GTX1080にパワーリミットを設定することによって得られるメリットは何?

グラフィックボード(グラボ)

MSI GeForce GTX 1080 ARMOR 8G OC グラフィックスボード VD6193

GTX1080と言えば、高い性能を持ちつつも消費電力が少ないという特性を持つ上、価格も最近は下がり気味なため以前と比べると手が出しやすくもなっているため、購入を検討している人も多いかと思います。

そんなGTX1080の一風変わった使い方の1つ、パワーリミットを設定する事で更に省エネ方向を強化するという方法とその効果についてまとめました。



おすすめグラフィックボード製品ランキングはこちら





パワーリミットとは?

まずはじめに重要になるのがパワーリミットについてです。

名称からも分かる通り、グラボのパワー(ここでは消費電力)に制限をかける事で、省エネ化を狙う方法の1つです。

GPUやCPUのクロックを落とすダウンクロックなどと同様に、単純な処理能力そのものの向上を狙った方法ではなく、消費電力あたりの性能などを重要視し省エネ化しつつも高い性能を求める方向性を持ったカスタマイズの1つです。

スペックを無理に引き上げるオーバークロックとは真逆で、極力無理をさせない事をメインに考えているため、特別冷却性能に優れたーラーなどは必要にならず、本体とセッティングするためのツール、設定を吟味する根気さえあれば始められるのも特徴です。



おすすめグラフィックボード製品ランキングはこちら





パワーリミットをかける事により生まれるメリット

パワーリミットをかける事によって、次のようなメリットを受けることが出来ます。

  • 消費電力の低下
  • 温度の低下
  • ファンの低回転化による静穏性アップ
  • 全体的な長寿命化

などが挙げられます。

特に大きいのは消費電力の低下で、設定の仕方や使用するグラボにもよりますが、最大で20~50%程度落とす事も可能になります。

また、消費電力が減る事によってGPUが発生させる熱も減るため、GPUの温度低下やそれに伴いファンの回転数が減る事による静音性の向上などのメリットを受けることが出来ます。

また、部品への全体的な負担が減る事による寿命の延長などが期待できるため、多少性能が落ちても良いものを長く使いたい、と言う人におすすめの方法でもあります。

パワーリミットをかける事により生まれるデメリット

パワーリミットをかける事によって生まれるデメリットとして、最も大きなものは処理能力が落ちる事です。

パワーリミットの制限度合いによる性能の低下具合はグラボに搭載されているチップにもよって大分変わるため、一概に「○○%低下する」とは言えないものの、基本的にパワーリミットをかけると確実に性能は低下します。

また、パワーリミットをかける場合のデメリットとしては、必ず起きるという物ではないものの、調整が面倒になる事がある点もデメリットとして挙げられます。

パワーリミットの制限は本来想定されているスペックよりも確実に下がるため、例えば、ゲームなどで高fpsを維持したい場合には制限をかけないでおくか、複数回にわたって設定を調整、吟味する必要があります。

そのため、快適さを求めつつも省エネ化したい場合にはそれなりの手間がかかります(もちろん、ざっくりで良い場合にはかなり簡単に行えます)。

GTX1080の場合にはどうなる?

GTX1080は、パワーリミットの制限との相性はかなりいい方で、制限幅に対する性能の低下はかなり少なくなっています。

例えば、通常状態(パワー制限100%)の性能を100とした場合、パワーリミット設定すると次のような性能になります。

  • パワーリミットを90%に設定した場合:96~98
  • パワーリミットを70%に設定した場合:89~91
  • パワーリミットを50%に設定した場合:78~80

といった感じの性能になります。

見ての通り、消費電力を10%抑えた設定では本来の性能の9割以上の性能を発揮できるほどで、最もパワーを制限している50%オフの設定時でも本来の性能と比べて2割しか性能が低下しません。

特にパワーリミット70~50%では目に見えて低消費電力化・低発熱化するのに対して性能の低下は少ないため、「勢いでGTX1080にしたけど持て余してる」と感じる人はいっそ50%設定にしてみるのもおすすめです。

GTX1080にパワーリミットの設定をするのはどんな時に有効?

