英語学習には電子辞書と紙の辞書のどちらが向いているのか
英語の必要性が声高に叫ばれ続けている現在の日本ですが、学校教育、特に高校の英語の授業でよく言われているのが、「英語の勉強は紙の辞書を使った方が絶対に良い」という教師側からの主張です。
これは果たして真理なのか、また電子辞書と紙の辞書のどちらが向いているのかということについて今回は様々な視点から書きたいと思います。
そもそも主張の根拠は何なのか
恐らく現在の日本の高校英語教員の中で正確にカウントすることはできませんが、生徒に紙の辞書を使わせるべきなのか、あるいは電子辞書を使わせるべきなのかを尋ねた場合、間違いなく非常に多くの教員が、紙の辞書の使用を推奨するであろうことは容易に想像できます。
こうした主張は昔から受け継がれている印象を受けますが、その主張の根拠とは何なのでしょうか。
よく言われているのは、電子辞書では調べたい単語を入力するだけですぐに意味が出てくるので、手間がほとんどかからず一度見てもすぐに忘れてしまうというものです。
また、単語ごとの例文が載っていない、あるいは載っていても非常に量が少なく、その単語がどういった使われ方をするのかという具体例が分からないということです。
他にも人によって様々な根拠を持ちだしてくると思われますが、概ね上記のようなものに集中します。
手間がかかる=長期間記憶が鮮明な状態が保てるのか
上記の2つの根拠を順番に一つずつ検証していきたいと思います。
まず1つ目が、紙の辞書という明らかに電子辞書よりも調べるのに圧倒的に時間と手間が掛かるものを日常的に使用すれば、一度調べた英単語を電子辞書を使って調べた場合と比較して本当に長期に渡って覚えているのかということです。
確かに一回一回に手間と時間が掛かる分、何度も調べようとは思わない人がほとんどなので、一度で覚えてしまおうという人は電子辞書に比べると多いかもしれません。
しかし、逆に明らかに手間と時間が掛かる分、例えば部活などで忙しく時間が無い高校生はそもそも分からない単語に出くわした場合でも手持ちが紙の辞書しか無い場合は調べるという行為そのものを避けようとする人も多いのではないかということです。
特に自ずと学生の場合は学校からの宿題の和訳などを行う際に使用するケースが圧倒的に多いと思いますが、こうした時間が無くて切羽詰まった状態の場合は、間違いなく手間が掛からない電子辞書の方が使いやすく、何度も何度も同じ単語を見たとしても回数をこなす分、記憶も次第と正確に定着してきます。
電子辞書には紙の辞書には絶対に出すことができない身軽さがあるのです。
例文の豊富さ=英語力向上に繋がるのか
確かに英語学習において単語を覚えるという行為は上達を図る上で必要不可欠です。
そして、その際にただ単純に単語と日本語の意味を見て覚えて終わりではなくて、その単語が実際にどういった使われ方をするのかを例文を見て確認するとその記憶は更に根強く定着します。
そういった意味では例文が豊富に掲載されている紙の辞書の方が英語力向上には役に立ちます。
しかし、問題なのがそうした例文が初めて効力を発揮するのは、単語を学習する際に例文をしっかりと活用した時です。
つまり、さっと意味だけを確認して次に進んでいたのでは、せっかくの例文も全く効果が無いということです。
繰り返しにはなりますが、部活動などで忙しいという高校生と毎日時間が余っているという高校生を比べた場合、間違いなく前者の方が多いと思います。
そうした多忙な日常の中で、意識的に例文まで見る余裕がある、あるいはそうした意識で学習に継続的に取り組んでいる学生がどれくらいいるのかということを改めて考えると、時間が無い人にとってはやはり電子辞書の方が学習を行う上で扱いやすく学食向上にもつながると判断できます。
意味を調べて該当ページに到達するまでの一連の時間は無駄なのではないか
小見出しの主張はカリスマ英語講師として活躍されている某予備校講師の方も主張していますが、電子辞書の場合はこの単語が何かを知りたいという場合に途中までアルファベットを入力するだけで自動的に予測変換機能でずらっと候補が出てくるので、すぐに答えに辿り着くことができます。
しかし、紙の辞書の場合はどうしても該当ページに到達するまでにページをめくる時間と該当ページに辿り着いてから単語を探す時間が必要となります。
そして、こうした調べる最中の時間というのは当然のことながら英語力の向上には何も貢献しません。
ただ調べる為の時間でしかなく、いわば作業と同じです。
一つの単語だけであればその作業時間もさほど多くは無いですがこれがどんどん増えていくとかなりの時間となってしまいます。
電子辞書はこうした学習を行う上で無駄な作業時間を大幅に減らしてくれるという意味で、大変画期的な道具と言えます。
電子辞書は複数種類の辞書内容を内蔵している
紙の辞書であれば当然1冊につき内容はそれに限られますが、電子辞書の場合は一般的な英和辞典を含め、和英辞典や英会話表現集など複数種類の辞書が一台にまとめて内臓されているので大変扱いやすいです。
紙であれば一冊一冊使い分ける必要があり、未使用時の保管スペースもかなり必要となってきますが、電子辞書であれば基本的に1台で済むので保管場所に困ることも一切ありませんし、軽いので電車の中や学校などどこでも簡単に持ち運ぶことができます。
電子辞書と紙の辞書、それぞれに使用が向いている場面がある
ここまでは総合的には電子辞書の方が優れているという点を列挙してきましたが、実はそれぞれに使用が向いている場面というものが存在します。
まず紙の辞書が向いているのは、語義や例文まで踏み込んで詳しく紹介されているので、じっくりと調べものがしたい、あるいは英作文などでこの場面ではどの単語を使えば自然な英文になるのか知りたいという場合です。
電子辞書ではそこまで深い内容はカットされている場合が多いので、こうしたニーズに答えることができるのは間違いなく紙の辞書と言えます。
逆に電子辞書はやはりそのスピードを生かして緊急で知りたい単語があるなど時間に追われている際に使用することをおすすめします。
英語学習には両方あると便利
結論から言えば英語学習を行うのであれば、紙の辞書と電子辞書の両方を揃えておくことで幅広い状況に対応できるので、学習がはかどります。
料金的に両方揃えるのは厳しいという人はできれば電子辞書を購入した方が即効性があるのでおすすめです。
辞書も大事ですが一番大事なのは
確かにそれぞれの辞書の特色を理解して使用することは大変大事なことですが、最も重要なのはやはり継続して毎日コツコツと学習を行うことです。
どれだけ素晴らしい辞書を持っていてもそれを使わないのであれば持っていないのと何も変わりませんし、活用できていないという意味においてマイナスですらあります。
道具は使い手の意識1つで大きく価値が変わるということは覚えておいて良さそうです。
まとめ
今回は英語学習において紙の辞書と電子辞書のどちらが向いているかということを複数の視点から紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
どんなものでも必ずメリットとデメリットがあるように両方の辞書にも同様にメリットとデメリットは存在します。
その双方を十分に理解して、しっかりと使いこなして英語力を向上させて下さい。