グラフィックボードを長く大切に使うために…取り扱い方と負荷の解説、メンテナンス方法について
グラフィックボードを交換されるかた、特にハイエンドタイプをチョイスされたにとっては、「グラフィックボードの取り回し方・耐久性」は一番気になるところではないでしょうか。
パソコンの仕様目的によっては、グラフィックボードへの負荷が多きすぎることでその目的が達成されないような不安もあります。
そこで、自作マシン初心者~自信のある方まで必読の、物理的・ソフトウェア的負荷などについてお話しをします。
目次
グラフィックボードの取り付け方/外し方
グラフィックボードの物理的故障の原因に多いのが、差込口の故障。
この原因、実は取り付け・取り外しの際のダメージの蓄積であることも少なからずあります。
そこで、初めてグラフィックボードをメンテナンス・交換する方向けに、基本的な取り付け方、取り外し方について簡単に解説します。
取り付けのコツ
まずここで注意しなければならないのは、グラフィックボードの固定方法です。
1、差込口がマザーボードのスロットに固定されている
2、差し込んだとき、グラフィックボードの短辺側にある金具が、ネジ等でPCケースのスロット部分に固定されている
これが基本的なグラフィックボードの固定方法になります。
ディスプレイ専用に、グラフィックボードをマザーボード上に寝かせるように取り付ける事のできるアタッチメントの販売もありますが、ここでは通常の取り付け方についてお話をします。
ポイントとしては、・無理に押し込まない
特に、ファンが2つ以上ついているような長辺の長いタイプのグラフィックボードは注意しましょう。
マザーボードのスロットに差込口を入れたら、全体をまんべんなく押さえて「カチッ」とストッパーの音がなるまで、ゆっくりと。
以上を守れば、簡単に取り付けができます。
取り外しの際の注意点
取り外しの際も要注意です。
前述の固定方法を踏まえて、必ずこの順番で取り外しましょう。
1、PCケースにグラフィックボードを固定している金具あるいはネジを取り外す
2、マザーボードから引き抜く際は、スロットの端にあるストッパーを押しながら引き抜いていく
ハイエンドモデルのグラフィックボードほど、重量があり取り回しが難しくなります。
マザーボードの他の部分やPC内の他のパーツに接触したり、取り外した後に誤って落としてしまったりすることのないよう、慎重に作業を行いましょう。
GPUに負荷がかかる処理とは
メンテナンスや長持ちをさせる秘訣のお話しの前に、そもそもグラフィックボードにかかる負荷…つまり、GPU処理が大きくなるPC上の操作について説明をいたします。
動画全般
高画質の動画再生・編集には、GPU処理を使います。
しかし、ようやくPC市場にも進出し始めた4K画質などの再生・編集等でない限り、その負荷は比較的少ないと言えるでしょう。
ゲーム
そもそもグラフィックボードを搭載する目的がこれである、という方が大半だと思います。
そこで、3Dゲームを例にして具体的に負荷のかかる部分を指摘していくと
・背景(特に遠景)の3D処理
・MMOなどで、多数のプレイヤーを同時に描画する際
・魔法や攻撃などのバトルエフェクト
・水の表現(水面の表現が繊細なタイトルほど負荷がかかる)
こういった部分になります。
Photoshop・Illustrator
これらの画像処理ソフトは、GPU演算機能を多く使うような設計になっています。
また、CADなど製図に用いられるソフトでも、同様にCPUパワーよりもGPUのほうを要求するものが多くなります。
FF14のベンチマークソフトを使ったテスト
一般にベンチマークテスト用として広まっているソフト「3DMark」でも負荷を確かめることはできますが、おすすめはゲームの動作確認用のベンチマークソフトを一定時間稼働させ続けることです。
最近のもので、ことグラフィックボードの性能を確かめるのに向いているのは、「ファイナルファンタジー14新生エオルゼア」のベンチマークソフトです。
前述したグラフィックボードへの高負荷処理を中心にテストする傾向にあり、連続再生し続けて負荷チェックをすることで、より正確なグラフィックボードの耐久性や限界を知ることができます。
PCケース内の温度が重要
つまるところ、グラフィックボードのパフォーマンス・耐久年数に最もかかわるのは、普段の使用中温度でしょう。
ハイエンドタイプのグラフィックボードには、そういったことも想定して特殊なヒートシンクなどを搭載しているのが基本ですが、
・普段からPCケース内の温度が55度を超えている
・温度を計測したことはないが、PC本体を窓際などの日当たりの良い場所に置いている
・PC内のメンテナンスはほとんどしない
こういった方は要注意です。
この後は、グラフィックボードに最適なエアフローを、PCケースの型や内部の配置に基づいて考えてみます。
グラフィックボードのためのエアフロー
グラフィックボードをきちんと冷やしてパフォーマンス・耐久年数を上げるには、どうすればいいのでしょうか?
