高性能グラフィックボードRTX2080の4つの魅力

GeForce GTX1080

グラフィックボード界に不動の定番として君臨するNvidiaがリリースした、RTX2080は名機・GTX1080の後継機種となっています。

開発に10年も要したと言われるRTX2080の実力とは、いかなるものなのでしょうか。

この記事では、そのベンチマーク情報や話題のマイニングへの適性などについて掘り下げていきます。






パワーアップしたスペックをチェック

グラフィックボードを検討する際には、絶対に目を通すと言う方も多いのがスペックシートでしょう。

RTX2080はGTX1080と同等の性能と言われることもありますが、スペック上では明らかな差が見られる他、新設コアの登場など、着実な進化を遂げているのは魅力の1つめです。

演算能力の進化

RTX2080は前機種のGTX1080に対し、CUDAコア数とTMU数、そして演算ユニット数で約15%の向上が見られます。

定格クロックは若干、RTX2080の方が下がるのは性能的に気になる部分ですが、後述のベンチマークの結果からは優秀だと言えそうです。

新設コアの持つ意味

RTX2080はTensorコア、RTコアを新設しています。

従来のGTXシリーズには、これらのコアは搭載されていませんでしたから、グラフィックボードの新たな可能性を模索したと考えて良いでしょう。

Tensorコアは機械学習に特化したもので、RTコアは3DCGにおけるレイトレースを得意とするのが特徴。

ただし、これらの新設コアについては現状では用途が限られているため、そのメリットは大きくはありません。

消費電力は増大も効率は改善

この機種は電源は8pin+6pinになっており、TDPはGTX1080の180Wから215Wに増大しています。

ただし、ベンチマークで達成したFPSの値から計算すると、1Wあたりの仕事量は20%程度の改善が見られ、電力の効率化は達成されていました。






ベンチマークの結果

定格クロック数がGTX1080から低下していることもあり、やや心配されたのがベンチマークの結果です。

この点は従来に比べて大幅なパワーアップとまでは行かないものの、実用面でも着実な進歩が見られているのは魅力の2つめ。

GTX1080tiに対しても、互角以上の勝負となっています。

ゲーミングベンチはGTX1080tiとほぼ同等

RTX2080はゲーム用途での購入も多いかと考えられます。

このために購入の際に気になるのが、ゲームをプレイする上でどの程度の性能アップがあるかと言う点でしょう。

これに関しては、ネット上にGTX1080、GTX1080tiとの比較データが公開されているので、それに基づいて性能を評価してみます。

まず、GTX1080に対しては、一部のゲームでは少し劣るものの、後はほぼ圧倒的な結果となっているようです。

タイトルによってはGTX1080に対して2倍近い記録を出していることもあります。

GTX1080tiに対しては、ほぼ互角の勝負で勝っているものもあれば、負けているタイトルもあるような状態です。

ただし、全体的にみると最新タイトルでもサクサクと動作させられる範囲となっていますので、実用上でのスペック不足については心配はないでしょう。

価格は高いですが性能面で選ぶなら、おすすめの機種となります。

ベンチ性能から言えること

RTX2080はNvidiaのグラフィックボードの中でも、最高峰の機種と言う訳ではありません。

それでもTitan XPに対しても肉薄する性能を持ってながら、消費電力面では相当な低減に成功しています。

何が何でも最高のベンチマーク結果を出したいと言うのでなく、高性能かつ実用面でも優れた一台を探す場合には、おすすめのモデルとなりそうです。

RTX2080の将来性を考える

スペックシートを見ると、GTX1080からの性能向上幅は、従来のモデルチェンジの特に比べてやや寂しいと言う評価も少なくはありません。

この点からすると、RTX2080の購入に関しては、「今すぐ買い」とまでは感じられない方も多いでしょう。

しかし、このRTXシリーズは新しいテクノロジーが搭載されていることもあり、今後のソフトウェアやICT技術の進化によっては、恩恵が大きくなる可能性はあります。

新技術に対応したゲーム・ソフトの登場でRTX2080が有利になる可能性はありますので、この将来性の部分は期待も込めて魅力の3つ目と言えます。

レイトレースへの期待

RTコアの搭載によって、ハードウェアの方でレイトレースの処理をサポートできるようになったのは、RTX2080の大きな特徴です。

レイトレースは光の屈折や反射などを計算・描画するための3DCGでは欠かせない技術ですが、これをグラフィックボードでサポートすることにより、従来よりもリアルで美しい映像を描き出すことが可能になります。

