iOS端末を電子辞書化しよう!ベストセラー国語辞書/辞典アプリ4種のご紹介
多機能型電子辞書が主流の今、機能は豊富であるものの、価格の高騰が進んでいます。
うかうかしていると、消費税アップの時代の波に飲まれることも。
海外ではモバイル端末を辞書化するのが主流で、実は電子辞書こそ「日本のガラパゴス化」の象徴であるとの指摘もあります。
ここでは、お持ちのiPhone/iPad/iPodを電子辞書化できるアプリを、国語辞書/辞典に絞り込んでご紹介していきます。
新明解国語辞典
最初に紹介する2冊は、すでに紙辞書をお持ちの方であればグッとお安く買えるアプリ。
これからタブレット・スマホを有効活用していきたい人は必見です。
優待版あり/辞書好きの人におすすめ
書籍版/アプリ版共に3240円のところ、書籍版を所持しているかたがクイズに正解することで840円になる…という超激安アプリ。
国語辞書の中でも格安のものに分類されますが、すでに版を重ねること7回目、”辞典”としてもマッシュアップが進んでいます。
新明解国語辞典の特徴は、語義の説明のあとに「連想されることば」にジャンプできること。
アプリ版ではこの機能がさらに使いやすくなっており、辞書を弄るという作業が楽しくなります。
文字も大きくクッキリとしており、マーカーやしおりなどといったアナログ感覚ツールも充実。
電子辞書は細かくて見づらい…という高齢のかたや、スマホで使用するかたにもおすすめできます。
辞書固有の弱点として、言葉の成立の過程などを大幅に省略している点にあります。
これは、良い意味でも悪い意味でもこの辞書の性格。
語義の変化には柔軟に対応できる=現在使われている言葉の新鮮な意味を知ることには、十分役に立ちますが…20世紀前半以前の文学・論説を読むには、いまひとつ及ばないところがあるのは否めません。
iOS対応のアプリとしては非常に優秀で、Retinaディスプレイを有用に活用できる製品のひとつです。
「口語で使われる言葉の意味に、時々違和感を感じる」「辞書から時勢を知りたい」という人におすすめのアプリ。
三省堂国語辞典
優待版あり/中〜高校生向け
こちらも優待価格で購入できる辞書。
書籍版/アプリ版共に3132円のところ、前項で紹介したアプリ同様の手順により720円で購入できます。
こちらもユーザーインタフェースは非常に優れており、目に優しいカラー配置が嬉しいアプリ。
アナログ感覚のマーカー・しおり機能も、一通り備わっています。
単語から実際の文例・熟語・語法へ展開が広がり、日本語文法の解説も豊富なのが魅力的。
小学生〜高校生まで、公立学校では採用されることの多い辞書の待望のアプリ版です。
お値段も非常に安いので、電子辞書購入前の試験的な導入として、お子様の端末に入れてみてはいかがでしょうか。
国語辞典としての性格・メリットやデメリットについて言及すると…こちらもやはり、言葉の成立の背景などにはあまり踏み込んでいません。
ただ、新しい用法だけに執着せず・これまで数々の文学や小説に採用されてきた句を、文・熟語の単位で紹介しているのが面白いところ。
手紙や文章の作成が苦手というかたがはじめて手にする辞書としては、大変おすすめできます。
近年ではツイッターなどのSNSで「正確な情報を発信できること」が重要視されがちですが、アプリ版はこれら発信ツールとの連携強化を図っているのも注目すべき点です。
以上のような辞書としての性格・アプリの特徴から言えることは、
- 辞書を初めて手に取る方
- 高校生までのティーンエイジャー
- 電子辞書ではオーバースペックすぎると感じている方
これらの人におすすめできる、最優のアプリです。
しかし追記すると、これまで紹介してきた2つの辞書は、辞書の大御所・岩波のそれには劣る点も。
将来的に辞書を乗り換えることを視野にいれつつ、ダウンロードしてみてはいかがでしょうか。
大辞林
ここから先は、「百科事典」としての機能も期待できる辞書アプリをご紹介します。
学生はもちろんのこと、国会中継・新聞の社説・史学学習などのお供に活用できます。
最近の電子辞書はどれも多機能すぎると感じておられる社会人のかたは、必見です。
定番の超格安日本語大辞典
各サービスのウェブ辞書・翻訳サイトにも採用されている、大御所日本語大辞典のひとつ。
アプリ版の価格は2600円。
書籍版・アプリ版の「辞典」のなかでは破格の値段とも言える安さが、最大の魅力です。
気になるアプリの性質ですが、白黒貴重のシンプルなインタフェースが特徴。
アプリ版だからこそ実現できた機能として、「手書きで検索」が出来ることにあります。
この機能故に、日本語学習中の外国人にも大変人気。
語義の説明に必要な場合は、図版やビジュアルの掲載もしており、なんとなく開くだけでも楽しいアプリです。
この一冊で、電子辞書の日本語系統機能はほぼ補えると言っても、過言ではないでしょう。
辞書辞典としての性格について言及すると、ユーザーの意見を組み上げ過ぎている節があり、語義の微妙なニュアンス違いなどが所々に見られます。
方言・地方ごとの習慣に関する説明もかなり省かれており、日本文化をしっかりと知るには少し甘いところも。
どうにも「辞典辞書」は高すぎるとお考えの方にはおすすめできるものの、並行して別の辞書・百科事典を持つことも必要になってきそうです。
精製版・日本国語大辞典
最後に紹介するのは、小学館が自信を持って送り出す、岩波の対抗版。
これまでは廉価なアプリのご紹介をしてきましたが、こちらは7800円と高価になっています。
広辞苑と比類する万能辞書
史上もっとも古い「広辞苑」に圧倒されがちで、あまりスポットの当てられることのない一冊。
しかし、「電子辞書は高い・オーバースペックすぎる」という人に大好評を得ており、App Storeのレビューも軒並み高いのがポイントです。
こちらも白黒を貴重としたシックなインタフェースで、大人向けという印象があります。
アナログ感覚の機能としては、インデックス・ブックマーク機能に留まり、マーカーを引く・メモをつけるという機能がないのがネック。
辞書辞典としての性格を述べると、「専門家の生の知識」を新鮮に記載している印象を受けます。
言葉の成立の過程、古文書からの引用、語源が何か、歴史上どのようなことがおこったか…等々、惜しみなく情報を網羅しているのが特徴。
日本史学・古語に関心がある人も大満足の出来で、電子辞書の「横断検索」機能を凌ぐ学習効率が期待できます。
広辞苑と肩を並べる辞書辞典として知られている一方で、決定的な違いもあります。
広辞苑は8〜10年サイクルで「新語」の掲載にも積極的なのに対し、こちらの日本国語大辞典では、20世紀代までの言葉に重きを置いているのが特徴。
ゆえにオフィシャルな場で時事について話す時は「広辞苑」が好まれる…という背景事情もあります。
これからしっかりと日本文化の学習をしたいかた・古典をきっちりと読みこなしたい人には、電子辞書よりもおすすめできるアプリ。
書籍版広辞苑と合わせて持つことで、国文学事情はほぼ全て手中に収められます。
まとめ
学生〜教養ブームを見て危機感を覚える社会人の皆さん向けに、歴史ある辞書の有料アプリ版を厳選してご紹介しました。
いずれも使い勝手がよく・アップデートもスムーズで、学校教育への採用率の高い辞書となっています。
電子辞書は見づらい・いささかオーバースペックすぎると感じる・お子様向けに安く辞書を買いたい…というかたのご参考になれば、幸いです。