コンデンサ交換でグラボを復活させるための4つのポイント

グラフィックボード(グラボ)

10年ほど前までは自作PCユーザーにとっては割と当たり前だったコンデンサの交換ですが、最近は殆ど必要が無くなっています。

コンデンサの交換が出来るようになると、ジャンクのグラボなどを復活させて使う事が出来るため、「安くグラボが使いたい!」という人にとってはかなり心強い味方になります。

今回はそうしたグラボのコンデンサ交換に関係した事についてまとめました。



おすすめグラフィックボード製品ランキングはこちら





コンデンサ交換でグラボが復活する?

ここ最近は、グラボなどに使用されているコンデンサの質がかなり良くなってきているため、殆ど交換する必要はなくなりました。

そのため、下手に時間とコストをかけてコンデンサを交換して使い続けるよりも、新しいグラボを買って使った方がはるかに簡単という事が大半です。

ですが、現在人気が高いGPUによるマイニングがある程度終息した後に中古市場に流れるであろう大量のグラボを修理して多少使えるとなると、話が変わってくるかと思います。

というのも、マイニングで使用されるグラボの多くは24時間稼働している事が多いため、他が大丈夫でもコンデンサが寿命を迎えている可能性が低くなく、それらを何とかすればまだ動かせる可能性があります。

そういった中古市場に出たグラボを安く入手して、それを修理して使えば、比較的性能の高いグラボを安く使う事が出来るため、少ない出費でそこそこのスペックのグラボを使いたい、という人にはおすすめの方法です。



おすすめグラフィックボード製品ランキングはこちら





コンデンサ交換に必要な道具

グラボのコンデンサを交換する場合、コンデンサを基板に固定しているはんだを溶かすための道具が必要になります。

コンデンサの交換を行う際に必要になる主な道具は次のようなものが挙げられます。

  1. はんだ
  2. はんだごて
  3. 金属用ニッパー
  4. はんだ吸い取り線かはんだ吸い取り機

などです。

はんだとはんだごてに関しては、電子工作向けの物を使用するのがおすすめです。

電子工作向けのはんだごては通常のはんだごてよりも温度が低く、電子部品が熱で壊れにくい他、こてによっては先端が細くなっているため細かい電子部品の取り付けなどがしやすくなっています。

電子工作向けのはんだごての弱点として先端が細く温度が低い事やランド(基板上のはんだ付け用の小さな円状の部品)が非常に小さい事が原因ではんだが溶け辛いため、慣れるまでは扱いが難しい点があります。

おすすめの電子工作向けのはんだごて「白光 FX-600」

電子工作向けのはんだを持っていない場合におすすめなのが、白光(HAKKO)から出ている「FX-600」です。

価格は一般的なはんだごてとしては若干高いので、コンデンサの交換くらいしかしないという場合には手が出し辛いかもしれませんが、他の用途でも使う予定があるという人はこれ一本でかなり広い範囲に対応できるため、かなりおすすめです。

温度の段階的な調節が可能で、電子工作で必要になる事が多い200~350度前後での使用が可能になっている他、温度調節用のダイヤルは取り外す事で誤操作で温度を切り替えてしまうのを防ぐ事も出来るようになっています。

温度状態を示すLEDランプが搭載されている他、こて先が交換出来るようになっているため、同メーカーから発売されている対応したこて先を多数使用する事が出来ます。

交換用コンデンサの用意

グラボのコンデンサを交換する場合、新しいコンデンサも同じ規格の製品を用意する必要があります。

気にした方が良いポイントとしては、定格電圧と静電容量があります。

コンデンサの規格の判別方法として、上面を確認する方法があります。

例えば、8202.5vと印字されている場合は静電容量が820μFで定格電圧が2.5vのコンデンサ、という事になります。

いずれも、コンデンサの上面に印字されている事が多いため、古いコンデンサを取り外す前にどの規格のコンデンサがどれだけ必要になるのか確認するようにしましょう。

コンデンサを探す際にはネットなどで「コンデンサ容量μF電圧v」などで検索するとヒットすることがあります。

また、実際にコンデンサを購入する時の注意点として、定格電圧や静電容量が同じものでも高ESRの物を使用すると正しく動作しなくなるため、グラボに使用するコンデンサは必ず、低ESRやマザーボード用と書かれているものを使うようにしましょう。

