物書きさん・これから真面目に文章を書きたい人のための、電子辞書活用法について
電子辞書の購買層は様々ですが、中には「手紙やブログを書くための語彙力・知識のため」というかたも多いようです。
かくいう筆者も、古典の読解や知識のインプット・それを適切な言葉でアウトプットするために購入しました。
ここでは電子辞書を活用した、短時間で効率的にインプット・アウトプットをする方法や、合わせて使うといいアプリやツールなどを、地道に紹介していきます。
物書きの電子辞書の選び方
筆者や他のブロガーの体験ベースですが、文章をこれから書こうとする人・すでにある程度書きなれていて、紙ベース辞書からの乗り換えを検討している人向けに、製品の選び方を述べていきます。
辞書の購入が初めての人へ
物書きにとっての辞書の出番は、実際に書く=アウトプットするときではなく、そのための知識を仕入れる=インプットするときです。
近年の教養ブームで、新たに出版される学術的書籍の多くは「より平易な」言葉で書かれる傾向が強くなっていますが、90年代頃まで遡ってロング・ベストセラーを読むとなると、日常会話ではまず使用しない単語・熟語が増えていきます。
TwitterなどのSNSサイト・大手ブログ・あるいは職業作家ほとんどが、国内書籍であれば戦後~90年代の出版物をもとに情報を発信しており、できることなら同レベルのインプットをしたいところですね。
こういったとき、広辞苑などに代表される現代国語辞書のみならず、古語や旧仮名遣い・熟語の成立などを網羅した辞書が役に立ちます。
一番手っ取り早いのは、シェアトップのカシオで国語に特化したモデルを買うことですが、実際に教養を「仕入れる」場面でどんな働きをするかは、なかなか想像し得ないところ。
そこで筆者がおすすめしたいのは、古本チェーンなどで一度「紙ベースの辞書」を手に取ってみることです。
有名どころではなく、日本語の特殊性に特化した種の辞書が中古市場に出回りやすい…というのがポイント。
たとえば古語辞書ならば、旺文社発行の少しだけ前の巻などが、100円で販売されていたりします。
急いでに電子辞書の購入に踏み切る前に、「読みたい書籍」と「それに必要な辞書」の照合作業から始めるのが、重要ではないでしょうか。
既に多く辞書を所有している人へ
有名な職業作家さんなどは、紙ベースの辞書を多く所持している傾向にあるそうです。
同じような傾向にある人ならピンとくるかと思いますが、自宅ならばともかく、出先で見つけた新しい語彙をメモする→辞書で探す…という作業は、大変煩雑なものになります。
そんなときに携帯したいのが、電子辞書。
紙ベースの辞書をめくる作業には、確かに「脳を刺激して記憶のマッピングを促す」という効果がありますが、この情報社会で、いつどこから・何の準備もしないまま新しい語彙が飛び込んでくるか、予想も立ちません。
そんなときにさっと電子辞書を取り出して、いったん記憶にとどめておき、自宅でゆっくりと活用法などを調べることが出来れば便利ではないでしょうか。
週刊誌・月刊誌で連載している作家さんのなかにも、そういった使い方をしているかたはとても多いそうです。
ご一考を。
効率よく語彙力を上げるには
普段は文章なんてとても書く機会がないのに、突然その機会が巡ってくることがあります。
社会人としてこれだけは知っておきたい…という語彙力の強要めいた言論もありますが、どんな仕事をしてどんな趣味をもつか…でボキャブラリは変わるものだと筆者は考えています。
でも、いざというときに、恥ずかしくないレベルの文章を書ける・自分の考えを適切なことばを使って述べる…ということくらいは、できるようになりたいものですね。
こういった理由から、高価な電子辞書とベストセラー書籍とを携えてにらめっこし、競うように語彙力を上げているひとも少なくないと聞き及びます。
しかし、こういう習慣は少し考えものですね。
日本人で初めて哲学書を著した、西田幾太郎という先生がいます。
彼は大の読書嫌いで、読んだ本を片端から忘れてしまう性質だった…という独白をしています。
筆者が思うに、これが自然なのではないでしょうか。
無理に「教養のため」に書籍や辞書をひも解いたりしない。
具体的なことに言及すると、大きい本屋さんに行ってぱらぱらと立ち読みをし、「これは続きが読みたいな」とフィーリングで思うものを選べばいいと思います。
そのそばに、電子辞書がそっといればいい。
興味の有無をしっかり自分で把握して、いいと思ったテーマをどんどん掘り下げて、電子辞書の出番を増やす。
自分だけのボキャブラリ・他人にはない語彙力を身につける、最短の方法だと筆者は考えます。
雑誌・小説を活用しよう
物書きさんの情報・語彙力ソースとして筆者が一番おすすめしたいのは、
- 男性向け週刊誌
- 小説
これらになります。
小説はまだわかるけど、なぜ男性週刊誌…?
という疑問がわくと思います。
筆者は、女性向け・男性向けの雑誌を両方とも多く読んでいるのですが、
- 男性向けの雑誌…インパクトのあるキャッチコピーや、語彙力豊かな文章で読者を取り込む
- 女性向けの雑誌…出来るだけ平易な言葉で解説した上で、モチーフやレイアウトで興味を引く
このように、コンセプトの違いがあります。
ではなぜ、その中でも週刊誌をおすすめするのか。
理由は、
- 現代人の心をつかむ語彙やテーマを意識して書かれている
- プロの職業作家も多く参加しており、出典元や根拠をきちんと提示している
こういった理由です。
今の時世の読者が「イイ!」と思う言い回しや提言をピックアップして、電子辞書を使ってきちんと意味を理解する→後述するノートアプリなどに列挙して、自分の言葉として使えるようになる。
一番手っ取り早く、「今」読む人々の心に訴えかけたい文章を書くなら、この方法がおすすめです。
合わせて使うといいアプリ
ボキャブラリや情報の引き出しを鍛えるには、ただ調べるだけでは足りません。
自分で記録しておくことが、一番重要です。
最後に、電子辞書と合わせて使いたいアプリの紹介をして終わろうと思います。
エバーノート
有名なノートアプリですね。
全OSに対応しており、手書きメモも可能です。
無料アカウントなら2つのデバイス間で使用することができるので、タブレット+ご自宅のパソコンで使う分には十分です。
ここに単語帳を作って、電子辞書から抜き出した言葉を整理しておくと、非常に便利。
筆者は、
- 古典文法
- 古語
- 熟語の成り立ち
- 新書に多い言い回し
等々、ノートを作って電子辞書から意味をそのまま転記しています。
iOSの「メモ」
こちらも非常に便利です。
図書館など、お出かけ先でパパっとメモしたいときにサクサク起動するのが魅力。
電子辞書で引っ張り出した言葉の意味を、簡単に要約して書くのが便利です。
実は手書き機能も付いており、物書きはアナログ派!
というかたもうまく導入できるのが魅力的。
難点を一つ上げるとしたら、メモの整理がやや不便というところでしょうか。
ノートアプリや、実際の紙のノートに整理をするなど、別のツールも併せて使うのが便利だと思います。
まとめ
電子辞書の値段は、実際のところ「天井知らず」です。
この記事の読者のほとんどが「購入を検討している段階」かと思いますが、すでに所有している方でも、タンスの肥やし状態になっている…というケースもあるかと思います。
お手紙やブログを書く人をイメージしてお伝えしましたが、教養を身につけるひとつの手段としても、ぜひ参考にしてみてください。