スポーツバイクの一台目として、何故シクロクロスバイクがおすすめか?
今や幅広い年代で健康志向が定着している感がありますが、そこにアウトドア志向が加わり、注目を浴びているものの一つがスポーツバイクではないでしょうか?
スポーツバイクと言っても、オートバイのことではありません。
ここでのバイクはサイクル、つまり自転車のことです。
とは言っても、自宅から最寄り駅まで乗る普段の自転車がそのままスポーツバイクとなるわけではありません。
では、どんなバイクを買うのがおすすめなのでしょうか?
これから、ロードバイク、シクロクロスバイク、そしてクロスバイク、またはオフロードバイクを比べて見ていくことにします。
目次
スポーツバイクの三つのカテゴリー
スポーツサイクルの意味で言うスポーツバイクと一口に言っても、実はいくつかのカテゴリーに分かれます。
一番思い付き易いのが、ロードバイクでしょう。
ロードと言うくらいで、舗装道を走るのにはこれが一番適しています。
それに対して、勿論オフロードバイクというカテゴリーもあります。
舗装道とは違い、山だったり、過酷なダートコースを走行するのに適したカテゴリーです。
そして、シクロクロスバイクというカテゴリーがあります。
これは、ロードバイクであるけれどもオフロードも走れる、という位置付けです。
このように、大まかに三つのカテゴリーに分けられるスポーツバイクですが、健康のことを考えて、アウトドア志向でこれからバイクを乗りこなそうという人には、どのカテゴリーがおすすめかと言えば、実はシクロクロスバイクなのです。
過酷な競技というイメージのシクロクロス
オフロードバイクからいきなり入るのは誰が見ても考えにくいことでしょう。
しかし、シクロクロスもまた、一般に思われているイメージからすれば、やはり敷居が高いと思われるのではないでしょうか?
シクロクロスと聞けば、オフロードの自転車競技を思い浮かべる人が多い筈です。
ヨーロッパの中でもベルギーやオランダ、チェコで競技が盛んで、主なレースは11月から2月にかけて行われます。
それもその筈で、シクロクロスは元々ロードレースの選手の冬季トレーニングが起源なので、ロードレースのオフシーズンである冬の時期に競技も開催されるのです。
コースとなる周回路は不整地で、階段や柵などの障害物も組み込まれていて、選手は下車して自転車を担ぐルールになっています。
選手には、高い心肺能力、そして脚力が求められます。
これだけ聞けば、スポーツバイクの世界に踏み入れる第一歩にしては過酷過ぎると感じる筈です。
ロードバイクは環境を選ぶ
となれば、ロードバイクから入るというのが消去法で残る選択肢となります。
しかし、自転車製品としてのロードバイクとシクロクロスバイクを比べてみた場合、ロードバイクは舗装道専用なのに対し、シクロクロスバイクはオフロード、つまり不整地でも走れるという特徴があります。
既にかなりバイクに親しんで経験豊富な人が、舗装道コースで長距離、例えば50km以上を走りたいと言うことであれば、ロードバイクをおすすめできます。
しかし、残念ながら日本はまだまだ自転車大国とは言えず、アウトドア志向でスポーツバイクに乗って遠出したいという人が心置きなく走行できるロードが整備されているとは言えません。
なので、オフロードも視野に入れて、つまり不整地でも安心した走行を保証してくれるシクロクロスバイクの方が、安全に乗れるということになるのです。
シクロクロスバイクは、ディスクブレーキを採用
スポーツバイクを初めて選ぶ場合にシクロクロスバイクをおすすめしたい理由の一つが、そのブレーキです。
ロードバイクの場合、ブレーキはキャリパーブレーキであるのが普通です。
理想的なロードでだけ走行することを考えれば、それで構わないのですが、一旦悪路を走行するとなった場合、容易に泥詰まりになります。
単純に、クリアランスが足りない為、詰まるのを防げないわけです。
一方、シクロクロスバイクは、競技用では軽量な、しかし効きにくいカンチブレーキが多いものの、一般にはディスクブレーキが主流です。
ロードで高スピードで走行する場合、ロードバイクのキャリパーブレーキはその高速に押されてなかなか効かない感じがしますが、シクロクロスバイクのディスクブレーキは、しっかりと効いてくれます。
また、雨の日に自転車に乗っていてブレーキが効かなくなるこわい思いをした人が少なくないと思いますが、シクロクロスバイクのディスクブレーキならば、雨で濡れた路面を走行してもしっかり効いてくれるのです。
ロードバイクとのもう一つの違い: タイヤ幅
