グラボの動作に必要になる事もある「補助電源」の特徴は?
グラボを交換する時などに新しいグラボを調べていると「補助電源」の有無についての記載がされている事があるかと思います。
補助電源はハイスペックなグラボを動作させる上で欠かせない物ですが、それと同時に、この差によって自分の環境で使えるものとそうでないものが分かれる等、新しいグラボを選ぶ上で意外と重要な要素の1つであると言えます。
今回はそういったグラボの補助電源についてまとめました。
目次
補助電源とは?
補助電源はグラボなどのPCIe接続出来るデバイスを使用する際に、消費電力の大きくPCIeスロットからの電源供給だけでは対応できないデバイスを使用するために必要になる、補助的な電源を供給するための端子のことを指しています。
自作PCの場合には主に処理能力の高いグラボで必要になる事が多いです。
基本的には電源ユニットから伸びている対応したケーブルをデバイスに設けられた端子に直接挿すことで供給可能になるため、特別なツールやパーツが必要になる事はありません。
ただし、追加で電源供給が必要になるという事はそれだけ大きな電力を消費するパーツであるため、補助電源が必要なデバイスを確実に動作させるためにはそのデバイスの電力消費に対応出来る容量を持つ電源ユニットが必要になります。
本体とは別の電源ユニットが必要なわけではない
補所電源、という名前から勘違いされやすいですが、PC本体の電源とは別の電源ユニットが必要になる訳ではありません。
あくまでもPCIe接続では対応できない分の電力消費を専用のケーブルを介して直接電源からデバイスに引っ張ってくるための端子であるため、電源ユニット自体は既に使用しているものを使用することが出来ます。
ただし、先にも書いた通り消費電力の多いグラボ等を使用する場合には、より容量の多い電源ユニットに交換する必要がある事も有ります。
グラボの種類にもよりますが、メーカーHPなどに推奨される電源容量などが記載されているため、グラボを交換する時にはそれも併せてチェックするのがおすすめです。
補助電源は6ピンと8ピンがある
補助電源には、6ピンと8ピンの2種類があります。
6ピンでは75W程度まで、8ピンでは倍の150W程度までの電源供給が可能になります。
また、PCIeの端子からも6ピンと同等の電力供給(75W)が可能です。
電源ユニットから伸びているケーブルについては基本的に6+2ピンという形になっている事が多いです。
これは、基本は6ピンのみで使用し、8ピンの補助電源が必要なデバイスに使用する場合は追加の+2ピンも使用する事で1本のケーブルで6ピンと8ピンの両方に対応出来るタイプのケーブルです。
1本のケーブルで両方のパターンに対応できるため、内装をスッキリとまとめる上でも便利ですが、+2ピンを嵌める位置を間違えたり、6ピン使用時に余った2ピンが稼働中のファンに巻き込まれないようにしたりするといった工夫が必要な場合もあるため、注意が必要です。
グラボによっては複数の補助電源が必要になる事も
非常に高い処理能力を持つグラボの中には、8ピンでは飽き足らず補助電源が複数必要になるグラボもあります。
例えば、8ピン+6ピンという組み合わせや、8ピン2基という組み合わせなどがあります。
6ピン2基は先に書いた通り8ピン1基と同じ供給量になるため、グラボの補助電源として採用される事はありません。
ちなみに、補助電源を必要とするグラボの多くは、実際の消費電力よりも余裕を持った構成になっている事が多いです。
例えば、消費電力が200~250W程度のグラボは、PCIe経由でのマザーボードからの供給を併せて6ピンと8ピンが1基ずつあれば合計300Wになるため、理論上は十分足りますが、実際には多少の余裕を持たせる意味でも8ピン2基が必要になる事が多いです。
補助電源無しをウリにしているグラボもある
ハイエンド帯は際限なく補助電源を必要としている感じが強いですが、一方でミドル帯以下のグラボでは、補助電源無しで使用できることを1つのウリにしているものも多いです。
特にあくまでも画面出力用として割り切ったモデルや、ゲーム用PC向けのローエンド帯モデルなどにはこの傾向があります。
補助電源が無いグラボの利点としては、補助電源が必要ないため基本的に消費電力が少ないため、容量が少なく非力な電源ユニットを積んだPCであってもある程度安定して使用できる点があります。
また、ケーブル接続用の端子が必要ないため、省スペースで動作させるロープロファイル対応のグラボなどでも重宝します。
補助電源無しは必ずしも利点にはならない
とはいえ、場合によっては補助電源があった方が良い場合もあります。
というのも、補助電源があるグラボというのは基本的にPCIe経由のマザーボードからの電源供給量の限界である75Wに達するまでは、PCIeと補助電源から凡そ半々で電源が供給されます。
つまり、150WまではPCIe経由と補助電源で75Wずつ半々、それ以上はPCIe経由75Wで残りは全て補助電源によって供給される形になります。
例えば、消費電力が60Wであれば、補助電源が無い場合にはPCIeを経由して60Wが丸まる全てマザーボードから供給されますが、補助電源がある場合にはPCIe経由が30W、補助電源から30Wといった形で供給される事になります。
そうなると、同じ60Wでも補助電源がある場合の方がマザーボードにかかる負担を軽減することが出来ます。
そのため、スペースに余裕がないなどの特別な理由がないのであれば、ローエンドモデルのグラボだからといって無理に補助電源無しを選ぶよりも、6ピン1基が必要な物を選んだ方が結果的にグラボ、マザーともに長持ちする可能性があります(必ず長持ちするわけではありません)。
低容量の電源でも動かせるグラボ「MSI GTX 1050 GAMING X 2G」
容量が少ない電源を使っている、でもある程度のスペックがあるグラボを動かしたいという人におすすめなのがMSIから出ているグラボ「GTX 1050 GAMING X 2G」です。
リファレンスのGTX1050の消費電力は75W前後とギリギリ補助電源無しでも動作出来ますが、このモデルではオーバークロックの影響や先に書いたようなマザーボードへも考えてか6ピンの補助電源が必要な仕様になっています。
15,000円前後と比較的安い価格のわりに性能が高いため、後述するGT1030よりも性能は欲しいけど、電源容量は心もとないという人におすすめのグラボです。
補助電源が要らないグラボ「ZOTAC GeForce GT 1030 2GB」
補助電源無しのグラボが欲しいのなら、ZOTACの「ZOTAC GeForce GT 1030 2GB」がおすすめです。
消費電力は30W程度と非常に少なく、サイズも短く薄いため、ほとんどのPCケースに余裕で搭載することが出来ます。
また、ロープロファイルに対応したブラケットが付属しているため、ブラケットを交換する事でスリムタイプのケースにも使用可能です。
このグラボの凄い点は補助電源無しかつロープロファイル対応で価格も1万円前後と安いのにもかかわらず、ゲーム用のグラボとして見ても数年前のタイトルや負荷の軽いタイトルなら余裕で動作するなど、性能も馬鹿に出来ない程高い点があります。
ここまで性能高いの必要ない、という人には性能が下がるものの価格が7割~半額程度まで安くなるGT730も補助電源が必要ない製品が多いためおすすめです。
まとめ
補助電源はそのままグラボの消費電力と直結している、と勘違いしてしまいがちですが、実際には、冗長性を意識してわざと多めにとっているグラボも少なくありません。
消費電力や推奨される電源容量などを気にする場合、補助電源の本数ではなく、公式HPなどでしっかり実際の数値を確認するのがおすすめです。
また、自分のPCの環境や用途、どれくらいの期間使えることが望ましいのかなども含めて、敢えて補助電源有りの物や、通常よりも増設されているものを選ぶのもおすすめの方法です。