目的に適したグラボを購入するために知っておいてほしい2つの言葉の違い
グラボの購入を考えていると、リファレンスやオリジナル、OpenGL、DirectXという言葉が書いてあります。
みなさんはこれらの言葉の意味を知っていますか。
これらの違いについては知っていなくてもグラボを購入することはできます。
ですが、違いについて知っているとより自分の使用環境に合ったグラボを購入することができるようになります。
リファレンスモデルとオリジナルモデル
パソコンの画面に綺麗に画像や映像を映すために使われるグラボですが、それらはリファレンスモデルとオリジナルモデルの2種類に分けることができます。
まずはそれぞれがどのようなものなのかを紹介していきます。
リファレンスモデルとは
リファレンスモデルは、グラボの頭脳とも言えるGPUを製造したメーカーが設計した標準のモデルになります。
GeForceを製造しているNVIDIAやRadeonを製造しているAMDが製造しています。
製造メーカーが安全な動作を確保するために、ある程度の安全マージンを取っています。
そのため、動作クロックなどの部分で低めに設定されています。
そのおかげで、PCの環境やスペックに左右されにくく、どのPCでも安定して動くように作られています。
当然ですが、取り付けていない状態よりもスペックなどは必要にもなってくるので、どのようなPCでもよいわけではなく、最低限のスペックや環境は必要です。
オリジナルモデルとは
オリジナルモデルは、販売メーカーがデザインを行い、販売するモデルになります。
製造メーカーの作ったリファレンスモデルを元にして、各販売メーカーが独自の構想やデザインを取り入れて作っています。
使用しているGPUは製造メーカーのままなので、その性能の差はGeForceを使っているかRadeonを使っているのかによって変わってきますが、同じGPUを使っている場合にはほとんど差がありません。
ですが、リファレンスモデルでは安全マージンが大きくとられているのに対し、パフォーマンスを向上させるためにクロック数を挙げたりしています。
そのため、負荷も大きくなるために発生する熱量も大きくなっていて、それを冷やすために大型の冷却ファンなどが搭載されています。
それぞれを使うメリット・デメリット
リファレンスモデルとオリジナルモデルには、それぞれ使う場合にメリットとデメリットがあります。
このメリットとデメリットを踏まえた上で、どちらを購入するのか考えてみてください。
リファレンスモデルを使うメリット
リファレンスモデルの一番のメリットは、GPUの製造メーカーが作っているので、最新のグラボを使うことができます。
オリジナルモデルはリファレンスモデルを元にして制作しているため、どうしても発売するのが遅くなってしまいます。
なので、最新のグラボを使いたいという方はリファレンスモデルを購入すると良いでしょう。
また、製造メーカーが環境やスペックによる差を小さくしている仕様のため、安定して使うことができます。
安全性も高く、グラボへの負担がかかるような使い方もできないように制限がかけられているので、壊れにくく、寿命が長くなるように作られています。
リファレンスモデルを使うデメリット
リファレンスモデルのデメリットの1つ目は、安定性を保つためにクロック数を低く設定しているため高いクロック数がでない点です。
そのため、より高い性能を求めている場合には向いていません。
また、製造メーカーの数も限られているのでデザインなどにおいて独創性を追い求める必要がありません。
そのため、デザイン性に関してはオリジナルモデルに劣ってしまいます。
また、冷却用のファンも小さいので、高負荷時には冷却が追い付かなくなってしまい、熱をため込んでしまうこともあります。
寿命が長くなるように設計されてはいますが、高負荷の状態が長く続いてしまうと、冷却処理が追いつかずグラボ本体にもダメージがいってしまいます。
その結果、本来メーカーが想定していた寿命よりも短くなってしまうという場合もあります。
オリジナルモデルを使うメリット
オリジナルモデルを使う一番のメリットは、リファレンスモデルと比較してクロック数が上がっているという点です。
そのため、より高性能となっており、パフォーマンスも向上しています。
それに伴い、発生する熱量も大きくなっているので、冷却力を挙げるために冷却ファンもより大きいものが搭載されています。
高負荷がかかった場合でも冷却力が強くなっているため、熱を貯め込みにくくなっているので、グラボ本体のダメージも少なくなります。
また、メーカーごとにデザイン性も特色があります。
メーカーの数もリファレンスモデルよりも多いので、デザインも豊富で、好みのデザインを選ぶことも可能です。
オリジナルモデルを使うデメリット
オリジナルモデルを使う際のデメリットの1つ目は、サイズが大きくなってしまう点です。
冷却能力を上げるために大型のファンが搭載されていたり、クロック数が上がっているために、グラボ自体の大きさも大きくなっています。
グラボはPCのケース内に納めなければならないため、PCによっては入らないという可能性もあります。
特にリファレンスモデルからオリジナルモデルに買い替えるという場合には、リファレンスモデルが入ったからといってオリジナルモデルが入るわけではないので注意が必要です。
また、パフォーマンスが向上しているためその分消費電力も大きくなっています。
電源ユニットの出力数も確認しておく必要があります。
リファレンスモデルよりも性能が高くなっているので、価格も高くなっています。
また、メーカーによってそれぞれ仕様やデザインに個性があります。
特に仕様に関してはメーカーによって良い、悪いと差が出ることがあります。
