今こそRadeon/Vegaシリーズを見直す…意外といけるマイニング向けの良グラボ

グラフィックボード(グラボ)

MSI Radeon RX 560 AERO ITX 4G OC グラフィックスボード VD6359

ゲーマーや自作ヤー界隈・果てはマイニング界隈でも様々な評価がある、Radeonのハイスペックグラボ・Vegaシリーズ。

いくつかモデルがありますが、総じて好評ではあります。

ここでは、マイニング性能を中心に、合わせて買いたいPCパーツや総合的な評価をしていこうと思います。

購入を迷われているかたは必見です。



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Radeon/Vegaの基本的な紹介

それまで「格安グラボメーカー」の代名詞だったRadeonが、突如として発表したメモリー「FuryX」。

これを継承し、4096ビットという巨大メモリ・省エネ機能を引っ提げてやってきたのが、Vegaでした。

ライバルとなるのはGTX1000番台となり、性能が一時競われましたが、「省エネ性にやや難あり」とされてあまり人気を得なかった、哀愁ただようモデルです。

しかし、マイナーの中には「あえてこの機種を選ぶ」人もいるのだとか。

そこで、早速スペックを確認していきたいと思います。

スペック

Vegaには3機種あり、上位2機種はいずれも4096基のメモリがあります。

VRを意識した次世代のDirectX12を大変意識しており、このモデルからは、GTXにも搭載されていない描画機能の最適化テクノロジーが採用されています。

また、従来のグラフィックボードでは、VRAMに負担のかかる一部のゲーム・作業においては、処理落ちするのが常識でした。

しかしVegaでは、メインメモリーの一部をデータ保存に利用できるため、VRAMの動作を遅くする根本的な原因・キャッシュの蓄積量を分散することができます。

これは、長時間マシンを稼働することが前提となるマイニングにおいては、非常に有利になる性能と言えます。

その他の機能としては、本体スイッチ一つでGPU稼働値を抑える・伸ばすということが可能。

ドライバを使えば、必要なスペックに合わせた細かい設定ができるので、きちんと設定を見直す習慣のある人にとっては「拡張性が高い」と感じられるのではないでしょうか。

56/64各モデルの価格・人気度

ミドル2機種とされる56、64において、市場価格を最初に説明すると

  • 56:6万円程度
  • 64:8万円程度

となっています。

複数枚差しをするには少し値段設定が高めですが、スペックで説明した機能を踏まえると、通貨の銘柄次第では1枚でも十分に性能を発揮してくれるでしょう。

この2機種の違いは、プロセッサの数・消費電力にあります。

ゲーマー・マイナーともに人気なのは56で、お値段ももちろんのこと、敢えてVegaを選ぶ人=スペックで説明をした巨大メモリが目的の人と考えて間違いないので、そのあたりを重視する人が購買層になっているそうです。

このあたりで脱線しますが、自前のパソコンなのでマイニング以外の用途にも使いたい…という人向けに、少しお話をしていきます。



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ゲームとVR性能は?

GTX系にはないキャッシュ軽減機能が搭載されていることで、同価格帯の対抗馬モデルを上回るタイトルがいくつかあります。

例えば、GTX系への適正が非常に高いとされていたFF14新生エオルゼアですが、天候・テクスチャのカラー深度については、Vegaに軍配があがるのだとか。

今人気のオーバーウォッチにおいては、パフォーマンスはVegaに軍配が上がると好評です。

一方で、DirectX12に完全対応し、11までを切り捨てた特化型のタイトルは苦手とのことです。

タイトルは選びますが、現状のマシンをどう使っておられるか・マイニング以外のちょっとした楽しみにつかうアプリによっては、GTXシリーズよりもVegaのほうが快適に取り扱えます。

気になるマイニング性能

さて、遅まきながらマイニング機能について。

ハッシュレート(10分あたりのマイニング額と消費電力のバランス)を検証した結果ですが、結論から言えば、GTX1000番台の最高クラスと比べるとやはり劣るそうです。

ただ、Vegaシリーズでむやみにハイモデルを選べばいいというわけではなく、むしろミドルクラスのほうがよい数値を出すのだとか。

Radeon系をずっと使っているマイナーには、Vegaシリーズの最下位モデルが人気のようです。

消費電力については、この後詳しく解説していきます。

消費電力がやはり気になる

GTXシリーズが省エネ製を打ち出したのに対し、Radeonは長時間耐用という面でプライオリティをつけてきました。

そういったことを念慮しつつ、各シリーズ最新モデルを比べると、やはりVegaのハッシュレートが劣るということは、認めざるを得ないようです。

しかし筆者の考えとしては、マシンのメンテナンスに慣れていないかた・安定した動作を期待したい方には、Vegaが向いているのではないでしょうか。

GTX系がメインストリームではありますが、CPU性能やマザーボード搭載メモリ・電源の性能により大きく動作状況が左右され、時には相性不良を起こすというのがネックになります。

その点、Radeon系のGPUはパーツの相性問題に悩まされる確率を抑えられるので、純粋にマイニングのみにしか興味をもてない・マシンが苦手…という人にとっては取り扱いやすいのではないでしょうか。

ソフマップなどを含むPCパーツ取り扱い店でも、仮想通貨ブームに合わせて多くのマイナーが訪れているそうですが、コスト・動作の安定度などを考慮して、Vegaを含むRadeon系をおすすめする店員さんが多いそうです。

総合評価

GTX最新モデルとVegaで悩まれる場合、優先したいことを決めるとよいと思います。

消費電力については後れをとるものの、決して悪いグラボではありません。

Vegaはこんなマイナーさんに向いています。

  • 初期費用を抑えたい方
  • 長時間の安定動作を重視したい方
  • マイニングだけではなく、続けてゲームをしてもトラブルを起こしにくいマシンを求めている方
  • 自作パソコン初心者さん

最後に、Vegaを使うなら一緒に買いたいパーツ・冷却システムやご家庭の環境について考えてみます。

合わせて購入したいおすすめのPCパーツ

ハッシュレートを気にされるなら、グラボだけではなく電源にも気を使ってみましょう。

おすすめメーカーはコルセアです。

発熱しにくく、冷却システムとの相性が非常にいいのがポイント。

マイニングをするなら、電力効率80PLUS/GOLD以上は必須です。

こうなると、電源だけでも予算は18000~20000円程度となりますが、ここは惜しまずにいきたいですね。

冷却システムですが、近年は簡易水冷が大ブームです。

取り付けも非常にカンタンで、水冷が出回り始めたころの劣化による液漏れなどへの対策も万全。

グラボ・電源まわりを効率よく冷やすエアフローを考えるのも、一つの大きなポイントです。

PCケースはミドルタワー以上のもので、排気は上部・背面の両方にあるものがおすすめです。

Vegaに限定したことを述べれば、GTX系よりも発熱が少ないので、あまり心配には及ばないでしょう。

まとめ

マイニングが本格的なブームになる前から、その界隈の人の酷評が流れて勢いの落ちたRadeon/Vega。

純粋なグラボとしての性能・ハッシュレートを冷静に分析したデータによると、そういった噂はちょっと過大ぎみで、ミドルモデルであれば十分にバランスの取れたマイニング性能があるそうです。

なんとなく敬遠していた方や、Radeon派だけどマイニングを気にGeForceに乗り換えようという方は、検討してみてはいかがでしょうか。