小さな子どもがいるから自転車は無理? いいえ、子どもを乗せてママチャリで走ろう!
子どもを乗せて自転車で出かけることができたら、便利だと思いませんか。
電動の高価なものもありますが、普通のママチャリにだって、子ども乗せシートは取り付けられます。
子どもを自転車に乗せてお出かけすることができれば、楽しみも、行動範囲もぐんと広がります。
車より手軽に、ベビーカーより速く、太陽の光や風を感じながら、運動不足解消にもなる自転車。
どんなものがあって、どんなところに注意すべきなのでしょう。
ママチャリに子どもを乗せるには?
子ども用シートの種類
子どもをママチャリに乗せるには、専用のシートが必要です。
前乗せタイプと後ろ乗せタイプがあるのですが、どちらにするかは主に体の発達状況によって決まってきます。
前乗せタイプは、しっかりと安定して一人で座れるようになってからですから、おおよそ一歳前後から、後ろ乗せタイプは二歳を過ぎてからというのが目安になります。
前乗せタイプは、ママチャリにも付けられるごく小型のものと、通常かごが取り付けてある部分に取り付けるものの二種類あります。
ママチャリに取り付け可能な小型のものは、値段もお手頃で、自転車の買い替えも必要ないのですが、安全性からいうと、かご部分に取り付けるタイプのものがおすすめです。
ただし、このタイプは、普通のママチャリには付けられませんので、前乗せシートが装着された状態の自転車を購入する必要があります。
この自転車は、前乗せシートが不要になれば取り外すことができますので、シートのあったところに通常のかごを取り付ければ、以後普通のママチャリとして使用できます。
また、後ろ乗せシートを装着することも可能です。
後ろ乗せシートにもいくつかタイプあります。
大きくわけると、頭を支えるヘッドレストが付いているものと、付いていないものです。
頭部に支えのある方が、安全性は高まります。
ヘッドレストは、成長に応じて高さを変えられるものと、固定されているものとがあります。
いずれの後ろ乗せシートも、キャリア(後ろの荷台)の耐荷重量が25キロ以上であれば、普通のママチャリに取り付けが可能です。
ただし、キャリアの形状によっては取り付けができないものもありますので、自転車屋さんで確認してみてください。
ちなみに、子どもを後ろに乗せて自転車に乗ってもいいのは、六歳未満と法律では定められています。
ヘルメットもお忘れなく
子どもをママチャリに乗せて走りたいと思ったら、子ども用シートを準備することが第一です。
シートの取り付けは個人でもできるようですが、安全面で不安があれば、自転車屋さんで取り付けてもらいましょう。
通販などで購入するのではなく、自転車屋さんでシートを購入するのであれば、自転車を持ち込んでおけば、その場で取り付けてもらえます。
シートの装着ができたら、準備は万端でしょうか。
答えはNOです。
シートさえ装着できていれば、とりあえず、子どもを乗せて走ることはできます。
けれども、これでは万全とはいえないのです。
自転車に乗せる子どもには、子ども用ヘルメットが必要です。
自転車は意外に簡単にバランスを崩し倒れてしまいます。
子どもを乗せた自転車は、より不安定になりやすいので、ヘルメットは必須です。
ヘルメットをしていたら安全かと言うと、もちろん完璧ではありません。
けれどもあるのとないのとでは大違いです。
そのほかに必要なもの
ヘルメット以外に必要になるのは、雨の日や冬の寒さに対するグッズです。
特に前乗せの場合、冬場は冷たい風を真正面から受けることになり、子どもは大変です。
自転車を漕ぐ大人は漕いでいるうちに多少なりとも体が温かくなってくるのですが、座っているだけの子どもは、ひたすら寒風に吹かれ続けるだけで、冷える一方なのです。
ひざかけ毛布などですっぽりくるむというのが、手っ取り早い方法ですが、後ろに乗せている場合は、ひざかけの端が後輪にからまらないよう注意が必要です。
ビニール製の防寒カバーや、ヘルメットやシートベルトをしたままでも装着できる防寒ポンチョなど、子ども乗せ自転車専用のものが色々売られていますので、利用してみるのもよいでしょう。
雨の日に二人乗りするのはおすすめできませんが、その必要のあるときは雨除けカバーが便利です。
カバーを装着すれば、ミニ温室のようになり、その中の子どもは雨風から身を守れるという仕組みで、これは冬の寒さや風対策としても使えます。
子どもを乗せる前に、忘れてはいけないこと
普段から自転車に乗っているという人も、自転車に乗るのは久々という人も、子どもを乗せた状態で自転車を走らせるというのは、一人で乗るのとは大違いだということを、よく頭に入れてから乗ることをおすすめします。
前乗せの場合は特に、ハンドルと直結した部分にこれまでなかったような重さがかかっている状態です。
ハンドル操作の力加減が違いますし、自転車全体のバランスのとり方も違ってきます。
不安な方はママチャリに10キロの米袋を乗せて、試し走りをしてみてもよいかもしれません。
後ろ乗せの場合は、前乗せに比べると、安定度は多少増しますが、後ろに乗せるのは日々成長の一途をたどる子どもです。
その体重はどんどん増します。
前かごに荷物がない状態ですと、場合によっては前輪が浮くような状態になることも考えられます。
前乗せにせよ、後ろ乗せにせよ、車の来ない、安全な場所での試し乗りから始めることをおすすめします。
いざ、子どもを乗せて出発!
