電子辞書は万能なのか?意外と知られていない、収録済&未収録のお役立ちコンテンツ
電子辞書さえあれば思い存分学習できる…そんな気持ちに駆られて、ついつい先走ってしまいがち。
しかし、学習内容やレベルによっては、すでに電子辞書が必要でなかったり、電子辞書のレベル自体が使用者に追いつけなかったりすることもあります。
電子辞書に出来る範囲を把握してほしいという狙いの元に、収録済み・未収録それぞれの意外なコンテンツについて解説します。
電子辞書で代用できない本
大学進学・就職などの節目で、新しい電子辞書を用意するのは名案です。
購入機種を決める際は、様々な事情で電子辞書では代用できない本・辞書があることも押さえておきましょう。
判例&模範六法
法学部への進学・司法修習生などのプレゼントとして、六法収録の電子辞書を選ぶ人が多数います。
しかし、実際に法律を学んでいる人・在学中の学生の声によると、「電子辞書に六法は不要」とのこと。
分かりやすい理由のひとつとして、法律が毎年改定されていることが挙げられます。
法学を学ぶ人にとって、各六法の本を毎年買い換えるのが常識となっています。
判例六法についても同じことが言えます。
判例は日々の裁判で随時更新される可能性があり、ともすると現在の最新の法学書でも間に合わないことがあります。
また、注意したいのが2019〜2020年の間に予定されている民法大改正です。
民法は法学全体の基礎とも言われており、初学者〜司法試験合格者まで繰り返し学び続ける科目。
つまり、改正前に六法収録の電子辞書を購入しても、学習に全く活かせなくなる可能性があります。
以上の事から、六法以外で履修している科目については電子辞書で・六法そのものは紙媒体で用意するのが、おすすめの方法と言えます。
パプリックドメインの洋書
著者の死後50年が経過した書籍を自由に利用できる…ということはよく知られています。
しかし、外国語の書籍については、この限りではありません。
地域ごとに著作権の定めは異なります。
後述する「青空文庫」のような、有志が著作権切れの出版物をまとめるサイトまたはコンテンツが諸外国にほとんどないのも、注意すべき点でしょう。
こういった都合から、電子辞書の機能や追加コンテンツをフル活用しても、洋書の古典を読むことは不可能と言えます。
しかし、代案として電子書籍ビュワーの「Kindle」がおすすめできます。
スマホはもちろん、Win/Mac版のアプリもあり。
洋書古典であれば100〜500円程度の激安価格か、無料で原文が読めます。
辞書の英語辞書機能+電子書籍ビュワーの組み合わせが、外国語書籍の研究や精読におすすめできます。
電子辞書対応済みコンテンツ
ここからは、意外と知られていない電子辞書対応済みのコンテンツについて紹介していきます。
ロイヤル英文法
ロイヤル英文法は、国内の文法書の王様とも言われる名著。
電子書籍版・紙媒体版ともに人気があります。
中高生〜大学英語まで使えて、字幕作家や翻訳家も必携と言われている一冊。
分冊になっており、2冊とも購入すると6,000円近くにも登ります。
ところが実は、電子辞書にすでに対応済み。
シャープ製であれば高校生モデル・社会人向けハイエンドモデルに、カシオ製であれば中学生向け以上の外国語強化型モデルに収録されています。
電子辞書収録版であれば、探したい内容や知りたい文法をピンポイントで参照できるので、非常に便利。
文法書から辞書まで、英語学習に関するものを一通り揃えたい人には、電子辞書をおすすめします。
史学の教科書
日本史の事件に関する書籍が多数発売され、史学ブームは続いています。
在学中に履修した日本史や世界史について、もう一度学び直したいという声も大きいところ。
カシオ製の電子辞書であれば、社会人の学び直し史学書のベストセラーが収録されています。
中高生向けモデルも、世界史・日本史の教科書が収録されているため、大変おすすめできます。
史学関係の本はかさ張る上に費用もかかるため、辞書とまとめて一挙に揃えたいというかたは、思いきって電子辞書を買う方がお得かつスマートであると言えます。
青空文庫(国内文学)
国内文学なら、電子辞書で読めます。
フレーズで検索することもできるため、映画やドラマ・アニメなどで「このセリフはどこからの引用だろう」と探すときも便利。
紙媒体の辞書・青空文庫サイトやKindleにはないメリットです。
古典〜近代文学が好きでお部屋のスペースを節約したいという人には、青空文庫・名文学収録の電子辞書をおすすめします。
電子辞書非対応コンテンツ
はじめにも「電子辞書では対応できないことがある」と紹介しましたが、マニアックな辞書・学者向けの辞書に関しても同様です。
特に、高度な語学系辞書については、まだまだ電子辞書は弱いと言わざるを得ません。
バイリンガル向け類語辞典
作文したり外国語書籍を読みこなしたりするにあたって、上級者が活用しているのは類語辞典です。
日英はもちろんのこと、日本語と他言語で近いニュアンスを持つ文節を突き合わせるというのが趣旨。
岩波書店や三省堂が中心となり、権威のある語学研究者が著しています。
残念ながら、電子書籍にはこういった類語辞典の収録はほぼありません。
利用できる近いものとしては、手紙やスピーチなどの用例集・定型文だと言えます。
しかし、外国語文学や古典研究においては、紙媒体で類語辞典を用意するのが無難だと言えるでしょう。
映画や演劇の名台詞集
各メーカーの教養モデルでは、古典〜近代作品までの名文収録には対応しています。
一方で、映画・伝統的な演劇に関する知識については、手薄になっているのが残念なところ。
こういった知識が欲しい人は、やはり書籍に頼るのが1番と言えるでしょう。
レポートやスピーチにおすすめの本
そのほか、電子辞書だけでは対応困難なことがあります。
日本の教育現場・辞書作りの現場で特に欠けているとされるのが、ライティングやスピーチ技術についてのノウハウ。
レポート提出で頭を悩ませがちな大学生、商品説明において正しい表現をしなければならない営業マンなどにとっては、喉から手が出るほど欲しいスキルです。
そこで、辞書で身についた言葉を組み立てる技術については、やはり出版されている本で対応しましょう。
数学文章作法
タイトルには「数学」と入っていますが、数学知識がなくてもサクサクと読みこなせる本です。
著者は数学者で、初学者〜数学が苦手な社会人のために、わかりやすい数学書を出版しています。
この本では、著者が本を書くにあたって心がけているライティング技術の全てを網羅。
日本語の表現・分かりやすい段落の作り方やテーマの練り方などが詳しく書かれています。
基礎編・推敲編と分かれて出版されていますが、それぞれの典拠も過去にベストセラーとなったライティングノウハウ本なのが、嬉しいところ。
文系の学生・社会人でも文書作成が苦手という人は、電子辞書と合わせて購入してみることをおすすめします。
Kindle版の提供もあるので、スマホやタブレットでさくさくと読むこともできます。
まとめ
電子辞書は決して万能というわけではなく、すでに収録されているコンテンツでも、紙媒体で用意したほうがよいイレギュラーもあります。
一方で「これは書籍として別に用意した方がいいだろう」と思われるものでも、実は便利に使える機能付きで収録されていることも。
「どんな知識が必要か」を自己分析することが、より自分にあったモデルを購入する上での鍵となります。