腰痛の種類とメカニズム。 腰痛に効くおすすめ 入浴剤
辛い腰痛で整体や整骨院などに通いマッサージ、ストレッチの施術や電気治療を行っている方は少なくありません。
しかし、実は慢性腰痛の原因は腰そのものではなく、股関節や腹膜など、腰とは関係のないような箇所が原因となっていることが多くみられます。
原因を無視して腰に痛みがあるから腰ばかりをマッサージしたり、電気治療したりしても腰痛が根本的に改善されるどころか悪化することもあります。
そこで入浴剤は腰痛に効くのかという疑問に対する解説とおすすめの入浴剤の提案をさせていただきます。
急性腰痛と慢性腰痛
まず腰痛には急性腰痛と慢性腰痛の二つに分けることができます。
急性腰痛とは
腰に痛みを感じだして、約4週間以内におさまるものが「急性腰痛」といわれてます。
急性腰痛はぎっくり腰のように重いものを持ち上げようとした時や、くしゃみをした瞬間などに腰に激痛が走り、安静にしていれば徐々に痛みが和らいで、1週間程度で良くなります。
長くても1ヶ月もすれば急性腰痛の9割は完治するといわれます。
そして急性腰痛は腰の骨や椎間板、神経などに明らかな異常が見られない原因不明の非特異的腰痛が大部分を占めます。
原因は腰の使いすぎによる筋肉疲労、腰椎(腰部の背骨)の変性、腰のケガ、内蔵の病気や精神的なストレスがあげられます。
慢性腰痛とは
痛みが3ヶ月以上続くものが「慢性腰痛」といわれます。
痛み自体はさほど大きくなく、いつ痛みが始まったのかがわからない事が多く、鈍く重苦しい痛みであったり、不快な痛みが慢性的にダラダラと続き、腰のこり、張り、疲れ、重さなどの違和感や不快感を感じることもあります。
慢性腰痛では何もせずに自然に治る可能性は低く、痛みを根治できないケースも多く科学的根拠に基づいた治療が必要となります。
慢性腰痛の原因は明らかなものと、そうでないものがあります。
慢性腰痛の原因は明らかなものとそうでないもの
原因が明らかなもの
腰椎の障害、腰椎の病気などです。
原因がはっきりとわからないもの
腰椎に異常があると思われるもの、心の病が関係していると思われるもの、内臓の病気などがあげられます。
湯治について
湯治という行為は古く日本において行われていた療法で、衛生に関する知識や医療の技術が十分に発達していなかった時代にその伝聞されていた効能に期待して、温泉に入浴したり飲泉するなどして多くの人が温泉療法によって病気からの回復を試みていた療法です。
江戸時代には皮膚病の治療目的で薬草などを体の治療目的で風呂に投入して入浴が行われていました。
入浴剤の歴史
明治30年、製品として初めて販売された入浴剤は「浴剤中将湯」です。
婦人薬である「中将湯」をつくっている時にでる、生薬の残りを家に持ち帰り、お風呂(たらい)に溶かして子供を入れたら「あせも」が治ったり、いつまでも身体が温まったままだったりするということがわかり、製品として銭湯に販売しました。
当時の値段は150グラムで50銭。
銭湯の値段は大人5銭だったことを考えると、相当高価な商品だったようです。
この「浴剤中将湯」は大ヒットしましたが、今度は「温まりすぎて、夏場は汗が引かなくて困る」という声の中、開発・販売されたのが「バスクリン」です。
「バスクリン」というモダンな名称、大正ロマンチシズムの画家 高畠華宵の絵を用いたブリキ缶のパッケージ、お風呂上がりにカラダがスーッとする香りや成分、そしてオレンジの粉をお湯に入れるとグリーンに変化するお湯の色などなど、当時から色と香りにこだわった画期的な芳香入浴剤でした。
その後、戦争で一時「バスクリン」の生産も中止せざるを得ませんでしたが、昭和25年に生産再開。
昭和62年には日本で初めての、白く濁る温泉タイプの入浴剤「日本の名湯登別カルルス」が発売されました。
温泉のようにお湯を白濁させるという「登別カルルス」の技術が開発されると、入浴剤市場は大きく変化しました。
白濁入浴剤は、温泉好きの日本人の嗜好にぴったり合致し、「登別カルルス」は今も人気の高い製品です。
現在では、血流促進などの機能を高めたものから、香りを楽しみリラックス効果を期待するものまで、2,000品種を超える入浴剤が販売されています。
これまでの入浴剤は、無機塩類系と呼ばれるもので温浴効果を高めるものがほとんどでした。
その常識を覆したのが、「バブ」(花王)です。
バブは1983年の発売開始から30年に渡って幅広い世代にバブとは花王から発売されている入浴剤です。
入浴剤を含めたインバスヘルスケア製品のブランド名であり、入浴剤は花王の看板商品ともいえるロングセラーとなっています。
「バブ」(花王)、「きき湯」(バスクリン)、「バスララ」(白元)。
この炭酸ガス系入浴剤タイプは現在でも、もっとも人気があり、年間140億円もの売上を上げています。
近年では温浴効果を従来の数倍にした製品も開発され、注目を集めています。
治療としての入浴剤は腰痛に効くのか?