前乗せの場合
前乗せシートが初めから付いている自転車の場合、前かごが存在しません。
荷物はどこに入れるのでしょう。
自転車購入時にオプションで、あるいは初めから、後ろの荷台に取り付けることのできるかごがセットされていれば便利です。
買い物に行った際など、荷物は後部のかごにいれましょう。
後ろにかごがあるというのは意外に便利なものです。
買い物したものをかごに入れるにも、自転車置き場で隣り合った自転車が倒れないよう気にしながら、前かごまで荷物をもっていく必要がありません。
もちろん、子どもをシートに乗せる時には、自転車は安全な場所まで移動させてからにしてください。
さて、自転車の最前列シートに乗った子どもは、きっとベビーカーとは違った高い位置からの景色に大喜びでしょう。
スピードだって、ベビーカーとは全然違います。
嬉しくてじっとしていられないということもあるかもしれません。
後ろにいるお母さんにおしゃべりしたくて、振り向こうとすることもあるでしょう。
そうなると、子どもの楽しい気分に水を差すようですが、自転車の安全運転という点では、ハイリスクな状態になります。
後ろにどの程度の荷物が載っているのかや、走っているスピード、路面の状態などによりますが、子どもがシート内で動くことで、容易にハンドルがとられてしまいます。
「じっとしててね」というお約束をしてから乗せてあげてください。
一度倒れかけた自転車を立て直すのは大変ですから。
後ろ乗せの場合
後ろ乗せシートの場合、目の前に大人の背中があるわけですから、前乗せシートに比べると子どもにとっての爽快さは、やや劣ると思われます。
それでも、初めてお母さんの漕ぐ自転車に乗った子どもは、きっと嬉しくてしかたがないと思います。
危ない点は前乗せの場合と同様で、子どもが動くと簡単にバランスを崩してしまうということです。
子どもを後ろにのせているということは、前乗せに比べると、より成長した子どもを乗せているわけで、体重が重い分、自転車への影響も大きくなります。
そして、前乗せとは違うのが、子どもの様子が見えない不安です。
ベルトをしているとはいえ、前乗せシートが比較的体をすっぽり覆うような形状であるのに対し、後ろ乗せシートはイス型で、両サイドの安心感は薄いです。
ふいに体をよじって後ろを向こうとしたら……途中で眠ってしまったら……、など不安要素は前乗せの場合より多いかもしれません。
また、前乗せの場合も同様ですが、子どもをシートに乗せた時点で、かごの荷物の重さや、自転車を止めている路面状況によっては、自転車のバランスが崩れることもあるので、気をつけたい点です。
あるいは、子どもをシートから降ろそうとしたときも、同様です。
走行中の方が、大人の体重も加わり、バランスはとりやすいもので、子どもの体重とかごの重量のバランスが悪いと、ちょっとした動きで自転車は倒れてしまいます。
ママチャリに乗せていてヒヤリとする瞬間
風の強い日
晴れている日は、自転車は快適です。
春のあたたかい日差しの中、あるいは秋の紅葉を眺めながら走らせる自転車は、たとえそれが保育園への送り迎えであっても、楽しいものです。
ただのサイクリングであれば、なお楽しさもアップするでしょう。
けれども、風の強い日、それも向かい風や横からの風となると大変です。
向かい風の中、子どもの乗った自転車を漕ぐのは、たいてい子ども以外の荷物もたっぷり載っているて、本当に体力を消耗します。
筋トレとでも思わないと、なかなか厳しいものです。
そして、上り坂でおこりがちなのですが、風に押されてスピードがゆるんだ時が、ヒヤリの瞬間です。
スピードがあることで、まっすぐ前を向いていたタイヤ及びハンドルが、風に負けてスピードが落ちた途端、ハンドルと前輪が勢いを失いくねっと曲がってしまうのです。
そうなると、あっという間に自転車は倒れてしまうということにもなりかねません。
よく冷えた冬の朝
雪が降れば、もちろん自転車には乗れません。
しかし、根雪にならないような地方では、すぐにあるいは数日で雪は溶け、再び自転車に乗れるようになるでしょう。
ここで問題なのが、いつどの程度雪が溶けたかということです。
つまり、日中に溶けて水分も十分蒸発していればよいのですが、そうでなければ、明け方の寒さで、路面に残った水分が凍るからです。
日向は大丈夫でも日陰は凍っている、ということもあります。
自転車でさあーっと走っていると、この不意の地面の凍結に気づけないことがあるのです。
雪が降らなくても、何らかの事情で地面に残っていた水分が、明け方に凍ることは冬には起こりえます。
この凍結部分に自転車が乗ってしまったら、まさにヒヤリ!
