NVIDIAグラボ特集—AMD新型CPU「Ryzen7」と組み合わせるベストなグラボとは?
ついに日本国内でも2017年3月3日AMDの新型CPU「Ryzen 7」が発売されました。
AMDユーザーからすれば、待ちに待った新CPUです。
しかし、Ryzen 7はCPUなので、当然グラボが必要になります。
Ryzen 7は、高性能でスマートなCPUです。
よって、オンボードのグラフィックや低価格・低性能のグラボを使用しても、その能力を十分に発揮する事は出来ません。
今回は、Ryzen 7と組み合わせるにふさわしい、NVIDIAのグラボを紹介します。
目次
NVIDIAの最新グラボは Pascal世代
NVIDIAの最新グラボは、 Pascal(パスカル)アーキテクチャを採用しています。
アーキテクチャとは、設計方式という意味です。
Pascal は、Maxwell(マクスウェル)の後継アーキテクチャになります。
製造プロセスが、28nmから16nmになったことで、ワットあたりのパフォーマンスが上昇し、低発熱化にも成功しています。
また製造プロセスの微細化によって、ダイあたりのトランジスタ数も増え、演算処理能力もMaxwellと比較して、1.5倍に向上しています。
QuadroとGeForceの違い
NVIDIAには、大きく分けるとQuadro(クアドロ) とGeForce(ジーフォース)の2種類のグラボがあります。
Quadroは業務用のグラボです。
業務で使用するCAD、動画・画像編集のソフト用に造られています。
一方、GeForceは一般家庭用です。
ドライバも、ゲーム・動画再生用に最適化されています。
家庭での使用を考えている人は、迷うことなくGeForceを選びましょう。
NVIDIAのグラボは3タイプに分けられる
NVIDIA GeForceのグラボは、ハイエンド、ミドルレンジ、エントリーモデルの3タイプに分類できます。
では早速、Pascal世代のグラボを紹介していきましょう。
NVIDIA TITAN X
NVIDIA Pascalアーキテクチャのフラグシップモデルが、「NVIDIA TITAN X」です。
11TFLOPsの処理能力を誇り、高速のGDDR5Xメモリを12GB搭載しています。
GeForce GTX 1080と比較すると約130%増しの性能です。
TDPは250Wで、補助電源に8Pin×1と6Pin×1が必要です。
電源ユニットは、600w以上が推奨されています。
販売価格は、18万台後半となっています。
やはりお値段高めですね。
価格が高いのは、高速のGDDR5Xメモリを12GB搭載しているからでしょう。
金に糸目はつけない、とにかく最高スペックのPCが欲しい、という人におすすめのグラボです。
GeForce GTX 1080
Pascalアーキテクチャのハイエンドモデルが、GeForce GTX 1080です。
高速のGDDR5Xメモリを8GB搭載したグラボです。
TDPは180Wで、8Pinの補助電源が1つ必要になります。
最新作のゲームでも、新作VRでも十分に楽しむことができます。
ネックは、8万円という価格でしょうか。
高速のGDDR5Xメモリ搭載カードで、思う存分ゲームやVRを楽しみたい人向けのモデルです。
GeForce GTX 1070
GeForce GTX 1070は、GeForce GTX 1080の下位モデルとなるハイエンドGPUです。
大きな違いは、GTX 1080がGDDR5Xメモリを搭載しているのに対し、GTX 1070が搭載しているメモリはGDDR5ということです。
GDDR5Xは、GDDR5の約2倍の転送速度をもっています。
現状では、GDDR5Xメモリを搭載しているかどうかで、価格も大きく違ってくるようです。
それでも、スペック的にはGeForce GTX 1080の9割程度の性能です。
新作VRも重いゲームも楽々こなしてくれます。
TDPは150Wで、8Pinの補助電源が1つ必要です。
価格は5万円前後となっています。
GDDR5X搭載カードではないが、コスパ重視でVRや最新ゲームを楽しみたい、という人向けのグラボです。
GeForce GTX 1060
GTX 1060は、Pascal世代におけるミドルレンジ向けのグラフィックボードです。
GeForce GTX 1080と比較して7割程度の性能なので、ほとんどのゲームを最高設定でプレイする事ができます。
一応VR Ready(VR対応)製品ですが、VRの最新作をプレイすると、コマ落ちやフレームレートの低下が起こりやすいとの報告もあります。
新作のVRを思う存分楽しみたいなら、GTX 1070以上のグラボを購入した方が良さそうです。
逆に、VRやゲームをせず、動画鑑賞のみであれば完全にオーバースペックの製品です。
TDPは120Wで、補助電源コネクターは8ピン×1と 6Pin×1のものが混在しています。
このあたりは購入前にチェックした方がいいでしょう。
GTX 1060には、GDDR5メモリ6GB搭載版と3GB搭載版の2種類のモデルがあります。
ゲーム中心で使いたい人は、6GB搭載版を選択した方がいいでしょう。
GTX 1060は、VRはそこそこでいいのでゲーム中心にプレイしたい、といった人向けのグラボです。
価格も3万円前後で購入しやすく、コスパに優れた製品になっています。
GeForce GTX 1050
GTX 1050は、Pascalアーキテクチャを採用したエントリーモデルのグラフィックスカードです。
立ち位置は、Pascalシリーズの末っ子といったところでしょうか。
性能は、GTX 1080の5割弱程度です。
全ての3Dゲームを、フルHDの最高設定でプレイするには、性能が不足しています。
またVR Ready製品ではないので、基本的にVRをプレイする事は出来ません。
ただ、フルHDの動画鑑賞は、マルチディスプレイであっても難なくこなします。
FF14やE-Sportsなどの比較的軽めのゲームであれば、快適に遊べます新作ゲームでも、設定を標準まで下げればプレイする事が可能です。
上位モデルとの最も大きな違いは、補助電源が不要な事でしょう。
TDPは75W、アイドル時は35w前後なので、電源ユニットも交換せず、そのまま使えそうです。
GTX 1050には、4GB版と2GB版の2種類のモデルがあります。
価格は、1万2千円から2万円弱となっています。
GeForce GTX 1050は、軽いゲームと動画鑑賞がメインの人に、おすすめしたいグラボです。
モデル名についているTiとは何なのか?
