グラボの消費電力に対する、電源容量の目安はどのくらい?

グラフィックボード(グラボ)

MSI NVIDIA GeForce GT710搭載 GDDR3 2GB グラフィックスボード VD5931 GT710 2GD3H LP

グラボを高性能なものに買い替えた時、PC全体の動作が不安定になる事があります。

このトラブルの原因で多いのが「電源容量の不足」です。

当然、電源容量を大きく取れば一応の解決はしますが、電源の価格や変換効率といった点では正解とは言えません。

今回は、グラボの消費電力に対する、電源容量の考え方とねらい目の電源はどのあたりなのかまとめました。

参考にしていただければ幸いです。



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PCの大まかな消費電力の計算方法

電源を選ぶときに必要になる情報が、システム全体で使用する消費電力です。

PCを自作する場合、これらは自分で計算する必要があります。

計算方法自体は人によって様々ですが、簡単に計算出来ておすすめの方法は「CPUとグラボの消費電力の合計に100を足す」のがおすすめです。

100を足す理由はCPUとグラボ以外のパーツの消費電力の大まかな合計値です。

これが大まかなPCの消費電力となります。

そして、この合計値に1.5倍したものがそのPCを安定して動作させるために必要な大まかな電源容量となります。

1.5倍する理由は、電源自体が劣化して出力が下がる可能性がある点や、変換効率などが関係しています。

また、理想的な容量という意味では1.5倍ではなく2倍したものになります。

ですが、2倍はあくまでも理想であり、必要な容量がかなり大きくなるため、1.5~1.8倍程度で考えるのがベストです。

参考までに筆者がプライベートに使用しているPCの場合には、CPUが95W、グラボが150W程度の消費電力を持っています。

前述した式に当てはめると消費電力は大体345Wとなり、その1.5倍で517W以上が必要になる計算です。

この構成で電源を選ぶのであれば大体550~600W程度の電源が目安、という事になります。

ちなみに、実際に使っている電源は少し余裕を持たせた650W電源です。

もっと簡単な考え方

正直な所、余程変わったパーツ構成をしていない限りはわざわざ計算しなくてももっと大雑把な次のような考え方でも問題ありません。

●補助電源無しのグラボ:400~500W
●補助電源が6ピンか8ピン:500~650W
●補助電源が複数(6+8や8+8など):600~750W
●SLIやCrossFireなどの複数搭載:800~

といった考え方で、問題が起きることはほとんどありません。

むしろ、ある程度余裕を持った選び方をすることで、経年劣化による出力不足が原因の動作不良をある程度防ぐことが出来るというのはメリットとも言えます。

ただし、電源は基本的に、容量が増えるほど価格も高くなるため、あまり余裕を持たせようとするとコストがかかり過ぎてしまうというデメリットがあります。



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電源容量が足りないとどうなる?

グラボに限らず、PC全体の消費電力が、電源ユニットが供給できる電力を超えるとトラブルが起きやすくなります。

中でも電源の容量が不足している場合に特に起きやすいトラブルとしては挙げられるのは次のようなものがあります。

●スイッチを押してもPCが起動しない
●高負荷時に強制終了する

などが主に起きやすくなります。

1つめのように「そもそも起動しない」という場合でも、いくつかのパターンがあります。

電源容量が足りていない場合には「一瞬だけファンが回る」「一瞬だけ起動する」など、起動しそうな兆候自体は起きている事が多いです。

2つめの場合は、普通に使っている間は問題なく動作します。

ですが、ゲームなどのグラボに負荷がかかり消費電力が高くなる動作をさせると電力が足りなくなり強制終了します。

こちらのトラブルの場合には、1つめの場合が「明らかに容量が足りない」のに対して、こっちの場合には「微妙に容量が足りていない」という違いがあります。

大容量の電源でも、劣化で出力が低下している事も

自分のPCの電源は大容量のヤツを選んだから、出力不足とは無縁。

と思いがちですが、電源ユニットは意外とデリケートなパーツのため、日ごろの管理がずさんだと1~2年で出力が低下します。

特に電源は熱に弱いため、冷えにくいケースを使っていて、狭い隙間に設置するなどの熱が逃げにくい場所での使用、埃が詰まっている場合などは特に電源の劣化が早くなります。

