GTX1080搭載グラボのクーラーが壊れたら簡易水冷化にチャレンジするのがおすすめ!
グラボを長く使っていると、GPUやVRAMと内部部品は問題なくてもクーラーが故障してしまう事があります。
特にGTX1080のようなハイエンドモデルのグラボは発熱の多さからクーラーの故障が致命的な問題に繋がる事があります。
そういった場合におすすめの方法が、クーラーを取り外して簡易水冷化してしまう事です。
今回はゲームユーザーに人気のグラボ、GTX1080搭載モデルのクーラーが故障した際の簡易水冷化の方法と注意点、おすすめの簡易水冷化キットについてまとめました。
目次
クーラーの分解は保証が切れるため要注意
簡易水冷化する前に気を付けておきたい事が、メーカー保証についてです。
グラボを簡易水冷化するためにはファンやヒートシンクを基板から取り外す必要がありますが、グラボを始めとした自作用のPCパーツの多くは、分解するとメーカーの保証期間の残りに関係なく、修理や交換などの保証を受けることが出来なくなります。
そのため、グラボのクーラーを交換、修理する際にはあらかじめその点について留意した上で、自己責任で作業する必要があります。
また、各ショップが独自に行っている、グラボを購入した時に追加料金を支払う事で利用できる、故障した際の保険制度のようなものについては、個々のショップの条件によって異なるため、こちらも確認が必要です(分解した場合には大抵は保証外になります)。
保証期間内なら保証を受けるのがベスト?
メーカーやショップの保証期間が残っている場合には、期間内であれば修理・交換といった正規の対応を受けることが出来るため、修理のために分解するよりも前にそれらの保証を受けることが出来るかについて確認してみるのがおすすめです。
注意点として、メーカーによる保証は無条件に行われるわけではないため、分解などを行っていない場合でも製造メーカー側が意図しないレベルの高いオーバークロックなど、「本来は想定されていない操作」を行っていたことが分かる場合には保証を受けることが出来ない可能性があります。
また、保証を受ける場合には購入した事を証明するための保証書やレシート、購入履歴等が必要になる事が多い他、相手側への発送が必要になるため、購入時にグラボが入っていた箱が必要になる事も多いため、メーカー保証を受けるつもりでいる場合には関連する書類とまとめて保管しておくのがおすすめです。
実際に簡易水冷化するとどうなる?
クーラーの故障したGTX1080を簡易水冷化した場合に得られる効果としては、まず動作中のGPUの温度が大きく下がる事と、ファンの回転音が小さくなる傾向があります。
これは、水冷化する際の最も大きなメリットでもあり、GTX1080の場合には高クロック寄りの設定をした場合でも、水冷クーラーの種類によっては空冷で70~80度前後だったものが50~60度前後で安定した動作が見込めることがあります。
水冷用のクーラーは冷媒が少しずつ揮発してしまう関係から、耐用年数は3~5年前後の物が多く(長いものだと10年使えることもありますが)、その時期を迎えるとクーラー本体の交換が必要になります。
しかし、冷却性能が大幅に上がる事でグラボそのものの寿命も維持しやすくなる効果があるため、結果的にはグラボの交換頻度が減る事でお得になる事も少なくありません。
簡易水冷化するために必要な物
簡易水冷化は、その名前の通りポンプやラジエーター、水冷化用のヘッドなどが丸ごとセットになった専用のキットを使って、簡易的に水冷化する方法です。
グラボを簡易水冷化する場合に多く利用される方法としては、CPU用の簡易水冷化キットをグラボに取り付けるための変換アダプターを使用する方法があります。
この方法をする場合に必要になる物としては次のような物があります。
- 水冷化ヘッド取り付け用のアダプター
- 対応する簡易水冷化キット
以上の2点は必須になります。
その他、グラボを分解する関係でドライバーや六角レンチなどの作業用の道具に必要になる他、GPUに塗られたグリスを剥がすためのパーツクリーナーと新しくグリスを塗るための準備が必要になります。
簡易水冷化の手順
必要な物が準備出来たら、簡易水冷化していきます。
基本的には次のような手順で行います。
- グラボの分解(クーラーの取り外し)
- 水冷化ヘッドの準備
- グリスの塗り直し