「Ti」は、そのクラスにおいて最上位の製品に付けられます。
Ti とは、Titanium(チタン)の元素記号から取られたものです。
鉄よりも軽いのに硬いという優れた特性にちなんで、Tiという名称がつけられています。
例えば、GTX 1060TiとGTX 1060の性能を比較すると、GTX 1060Ti>GTX 1060となります。
また、GeForce GTX 1070とGTX 1060Tiの性能比較では、GeForce GTX 1070>GTX 1060Tiとなります。
NVIDIAおすすめグラボ・ベスト3
さて、お待たせしました。
独断と偏見により、おすすめのグラボを紹介したいと思います。
MSI GTX 1070 GAMING X 8G
MSIオリジナルのクーリングシステム「TWINFROZR VI」を搭載したモデルです。
接続インターフェイスは、PCI Express 3.0 x16となっています。
ディスプレイ出力端子は、DisplayPort1.4 x 3、HDMI2.0 x 1、DL-DVI-D x 1の計5基を装備しています。
大口径ファンを使用しているので音も静かです。
温度が低い時は、ファンがストップするスマートな仕様となっています。
冷却性能も優れているので、長時間のプレイでも動作は非常に安定しています。
現時点での実売価格は、55000円前後です。
GV-N1060G1 GAMING-6GD
ゲーム用にGDDR5メモリを 6GB搭載したミドルレンジのGIGABYTE社製グラボです。
接続インターフェイスはPCI Express 3.0 x16となっています。
ディスプレイ出力端子はDisplayPort1.4 x 3、HDMI2.0 x 1 、DL-DVI-D x 1の計5基を備えています。
処理能力、静音性、冷却性能を高いレベルで両立させたグラボです。
実売価格は、33000円前後となっています。
MSI GTX1050Ti 4GOC VD6191
GDDR5メモリを4GB搭載したエントリークラスのグラボです。
接続インターフェイスはPCI Express 3.0 x16となっています。
ディスプレイ出力端子は、DisplayPort1.4×1、HDMI 2.0×1、DL-DVI-D×1の合計3基です。
GTX1050の場合、補助電源不要というのが大きなポイントですね。
エントリークラスとはいえ、軽いゲームならサクサク動かしてくれる、侮れない実力を持ったグラボです。
実売価格は、17000円前後となっています。
ここで取り上げたおすすめグラボは、あくまで個人的な見解です。
すでにこの記事を読んだ時点で、それなりの知識は身についているはずです。
性能や価格と相談しながら、自分にあったグラボを見つけてください。
OSとNVIDIA SLIへの対応
無料アップデートでWindows10にバージョンアップした場合、ハードウェア構成を変えるとOSが認証されない、という報告があります。
グラボを増設する際は、注意してください。
また、SocketAM4マザーボードでSLIをサポートするのは、AMD X370チップセットのみとなります。
SocketAM4マザーボードで、SLIをやってみようと思っている人は、気をつけて購入しましょう。
まとめ
前述した内容を、ここでまとめておきましょう。
●とにかく最高スペックのグラボが欲しい人→NVIDIA TITAN X。
●VR最新作を楽しみたい人→GeForce GTX 1070/1080。
●軽いVRとゲームを楽しみたい人→GeForce GTX 1060。
●軽いゲームと動画鑑賞がメイン人→GeForce GTX 1050。
以上のようになります。
今後は、重いゲームができるかどうかではなく、VRができるかどうかで、グラボのクラス分けがなされるでしょう。
自分の用途をしっかり把握して、最適なスペックのグラボを購入してください。