無機塩類系入浴剤、炭酸ガス系入浴剤、薬用植物系入浴剤、酵素系入浴剤、清涼系入浴剤、スキンケア系入浴剤など多数の分類に分けることができますが、結論からいえば腰痛と相性が良いのは炭酸ガス系入浴剤です。
無機塩類系入浴剤
(硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、等を主成分とするもので、粉末、顆粒タイプが多い)硫酸ナトリウムは皮下組織の賦活作用、修復作用などがあり、あせも、ひび、あかぎれ等の予防にも効果があります。
このタイプの最大の特徴は、塩類が皮膚の表面の蛋白質と結合して膜を形成し、この膜が身体の熱の放散を防ぐために、入浴後の保温効果が高く湯冷めしにくくなるということです。
また、炭酸水素ナトリウム(重曹)は石鹸と同じように皮膚の汚れを乳化し、清浄効果を有しています。
各地の温泉地名をつけた商品が多く発売されており、無機塩類系入浴剤に分類される。
炭酸ガス系入浴剤
(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等とコハク酸、フマル酸、リンゴ酸等を組み合わせたもので、錠剤や粒状タイプ) このタイプは炭酸ガスの血管拡張作用を有効利用したものです。
湯に溶けた炭酸ガスは皮膚から吸収され、容易に皮下内に入り、直接血管の筋肉へ働きかけ血管を拡げます。
血管が拡がると末梢血管の抵抗が弱まるので血圧が下がり、血流量が増え、全身の新陳代謝が促進され、疲れや痛み等が緩和します。
同時に温かい湯に入っているならば血液が体表面の熱を全身へと運び、身体の芯まで温まることになります。
なお皮下内に入った炭酸ガスは、肺から呼吸によって体外へ出されますので、身体の中に蓄積するようなことはありません。
薬用植物系入浴剤
(センキュウ、トウキ、ボウフウ、チンピ、カミツレ、ハッカ葉等の生薬を配合しており、生薬をそのまま刻んだもの、生薬のエキスを取り出して他の成分と組み合せたもの等種類は様々) このタイプの効果は生薬の種類によって異なりますが、生薬に含まれている成分の働きと、独特な香りの働きからなりたっていて、生薬はそれぞれ長い歴史の中から生まれ、その効果は医療薬として、日本ばかりでなく欧米でも高く評価されています。
またお茶の水女子大学と日本浴用剤工業会の共同研究によりトウキ、トウガラシ、ウイキョウ、センキュウ、チンピ、ショウキョウには、血行促進効果が認められております。
そのメカニズムについて最近盛んに研究がなされ、徐々に解明されつつあります。
香りの効果については、生薬に限らず"アロマテラピー(芳香療法)"が注目され、研究の対象となっています。
香りによるリラックス効果は脳波や自律神経等の測定により解明されてきています。
酵素系入浴剤
(蛋白質分解酵素、パパイン、パンクレアチン等の酵素を配合したもので、無機塩類と組み合わせて使うことが多い) 酵素は医薬品の消化剤や洗浄剤等によく利用されますが、人間はもちろん、微生物や植物などの生物の体の中で作られ、蛋白質や脂肪、澱粉等を分解して消化や洗浄を助ける効果をもっています。
入浴剤に酵素を配合する目的は、皮膚に無理な刺激を与えず、清浄にすることで入浴効果を高めることがあります。
清涼系入浴剤
(l-メントール、炭酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウムカリウム等を配合したもので、剤型的には粉末、顆粒、錠剤が多い) このタイプは、主にl-メントールを配合して冷感を付与させたものや、炭酸水素ナトリウム、 硫酸アルミニウムカリウム等を配合し、入浴後の肌にサッパリ感を付与させたものがあります。
スキンケア系入浴剤