です。
子どもが寝てしまった時
自転車で走っていると、気持ちよくなって、子どもが寝てしまうというのはよくあることです。
前乗せシートの場合、比較的体がすっぽりとシートに覆われているので、それほど心配はないのですが、問題は、後ろ乗せシートに乗せている場合です。
まっすぐ座って寝ているだけならまだよいのですが、自転車の振動やカーブするときの傾斜などで、眠ってしまった子どもの体は左右に揺れます。
時に大きく揺れます。
これは本当に要注意の状況です。
子どもが寝てしまったことを把握できていれば、それなりに用心して走らせることもできるのですが、気付かないうちに寝てしまっていた場合、突然がくんと子どもの体が揺れ自転車が横に持って行かれそうになり、ヒヤリ!
です。
運悪く上り坂だったりすると、バランスをとるのに精いっぱいで、そこで自転車が完全に止まってしまうこともあります。
止まった自転車を、眠った子どもを乗せて上り坂で再出発させるのは、経験者ならばよくわかると思いますが大変です。
かといって、押して歩くとなると、腕の力でバランスを取らなければならなく、つまり、どちらにしても状況としては大変になるのです。
自転車は定期的に点検しましょう
ブレーキは大丈夫?
大人が一人で乗っている時と比べて、子どもを乗せて走っている場合、自転車への負担がかなり大きいようで、日ごろから自転車の状態を点検することが大切になります。
点検すべきところの一つ目はブレーキです。
どのような場所を走っているかにもよりますが、坂道があるような場所、信号が多い場所など、ブレーキをかける機会が多い場合は、そのかかり具合を気にしておいた方がよいでしょう。
晴れている日はどうにか止まれていても、雨の日となると、とたんにブレーキはかかりにくくなります。
子どもの体重も加わっている分、ブレーキなしで、足だけで自転車を止めるのは非常に困難です。
しっかりとブレーキがきく状態にしておきましょう。
ブレーキをかけてから自転車が止まるまでに時間がかかるようなら、自転車屋さんで、効き具合を直してもらいましょう。
あるいは、自転車の仕組みに詳しい人であれば、自分でブレーキの調節をしましょう。
タイヤは大丈夫?
親子二人分と荷物を乗せて走っているママチャリのタイヤは、意外にはやくすり減っていくものです。
自転車のタイヤにも車のタイヤど同様溝が付いているのですが、時々チェックしてみてください。
溝がすり減ってうすくなってきたら、交換した方が無難です。
また、同時に空気圧もチェックする習慣をつけておいた方がよいでしょう。
空気の少ない状態で走るとパンクしやすくなりますし、重たい感じがして漕ぎにくくもなります。
ただ、空気を入れすぎるのも問題で、我が家のママチャリは一度、空気の入れすぎが原因で、パーン!
と破裂したことがありますので、ご注意ください。
出先での突然のパンクは悲劇です。
適度な空気圧を保つよう、チェックすることをおすすめします。
まとめ
自転車は楽しいです。
気分転換にもなりますし、子どもを乗せて走れば、子どもとのおしゃべりタイムにもなります。
同じ目線で同じものを見たり感じたりもできます。
さらに、子どもを乗せて走ると、望まなくてもトレーニングができてしまうというおまけ付き。
一石何鳥にもなる自転車です。
かっこいい自転車でなくても、ママチャリで十分。
子どもと楽しむのなら、ママチャリが一番です。