読書家必見・電子辞書で効率的に語彙/知識を増やす方法まとめ
近年の読書ブームで、「読書のやりかたそのもの」を批判する声がよく聞かれます。
顕著なのが、辞書を持たない現代人の生活についての批判。
電子辞書は便利ですが、新書で比較的簡単な表現に慣れている人は、もっている語彙・知識だけで済ませてしまうことがほとんどではないでしょうか。
今回は、電子辞書を使った「身になる」勉強・読書法についてお話します。
昔の辞書の使い方
中世の修道院での勉強法
電子辞書の使い方について考える前に、伝統的な辞書の活用法を知りましょう。
語学辞書・百科事典が発達したのは、17世紀以降のヨーロッパ、しかも修道院でのことと言われています。
当時の勉強家はみな禁欲的な生活を送っており、辞書を複数持つということは考えられませんでした。
一冊の辞書をすべて写本・朗読を終えてから、次の辞書に移ったそうです。
また、研究書を紐解くのも辞書のも第2・第3言語の完璧な習得が認められた場合に限ったそうで、あまりの厳しさに挫折する生徒も多かったのだとか。
そうした環境があってこそ、自然科学や物理・哲学の研究が進んだと言われています。
中世ヨーロッパの教会体制を批判したルター・カルヴァンや、逆に擁護した人も含めて、ほとんどの著名な学者が、そういった勉強法で成長したと言われています。
特に学習したい分野は「紙の本」を
伝統的に、読書と平行して辞書を引く…ということは、なかったように考察されます。
これを現代風に解釈するのであれば、文法書・辞書の語彙を一通り学んでから、読書中のポータブル端末として電子辞書を持つのが最適と言えるでしょう。
つまり、特に学習したい分野については、まず紙の本の準備が必要となります。
ここで気になるのが、コストの問題ですが…より収録数の多い電子辞書、特にカシオ製のものになると、2万円をくだることはありません。
紙の辞書から買うにしても、1冊5000~8000円前後はしますし、迂遠であるように思えてしまうでしょう。
見落としがちなのが、辞書・文法書類は古書店に流れがちだということです。
運が良ければ(古い版のもので)100~500円で入手することが出来ます。
電子辞書を値段分活用できるか?
という不安がまだあるかたや、特定の分野だけを運と伸ばしたいかたには、まずは古書店を訪れることをおすすめします。
語彙を増やす方法
ビジネス文書作成・メディア系のお仕事では必須となる「語彙力」。
そればかりでなく、取引先との会話や異性との食事の場面でも、自分の魅力を違和感なく出すための武器となります。
語彙力を増やすには?
電子辞書で都度分からない言葉を引くだけでは、自分の言葉として使いこなすことは困難です。
いつでも必要な時に・正しい語義で使えるよう、頭の中の引き出しに収納しておく必要があります。
そこでおすすめできるのが、ノートをとる習慣。
紙のノート・筆記具というシンプルな組み合わせですが、より学習意欲を高めたい人は、こういったアナログの道具にもこだわりを持つといいでしょう。
紙のノートで圧倒的によいとされるのが「方眼紙」ノートで、理系・文系問わず、国公立系の大学の授業や研究誌にも愛用されています。
筆記具ですが、文字に自信のない人は万年筆がおすすめ。
鉛筆・シャーペン・消えるボールペンなども有用ではありますが、消しゴムを使って書き直しする時間が無駄になるので、気に入った書き心地のインクでメモを取るのがおすすめです。
また、紙のノートの代用品として、タブレットPC&スタイラスペンという組み合わせもおすすめ。
おすすめのノートアプリですが、OfficeのWordの機能性が群を抜いて優れています。
iOS/Android/Winに対応していますが、タブレット版ではドキュメント文書に直接スタイラスペンで書き込みが出来、とても便利。
Officeは今、月々1170円(税抜)ですべてのソフトを使い放題+クラウドサービスまで付随してきます。
是非一度お試しください。
読んだ内容をきちんと整理する方法
洋書(母国語でない語で書かれた本)
語学力に長けた人でも、慢心せずに必ずノートを準備しましょう。
分かりづらい単語・用例が出てきた場合は、その単語を含む文章を抜き出して文法的に分解、電子辞書からも文例を抜き出して書き取りを行います。
これを繰り返すことで、読み・書きばかりでなく、ネイティヴスピーカーとのウィットに富んだ会話をすることも夢ではありません。
母国語の本を読む場合
特に気を付けたいのは、著者独自の造語です。
本来の単語の意味と大きく解釈が異なることがあるので、きちんと著者の考えを理解できるように、要点が現れるごとにまとめていきましょう。
実は造語ではなく、古典からの引用であるという場合もあります。
よく現れる表現には注意をしましょう。
近年流行している「史学」を学ぶ場合は、電子辞書に収録されている史学用語のみならず、歴史の教科書を参照することも有用です。
日本の各史学の教科書は非常に優れていると言われており、研究者のほとんどが「ビジネスパーソンの教養レベルであれば、高校の教科書を丸暗記しておくだけで十分」と言われています。
この教科書自体も、最近では大人向けに書き直された版が電子辞書に収録されるケースが多くみられます。
ちょっとした暇つぶしに、スマホの代わりに眺めてみれば、時間の有効活用になるのではないでしょうか。
また、乱発的に発刊される新書ですが…読書家の実直な意見としては「新書だけでは語彙力・知識を身に着けることはできない」というのが大半です。
実際に新書を見てみると、典拠記載が非常に多いことに気づくでしょう。
そのほとんどが一般人でも簡単に入手できるもので、私たちは薄まった知識を学んでいるのだと認識したほうがよさそうです。
新書で電子辞書の出番が来たら、「まだまだ研究が浅い」と奮闘してみるのもよいでしょう。
また、必ず典拠を確認し、ここも辞書を使って著者の考え・主張を書き留めておくことが重要になります。
Kindleの辞書vs電子辞書
Kindle採用の辞書は「大辞林」
日本語についてはタイトル通り、大辞林が採用されています。
それ以外の語についてはネット辞書が採用されており、米英語・英英語・ポルトガル語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・イタリア語・中国語に対応済み。
Kindle辞書には短所があり、
- 横断検索ができないこと
- 書籍内の使用法以外に文例を確認できないこと
- 口語的/文語的表現の区別がないこと
これらが挙げられます。
各種言語の読書をした上できちんと語学力を身に着けたいのであれば、やはり電子辞書は欠かせません。
小説・詩集では敢えて本来の意味からそれた語法をしている場合もあり、間違った理解には注意が必要です。
文法・語彙力ともに一定レベル以上の人にとっては、ひとまず文脈の理解をするという上では、Kindle辞書は有効です。
翻訳のお仕事をする・まだ語学力に自信がない…という場合は、必ず電子辞書を用意しましょう。
まとめ
電子辞書は非常に便利なもので、収録されているすべての辞書を買うことを思えば、省スペース・超低価格なのは否めません。
それでも紙の辞書・ノート・手書きでの書き写しをおすすめするのは、やはり学校教育の延長線上にある「写本による脳の活性化」が理由として挙げられます。
本の内容を身に着けるには、モバイル端末だけではやはり足りません。
ぜひ一度、じっくりと本・電子辞書と向き合ってみてください。