電子辞書選びは”辞書の性格”から!採用率の高い日本語・英語辞書の解説

よほどの「辞書マニア」でもない限り、発刊されている辞書の性格はなかなかつかめないというもの。

それゆえに、プレゼント用・ご自身用問わず、電子辞書を購入する際に「この収録内容が自分に合うのかどうか」という不安がよぎります。

ここでは、主な電子辞書購入目的となる日本語・英語辞書を中心に、収録されることの多いコンテンツの傾向をピックアップして解説します。

百科国語辞典は何がよいか

電子辞書に収録されている国語辞書のなかでも、重要な働きを示すのが「百科辞書の役割を備えた国語辞書」です。

下記に挙げる2種類があり、両者とも採用されているものは高価になる傾向にあります。

いずれか片方だけ収録されている辞書を選ぶ場合、どのように理解・判断をすれば良いのでしょうか。

大路林

三省堂が1988年から発刊されており、現在では最も利用者の多い辞書です。

というのも、WEB辞書・スマートフォン無料アプリとの連携が密になっており、紙媒体や電子辞書に頼らなくても参照する手段が多い…というのが、ひとつの理由です。

百科国語辞書としての性格は、”近代的”と言えます。

単語や事物について語源・用例を紹介する際、20世紀の作家や研究論文から引用する場合がほとんど。

それ以前の古文に属する語源にはあえて触れず、近〜現代で用いられる言葉の意味をシンプルに解説する傾向にあります。

また、無料で閲覧できる版(WEBやスマートフォンアプリ)と、電子辞書や紙媒体の間で、やや収録語数に違いがあるのも特徴の一つ。

前者には流行語・一部のネットスラングが収録されていますが、後者では収録に消極的な傾向にあります。

ここまでの性格を鑑みて総評すると、20世紀以降の文学を中心に嗜むかた・SNSなどで稀に発信される難しい用語の意味を正確に理解したい…という”読み中心”の人に向いている辞書と言えます。

広辞苑

岩波書店が1955年から発刊している、現在も版を重ねている辞書の中では最古のものです。

こちらは紙媒体でも、最新刊の最安値で9,180円(Amazon価格)と高価。

その理由は、辞書としてのこだわりにあります。

この辞書で語源・用例を調べた場合、単語の出現期や当時の用例・近現代へかけての意味の変遷などを丁寧に解説しています。

古語・近現代文学・現代用語の各専門家が集まった先鋭のチームで制作しているため、解説ボリュームは他の追随を許しません。

官公庁の公式文書で辞書から引用する場合は「広辞苑」が基準となっており、その信頼性の裏付けになっていることも確認できます。

こういった性格から、読むだけでなく自分で書いて発信をする・公式文章作成の多いビジネスパーソン・職業作家のかたには、広辞苑がおすすめできると言えます。

あると便利な国語辞典

学生であれば、前述した百科国語辞書に学習向け国語辞書をプラスするだけで、大学受験まで活用できます。

しかし、小説の書き手など積極的に語彙力を磨く必要のある人にとっては、受動的に国語辞書を引くだけでは事足りないこともあります。

類語辞典

日本語辞書を重視する場合、類語辞典の有無に注目しましょう。

ある程度語彙力があれば、より磨きをかけられる良いパートナーとなります。

職業作家の場合、百科国語辞書・学習向け国語辞書・類語辞書を基本セットとして揃えている人がほとんどです。

英語を読みこなせる・英文学も嗜む人は、日英類語辞書があると便利でしょう。

しかし、これはカシオのビジネス外国語モデルにしか収録されていません。

日本語特化型の格安の電子辞書にプラスアルファで紙媒体を購入するのも、費用を抑えるための一つの手段です。

和英・英和辞書はどれがよいか

学習者本人・あるいはお子様向けに電子辞書を購入する場合、和英・英和辞書の種類の多さに戸惑うこととなります。

ここでは、電子辞書に収録されている3大辞書の正確・どんな人に向いているかを解説します。

ジーニアス

学習向け辞書の代表格で、中学生〜大学英語までカバーできます。

収録語数は9万語程度と少なめですが、初学者から受験生・そしてTOEIC受験者に必要な知識まで、これ一冊でカバーできると言っても過言ではありません。

基礎となる英単語〜文法にまで踏み込んでおり、正しい文法・用法で英語を操るためのノウハウが一通り揃っています。

著名な英文学者でも、この一冊は絶対に所有するという人がほとんどです。

ほとんどの外国語収録モデルにコンテンツ収録されていますが、ネイティヴにも受験生にも、この一冊は強くおすすめできます。

リーダーズ

ここからは社会人向け辞書となります。

ネイティヴに近いレベルで英語を操れる人・TOEICで700スコア以上を出せる人におすすめできる辞書と言えます。

リーダーズの収録語数は11万語前後で、初学者向けの単語〜ビジネスや専門用語までをカバー。

ただし弱点として、文法や用例の解説がやや物足りないという点が挙げられます。

大学で英語を先行するかた・英作文をするかた・ビジネスシーンで積極的に英語を使うかたは、お使いの電子辞書に収録されていると安心です。

オックスフォード

英語圏の文系学校の最高峰と呼ばれるオックスフォード大学が編纂した辞書。

こちらは、英語の研究論文を読みこなせる人・ビジネス英会話にある程度慣れてきた人におすすめの辞書です。

収録語数は20万語以上にも及び、ギネス記録ともなっています。

辞書としての性格は「百科英語辞書」とも呼べるでしょう。

シェイクスピアなどの有名古典作家の用例・起源となったギリシア語やラテン語の解説もあり、英文研究者を意識した高度な内容となっています。

文法解説も付随しますが、初学者には分かりづらい内容も多く、受験生〜TOEIC受験者にとってはオーバースペックとなるでしょう。

専門分野の英語研究論文を取り扱うかた・英英語への理解を必要とするかたにおすすめできる辞書です。

英英辞書は必要か

結論から述べると、初学者〜大学受験レベルまで、英英辞書は不要です。

その段階での英単語同士の類語については、過去問テキスト・単語問題集などで十分対応できます。

必要と感じる人の多くが、実際にネイティヴ話者とコミュニケーションをとっている人だとも言われています。

例えば、周知の通りではありますが、米英語・英英語で単語同士の意味が全く異なる場合も少なくありません。

そのため、それまで学習してきた英語では特定地域の人と会話できなかったなどという体験をする人も数多くいます。

欧州旅行が趣味の人であれば、このようなもどかしさを痛感することがままあるとの情報も。

こういった場合に、英英辞書は役立ちます。

地域ごとの単語用法はもちろんのこと、伝えたいニュアンスにあった語彙を磨くこともできるため、海外旅行準備としてはうってつけ。

また、大学で英文学を専攻する人にも好評を得ています。

米英以外の国で英語出版される本には、言葉の用法が独特のもの・著者の造語が含まれるものも少なからずあり、それを読みこなすのに必要となるためです。

英語の学習レベルが一定に達した人にも、語学へのモチベーションを上げるために、英英辞書収録の電子辞書はおすすめできます。

まとめ

電子辞書の値段を釣り上げるのは、専門的で紙媒体そのものの値段も高い辞書だとも言われています。

必要でないのにハイエンドモデルを購入してしまった・逆にスペックが足りなかったという失敗談も少なくありません。

押さえるべき辞書の専門性・向いている利用目的や会話レベルの基礎を紹介しました。

より安価で・かつ目的にあった電子辞書購入の参考としてください。