GTX1080を搭載したVGAボックス「AORUS GTX1080 Gaming BOX」の性能はどのくらい?
通常、ノートPCに後からグラボを追加する事は出来ないため、ノートPCでゲームをしたい場合には高価なゲーミングノートを購入する必要があります。
しかし、最近では高速かつ帯域の広い接続方法が登場し出したことで、グラボを外部接続する事でグラフィック処理能力を高める事が出来る、外付けVGAボックスが登場しています。
今回は、GIGABYTE製のGTX1080を搭載したグラボが標準搭載されている外付けVGAボックス「AORUS GTX1080 Gaming BOX」の性能と使用上の注意点についてまとめました。
目次
AORUS GTX1080 Gaming BOXはどういう物?
AORUS GTX1080 Gaming BOXはGIGABYTEから発売されている外付けVGAボックスの1つで、標準で同社製のGTX1080搭載グラボが内蔵されているのが特徴のハイエンド向け製品の1つです。
外付けVGAボックスとしては珍しく、最初からグラボが内蔵されているため、他でグラボを用意する手間が省けるほか、折角用意したグラボのサイズが合わず取り付けることが出来ないといったトラブルを防げるのが大きな利点になっている事に加えて、専用のモデルを利用することで非常にコンパクトなサイズに収められている点も特徴になっています。
内蔵されているGTX1080搭載のグラボに関してはリファレンス相当の同モデルの性能をそのまま持ってきたスペックになっており、ゲーミングモード時にはリファレンス相当である1607MHz(ブースト時1733MHz)で動作する他、OCモードを利用する事でより高クロックに設定できるなど、グラボ標準搭載の外付けVGAボックスでありながらかなりの高スペックを有するモデルになっています。
外付けVGAボックスって何?
外付けVGAボックスは名称の通り、ノートPCやNUCのようなグラボを搭載していないPCにグラボを外付けするための機器一式が詰め込まれた箱型のオプション品の総称です。
外付けVGAボックスには主にグラボを接続するために必要なPCI-E x16スロット、グラボが消費する電力を供給するための大容量の電源ユニットを個別に有する他、機種によってはUSBポートやSATAポートといった接続ポートが多数用意されており、ノートPCやNUCの大きなネックの1つであった拡張性をある程度フォローしてくれる機能を持つものなどもあります。
また、外付けVGAボックスは多くの場合でThunderBolt3のような転送速度に優れる有線接続を利用してノートPCと接続するため、それらの接続方法に対応したノートPCでないと利用することが出来ない点には注意が必要です。
外付けVGAボックスとしてはかなりコンパクト
AORUS GTX1080 Gaming BOXのサイズは奥行きが212mm、幅が96mm、高さが162mmになっています。
内蔵されているグラボに専用のショート基盤モデルを採用している事もあり、フルサイズのグラボを取り付けることが可能な他の外付けVGAボックスと比べても一回り以上小さくなっており、かなりコンパクトなサイズに収まっています。
また、サイズに小ささに加えて専用のキャリーバッグも付属しているなど、持ち運びしやすくなっているため、例えば何らかの理由で各地を飛び回る生活をしていて、タワー型のゲーミングPCは引っ越しの時に困る、と言う人にもおすすめです。
気になるスペックはどのくらい?
気になるのが実際に動作させた際にどのくらいのスペックで動かせるのか、という点ですが、基本的には同じグラボを載せたデスクトップのPCよりも落ちる形になります。
ただし、これはグラボが悪いのではなく、どちらかというとThunderBolt3の帯域の広さをもってしてもグラフィックの処理を行うにはまだ足りていない、という点が大きな原因の1つになっています。
そのため、AORUS GTX1080 Gaming BOXに内蔵されたGTX1080を使用する場合には、概ね1~1.5ランク下のグラボに相当するスペックまで落ちる形になりますが、それでもノートPC向けのグラボと比べると性能はかなり高く、最高クラスの部類に入ります。
実用レベルではGTX1080の性能自体が非常に高いため、一部の高負荷なタイトルを除けば大抵の3Dゲームを最高画質でプレイする事が可能ですが、視点を上下左右に素早く振る、高速で移動するなど、画面の変化が激しい際にはfpsが低下し画面がガク付くことがあります。
使用方法は非常にシンプル
AORUS GTX1080 Gaming BOXの使い方はとてもシンプルです。
電源ケーブルをコンセントへ挿し込んだ状態で、ThunderBolt3のケーブルをPCと接続するだけで自動認識され、AORUS GTX1080 Gaming BOX側の電源がオンになり、使用することが出来る状態になります。
なお、AORUS GTX1080 Gaming BOXを使用する際にもThunderBolt3が双方向にデータ転送を行うため、ノートPCの画面と別にディスプレイを用意する必要はありません(NUCの場合にはディスプレイが必要です)。
また、実際にGTX1080を使用する際にはノートPC向けのGeForceのドライバがインストールされている必要がある他、一度接続して認識させた後は特定のアプリケーションを動作させる際のみ、GTX1080を使って処理するように自動設定されます。
ドライバのインストールディスクは付属していますが、光学ドライブが搭載されていないNUCなどの場合にはインターネット上からDLしてくる必要があります。
正常に動作しないPCもある?