- 水冷化ヘッドの取り付け
- PC内へ取り付け
という手順になります。
グラボの分解に関しては、使用しているグラボのメーカーやモデルによって異なるものの、大抵の場合はネジ止めが主体になっているため、対応したネジを外していけば取り外すことが出来ます。
また、PC内へ取り付ける際には、グラボ本体とラジエーターの2つを取り付ける必要があります。
2つは冷媒を通すためのチューブで繋がっていて距離や取り回しに制限がかかるため、予めどのあたりに取り付けるか目安を付けておくのがおすすめです。
注意点としては、ネジを外す時に基板上の部品をドライバーで突いてしまわないように気を付けることと、グリスの塗り直しは水冷化ヘッドを取り付ける直前に行う事の2点があります。
おすすめの簡易水冷化アダプター「NZXT Kraken G12」
グラボの簡易水冷化を考えている人におすすめしたいのが、NZXTから発売されている簡易水冷化用のキットの1つ「Kraken G12」です。
このキットの特徴は、同じくNZXT製の水冷クーラーを始め、CorsairやThermaltake、Antecといった有名メーカーのCPU用の簡易水冷化キットを無加工でグラボに搭載可能にすることが可能になる点です。
付属のマウンタを利用してグラボに固定するため、GTX1080以外にもGTX1080Tiを始めとしたGTX1000シリーズに加えてTitan系に使える他、マウンタを変更することでRadeonのグラボにも対応しているため、グラボを交換した後も引き続き利用できる点もメリットの1つと言えます。
注意点として、手軽に利用できる代わりにGPU以外の部分(VRAMや電源周りなど)は内蔵された92mmファンで冷却する関係上、それらの部品を含めて冷却できる本格水冷用の大型ヘッドと比べると若干冷却能力が劣る点があります。
張り付け式ヒートシンクを合わせて使うと効果的?
Kraken G12を利用する場合、GPUの冷却に関しては満足の行くレベルの効果が期待できますが、VRAMや電源などの発熱する部品の冷却は内蔵されたファンを利用したものになるため、この部分に電子工作などに使う張り付け式のヒートシンクを利用するのがおすすめです。
例としてはサンハヤトから発売されている「貼るヒートシンク」のような薄く、物理的な干渉がしにくい製品などがサイズに合わせた加工がしやすくおすすめです。
注意点として、素材によってはショートする危険性があるため、貼る面がしっかり絶縁された物を選ぶのがおすすめです(その場合でも切断面は絶縁されないため、切り出すサイズには注意が必要です)。
取り付け位置と吸排気の注意点
水冷化する上で注意したい事の1つに、ラジエーターの取り付け位置と配置方法によっては思うような冷却効果を得られないという点があります。
基本的には内部から吸気して外部に排気する方法が安定するとは言われる事が多いですが実際にはPCケース内のほうが室温よりも高くなりやすいため、冷却面においては実はそれほど優位ではありません。
逆に、ケース外から吸気して内部に排気する場合には冷却面は多少優れるもののケース内の温度が高くなりやすい傾向があります。
ただし、内部排気にしたからといってPCが壊れるか?
となるとそういったことは殆どないため、このあたりは好みの差によるところが大きいです。
個人的のおすすめの取り付け位置、排気方法としてはケース内にしっかりとしたエアフローを組んだうえで、内部排気式に設置するのが水冷クーラーとしての利点を得やすいかなと思います。
しかし、ケースのサイズによっては外部排気のほうが安定するというのもまた事実であるため、どちらかに固執せずに自分のPCの構成や使い方に合わせて動作テストをしながら吟味するのがベストだと思います。
まとめ
GTX1080のクーラーが故障した場合、新しくグラボ本体を購入するとなった場合には最低でも5万円程度、中古のクーラーを移植する場合にはそこまでの費用はかからないものの狙い通りの品物が手に入る可能性は低く、確実な方法とは言えません。
対して簡易水冷化は多少の手間はかかるものの、安ければ2万円前後で手に入る上、空冷クーラーよりも冷却性能に優れているなどメリットも多いため、GTX1080のクーラーが故障した人で、そのグラボを使い続けたいという人は簡易水冷化にチャレンジしてみるのもおすすめです。