妊娠・出産に骨盤ベルトは必要か
出産に骨盤ベルトは必要なんでしょうか?
という質問を受けたことがあります。
最近では出産準備リストに骨盤ベルトと書いてある産婦人科も見られるようになりました。
妊娠をして初めて骨盤ベルトの存在を知った人も少なくないようです。
そもそも骨盤ベルトとはいったいどんなものなのでしょうか。
ここでは妊娠、出産に必要な骨盤矯正を行う骨盤ベルトについて説明します。
目次
妊娠・出産で骨盤はどのように変化するの?
妊娠と出産は女性の体を大きく変化させます。
妊娠中には、リラキシンという関節や靭帯を緩める女性ホルモンが体内で増えます。
このホルモンの働きで骨盤が緩まり、出産のときに赤ちゃんが産道を通りやすくする準備をしているのです。
また、陣痛がはじめるとこのホルモンは大量に分泌され、赤ちゃんが産道を通るために骨盤周りの関節を緩めて骨盤を開きやすくします。
出産が終わると、今まで開いていた骨盤が6ヶ月ほどかけて自然に閉じていきます。
産前に骨盤ベルトは必要なの?
妊娠が分かったら骨盤ベルトをした方がいいのでしょうか。
妊娠初期から骨盤が緩み始め、腰痛などの痛みを感じることがあります。
腰に違和感を感じたら骨盤ベルトの使用することをおすすめします。
産前に使用する骨盤ベルトは、緩んだ骨盤と大きくなるお腹を支えるサポートをしてくれます。
また、下がりがちな子宮を正しい位置に戻してくれるため、お腹の赤ちゃんが成長しやすくなったり出産がスムーズになることもあるようです。
しかし、あまり早い時期から使うと筋力が低下し、お腹が大きくなったときに自分で支えられなくなる可能性があります。
そのため多用は避けなければいけません。
また、巻き方を間違えると赤ちゃんを圧迫して成長に影響を与える可能性もありますので、医師に相談しながら適切な時期に使用しましょう。
産後に骨盤ベルトは必要なの?
出産した後、骨盤ベルトをした方がいいのでしょうか。
出産が終わっても緩んだ骨盤はすぐには元に戻らず、ゆっくりと自然に骨盤が固まっていきます。
もし適切な骨盤矯正を行わずに骨盤が固まってしまうと、腰痛や違和感などの症状が出る人も少なくないのです。
この骨盤の微妙なゆがみは、腰痛や足の付け根が痛むなどの体の不調を引き起こすこともあります。
これを防ぐためには、産後骨盤が固まる前に骨盤を正しい位置に戻すことが大切です。
この骨盤矯正に骨盤ベルトはとても役に立ちますので、出産後はなるべく使用することをおすすめします。
骨盤ベルトをするとどんな効果があるの?
実際に骨盤ベルトをするとどんな良いことがあるのでしょうか。
産前ではリラキシンという女性ホルモンが大量に分泌され、骨盤が緩くなり開きすぎてしまうことがあります。
骨盤が開きすぎると内臓が下がってしまい、膀胱や至急を圧迫して頻尿になってしまうなどのトラブルを引き起こすことがあります。
そこで骨盤が開きすぎるのを防ぐために骨盤ベルトを使用し、このようなトラブルを回避することができます。
また、大きく重くなるお腹を支えて骨盤周りの筋肉をサポートすることで、妊娠中によく見られる腰痛を緩和することもできます。
産後は緩んだ骨盤を正しい位置に戻すサポートをしてくれます。
骨盤が正しい位置にあると、血流がよくなり、冷え性や腰痛、肩こりを改善してくれます。
そして多くの出産した女性が気にする産後太りにも効果があると言われています。
骨盤が正常な位置にあることで基礎代謝があがり、痩せやすい体を手に入れることができるのです。
正しい巻き方は?