GTX1080にパワーリミットをかけるのが有効に働くのは、先にも書いた通り性能を持て余してしまっている時です。

例えば、フルHDなど負荷がそれほど高くない解像度の環境でしか使わないという場合には、フルパワーで動かすよりも、パワーリミットをかけて必要な分の能力だけ使う方が省エネになるためおすすめです。

一方で4K画質などの高解像度環境での使用や、VR環境などの負荷が大きい状態での使用を前提にGTX1080を導入している場合には、パワーリミットをかけてしまうと処理能力が足りなくなりfpsが低下する可能性があるため、制限をかけないか、制限をかける場合には制限を緩めたり、テストを繰り返したりして丁度いい設定値を探る必要があります。

特にVRではfpsの低下は3D酔いや吐き気などの症状を起こす原因になるため、注意が必要です。

パワーリミットの設定をするのにおすすめのツール

パワーリミットの制限に関する設定は、基本的にはオーバークロックなどを行う際に使用するユーティリティソフトを経由して行います。

特に有名でおすすめな物としては、MSIの公式HPから無料でダウンロードすることが出来るグラボのカスタマイズ用のユーティリティソフト「MSI Afterburner」が他社製のグラボにも使用出来るためおすすめです。

MSI Afterburnerでパワーリミットの制限を行う場合、使用しているUIスキンにもよりますが、「Power Limit」の項目を操作することで制限することが出来ます。

また、Power Limitの項目を操作するとそれに合わせてグラボの温度上限を決める項目「Temp.Limit」が自動で調整されてしまいますが、これはそのままで問題ありません(項目近くの鎖のアイコンをクリックすると連動を解除できますが、おすすめではありません)。

GTX1080の場合におすすめの設定は先にも書いた通り、50%制限や70%制限あたりですが、不安な人はとりあえず80%制限辺りからテストしていき、結果を確認しながら徐々に制限をかけていくのがおすすめです。

また、並行してFan Speedの項目なども調整すると静穏性が増すため効果的です。

併せておすすめのソフトは?

パワーリミットの設定をする際に「GPU-Z」や「HWMonitor」といったGPUの稼働状態をモニタリングできるソフトを併せて用意しておくのもおすすめです。

これらのソフトは起動する事でグラボに搭載されたGPUの温度や、ファンの回転スピードなどをモニタリングする事が出来るため、調整したことによってどのような結果になったが、より分かりやすくなります。

MSI Afterburnerでも確認は出来るため必須ではありませんが、パワーリミットをかけたことによる影響について更に分かりやすくなるため、設定の調整をする際には併用するのもおすすめです。

パワーリミットをかける前提でおすすめの「MSI GTX 1080 AROMOR 8G OC」

MSI GeForce GTX 1080 ARMOR 8G OC グラフィックスボード VD6193

パワーリミットをかける事を前提とした場合、GTX1080搭載のグラボの中から特別におすすめの物というのは基本的にありません。

パワーリミットを設定すると、本来想定される状態よりもグラボを構成する部品にかかる負荷が大幅に減少するため、リファレンス・オリジナル問わず多くのグラボで同じ様設定する事が出来るためです。

ですが、敢えてその中でもおすすめしたいのが、MSIから発売されている「GTX 1080 AROMOR 8G OC」です。

と言うのも、調整に使用するMSIのAfterburnerは他社製のグラボでも使えると言ってもやはり、同社製でそろえた方が無難である事と、パワーリミットをかけると負荷が減少するため、無理にGaming Xシリーズである必要はない点、そして何よりも全体的に安価でありながら品質が良いからです。

まとめ

GTX1080は50%制限でも8割近い性能を発揮できるため、パワーリミットの制限との相性が非常に良いグラボと言って差し支えないと思います。

ハイエンドモデル故、どうしても消費電力が大きくなりがちな点を解消できるため、性能をフルに発揮できる環境じゃない、と感じている人は一度パワーリミットを試してみる事をおすすめします。