GTX1080からみるグラフィックボードの役割と構成
映像系のコンテンツやPCゲームを楽しもうとするときに1つのハードルとなるのがグラフィックボードの導入です。
ですが市場には無数のグラフィックボードが存在するので何を選んだら良いのか分からなくなるのも無理はありません。
そこで今回は1つの指標となるGTX1080というグラフィックボードからその役割や他の種類のものについてもみていきましょう。
PCのグラフィック表示機能
一般的に使われているPCはグラフィカルな表現が可能で写真や絵はもちろんソフトウェアもカラフルに表現されているものです。
これは全てグラフィック表現ということができ、この機能を実現しているものがグラフィックコントローラというものとなります。
グラフィックコントローラには様々なものがありますが、現在ではGPU(Graphics Processing Unit)というグラフィックに特化したパーツが担当している形です。
GPUは一般的にはマザーボードと一体化したオンボードGPUとして搭載されており、普通はGPUのことについて意識することはありません。
マザーボードというのはパソコンのパーツを取り付ける基盤で、計算をするCPUや補助記憶装置のSSDや主記憶装置のメモリといったパーツを搭載することができます。
そのマザーボードにデフォルトで搭載されているパーツなので普段はGPUの役割なんて知らなくても構わないわけです。
ただそうしたオンボードGPUは最低限の性能しかもっていません。
もちろん技術の進化によりその性能も向上しつつあるのですが、そのときのグラフィックス技術からみれば性能は劣っているものなのです。
そもそも用途が普段の作業における最低限のグラフィックス機能であってゲームや3Dコンテンツを楽しむために適してはいないといえるでしょう。
必要以上の機能を搭載する理由もないのでオンボードGPUの性能は低めなのです。
ではゲームや3Dコンテンツを楽しみたいときに何を導入すれば良いかというと、それはオンボードGPUに代わるパーツとなります。
そしてそのパーツこそがグラフィック表示機能に特化したグラフィックボードなのです。
グラフィックボードはグラフィックの計算を担当
PCのパーツにはそれぞれ役割が存在します。
CPUはありとあらゆる演算を行い、メモリは高速なアクセスを可能とする記憶領域を提供し、SSDやHDDは長期間記憶できる補助記憶装置です。
それからマウスやキーボードは入力装置として活躍しますし、他にも電源装置は電気の安定した供給を、ファンは排熱をそれぞれ担当しています。
ではグラフィックボードは何を担当しているのかというと、名前の通りグラフィック処理を担当しているのです。
グラフィックの処理というのはいわば計算です。
どの座標にどのようなデータをどう表示するのか、を計算し映像信号としてそれを表現する形となります。
ですが計算をするなら既にCPUというパーツが存在しています。
次になぜグラフィックボードが必要となるのか確認しておきましょう。
グラフィックの計算に特化している
CPUは常にありとあらゆる計算を行っています。
むしろPC上の作業のほとんどはCPUによって成立しているといっても良いでしょう。
タスクマネージャーを起動してみるとわかりますが、プロセスやサービスとして実行されているものはCPUによって計算され続けている状態といえます。
膨大すぎる計算をずーっと続けているわけです。
そしてCPUは逐次そういった処理をこなすように作られています。
そのため例えば1つの巨大な処理を目の前にすると計算に時間がかかりフリーズしたりするわけです。
ではどういったものが巨大な処理なのかというと、その代表例がグラフィック処理となります。
グラフィック処理はデータも重ければ計算処理も膨大になるという正にCPUの天敵です。
特に3Dはデータ量が多く、とてもCPUの逐次処理だけでは捌けるものではありません。
そこで大きな助けとなるのがグラフィックボードなのです。
並列処理に特化したパーツ
グラフィックボードに搭載されたGPUはCPUのような逐次処理ではなく並列処理を得意としています。
1つ1つの点を計算していくというよりは面で計算するようなイメージといえるでしょう。
そのため一気に大量のデータを処理することができるわけです。
例えばCPUにおけるグラフィック処理を点描画とするならGPUにおけるグラフィック処理はハンコのようなものとなります。
もし数十枚の絵を描かなければならない場合、点描画とハンコを押すのではどちらの方が高速なのか想像してみると分かるでしょう。
なおグラフィックボードに搭載されているGPUは基本的にオンボードGPUとは比較にならないほど良い性能となっています。
専用パーツとして扱われるだけの価値があることは1度でも導入すれば直ぐに分かるはずです。
グラフィック処理を専門に担当してくれる非常に有用なパーツといえます。
GTX1080の性能の高さ
GTX1080はいわゆるハイエンドと呼ばれる区分に属するグラフィックカードで、性能は他のグラフィックカードと比べても格段に高いといえます。
グラフィックカードにはローエンド、ミドルレンジ、ハイエンドというように価格帯と性能が区分けされて展開されている状況なのですが、GTX1080はまさにハイエンドの性能を有したエースのような存在といえるでしょう。
まずコア数なのですが、これは2560個となっています。
CPUではi5に5個、i7に7個搭載されているコアですが、GPUの世界では桁が2つ異なりGTX1080には2560個搭載されているわけです。
これだけでもGPUがいかにグラフィックス処理に特化しているかが分かります。
7個のコアと2560個のコアのどちらで計算した方が速いかは明確です。
またベースとなるクロック周波数は1,607MHzとなっています。
クロック周波数というのは計算時に同期をとる信号を1秒間に何回発信できるかというもので、高ければ高いほど高速な計算が可能となる指標です。
いわば秒間で計算できる回数と考えても良いでしょう。
この点だけをみるとCPUよりは劣っているのですが、コア数が2560個もあるので十分すぎるほど高いクロック周波数ともいえます。
なお発売当初、途轍もない性能と謳われたグラフィックスカードのGTX TITANのクロック周波数が1,000MHzなのでその1.6倍程度の性能を有していることになります。
新機構のメモリ
GTX1080の特徴として最も強いものが新機構のメモリであるGDDR5Xを採用している点にあります。
グラフィックスカードには主記憶装置としてメモリが備わっており、これもグラフィックスカードの性能を左右する要素なのです。
これまではGDDR5という機構のメモリを採用してきましたが、GDDR5Xになることで飛躍的に性能が上昇しました。
そのクロック周波数はなんと10,000MHz、GTX TITANでは7,010MHzなので約1.4倍の高速化を果たしたことになります。
誰もが欲しいパーツ
GTX1080は忌憚の無い言い方をすれば誰でも欲しいパーツといえます。
もし購入できる予算があるならおすすめしたいところです。
様々な点で高速化を実現した優秀なPCパーツともいえるでしょう。
電源に注意
これはGTX1080だけのことではなくグラフィックカード全般についていえることなのですが、導入時には電源容量に気をつけておきましょう。
グラフィックカードは電気を食うパーツですし、それまでグラフィックカードを使ってこなかったPCの場合は電源が貧弱なものかもしれません。
購入時にはグラフィックカードの消費電力と電源の供給量をチェックすることが必要です。
まとめ
GTX1080の性能やグラフィックボードの役割についてみてきました。
グラフィックボードはリッチなコンテンツを楽しむために必要不可欠なパーツであり、GTX1080は正にその最先端に位置するパーツです。
そのためそれなりに高価なのですが、もちろんそれなりの性能を有しています。
充実したグラフィック環境を構築する上でおすすめのPCパーツです。