に表示される「このデバイス上のハードウェアを変更しました」を選択し、表示された一覧から使用中のPCを選択して「アクティブ化」を選択する事で、再認証をすることが出来ます。
デジタルライセンスへの移行をしなかった場合
デジタルライセンスへの移行を行わなかった場合に再認証を求められた場合、基本的には解決方法は無いと思った方が良いです。
というのも、Windows8以前のOSやWindows10のバージョン1607よりも前のOSで使うことが出来た電話による認証が、デジタルライセンスが導入されたバージョン1607からは使用できなくなっているため、デジタルライセンスが無い状態での再認証は実質的に出来ない状態になります。
比較的簡単にできる解決策としては、新規にプロダクトキーを入手して新しく認証するのが確実です。
新しいプロダクトキーについては、パッケージ版やDL版を購入する事で入手できる他、DSP版と呼ばれるパーツと一緒に購入・使用する事を前提に安く売られているものがあります。
まとめ
新しいCPU規格も登場し、それに対応したマザーボードも出始めたため、そろそろPCを大幅に変更する、という人も多いかと思いますが、古いPCが動作するうちにデジタルライセンスへの移行をしておくのがおすすめです。
また、これは個人的な意見ですが、マザーボードなどのパーツを変更した後の再認証絡みのトラブルを未然に防ぐという意味では、デジタルライセンスに移行するよりも多少コストがかかってもパッケージ版やDL版のOSを一度買ってしまうというのも、選択肢の1つだと思います。