グラボのオーバークロックは簡単に出来るがリスクも大きい!

グラフィックボード(グラボ)

MSI GeForce GTX 960 グラフィックボード オーバークロックバージョン GTX 960 2GD5 OCV1

グラボに性能を上げる方法の1つとして「オーバークロック」があります。

グラボのオーバークロックは、CPUのそれよりもはるかに簡単に行う事が出来ますが、その分破損などのトラブルになる可能性も高く、必ずしもメリットばかりとは言えません。

今回は、簡単に出来るがリスクの多い「グラボのオーバークロック」についてまとめました。



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オーバークロックによる変化は体感し辛い?

オーバークロックは、GPUのクロック数を本来想定される標準的な数値よりも引き上げる事で、実スペックを引き上げる方法の1つです。

クロック数を引き上げるため、当然処理能力も本来の性能よりも向上しますが、その変化が「体感」できる事はまずあり得ないと言っていいです。

そのため、基本的にはオーバークロックの効果を確かめる方法はベンチマークのスコアなど数字で明示されるものが必要になりますが、これらの方法を用いても大抵は劇的な変化が起きることは殆ど無く、場合によって誤差に近いレベルの上昇しか起こらないなど変化が非常に分かりづらい事が多いです。

そういった「効果が実感しづらい」という点と後述するような「リスクが大きい」という点もあってか、性能を向上させる方法としては最後の手段、おすすめされる事は殆どありません。



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ハイリスクローリターンな部分が大きい

オーバークロックの効果が体感できる事が稀なのは先に書いた通りですが、それに対して目に見えて体感できるのが「オーバークロックのデメリット」の部分です。

最も代表的な物で、GPUの発熱が高くなる点があります。

限度を超えたオーバークロックを行うと、リファレンスモデルなど冷却性能が若干低い製品はおろか、オリジナルモデルの高効率なクーラーを以てしてもどうしようもないほど発熱する事もあり、場合によってはGPUやその他部品の耐熱限界を超えて破損する事も有ります。

オーバークロックする場合のもう1つの大きなデメリットとして、消費電力の上昇が挙げられます。

そもそもグラボは消費電力が大きいため、オーバークロックしたときの増加具合も他のパーツの比ではなく、搭載している電源ユニットの容量によっては電源がいきなり落ちたり、アプリケーションが強制終了したりするトラブルの原因になるため、やはりリスクが大きいです。

オーバークロック時に考えられるトラブル

オーバークロックに失敗した場合におきるトラブルとしては、上述したような発熱の増加や消費電力の増加を原因として動作中にPCがフリーズする可能性がある点があります。

PCがただフリーズするだけならば再起動させればいいと感じてしまいますが、オーバークロックさせていた場合には他のパーツに負荷がかかっていることが珍しくないため、最悪の場合には「グラボが壊れた上で、他のパーツも巻き込まれて壊れる」というパターンが考えられます。

また、オーバークロックはメーカー保障の対象外になっている事が殆どなので、不用意なオーバークロックをした時点でサポートなどが受けられなくなる点にも注意が必要です。

オーバークロックするよりも、上位モデルへの買い替えが無難?

オーバークロックを試すよりも先に出来ることとして、グラボを上位のモデルへと買い替える点があります。

性能を上げるという意味では、オーバークロックよりもはるかに確実で効果も体感できるレベルで上昇する事が珍しくありません。

唯一気になるのがグラボを買い替えることによってかかるコスト(=グラボの購入費用)ですが、オーバークロックした状態でシステムを安定して動作させるために必要なものを考えていくと、グラボを買い替えて普通に使った方がはるかに安く、そして確実に性能が上げられる、という事は珍しくありません。

オーバークロックに関しては、「最高クラスのグラボを複数枚用意して、それでもなお満足できない」という場合に考える程度にしておいた方が良いです。

オリジナルのオーバークロックモデルでも性能は十分高い

オリジナルのグラボの中には、予めオーバークロックを施されたものがあります。

メーカーごとに独自に行っているため、オーバークロックの規模そのものはメーカーによって様々ですが、基本的には後から手を加えることなく動作させることができるようになっています。

利点としては、オーバークロックによる性能の底上げと実用的な消費電力・冷却性能が確保されている点があります。

本格的なオーバークロックを施したものと比べるとクロック数は低めな事が大半ですが、それでもリファレンスよりははるかに高性能で、用途に応じた製品をしっかりと選べば実用レベルではまず困る事はありません。

下手にいじってグラボだけでなく他のパーツを巻き込んで壊すくらいなら、こういった仕様の製品を購入して、予め用意された範囲の中でオーバークロック状態で使うのがおすすめです。

おすすめのオーバークロックモデル「MSI GTX 1060 GAMING X 6G」

メーカーレベルでのオーバークロックを施されたグラボは様々ですが、性能を確保しつつしっかりとした冷却性能を確保したいという人にはMSIが出しているGAMING Xシリーズがおすすめです。

今回おすすめするのは中間層向けのGTX1060を搭載したモデルですが、他のモデルもあるため、自分の用途に合わせて選ぶ事ができます。

このグラボにはGPUやメモリのクロックによって、

  1. クロック数を最重視した「OCモード」
  2. OCモードよりも抑えめになった「ゲーミングモード」
  3. リファレンスに近い動作をする「サイレントモード」

の3種類の動作モードが搭載されています。

これら3種類の動作モードは専用のユーティリティソフトから選択する事が出来る他、ソフトが入っていない場合には自動的にゲーミングモードで動作を行うようになっています。

クロック数の調整をするなら「Afterburner」がおすすめ

仮にクロック数を引き上げたいという場合には、MSIが提供しているソフト「Afterburner」がおすすめです。

MSI製のソフトではありますが、GPUのチップそのものが対応していればnVidia、AMDに関係なく、オリジナルモデルのグラボであっても殆どメーカーに左右されること無く使う事が出来ます。

操作も分かりやすく簡単になっている他、日本語での表示にも対応しているため使いやすいのが特徴です。

ちなみに、このソフトはオーバークロック専用のソフトという訳ではなく、グラボのファンコントロールをはじめ、クロックを抑えて発熱を抑えるオーバークロックとは真逆の発想である「ダウンクロック」などにも対応しているため、オーバークロックに興味がない人にもおすすめです。

クロック数は段階的に引き上げるのが定石

クロック数を引き上げる際は一気に引き上げて試すのではなく、少し引き上げては負荷テストをする、余裕がありそうならまた少し引き上げてテストをする、といった風に段階的に試すのがおすすめです。

また、負荷テスト中はGPUの温度を表示してくれるソフトやファンの回転数を監視できるソフトなどを使って、負荷テスト中の温度や回転数が上がり過ぎていないか確認するようにしましょう。

負荷テスト中にブルースクリーンになったり、電源が落ちたりする場合にはクロック数を盛りすぎているなどの原因が考えられるため、クロック数を落とすか、冷却方法を見直すなどの対策をする必要があります。

まとめ

グラボのオーバークロックは簡単に行う事ができて性能こそ上昇しますが、そのための対策やリスクを考えるととてもおすすめできるような方法とは言えません。

もし、グラボのオーバークロックを行うのであれば、最初からある程度のオーバークロックが施されているオリジナルモデルを購入し、それに見合ったシステム構成をした上で普通に運用する範囲内に収めるのがおすすめです。