コンパクトかつ実用的なITX規格のマザーボードを使う時に注意したい事
自作PCと言えばATX規格のマザーボードが主流ですが、それ以外にも様々なサイズのマザーボードがあります。
ITX規格もその1つで、非常にコンパクトかつシンプルな構成のマザーボードが揃っているため、愛好するユーザーも多い規格のマザーボードです。
今回はそうしたコンパクトで実用的なITXマザーの魅力と実際の組むときの注意点についてまとめました。
目次
ITXについて
ITXというのはマザーボードのサイズの規格であるフォームファクタの1つです。
元々は台湾のVIA Technologiesという会社が開発したフォームファクタで、正確には「Mini-ITX」と呼ばれます。
この規格のマザーボードのサイズは170mm×170mmが主で、ATX規格の305mm×244mmと比べると分かるように、自作PC向けに市販されているマザーボードとしてはかなり小さい部類に入ります。
以前は使えるパーツが限られたものしかないうえ種類も少なく、マザーボード1枚当たりの価格も割高など、お世辞にも自作向けとは言えない規格でしたが、最近は各メーカーが発売し出したことでマザーボードの種類が大きく増えた事に加えて、対応するケースも充実しているため、自作PCとしても組みやすい規格の1つになりました。
最大の魅力はコンパクトさ
ITX規格のマザーボードを使う上での一番の魅力は、やはりそのコンパクトさにあると言っていいです。
先にも書いた通り、マザーボードそのもののサイズは170mm四方と非常にコンパクトです。
そのため、ITXに対応しているPCケースの多くはマザーボードのサイズに合わせて非常にコンパクトな作りになっている事が多く、「PCを自作したいけど、場所を取るミドルタワー型PCは置き場に困る」という人でも使いやすいサイズになっています。
デザインもごく普通のミドルタワー型をそのままスケールダウンしたようなデザインの物から、キューブ状のケースや、少し厚めのDVDプレイヤーのような外見をした全高を押さえたデザインのものまで様々な種類があるのも特徴の1つです。
また、コンパクトさだけでなく、グラボやSSDといったPCの快適な動作に欲しくなるパーツもしっかりと搭載できるため、サイズの反して使い心地も悪くありません。
拡張性は低いがシンプルで使いやすいとも言える
ITX規格のマザーボードは基板のサイズそのものが小さいため、基本的に拡張性は高くありません。
例えば、メモリは2スロットのみ、PCIeはx16が1スロットのみというのがITXマザーでは一般的です。
また、SATAポートに関しては4~6スロットと一般的なATXマザーと大差ない数が搭載されていますが、こちらはITXのマザーボードに対応したケース側がそこまでたくさんは搭載出来ない事が多いため、実際に使えるのは2~3スロットと思った方が良いです。
ただし、これらはあくまでも拡張性が悪いというだけで、逆に言ってしまえば、必要最低限のラインは十分満たしているとも言えます。
例えば、メモリ16GB(8GB2枚)にグラボ1枚、SSDとHDDを1台ずつという、シンプルな構成ならITXのマザーボードとケースで充分再現できる構成です。
そのため、最低限の構成さえ使えればOKという人には余計なものが付いてないシンプルさが逆に使いやすいとも言えます。
ITXマザーでPCを組むときの注意点
ITXマザーでPCを組む場合、通常のPCを組む時と比べて組み込みそのものが若干難しいことが多いため注意が必要です。
特にケース内が狭いため、パーツを取り付ける順番によっては取り付けられなくなる事も有るため、事前にある程度取り付け手順を考えておいた方が良いです。
また、ケースに組み込んでからメモリなどにトラブルが起きると対処がかなり面倒なことになるため、組み込む前に最小構成での動作チェックを行うのが理想的です。
使用するケースによってはグラボを斜めに入れつつスロットに差し込む、といった通常では行わないような方法で取り付けをしなければならないものもあるため、組む前にしっかりと調べておいた方が良いです。
各パーツのサイズ制限に注意
ITXのマザーボードを使ってPCを組む場合、ITXに対応したケースは通常のケースよりも小さいため各パーツに使えるサイズの上限が設定されている事があります。