(セラミド、米胚芽油、エステル油、スクワラン、ホホバ油、ミネラルオイル、植物エキス、米発酵エキス等の保湿成分を主に配合したもので、剤型的には液体、粉末、錠剤が多い) このタイプは、保湿成分が入浴中に皮膚に吸着浸透し、スキンケアを行うものです。
特に冬の乾燥時は、入浴後過度に角層中の水分が失われ、お肌のかさつきが起こりやすくなっており、入浴剤によるスキンケアが重要となります。
また入浴で膨潤したお肌は、浸透し易い状態になっているため、保湿成分が肌の表面に吸着するだけではなく、角層内部にまで浸透していきます。
その結果、入浴後はお肌がしっとり、すべすべになります。
先ほども触れましたが、腰痛と相性が良いのは炭酸ガス系入浴剤です。
ここでおすすめの腰痛に効く入浴剤を紹介します。
薬用ホットタブ重炭酸湯
有効成分は炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウム。
その他、無水クエン酸、PEG6000、アルカンスルホン酸ナトリウムを含みます。
天然温泉と同等の効果があり、効能は以下のとおりです。
肩のこり、腰痛、疲労回復、冷え症、神経痛、リウマチ、痔、産前産後の冷え症、うちみ、くじき、あせも、しもやけ、荒れ性、ひび、あかぎれ、にきび、しっしんです。
冷え性、肩こり、腰痛などに悩む方におすすめします。
きき湯マグネシウム炭酸湯
有効成分は硫酸マグネシウム。
効能は肩こり、腰痛、疲労回復、冷え症、荒れ性、しっしん、あせも、うちみ、くじき、神経痛、しもやけ、痔、リウマチ、ひび、あかぎれ、産前産後の冷え症、にきびです。
筋肉や関節の緊張がほぐれて身体の新陳代謝が促進されるので、「肩こり・腰痛」がやわらぎます。
薬治湯生薬風呂
有効成分は生薬(センキュウ末)、アルカリ温泉成分、炭酸水素ナトリウム塩や、中性温泉成分(硫酸ナトリウム塩)。
温浴効果によって肩のこりや疲労回復、腰痛に効く生薬入浴剤です。
肩のコリや腰痛、神経痛などに効果があります。
バスロマンヒノキ浴
有効成分は炭酸水素ナトリウム、乾燥硫酸ナトリウム。
イオンのベールが身体を包みこみ、湯上り後もポカポカ感が持続します。
疲労回復、あせも、しっしん、にきび、ひび、あかぎれ、しもやけ、荒れ性、うちみ、くじき、肩のこり、神経痛、リウマチ、腰痛、冷え症、痔、産前産後の冷え症に効果があります。
高濃度炭酸セラポッカ EX1000
有効成分は炭酸ガス(二酸化炭素)。
超微細で大量の炭酸ガスで病気治療・疲労回復以外にも、美容や健康目的としても利用されています。
薬用入浴剤 温浴習慣
有効成分カンゾウエキス散と、5種類の和漢エキス。
効能はあせも、荒れ性、うちみ、くじき、肩のこり、神経痛、しっしん、しもやけ、痔、冷え性、腰痛、リウマチ、疲労回復、ひび、あかぎれ、産前産後の冷え性、にきびです。
しかし、腰痛の原因が血行不良や腰を支える筋肉の弛緩、腰椎などの関節に及ぶ痛みなどに限りです。
炎症性の急性腰痛やヘルニア等が原因の場合は注意が必要で、病状が悪化してしまう可能性すらありますので必ず医師と相談するようにお願いします。
それぞれ成分効果と個性のある入浴剤ですが、症状に合わせて、そして重症な方は医師に相談しながら試してもらえれば幸いです。
結局お風呂に入るのが、一番良いってことですね。
いろんな意味であったまるためにも、ぜひ入浴剤を入れてお風呂に!
まとめ
●腰痛は治したいなら医師と共に原因を徹底的に追究する事。
●腰痛に効く入浴剤はある。
●無機塩類系入浴剤、炭酸ガス系入浴剤、薬用植物系入浴剤、酵素系入浴剤、清涼系入浴剤、スキンケア系入浴剤など多種類の入浴剤がある。
●腰痛と相性が良いのは炭酸ガス系入浴剤。
●ヘルニアや重症な方は医師に必ず相談しながら使用する。