また、怪しいメーカーの良く解らない電源ユニットなども粗悪品が混じっている事があるため、劣化しやすくなっている事があります。

逆に電源に定評のあるブランドの製品は高品質な部品を使用しているため劣化もし辛く、しっかりとケアしながら使っていると電源ユニットの平均寿命とされる5年を大きく上回って使える事も有ります。

また、ケーブルの取り回しやすさなども考えられて作られているため、どうせなら電源はしっかりしたものを選ぶのがおすすめです。

電源を長く使うために出来る事

先にも書いた通り、電源は熱に対して強くありません。

そのため、他のパーツと同様に「埃」が大敵です。

特に電源はファンを回すうえ、箱型のケースに収まっているため埃が入り込みやすく、また、一度溜まってしまうと自然に取れることはまずありえません。

そのため定期的な掃除が非常に効果的です。

電源ユニットの掃除方法としておすすめなのはエアダスターを用いて埃を外部へ吹き飛ばす方法です。

電源ユニットを掃除する時の注意としては、万が一のために電源プラグは抜きます。

また、プラグを抜いた後に数回起動スイッチを押して、中に残っている電気も消費しておくのがおすすめです。

逆に分解しての掃除はおすすめしません。

電源は外装に包まれているため、指などを入れるのは難しく、万が一の危険性なども考えられるためです。

グラボの消費電力はどう調べる?

グラボの消費電力が分からない場合には、いくつかの方法で調べることが出来ます。

基本的にはGPUを作っているメーカーで調べることが出来ますが、古いグラボの場合には載っていない事もあります。

そのため、基本的には販売をしているメーカーの製品詳細から確認するのがおすすめです。

最近はグラボの消費電力だけではなく、その時々のメインストリーム帯のCPUと併用したときに必要になる大まかな電源容量なども記載される事が増えているため、電源容量に迷った時はこういったものを参考にするのもおすすめです。

使いやすい電源の選び方は?

同じ出力の電源でも、メーカーによって様々な製品があります。

中には同じ容量の電源でも価格が倍近く違うものもありますが、使いやすい電源にはある程度の共通点があります。

中でも次の2点は電源選びにおいてとても重要なポイントです。

●80PLUS認証が付いているものがおすすめ
●モジュラーケーブルがおすすめ

電源選びで最も重要視されるのが「80PLUS認証」です。

これは、80%以上の電気変換効率を持っている製品に対して与えられるもので下はSTANDARD、上はTITANIUMまで6段階が存在します。

分かりやすく言うと、コンセントから得た電気をPCが使える形にするときにどれくらいロスが減るか、というモノです。

基本的にはグレードが高いほどいいのですが、実用的な範囲で言えばBRONZE~GOLDの範囲で選ぶのがおすすめです。

80PLUS認証以外では、ケーブルの取り回しやすさなども重要なポイントです。

最近は電源から伸びるケーブルを取り外すことができるプラグイン方式のケーブルが一般的です。

全てが取り外せるフルモジュラー式と主要なケーブルは固定されているセミモジュラー式とがありますが、普通に使う範囲であれば、セミモジュラー式が採用されている製品が選択肢も多いためおすすめです。

自作におすすめの電源「Corsair CX650M CP-9020103-JP」

自作で使う電源に迷ったら、Corsairから出ている80PLUS BRONZE認証の電源「CX650M CP-9020103-JP」がおすすめです。

価格も安く、容量や使いやすさ、品質等かなり高水準にまとまった電源です。

容量も650Wと十分にあるため、余程の事が無ければ容量不足で動かない、というトラブルにはなりません。

650Wは最新のグラボも、ほとんどは問題なく動作させられる容量です。

ケーブルは主要なケーブルのみが固定され、各種ハードウェア用のケーブルは好みで取り付けられるセミモジュラー式のケーブルになっています。

主要なケーブルの取り回しが少し気になりますが、逆に重要なケーブル類が接続不良になりにくいという点はセミモジュラー式のメリットとも言えます。

デメリットらしいデメリットもなく価格も安いため、どの電源を使うか迷った人や、サブPC用に電源欲しい人など、大抵の人が使えるため、非常におすすめの電源です。

まとめ

グラボに関しては、交換する時にどうしてもクロック数や搭載メモリにばかり目が行きがちですが、消費電力も併せて目を通した方が良いです。

特に、これからハイエンドモデルに手を出したいと思っている人はグラボを交換する前に、一度自分が使っているPCの電源容量と、グラボ以外のパーツでどのくらい電力を消費しているのかを確認し、動作できるかどうか計算してみるのがおすすめです。