ですが実際に使ってみなければその差がわからないことも多いので、実際に購入して繋げてみると、思ってたほどの性能が無いという場合もあります。
OpenGLとDirectX
続いて、OpenGLとDirectXについて紹介していきます。
この2つの言葉は、どちらもGPUに関わる言葉です。
これらの言葉はどのような目的でグラボを購入するのかに関わってくる言葉です。
これらの違いを理解し、自分の目的に合ったグラボを購入できるようにしてください。
OpenGLとは
OpenGLは、PC上で3次元立体や2次元画像による高品質な仮想空間を表現するためのプログラムになります。
OpenGLに優れているグラボはCADや映像の編集、画像の処理といった仕事に向いています。
そのため、クリエイターなどに向いている傾向にあります。
またPCでゲームをする際にも、有名なマインクラフトなど一部のゲームではこのOpenGLを使用して動いているものもあります。
それらのゲームではOpenGLに特化したGPUのほうが快適にゲームをすることができます。
DirectXとは
DirectXはゲームをPCで動くようにするプログラムになります。
DirectXに特化しているGPUほど、ゲームをするのによい環境を整えてくれます。
そのため、オンラインゲームなどに向いている傾向にあります。
また、ゲーム以外にもMMDにも向いています。
MMDは3Dアニメーションや3Dのモデリングを行うためのツールなので、OpenGLを使用すると思われがちですが、こちらはDirectXを使用しているので注意が必要です。
OpenGL、DirectXと製造メーカー
ここからは、OpenGL、DirectXのそれぞれに特化したGPUについて紹介していきます。
それぞれについて、GPUの2大メーカーであるNVIDIAとAMDの代表となるGPUを紹介します。
NVIDIAのOpenGL特化『Quadro』
NVIDIAが製造しているOpenGLに特化したGPUは、『Quadro(クアドロ)』です。
ゲーム関係の処理については苦手としていますが、色相再現度が高くなっています。
そのため、10bit(役10億6433万色の発色)を再現できるようになっています。
通常の場合は8bit(1677万色)なので、その差は歴然です。
この高い色相再現度は映像関係やCAD、画像編集の際に大きく関わってきます。
この性能からクリエイターの方に向けたGPUになっています。
また、Quadroのパーツは何百万円もするものもあるので、作業効率を考えた時には、高額が必要となってしまいます。
NVIDIAのDirectX特化『GeForce』
NVIDIAが製造しているDirectXに特化したGPUは『GeForce(ジーフォース)』です。
グラボに関しての知識が少しでもある方は、この名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
ゲームを開発する際には、NVIDIAがゲーム開発者向けのツールを提供していることが多いです。
そのためGeForceに最適化されて作られていることが多く、ゲーム界では非常に有名なGPUになります。
ゲームの中にはGeForceを推奨しているものも数多くあるほどです。
そのようなゲームには、ベンチマークで表示されています。
そのため、ゲーミングPCを作るという場合にはこのGPUの搭載されているグラボを購入すると、多くのゲームで最適な環境となるでしょう。
AMDのOpenGL特化『Fireシリーズ』
AMDが製造しているOpenGLに特化したGPUは『Fireシリーズ』です。
これはNVIDIAにおけるQuadroと同じく映像編集向けとなっています。
同じAMDのRadeonはコストパフォーマンスが良いのが特徴ですが、Fireシリーズに関しては金額も高く設定されています。
AMDのDirectX特化『Radeon』
AMDが製造しているDirectXに特化したGPUは『Radeon(ラデオン)』です。
コストパフォーマンスの良さや映像関係についてはGeForceを上回っています。
映像のフレーム補間技術である「Fluid Motion」を搭載していることも大きな特徴です。
映像を滑らかにすることができ、それ以外にも発色も良く、映像関係についてはかなり強い性能を持っています。
ですが、ゲームの多くがGeForceを最適な環境としていることもあり、ゲームの最適化に関してはGeForceが優れています。
ですがほとんどのゲームをする上では問題なく動作します。
そのため、ゲームだけでなく映像の処理など映像関係の仕事をするという場合にはRadeonを使うのがおすすめです。
まとめ
グラボはゲームや映像処理などをより快適な環境で作業したり楽しんだりすることを助けてくれるものになります。
なくてもこれらのことをすることは可能ですが、あればより楽しめる、効率よく仕事をできるようになります。
それなりに値段もしますし、設置するために必要な環境もあります。
だからこそ、購入する際には決めるポイントを知っておき、自分の用途に合ったものを購入する必要があります。
今回紹介した知識も参考にしながら、自分の目的に合ったグラボを購入してください。
参考URL・参考文献・根拠など
https://www.dospara.co.jp/5info/cts_str_parts_vga-ref
https://www.zoa.co.jp/pickup/detail/gurabohikaku/
https://matome.naver.jp/odai/2145041905551481601/2145042538062500403