シャープの電子辞書ユーザー向け「ガラパゴスストア」の実力とは
他社の電子辞書にはない付随サービスとして、シャープでは「ガラパゴスストア」という総合電子書籍サービスの展開があります。
これ目当てに敢えてシャープ製のものを選んだ、という人もいるのだとか。
実際のところ、ガラパゴスストアの使い勝手はいかほどなのでしょうか。
漫画・雑誌・そして固有のサービスである新聞購読の3点において、検証してみたいと思います。
ガラパゴスストアとは
まずはガラパゴスストアの概要から。
端的に述べると、シャープ製の電子辞書所有者向けに提供されている、総合電子書籍サービスです。
パブリックドメイン化した書籍を電子辞書で読める・電子辞書には収録されていない語学書を追加料金で購入できるというばかりでなく、パソコン・タブレット/スマホと連携して、非常に多くの読み物を楽しめるのが魅力的。
利用に向くユーザー
ガラパゴスストアにアクセスするには、Windowsマシンが必須となります。
一度登録すると、
- 電子辞書本体
- Winマシン
- (コミックなど一部書籍に限る)各種タブレット/スマートフォン
で利用可能。
余談ですが、昨年末にKindleのWin向け日本語アプリが提供されたのを皮切りに、Win搭載のタブレットが急増中。
“2 in 1″と呼ばれる、キーボードとタブレットで分離するタイプのマシンもあります。
シャープの電子辞書愛用者で、なおかつ「はじめてのタブレットにWin搭載のものを選んだ」というかたには、電子書籍導入編として非常におすすめできる総合サービスと言えます。
最大の特長
電子書籍系のサービスとしてもっとも特徴的なのは、雑誌・新聞の購読サービスも付随すること。
こと、新聞(日本経済新聞)が読めるのは、他社にはない特徴です。
読み物をするためにいくつもアプリをインストールするのが煩わしい・マシンのスペック不足が不安…という方には、非常におすすめできます。
ここからは、書籍の種類ごとに、特徴や他社サービスとの比較をしていきます。
漫画
コミックの種類は25万冊と豊富で、新刊の品揃えも評判です。
ここで、コストと他社サービスとの比較をしてみましょう。
1巻ごとはお得、でも…
以下すべての媒体に共通することですが、ガラパゴスストアでの電子書籍利用は「チャージ制」です。
あらかじめコインを購入しておき、これを使って書籍を読むことができるようになります。
コミックに関して言うと、週替わり/日替わりセールや月1冊の無料本など、提供スタイルは限りなくKindleに近いと言えます。
Kindle・iBooksなど他のサービスに勝る点としては、「紙媒体からの割引率が非常に高い」こと。
最大で33%オフというのは、他では滅多にお目にかかれないお値段。
気軽にまず1巻読んでみたいという人には、強くおすすめできます。
しかし、既刊を一気に読みたい・今持っている紙媒体でのコミック全館を電子書籍に置き換えたい…というニーズには、いささか不向きです。
まとめ買いサービスがなく、巻数が多いとなかなか面倒。
また、Kindleを含む他コミック特化型サービスにある「まとめ買いでさらにお得になる」という特典も存在しません。
「せっかく電子辞書もあることだし、ひとまず試し読みをしたい」人にはガラパゴスストアがおすすめ。
筋金入りの漫画好きさんや、既刊のまとめ買い・所有コミックの電子版置き換えなどを検討している人は、他サービスを利用したほうがお得でしょう。
雑誌
続いて雑誌について。
こちらはユーザー視点で考えられており、思いのほか使い勝手がいいものになります。
コストは高いが品揃えはバッチリ
電子版雑誌は、dストア・楽天ブックスに代表される読み放題サービスが主流。
ガラパゴスストアではあくまでも従量課金制であるため、一冊ごとに購入する必要があります。
読み放題サービスの難点として挙げられるのが、肖像権や著作権がらみでの内容訂正。
コンビニで開くには抵抗のある週刊誌などでは、写真の黒塗りや記事削除が目立ちます。
ところが、ガラパゴスストアで購入した雑誌は、紙媒体からの削除・訂正がほとんどありません。
一部の週刊誌の「袋とじ」も見ることが出来るのだとか。
雑誌好きには、男女ともにおすすめできます。
一方で、従量課金制というスタイルが、電子サービスの利点を完全に殺してしまっているという指摘もあります。
タブレットやスマートフォンで雑誌購読する人の多くが、「付録はいらないから、安く読みたい」という動機からだと言われています。
参考までに、dマガジンでは100種類以上の雑誌が、416円/月で読み放題。
実に雑誌1冊分のお値段で、既刊~最新号までをどれでも読めるという次第です。
ガラパゴスストアでは、発刊されている一種の雑誌に対しての課金ではなく、"一冊ごと"に購入する必要があります。
新刊が出る毎に・かつ多くの種類の雑誌を購読する場合は、紙媒体を購入する場合とそれほどコストが変わりません。
雑誌マニア・電子書籍初心者にはおすすめできますが、長期的にみると、他サービスに移行したほうがよいしょう。
新聞
さて、電子書籍サービスとして極めて異例なのが「新聞の購読サービス」。
日本経済新聞の一社のみになりますが、これだけでもサービスとしては希少性が高いと言えます。
日経新聞アプリとどっちがいい?
新聞各社、タブレット/スマートフォン向けに電子版を発刊していますが…中でも日本経済新聞は、良質なサービスと引き換えに購読料が最も高く・手が出しづらいと言われています。
ガラパゴスアプリ内で日経新聞を読む場合は、初回1か月は無料・購読開始2か月目より月4000コイン(4000円)となります。
iOS/Android向けに提供されている電子版でも初回1か月無料は同じですが、その後の月々料金は4400円。
ガラパゴスストアでは、400円分お得という計算になります。
日経新聞の電子アプリで評価の高い、「機能性」についてはどうでしょうか。
具体的に言うと、
- クリッピング機能
- キーワード指定で既刊~最新号までの記事検索
- テキスト版と紙面版の切り替え
- 新刊の自動ダウンロード
などなど。
ガラパゴスストアのアプリでは、クリッピング機能は使えるものの、他の機能はありません。
お値段ぶん、公式アプリには劣ります。
日経新聞をとにかく読みたい・安く読めればなお嬉しいというニーズに対してはどうでしょうか。
あまり知られていないのですが、オンライン証券口座を開設すると、そのアプリ内で無料で読める…というサービスがあります。
気軽に開設できることで知られている楽天証券口座が人気で、もちろん公式アプリにある様々な機能はないものの、日々読む分には全く問題ありません。
こうなると、ガラパゴスストアでのサービスの立ち位置が危うくなります。
タブレットを所有していて、なおかつ日経新聞電子版の便利さを余すことなく使いたいという人は、公式アプリの利用がおすすめ。
とりあえず初回1か月無料を試したい・そもそも紙や電子版問わず新聞を読む習慣がないという人は、ガラパゴスストアでもよいでしょう。
ただ毎日読めるだけでいい・新聞からメモをとるような習慣のある「新聞上級者」は、証券口座開設という手もあります。
まとめ
「ガラパゴスストア」では、パブリックドメインとなっている書籍を読む・電子辞書本体に収録されていない語学書の買い足しをする…という点においては、非常に便利。
娯楽系のサービスに関しては、一長一短あると言えます。
シャープ製品をお持ちで「ひとまず電子書籍に触れてみたい」人は、これを機にお試しになってみてもいいのではないでしょうか。
これからの発展が期待されます。