ランニングタイツの機能と実際に商品を購入する際の選択のポイント

(ミズノ)Mizuno BG8000 バイオギアタイツ(ロング) A60BP270 A60BP270 92 ブラック×ブルー M

近年、各地で市民マラソンが開催されるようになってきましたが、ランナーたちのウェアも様変わりしています。

2011年(平成23年)の新語・流行語大賞に「美ジョガー」という言葉が選定されましたが、ランニングウェアもファッショナブルになっています。

また、スポーツ科学の進展に伴い、ランニングウェアはファッション性だけでなく機能性も着実に向上しています。

ここではマラソンやジョギングなどのために普及しているものを中心にランニングウェアの機能と主な商品の特長について解説、紹介したいと思います。



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ランニングタイツとは?

ランニングウェアの中でも足腰や体幹のパフォーマンス向上に直結するランニングタイツはランナーにとって最も関心の高いアイテムの一つです。

そもそも「ランニングウェア」とは何を指しているのでしょう?

スパッツやコンプレッションタイツとの違いはあるのでしょうか。

「ランニングタイツ」というのは明確な定義があるわけではなく、各社の商品はいろんな呼び方をされています。

昔から登山やサイクリングなどには「スパッツ」が利用されてきましたが、現代のランニングタイツの機能のルーツはこのあたりにあると思われます。

最近はトレイルランニングが流行するなど、ランニングタイツの用途もさらに多岐にわたるようになっていますが、一般的に普及している呼び方の中では「コンプレッションウェア」という言葉が近いと思われます。

タイツに限らずシャツなども含め締め付け感覚があり、着圧効果の期待されるウェアがこのように呼ばれていています。

コンプレッションウェア自体は野球やサッカー、ジムにおけるトレーニングなど様々な場面で利用されていますが、ここではマラソンやジョギングなどのために普及しているものを中心に解説、紹介したいと思います。



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ランニングタイツの種類

ランニングタイツには長さの異なるいくつかの種類がありますので解説します。

呼称については必ずしも各社の製品名などと一致しないのでご注意ください。

ロング

腰から足首まで着用するタイプです。

一般的にランニングタイツというとこのタイプを指していることが結構多いです。

マラソン大会自体が冬季を中心に開催されることが多いせいもあるかと思います。

多くのランナーはロングのランニングタイツの上に膝上くらいまでの長さのランニングパンツを履いています。

ショート

膝の上まであるタイプです。

自転車競技やトライアスロン、水泳などにも使用される、いわゆるスパッツの長さと同じくらいです。

膝を露出するこのタイプは防寒や膝の防止などに向かないですが、室内や気温の高い地域でのランなどに利用されています。

セミロング

膝の下まであるタイプです。

ランナーにとって膝は非常に重要であり、ショートサイズに近い長さに膝をサポートする機能をもたせているといえます。

ランニングタイツの機能と効果

ランニングタイツはあまりにも多くの商品が市販されているので、どれを選んだらよいのか、はじめて購入する人は迷うと思います。

価格も千円前後から一万数千円のものまであるのですが、価格の違いはブランド力の違いがあるものの、主には機能の違いです。

ランニングタイツは製品ごとに期待される機能に違いがあります。

それぞれの機能が相互に影響しあっているので、理解が難しい面もあるのですが、ここからはランニングタイツの機能について解説します。

コンプレッション効果、疲労の軽減

英語のcompressionを日本語にすると圧縮、圧迫などの意味がありますが、コンプレッションウェアの場合、着圧と訳されることが多いです。

コンプレッション機能を有するランニングウェアはゴムのように弾力性が強く、体にぴったりフィットし締め付けられているような感覚があります。

コンプレッションウェアはこのような形で筋肉に圧力を加えることにより「着圧」効果を発揮するのです。

これは筋肉に圧力を加える加圧トレーニングというトレーニング方法にも似ています。

筋肉というのは、血液を心臓に送る際のポンプの役割を果たしているのですが、特にランニングなどの運動中は、多くの血液を早く循環させる必要があるため、太ももやふくらはぎの筋肉によるポンプの機能を効率よく発揮する必要があります。