特に多いのがCPUクーラーで、ケース側で全高○○mmまでといった制限が設けられている事があります。
このサイズを超えてしまうと取り付ける事自体は可能でも、ケースのパネルが締まらなくなるといったトラブルの原因になるため、事前に購入するケースとパーツのサイズ関係について調べておくのがおすすめです。
また、グラボに関してもケースによってはロープロファイル限定だったり、2スロット占有までという制限があったりするため、グラボを搭載する予定がある場合にはそちらも確認しておいた方が良いです。
発熱への対応
ITXのマザーボードを使ったPCを組む場合が発熱への対応が難しい点が大きなデメリットになっていましたが、この点は少し前と比べると省エネかつ高性能なパーツが多く使えるようになった事やエアフローを意識したケースの登場などもあり、かなり改善されていると言えます。
実際の対策としてはケースファンを搭載出来るケースを選んで、ケース内のエアフローをしっかり確保する事が簡単かつ重要です。
また、確保したエアフローを妨げないためにもケース内にケーブルを詰め込まず、ケーブル類は極力ケースの裏側を経由して配線するようなどとの対策をするのもおすすめです。
特に電源ユニットの使わないケーブルはかなり場所を取るため、余計なケーブルを取り外すことが出来るフルモジュラー式を採用している電源を使うのも効果的です。
かつてのITXマザー対応ケースよりもはるかに進歩しているのは事実ですが、それでも通常の自作PCと比べると冷却性能が確保し辛い事には変わりないため、油断は禁物です。
おすすめのITXマザー「ASUS ROG STRIX B250I GAMING」
ITXのマザーボードでどれにするか迷ったのなら、ASUSから出ているIntelのB250を搭載したマザーボード「ROG STRIX B250I GAMING」がおすすめです。
ゲーミングという名称の通り、ゲーミングPC向けのマザーボードですが、価格は13,000~14,000円と比較的手に取りやすく、必須の機能をしっかり押さえている他、ファンコントロール機能や、高品質オーディオ、M.2用のヒートシンクなど、地味に嬉しい機能も備えているため、かなりおすすめのマザーボードです。
若干変則的な配置ではあるもののM.2 SSDを2枚(基板の表と裏に1枚ずつ)搭載できるため、冷却能力を確保できるのであればこちらを使用してみるのもおすすめです。
ただし、唯一気になるポイントとして、4基配置されているSATAポートのうち2基がメモリを挟んでマザーボードの内側にあるため、そちらを使う場合にSATAケーブルをメモリの上に通さないといけないため、少し見栄えが悪くなる点がデメリットと言えます。
おすすめのITXマザー対応ケース「Ryantek PRIMO P115A_BK」
ITXのマザーボードに対応したケースを探しているのなら、Ryantekから出ているケース「PRIMO P115A_BK」が中々面白いケースなのでおすすめです。
このケースはITX対応ケースとしては珍しく裏側配線に対応しているため、ITXケースにしてはかなりスッキリとした配線をすることが出来る他、多少の制限こそあるものの前面と背面にケースファンを搭載できるため、エアフローを確保もしやすくなっています。
ただし、ITX対応ケースの例にもれず、パーツのサイズに制限があるため、注意が必要です。
特にCPUクーラーとグラボに関しては公式に発表されているサイズ制限がギリギリのラインを指定しているので、確実に組み込みたい場合には公式のサイズ制限よりも10~20mm程度余裕を持ってパーツを選ぶのがおすすめです。
価格も安く、パーツのサイズさえ合えばハイエンドなグラボなども搭載出来るため、コンパクトゲーミングPCを組みたいという人にもおすすめのケースです。
まとめ
ITXのマザーボードやその関連のパーツ、対応ケースなどはサイズの制限が多いため面倒な部分も多いですが、それと同じくらい選ぶ楽しみや組む楽しみもあります。
特に、コンパクトな筐体にきっちり整然と収まったパーツは見た目の満足感も強いため、ITXのマザーボードはコンパクトかつハイスペック、そしてシンプルなPCを組みたいという人におすすめのマザーボードです。