コンデンサを取り除く時のコツ

コンデンサは基板上に空けられた穴にはんだで固定されているため、取り外すためにははんだを溶かす必要があります。

ですが、はんだを溶かすだけではすぐに冷えて再び固まってしまうため、実際には溶けた状態のはんだを吸い取って取り除くことが殆どです。

この時に使うのが、「はんだ吸い取り線」です。

はんだごてを当てて溶けた状態のはんだに宛がったり、はんだごてではんだに押し付けたりする事で、溶けたはんだが吸い取り線のほうに移り、コンデンサを固定しているはんだを除去することが出来ます。

コンデンサを固定しているはんだを取り除くことが出来たら、ラジオペンチなどで挟んでゆっくり引き抜く事が出来るようになります。

ちなみに、同様にはんだを取り除く道具としてポンプ型の吸い取り機もありますが、グラボなどの小さいはんだ付けを取り外すのは向いてないため、少し慣れが必要です。

はんだを吸い取る際の注意点

実際にはんだを吸い取ろうとすると、上手くいかない事も多いです。

というのも、グラボなどのはんだ付けは非常に細かいはんだ付けがされているため、こてを押し当てても殆ど溶けなかったり、溶けていても吸い取り線まで上らない、吸い取り線に触れていないという事が多いからです。

そういった場合には取り外したい部品のはんだ付けされている部分に一旦はんだを追加し、その上で追加したはんだごと吸い取る方法がおすすめです。

はんだを追加する事で総量が増えるため、吸い取り線に接しやすくなりまとめて吸い取りやすくなります。

あまり多くつけすぎると他の部品にはんだが流れたり、吸い取り線で吸える量を超えてしまう事があるため、追加する量には注意しましょう。

また、細かい範囲を吸い取りたい場合には吸い取り線の先端を斜めにカットするのも、おすすめです

コンデンサの取り付け時は極性に注意

コンデンサを取り外し終わったら、予め用意した新しいコンデンサを取り付けていきます。

この時、コンデンサのプラス極とマイナス極を間違えないようにする必要があります。

コンデンサは外装部分の一部だけ色が異なっていて、それの方向を合わせることで極性を間違えること無く取り換える事が出来るようになっているため、取り外す前にコンデンサの方向をよく覚えておくようにしましょう。

はんだ付けが終わってコンデンサを固定出来たら、コンデンサから伸びている足をニッパーなどで切り落とします。

また、切り落とした破片は飛ぶ可能性があるため、注意しましょう。

飛んだ破片がグラボの隙間に入ると故障の原因になる他、飛んだ破片が目に刺さると最悪失明するため、十分に注意しましょう。

破片が飛ばないように加工されたニッパーを使用するのもおすすめです。

はんだを付ける時のコツ

はんだ付けは、上手くやらないとコンデンサが固定出来ないだけでなく接触不良による動作不良などのトラブルを起こす原因になります。

グラボに新しいコンデンサを取り付ける際の手順としては、

  1. コンデンサの足とランドにこてを当てて加熱する(4~5秒)
  2. そこにはんだを付けて溶かす(1~2秒)
  3. 溶けたはんだがしっかりと周囲に回るまで待つ(1~2秒)
  4. はんだを離す
  5. こてを離す

という順番になり、()内の秒数がそれぞれの作業の大体の作業時間になります。

見ての通り、それぞれの作業の時間はかなり短いため、テンポ良くやる必要があります。

はんだ付けをした後に作業した箇所が綺麗な山型になっていれば上手くいった証拠です。

だんご状になっていたり、でこぼこしている場合には上手くできておらず、固定できていない可能性が高いです。

グラボの他の部分の状態が良くても、コンデンサの固定具合が悪いと破損に繋がる可能性もあるため、はんだ付けを行う際はしっかりと固定するようにしましょう。

過度の期待は禁物?

コンデンサの交換は、動かないグラボを復活させる方法の1つではありますが、確実に元通りになる補償は無く、むしろかなりリスキーな方法と言えます。

そのため、動きが悪いグラボに対して行うというよりは、既に殆ど動かないグラボに対してギャンブル的な感覚で行う修理方法といった方が正しいかなと思います。

とはいえ、幸いにもグラボに使用されているコンデンサそのものは1つ1つの単価も安く、使用個数も少ないため、道具がすでに揃っていてジャンクのグラボが格安で手に入ったという場合には、グラボのオーブン焼き(リフロー修理)と一緒に試してみる価値があると思います。

まとめ

正直、現時点では殆ど必要のない技術ですが、ジャンクのグラボを修理出来るという意味ではそれなりに魅力があると思います。

特にグラボを2~3年程度で買い替えるという人は、中古のグラボでも新しい世代の物を選べば十分足りる事が多いですし、多少の手間さえ惜しくないのであればコストパフォーマンスも悪くないためおすすめです。