走り始めは正常に機能している脚の筋肉は長時間のランニングによって疲労が蓄積すると、正常な形でポンプの機能を発揮することが困難になります。

筋肉のポンプの機能の維持をサポートするのがコンプレッションウェアです。

脚の筋肉のポンプ機能が長時間正常に機能していれば、長距離のランニングでも疲労は最小限に軽減され、また走行後も極力早く回復することができるのです。

多くのコンプレッションウェアは膝やふくらはぎなど走りにとって重要な部位が強化されていて、その緻密さの度合が価格に反映されているといえます。

コンプレッション効果がほとんどないウェアは、単に防寒などの機能があるだけなので安いものでは千円前後でも入手することができますが、値段の安いものは疲労軽減などの効果は期待できないものが多いので注意が必要です。

テーピング効果、無駄な動きの抑制

ランニングタイツの機能はコンプレッション効果だけではありません。

筋肉を締め付けることは、運動時の筋肉のブレを減らすことにつながります。

特にランニング中、筋肉は激しい振動などの刺激を受けますが、無駄な動きを押さえることで疲労も軽減されます。

これはテーピングの効果に似ていて怪我の防止につながります。

また人それぞれ走るときのフォームや平常時における姿勢にもクセがあります。

普段はあまり気にならないかもしれませんが、マラソンなどの長時間の運動では姿勢がゆがみが特定の部位への疲労につながることがあります。

例えば左右のいずれかに偏った姿勢をしている人がマラソンを終えると、一方の脚に極端に痛みが発生することなどがあります。

体に締め付け感のあるランニングタイツの機能として姿勢を正しくすることもあげられます。

筋肉のぶれを少なくすることだけでなく、正しい姿勢、フォームで走行することもパフォーマンスの向上、疲労の軽減につながるのです。

体温調節

ランニングウェアを選ぶ際に気になるのは汗の吸収ではないかと思います。

特に、大量の汗が出る夏場や室内でのトレーニングでは速乾性にすぐれた素材が期待されます。

逆に比較的寒い時期に実施されるマラソン大会などの場合は、冷たい風から素肌を守る防寒や怪我防止などの機能も期待されます。

最近のランニングウェアには多かれ少なかれこの体温調節の機能があり、暑い時や寒い時など用途の違いを考慮した製品も出回っています。

ランニングウェアの素材としては通気性の良いポリエステルのものが多いですが、他の素材との混合により体温調節機能を強化している商品もあります。

また、温度調節だけでなく、ランニングタイツには紫外線の防止、日焼け防止などの機能を強化している商品もあるので、うまく使い分けできるとよいと思います。

主要各社の製品の比較

いまやランナーにとってランニングタイツはかかせないアイテムとなり、スポーツ用品店などでもランニングタイツのコーナーが広くなっている印象を受けます。

それだけ多くの商品が提供されていることではあるのですが、数ある商品の中から自分にあったものを選び出すのはなかなかたいへんです。

選択の際は、その商品がどのような機能を重視しているのかがポイントになると思います。

また、自身の体の部位でサポートしたい部分、痛みを感じやすい部分などが明確であると選びやすいかもしれません。

長距離を走ると膝が痛くなる、トレーニングが続くと腰が痛むなど。

自身の弱い部分を強化できるとパフォーマンスもあがるでしょう。

価格にもかなりの開きがありますが、ランニングタイツに何を求めるかを明確にすることでコストパフォーマンスもあげられます。

ランニングタイツやコンプレッションタイツは各社の研究開発の結果から商品化されているケースがほとんどであるので、会社ごとに得意不得意があり、それぞれこだわりもあります。

主要各社が売り出している商品の主な特徴を紹介したいと思います。

ワコールCW-X(シーダブリューエックス)

コンプレッション機能を有するランニングタイツが普及したのはこのCW-Xの存在が大きいといえます。

イチロー選手が広告のキャラクターにも起用されていることで有名ですが、トレーニングなどにおいてその効果を実感しているそうなので一流スポーツ選手のお墨付きということになるでしょうか。

テーピングの効果とコンプレッション効果を兼ね備えており、膝などの関節のサポートに適しているといえます。

CW-Xには用途に応じた3つのタイプがあります。

ジェネレーターモデル(スポーツ時の様々な動きに対応)、スタビライクスモデル(長時間の運動に対応)エキスパートモデル(膝などの関節に集中的に対応)、3つです。

野球など様々な動きの対応が必要な場合はジェネレーター、マラソンなどの長時間の対応にはスタビライクスなどの使い分けができます。

ワコールは下着を扱うメーカーだけに着心地や肌触りも良く、初心者からトップアスリートに至る幅広い層に普及しているので、価格は高めですがはじめて購入して試す人にはおすすめです。