現状ではどのタイトルでも、この機能を実装していると言うわけではありませんが、有名な作品では既に対応が始まっているものも少なくはありません。

圧倒的な臨場感と細部までのリアルなディティール表現が売りですので、今までのゲーム環境とは段違いのリアリティを楽しめるのではと予想できます。

他にも期待の機能が

RTX2080では4kゲームにも対応しているのは期待が持てる部分で、将来、4k対応のタイトルが増えてくれば、この機種の存在感はそれだけ増すでしょう。

また、従来のGTXシリーズからの変更点としてNVLinkが実装されたのも特徴です。

NVLinkはQuadroシリーズなどでは既に搭載されていた機能で、マルチGPU時の処理を高速化するためのテクノロジーとなります。

このNVLinkは動作帯域幅を大幅に向上しているもので、RTX2080を複数枚利用する時には大きなメリットです。

話題のマイニングへの適正

近頃は暗号資産と言う呼称も定着しつつある仮想通貨ですが、これのマイニング作業にはグラフィックボードが適しているのはよく知られている事実です。

マイニングは簡単に言えば、自身の機材のパワーを提供して仮想通貨の発行・承認に必要な演算処理をサポートし、その見返りとして金銭報酬が得られると言うもの。

これには高性能なグラフィックボードを使ったほうが有利なのですが、問題は演算処理能力だけではなく、使用電力の効率性も考える必要がある点です。

マイニングには大量の電力を消費しますので、効率が良くないと電気代の方が報酬を上回り、結局は赤字になってしまうケースは珍しくありません。

収益を黒字化するためには、RTX2080は有効なのかどうか検討してみましょう。

実用上のデータから考察

海外では既に、RTX2080をマイニングに投入している方がいますので、そのデータを参照してみます。

いろいろな通貨があり、それぞれにグラフィックボードとの適性があるのですが、全体的にGTX1080に比べると平均して1.5倍程度の改善が見られました。

しかし、マイニングは仮想通貨の価格変動が収益に関しては大きな要因となっており、このモデルを用いても黒字化するのは簡単ではない状態です。

一時期のように通貨価格が高騰していれば良いのですが、そうでは無い場合は収益性は決して高くはありません。

このために、なんとか月々の収支を黒字化したとしても、RTXの本体価格がネックになってきます。

なにせ本体価格は10万円から20万円程度ですから、月々わずかな収益しか得られなければ、初期投資費用の回収まで大変な道のりが待っている可能性が高いです。

したがって、現状ではRTX2080を購入するなら、その分の費用で値崩れしているGTX1080を複数購入したほうが、マイニングには向いているかも知れません。

もちろん、電力効率は良くて演算能力も高いですから、仮想通貨の価額上昇があれば、マイニング適性はそれだけ高くなります。

この点に関しては、仮想通貨の進展があれば、魅力の4つ目となりうると考えて良いでしょう。

まとめ

以上のように着実に性能が向上し、実用性や新機能の点でも魅力が存在しているのがRTX2080です。

価格的には高価とされますが、それでもGTX1080を新品で購入するのに比べると、そこまで差があるわけではありませんし、性能面が向上している点を考えても、候補としては検討に値するのではないでしょうか。

いずれにせよ、ソフトウェアの要求スペックは時の流れとともに高くなるものですし、新機能も実装が進んでいくものです。

今、廉価なモデルを買っても、近い将来また買い直すのなら、最初からRTX2080を選ぶのも悪くはないかも知れません。







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