PCケース内の空気の流れを把握する
ミドルタワー~フルタワーケースであれば、「全面から吸気・背面や上面から排気」が基本になります。
ここを踏まえた上で、ご自身のPCケース内でどこから吸気・排気をしているか、今一度確かめてみましょう。
吸気と排気のバランス・グラフィックボードの位置に注意
グラフィックボードの位置はどのあたりになるでしょうか。
多くのPCケースで、吸気構に近い部分には、あらゆるPCパーツ中でもあまり熱を発しないHDD・SDDを配置しています。
空気の流れに沿って、熱は排気側へと流れ、排気口に近い部分のものは冷えにくいという特徴があるからです。
グラフィックボードの熱でお悩みのかたは、以下を試してみましょう。
・吸気部のファンの増設
ホコリが入りやすくなるというデメリットがありますが、冷たい空気がしっかりと流れ込むことで全体が冷えるようになります。
・PCケース天井部のファンの増設
「暖かい空気は上部に流れる」という特性を強化するための策です。
また、排気力が強くなることで吸気量も増加するので、全体の冷却には効果的と言えます。
・吸気部付近の配線を整理する
配線とPC内温度の関係は密接です。
直接エアフローを邪魔してしまうので、グラフィックボード付近に線がごちゃごちゃ…という状態は全く好ましくありません。
可能であれば「裏配線」などで、パーツ間を通る配線を極限まで減らしてみましょう。
その不具合、きちんと刺さってないのかも?
ここまでグラフィックボードの負荷のお話しをしてきましたが、確かにグラボのトラブルの一つとして「熱暴走」があります。
しかし、自作マシン使用のかた・グラフィックボードの増設や交換初心者のかたは、以下のようなトラブルが発生した場合は基本的なことを疑ってみましょう。
最初に述べました、「ただしくグラフィックボードが取り付けられているか?」というところです。
・突然モニターが真っ暗になる(PC自体は動作している)
・モニターがついたり消えたりを繰り返す
・3Dゲームをプレイしているとき、頻繁にゲームが動作停止する
こういった場合は、一度グラフィックボードを取り付け直してみてから動作確認することをおすすめいたします。
多くのトラブルが、この簡単な対応で治る場合があります。
定期メンテナンスのやり方
定期メンテナンスというのは、グラフィックボード本体…とくにファン部分についたホコリを取り除き、冷却性能をあげることに目的があります。
ここで活躍するのが、エアダスター。
長く大切にPCを使いたい人は、常備しておくべきといっても過言ではありません。
グラフィックボードのメンテナンスにおいては、・ファン部分
・ヒートシンク
この2点を中心にホコリを飛ばしてあげるとよいでしょう。
筆者は3ヶ月~半年おきに、この作業をやるようにしています。
Open Hardware Monitorのすすめ
負荷チェックツールとしておすすめしたいのが、温度管理ツール。
そこで推したいのが、フリーソフトウェア「Open Hardware Monitor」です。
このツールでは、シンプルな画面で
・グラフィックボードやその他パーツの温度
・CPUとGPUのクロック数
・ファンの回転数
を表示してくれます。
数値として負荷がきっちりと確かめられるため、自作PCが完成したとき・パーツをカスタマイズしたときには導入してみてもよいのではないでしょうか。
まとめ
オンボードの描画処理機能でも十分にパソコンとしての役割は果たせますが、それでもグラフィックボードの増設を選ぶ理由の多くが「より高性能で、PCの潜在能力を極限まで引き出したい」ことにあるのではないでしょうか。
ハード・ソフト両面から、パフォーマンスや負荷の大小・耐久年数を考えることは、そういった目的でグラフィックボードを選んだ皆さんにとって重要なこととなります。
是非ご参考に、これからの取り扱いやメンテナンスをお考えください。