アンダーアーマーHEATGEAR(ヒートギア)

アンダーアーマーというのはアメリカのスポーツ用品会社であり、社名でもあるコンプレッションウェアはこの会社の看板商品です。

英語のarmourは鎧(よろい)、防具という意味であり、アメリカでもアメフトや野球の選手がユニフォームの下に着用するウェアとして普及しています。

「第二の皮膚」というフレーズのごとく、体への密着性が強いものの、ストレッチ機能にすぐれているので運動中の様々な動きがスムーズに感じされます。

独特の着心地はポリエステルにポリウレタン(15%程度)を混成させる特殊な技術力のたまものでしょう。

着心地を重視する人にはおすすめです。

夏の暑さなどに吸汗性を発揮するヒートギアHEATGEARに加え、冬の寒さに対応するコールドギアCOLDGEARもあります。

アメリカから多くの国に普及していて、日本でも輸入品がアウトレットなどで安く入手できることがあります。

ゴールドウィンC3fit(シースリーフィット)

C3fitの3つの「C」は、コンプレッションcompressionと調整conditioning、快適性comfortです。

コンプレッション機能を有していますが、ワコールのCW-Xやアンダーアーマーとは明らかに着心地が異なります。

CW-Xとアンダーアーマーはポリエステルが主でポリウレタンを混合しているのですが、C3fitはナイロンにポリウレタンという組み合わせです。

C3fitのコンプレッションタイツには4つのタイプがあります。

スタンダードが「インスピレーション」であり、これに膝のサポート機能を付加したのが「フォーカス」、さらに快適性を強化した「エレメント」、サポート機能を重視したのが「インパクト」です。

C3fitはコンプレッション効果もテーピング効果もあるのでワコールのCW-Xやアンダーアーマーとくらべてその機能はひけを撮らないと思われますが、これら2つにくらべると価格が低めであるので、予算を重視する場合などの選択肢になります。

デサントスキンズ

オーストラリア発祥のスキンズは、2013年(平成25年)からスポーツ用品大手のデサントの扱いとなっています。

スキンズはきめの細かい縫い目による着圧効果を売りにしており、世界のトップアスリートに愛用されています。

スキンズの商品はその機能や用途に応じてタイプ分けされています。

さまざまなスポーツの場面を想定していますが、その基本は疲労回復であるようです。

スポーツ医学の分野では多くの論文を発表していて裏付けがしっかりしています。

疲労回復を重視したRY-A400や、トップアスリート向けのDNA-MICなどのほか、日本人の体型を考慮したA200などもあります。

ワコールのCW-Xやアンダーアーマーと比較すると、生地が若干薄いのが特徴です。

全体的にはプロのアスリートなど上級者向けで高価な印象がありますが、初心者向けの安価な商品も多く用意されており、特に日本人の体型を考慮したA200はおすすめです。

ミズノバイオギア

大手スポーツ用品メーカーのミズノからも多くのランニングタイツが提供されています。

その中心はバイオギアシリーズです。

着圧効果、膝など関節のサポート、紫外線防止など一通りの機能は備えていますが、商品によって価格や機能に開きがあるのも特徴です。

脚の筋肉や膝などの関節のサポートを重視したBG 8000Ⅱ、軽量開発されたBG 9000など、何を求めるかによって選択できます。

他社と比較しての大きな違いとしては、股上の部分が深めに設定されていることです。

通常のランニングタイツは腰に届くか届かないくらいの位置ですが、ミズノのバイオギアなどは腰の上まで来るので、他社の製品に馴染んでいる人には違和感があるかもしれませんが、腰のサポートを期待する人にはおすすめです。

まとめ

ランニングウェアの機能と主な商品について紹介しましたがいかがでしたか?

ランナーにとってはいかに疲労を蓄積させないようにするか、日々のトレーニングをいかに効果的にするかが課題ですが、これらの要請に応えるべく各社がランニングウェアの開発を続けています。

新しいモデルが次々に出回っているので、自分の体にあった商品がみつかってパフォーマンスが向上されればよいかと思います。

さらにより良い商品が開発されることに期待したいと思います。