ThunderBolt3に対応したPCであっても、AORUS GTX1080 Gaming BOXを接続しても利用できないPCがあります。
AORUS GTX1080 Gaming BOXを利用することが出来ないPCの多くはThunderBoltの設定画面にて「外付けGPUのサポート:いいえ」と表示されている事が多いため、購入前に自分のPCの設定を確認してみるのがおすすめです。
また、AORUS GTX1080 Gaming BOXを接続した際に「使用できない可能性があります」と表示される場合でも、ThunderBoltの設定画面から「PC用に設定されていないデバイスを許可」と「チェーンの上書をしない」の2点を設定すると使用できる可能性があるため、該当する文言が表示されて動作させることが出来ない場合には設定を変更してみるのがおすすめです。
オプション機能はあるものの過信は禁物?
外付けVGAボックスの多くはグラボによるグラフィック処理能力の強化に加えて、ノートPCやNUCでは利用することが難しいUSBポートなどを増設することが可能になっています。
この点はAORUS GTX1080 Gaming BOXも例外ではなく、3基のUSB 3.0 Type-Aポートが用意されている他、急速充電が可能なQuickCharge3.0に対応した規格になった充電専用のUSBポートが1基用意されています。
外付けVGAボックスの増設USBポートに多い問題点の1つとして、USBポートに接続したデバイスの一部が断続的に接続と切断を繰り返す不具合を持っています。
特にUSBポートから電力供給を受けるタイプのデバイスで起きやすい傾向があるため、USB接続のHDDなどの利用は避けた方がいい他、常に接続されている必要のあるデバイス(マウスやスピーカー、マイク、ゲームパッドなど)との相性もあまり良くないため、あくまでも対応したスマホなどの充電用や、USBメモリの読み込み用などに限定した使い方がおすすめです。
交換用のグラボについて
AORUS GTX1080 Gaming BOXに内蔵されたグラボが故障した際に交換するためのグラボを選ぶ際に気を付けたいのは、全長が170~180mm程度である事、補助電源が8ピンもしくは6ピンのみである事、の2点が特に重要になります。
そのため、同じGTX1080搭載モデルであってもリファレンスモデルや各種ゲーミング向けのオリジナルモデルなどのような全長の長いモデルを搭載する事は出来ません。
これに適合するサイズとしては、Mini-ITXサイズに対応したグラボが一般的なため、最も確実性が高いものとしては、同じくGIGABYTEから発売されているショート基盤採用の「GTX1080 mini ITX 8G」や「GTX1070 mini ITX 8G」が該当します。
前述した通り、ThunderBolt3経由で接続すると帯域の関係で性能に制約がかかるため、これら2つのグラボを利用するのがサイズ的にも性能的にもおすすめです。
ただし、排熱などの関係で場合によってはケースを解放した状態で動作させたり、ダウンクロックを施す必要がある場合もあるため注意が必要です。
まとめ
AORUS GTX1080 Gaming BOXは他社製のVGAボックスと比べると、機能面がシンプルで物足りない部分もありますが、そのかわりに他の製品にGTX1080搭載のグラボを載せる場合よりも2~3万円安く手に入る手軽さも魅力の1つです。
相性問題など多少の難点はあるものの動作音も小さく性能も申し分ないほど高いため、手持ちのノートPCでゲームを快適に遊びたい人には是非おすすめです。