もう一つ、ロードバイクとシクロクロスバイクの大きな違いとして挙げられるのが、タイヤの幅です。
ロードバイクが履くタイヤの幅は、23~25cで、どんなに広くても28cまでです。
一方、シクロクロスバイクの場合は、28~35cと幅広になっています。
完全にオフロード用のクロスバイクのタイヤ幅が32~38cですので、それにかなり近い幅広さとなっているわけです。
タイヤの幅が相対的に広い分、パンクする恐れも小さくなりますし、ショックにも強く、乗り心地もより快適になります。
たとえ舗装道だけを走行するという場合でも、自転車で走行する以上、道路の端を走行することになります。
その場合、日本では残念ながらコンクリートのうねりがあったり、舗装がひび割れてガタガタしていたり、また、砂利などが落ちていて、ロードバイクのような幅が狭い、しかもスリックと言われるすべすべした表面のタイヤでは、パンクを起こし易いのです。
そうした悪路でも、シクロクロスバイクのタイヤ幅であれば、乗り心地がよく、ショックにも強くて、パンクの恐れも遙かに少なくなるのです。
タイヤの履き替えができるシクロクロス
シクロクロスバイクはオフロードも走れるロードバイク、と書きましたが、このことはタイヤにもあてはまります。
ロードバイクと言えば、タイヤ幅が小さいわけですが、そのスリムさをフォルムの美しさと感じている人も少なくないことでしょう。
しかも、表面がすべすべのスリックになっているのに比べて、シクロクロスバイクのタイヤは、幅広であるだけでなく、表面形状も路面が土、砂、ダートのいずれであるのかに応じて、グリップ性に優れたブロックパターンが選べるようになっているので、見た目はごつごつした感じとなってしまうわけです。
舗装道だけを颯爽と走りたいのであれば、ロードバイクの方が見た目に良いに決まっています。
しかし、シクロクロスバイクのフレームであれば、ロードバイク用の細いタイヤを履き替えさせることは可能なのです。
逆に、ロードバイクのフレームにシクロクロスバイク用の幅広いタイヤを履かせることは、物理的にできないのです。
この意味でも、シクロクロスバイクの方がおすすめなのです。
フレームジオメトリーの比較
色々な意味で、ロードバイクとオフロードバイク、つまりクロスバイクの中間という位置付けにあるシクロクロスバイクですが、そのことはフレームのジオメトリーにも表れています。
ロードバイクの場合は、求められる平均時速が高く、エアロダイナミクスが問われるので、重心が低くなっています。
他方、シクロクロスバイクの場合、悪路も走行することが想定されていますし、コースも直進というよりはカーブも多いことを想定し、重心は高めになっているのです。
オフロードバイクであるクロスバイクの場合は、コーナーでバイクをコントロールしたり、バランスを取り易くする為にアップライト姿勢になるフレームジオメトリーが普通です。
なので、シクロクロスバイクのフレームジオメトリーは、ロードバイクとクロスバイクの中間と言えるのです。
その他ロードバイクとの違い
フレームジオメトリーの要素の一つが、ペダルです。
シクロクロスバイクの場合、ロードバイクのように舗装道を高速でひたすら直進することは想定されていません。
むしろ、登坂性能を求められ、悪路の走行も想定されています。
その為、ペダルの接地トラブルを避ける意味で、ギヤクランクも含めてボトムブラケットの高さがロードバイクの場合よりも若干高くなっています。
また、坂道だけでなく、下車して担ぐことも想定されていることから、シクロクロスバイクの場合は相対的に「後ろ乗り」の格好となります。
フレーム素材は、競技用のものであればロードバイクと同じくカーボンが主流ですが、通常のものはアルミ製が多くなっています。
しかし、クロスバイクで使われるクロモリ、つまりクロムモリブデン鋼も軽量のものができて、シクロクロスバイクにも使われるようになってきています。
まとめ
これまで見てきたように、スポーツバイクの中のロードバイクとクロスバイクの中間という位置付けにあるのがシクロクロスバイクです。
ロードバイクをフルに楽しむには、しっかり整備された舗装道があって、高速で直進できればよいのですが、日本ではまだそこまで整備が進んでいない、というのが残念ながら現実です。
ロードと言っても道路の端は既に悪路であることも多く、ロードバイクではタイヤが持ちません。
シクロクロスバイクであれば、ロードバイクのタイヤに履き替えさせることも可能なので、オフロードも走行できるロードバイクとも呼べるシクロクロスバイクが、まずはおすすめです。