骨盤ベルトはどのようにつけるのが正しいのでしょうか。
注意することは2点あります。
1つ目は正しい位置につけること、2つ目は締め付けすぎないことです。
正しい位置
大転子と恥骨を結ぶラインでベルトを巻きます。
恥骨とはおへそから真下に降りたところで当たる硬い骨のことで、その場所から横に水平に動かしたところにある丸い骨が大転子という骨です。
実際に自分の手で触って確認してみてください。
このラインでベルトを巻くとき、腰に手を当てたときに触れる大きな骨、上前腸骨棘にベルトがかからないように注意してください。
初めてつけたときは思っていたよりも少し下に感じるかもしれません。
締めすぎない
ベルトは恥骨あたりに手がすっと入るくらいで締めます。
苦しかったりきつさを感じる場合は強く締めすぎていますので、心地よい強さに調整しましょう。
ずっとつけっぱなしでいいの?
骨盤ベルトは寝るときもずっとつけっぱなしでいいのでしょうか。
夜寝ている間もつけられるタイプの骨盤ベルトもありますが、基本的に寝るときははずしておいたほうが良いと言われています。
寝ている間に巻いていた骨盤ベルトが正しい位置からずれてしまったり、寝返りなどの動作を妨げてしまう可能性もあります。
また寝ている間は骨盤が一番緩んでしまう時間でもあり、骨盤がずれた状態で締め付けているとトラブルを引き起こす原因になるのです。
ただし、腰痛が酷いときや出産前後で医師からなるべくつけておくように言われたときなどのどうしても必要な場合は、ベルトがずれないように工夫したり日中よりも少し緩めにつけるように心がけましょう。
つけておく時間は人によって違います。
産後の骨盤ベルトは骨盤を安定させることで、産後の体が自分で元に戻ろうとするのを助けてくれるものです。
なのであまり頼りすぎると自分で支える筋力が低下してしまいます。
産後2ヶ月ほどは積極的に利用してよいですが、それ以降はなるべく少しずつ使用時間を減らして、筋力を鍛えるようにした方がよいでしょう。
どのくらいの時期に使い始めたらいい?
妊娠してからどのくらいのときにつけ始められるのでしょうか。
骨盤ベルトで締め付けることがお腹の赤ちゃんの成長にどのように影響するか気になる人も多いでしょう。
基本的には骨盤ベルトをつけることで赤ちゃんの成長に悪い影響を与えることはありません。
むしろ骨盤を正しい位置で固定することで、赤ちゃんが正しい格好で成長することができるなど、良い効果もあるようです。
妊娠が分かってから骨盤が緩みすぎて腰痛など違和感を感じたら使用を始めてかまいません。
ただし、あまりに早い時期につけ始めると、筋力が低下しお腹が大きくなってきた時に自分で支えられなくなる可能性もあります。
なるべく頻度を減らして使用しましょう。
また臨月ではなるべくはずしたほうが良いという意見がある一方、つけたままが良いという意見もあり様々です。
骨盤ベルトをしたままでも時期が来ればちゃんと陣痛が始まりますし、出産直前までベルトをしていたと言う人も少なくありません。
自分の体の具合や赤ちゃんの具合から、ちゃんと医師と相談して使用を考えてください。
どのくらいの時期までつけておく?
出産後にどのくらいまで骨盤ベルトをつけていたら骨盤矯正に効果があるのでしょうか。
産後6ヶ月くらいまでに骨盤が少しずつ閉じていくのでこの6ヶ月の間に使用すると効果的だといわれています。
特に最初の2ヶ月は集中して長時間、それ以降は日中を中心に頻度を減らしながら使用することで、骨盤が自分で正しい位置に戻れるようにサポートしてあげましょう。
産後1年くらいは骨盤は通常より緩い状態にあるので、この間は骨盤矯正の効果が期待できます。
まとめ
骨盤ベルトは、腰痛もちの女性だけでなく出産を控えているすべての女性におすすめします。
出産前後に骨盤を正しい位置にサポートすることは、その後の体にもとても良い影響を与えてくれるからです。
出産後、新生児のお世話で手一杯になって骨盤について調べる時間すら取れないことも多いでしょう。
出産前から用意・使用するものとして骨盤ベルトを考えてみてはいかがでしょうか。